$\alpha$は$0<\alpha\leq\dfrac{\pi}{2}$を満たす定数とし,四角形$\text{ABCD}$に関する次の2条件を考える.
(i) 四角形$\text{ABCD}$は半径$1$の円に内接する.
(ii) $\angle\text{ABC}=\angle{DAB}=\alpha$
条件(i)と(ii)を満たす四角形のなかで,4辺の長さの積
$$k=\text{AB}\cdot\text{BC}\cdot\text{CD}\cdot\text{DA}$$
が最大となるものについて,$k$の値を求めよ.
図は各自で書いてみてください.$\text{AB}$が横になるように書くと良いと思います.
四角形が一意的に定まるパラメータを用意する必要がある.
正弦定理より,$\text{AC}=2\sin \alpha$である.内接四角形の性質より,$\angle\text{ADC}=\pi-\alpha$とわかっている.$\angle\text{CAD}=\theta$としてパラメータ付けると,三角形$\text{ACD}$が一意に定まる.次に,このパラメータで三角形$\text{ABC}$が定まるかどうかを見る.$\angle\text{CAB}=\alpha-\theta$と定まるので,OK.よってこのパラメータを使えばよい.明らかに,$0<\theta<\alpha$を動く.
$$k=16\sin\theta\sin^2(\alpha-\theta)\sin(2\alpha-\theta)$$
である.
$$\sin\theta\sin(2\alpha-\theta)=-\frac{1}{2}\{\cos 2\alpha-\cos(2\alpha-2\theta)\}$$
$$\sin^2(\alpha-\theta)=\frac{1}{2}(1-\cos(2\alpha-2\theta))$$
を用いて変形すると,
$$k=4(\cos(2\alpha-2\theta)-\cos2\alpha)(1-\cos(2\alpha-2\theta))$$
となる.$X=\cos(2\alpha-2\theta)$とおくと,
$k=4(-X^2+(\cos2\alpha+1)X-\cos2\alpha)$.
$X=\dfrac{\cos 2\alpha+1}{2}$のとき最大値$4\left(\dfrac{\cos2\alpha-1}{2}\right)^2=4\sin^4\alpha$をとる.
問題は$\cos(2\alpha-2\theta)=\dfrac{\cos2\alpha+1}{2}$となる$\theta$が存在するかどうかだが,$\theta=0$のときは左辺は$\cos 2\alpha$,$\theta=\alpha$の時は左辺は1である.ここで,
$$\cos2\alpha<\frac{\cos2\alpha+1}{2}<1$$
なので,中間値の定理より,必ず問題となっている$\theta$は存在する.
$k=16\sin\theta\sin^2(\alpha-\theta)\sin(2\alpha-\theta)$の評価がちょっと難しいですね.