1

notation

202
0
$$\newcommand{ab}[1]{\restriction\!\!\;\!{#1}\!\!\;\!\downharpoonleft} \newcommand{absr}[0]{\mathbb{A_R}[\bm X]} \newcommand{bm}[0]{\boldsymbol} \newcommand{o}[2]{\ordi{#1}{#2}{}} \newcommand{ok}[2]{\ordi{}{#1}{#2}} \newcommand{ordi}[3]{\frac{d #1^{#3}}{d #2^{#3}}} \newcommand{p}[2]{\part{#1}{#2}{}} \newcommand{part}[3]{\frac{\partial #1^{#3}}{\partial #2^{#3}}} \newcommand{pk}[2]{\part{}{#1}{#2}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Res}[0]{\operatorname{Res}} $$

本アカウントや、絶対値大好きbotのツイート等で使用している絶対値に関するnotationをまとめる。

定義

絶対値式

最大値最小値

$\R$の有限部分集合$S$$g_{ij}\in\R$に対して、
\begin{aligned} (S_i)_i&:=\max_i S_i\\ (S)&:=\max S\\ [S_i]_i&:=\min_i S_i\\ [S]&:=\min S\\ \{g_{ij}\}_j^i&:=([g_{ij}]_j)_i \end{aligned}
と定める。

上の定義の状況において、$(\{1,2\})$などを単に$(1,2)$などと書くことがある。

絶対値

絶対値関数$\ab{x}$を次のように定める。
$$ \ab{x}=(x,-x)=\begin{cases}x&x\ge0\\-x&x<0\end{cases} $$

以下、$(X_1,X_2,\dots,X_k)=(\bm X)$のような省略記法を用いることがある。これは代数的な意味であって、最大値の意味でない。

(abnomials)

まず$\mathbb R[\bm X]$を実数係数の多項式として
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_0}^s[\bm X]=\mathbb R[\bm X] $$
とする。さらに一般の$n\in\mathbb{N}^\times$に対して
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_{n+1}}^s[\bm X]=\left\{f\!\ab{g}{}\!\!+h:f,g,h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]\right\} $$
として全ての自然数$n$に対して$\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]$を定義する。この集合の元を速度$n$の絶対値式という。また集合
$$ \mathbb{A_R}[\bm X]=\left\{h:\exists n\in\mathbb{N}\left[h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]\right]\right\} $$
の元を絶対値式という。

Tightened Lemmaの仮定の下、次の命題が成立する。

まず$\mathbb R[\bm X]$を実数係数の多項式として
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_0}^d[\bm X]=\mathbb R[\bm X] $$
とする。さらに一般の$n\in\mathbb{N}^\times$に対して
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_{n+1}}^d[\bm X]=\left\{\sum_if_i\!\ab{\sum_j g_{ij}}{}\!\!+\sum_ih_i:f_i,g_{ij},h_i\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^d[\bm X]\right\} $$
として全ての自然数$n$に対して$\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^d[\bm X]$を定義する。この集合の元を深度$n$の絶対値式という。このとき、集合間の等式として
$$ \mathbb{A_R}[\bm X]=\left\{h:\exists n\in\mathbb{N}\left[h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^d[\bm X]\right]\right\} $$
が成立する。

まず$\mathbb R[\bm X]$を実数係数の多項式として
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_0}^l[\bm X]=\mathbb R[\bm X] $$
とする。さらに一般の$n\in\mathbb{N}^\times$に対して
$$ \mathbb{A}_{\mathbb{R}_{n+1}}^l[\bm X]=\left\{f\ab{g}{}\!\!+h:f\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_a}^l[\bm X],h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_b}^s[\bm X],h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_c}^s[\bm X],a+b+c=n\right\} $$
として全ての自然数$n$に対して$\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]$を定義する。この集合の元を長度$n$の絶対値式という。ここで集合間の等式として
$$ \mathbb{A_R}[\bm X]=\left\{h:\exists n\in\mathbb{N}\left[h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]\right]\right\} $$
が成り立つ。

これとは直接関係ないが、重要な事実として「区分連続多項式全体${\cal C}^p(\R^k)$と絶対値式全体は等しい」というものがある。この二つの命題と、最初の定義を踏まえて次のような定義をする。

絶対値式$h\in\absr$に対して、$h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^s[\bm X]$となる最小の$s$$h$の速さといい、$\operatorname{Speed}h$で表す。また$h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^d[\bm X]$となる最小の$d$を深さといい$\operatorname{Depth}h$で表し、$h\in\mathbb{A}_{\mathbb{R}_n}^l[\bm X]$となる最小の$l$を長さといい$\operatorname{Length}h$であらわす。

区分連続多項式

この辺はちょっとわかりずらいような気もする。

semi-algebraic set

$\R^n$の部分集合$S$が半代数集合であるとは、有限個の代数的等式、あるいは不等式の合併であることをいう。

Continous piecewise polynomial

関数$f:\R^n\to\R$が区分連続多項式であるとは、$\R^n$が有限個の閉半代数集合$\mathcal{P}=\{P_\lambda\}$で被覆されており、各$\lambda$においてある多項式$f_\lambda$が存在して
$$ f\restriction_{P_\lambda}=f_\lambda\restriction_{P_\lambda} $$
ならしめうることをいう。区分連続多項式全体の集合を${\cal C^p}(\R^n)$で表すことにする。

区分連続多項式の特徴づけとして、次の主張がある。

tightened lemma

次の条件を満たす集合$S$は唯一つ存在する。
$({\rm i})$$\R[\bm X]\subset S\subset{\cal C}^p(\R^n)$
$({\rm ii})$$S$は点ごとの和と積について環をなす。
$({\rm iii})$$f\in S$なら、$\ab{f}\,\in S$

次節で定義する$H$値や絶対値式、区分連続多項式は全て上の主張を満たすので、同一の対象であることが分かる。従って、このどれか一つの対象に定義された概念は他の概念にも自動的に定義されることになる。

classifiation

区分連続多項式$p$に対し、任意にとった測度零でない閉集合$S\in\R^n$$p\restriction_S=f\restriction_S$となる多項式$f\in\R[\bm X]$が存在する。このような多項式すべての集合を$X(p)$と書く。

日本語名称は特に定めていないが、「分類」とすると一変数で用いた$\operatorname{cls}$と被ってしまうという問題点がある。

singular point

区分連続多項式$p$に対して、$p$が無限回微分できないような点の集合を$\sigma(p)$で表す。また、$\R^n\setminus\sigma(p)$の連結成分の個数を$\#\sigma(p)$で表す。$p$に対し、$\#\sigma(p)-1$$p$の粗さという。

濃度の記号とややこしいと思うかもしれないが、普通の状況では$\sigma(p)$の濃度を知りたいことがないのであまり問題にならない。

$H$

multiple $H$ value

Heavysideの階段関数を次のように定義する.
\begin{equation*} H_a^x= \begin{dcases} 0&x< a\\ \frac12&x=a\\ 1&x>a \end{dcases} \end{equation*}
このとき,多重Heavyside関数を次のように定める.
\begin{equation*} H_{a_1,a_2,a_3,\dots,a_n}^{b_1,b_2,b_3,\dots,b_n}=\prod_{k=1}^nH_{a_k}^{b_k} \end{equation*}
ここで添え字$a_{1i},\dots,a_{ni},b_{1i},\dots,b_{ni}$が多項式であり,かつ多項式$\bm f=\{f_i\}_i$を係数として
\begin{align*} \sum_if_iH_{\bm a_i}^{\bm b_i} \end{align*}
と表せる関数を多重$H$値といい,それ全体を$\cal H(\R)$で表す.また$C^n$級である多重$H$値全体の集まりを${\cal H}^n(\R)$で表すことにする.

その他

代入写像

$k$変数区分連続多項式を${\cal C}^p(\R^k)$と表す。また、代入写像$L$を、
$$ L^l_\alpha f(x_1,x_2,\dots,x_m)=f(x_1,x_2,\dots,\overset{l}{\alpha},\dots,x_m) $$
とし、特に$L:=L_0$と略記することにする。

\begin{aligned} a^+&=(a,0)\\ a^-&=[a,0] \end{aligned}

投稿日:214
更新日:215

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

怠惰なB1らしいです.どうしてB1になってしまったのであろうか

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中