初めに
始めに、約数関数についての定義をしておきます。
約数関数
自然数に対して、約数関数とは、の正の約数の乗和を値に取る関数である:
特に、のときはの正の約数の個数を表し、ここではと表す。のときはの正の約数の総和であり、単に省略してと表す場合もある。
また、約数関数の回反復を
と書く。
それでは、今回扱う問題について考えていきましょう。
今回の問題
この問題はLINEの
オープンチャット「数学同好会」
で、@生ゴミ生グミ生ナマコ【中二】 という人物が送ってきたTwitterのDMの画像に書かれていた問題です。よって誰が発案者なのか不明です。それがこちらでは、実際に1~10についてやってみましょうか
確かに、ではのみ成り立っています。
それでは証明していきましょう
証明
意外と簡単です。
との値を上から抑えるだけで証明できます。
というのはの正の約数の個数です。
例えば、ならば
正の約数は
の、計8個あります。
であれば、
正の約数は
の計9個あります。
左側の数の個数は
となって最大でもなので、
個以下となります。
それにペアとなって右側にも数があるので、(最後にない場合もありますが、)合計で個以下となります。
ピッタリ個になることがないことを証明します。
もし、ピッタリ個になるとするならば、は平方数でないといけません。
ですが、が平方数だとすると、1番下の数がペアにならずにのみになってしまいます。これでは個を達成することはできません。
よって、正の約数の個数は未満です。
次はです。
は正の約数の総和なので、
上の2列に並んだやつの和を考えます。
簡単な考え方として、以下の正の約数の総和とより大きい約数の総和を考えるものがあります。を超えない最大の整数をで表すとすると、以下の正の約数の総和はまでの数の和以下ですから、次のようになります。
また、当たり前ですがより大きい約数はしかありませんので、を足して
となります。
これにより、が上から抑えられることになりました。
それでは問題を証明していきましょうまず、となるの必要条件を求めます。は自然数なのでであることに注意してください。はい、ということです。見事に伏線回収しました。上の方で事前に行った計算により、すでにについては計算しているので、これで証明は完了したことになります。もう少し評価を厳しくする
さっき評価したをもう少し厳しく評価します。先ほどの議論により、左側の数は最大でもで、個以下なので左側の数の和はとなりますが、問題は右側です。調和数が出てきましたね。(自然数の逆数和)これの有名な上からの評価といえば、積分によるものです。よって、先ほどの式はこう評価できますそれで結局、はこう評価されます。先ほどよりもよりタイトな評価が得られましたね。これはいいですね。なぜならオーダーがだからです。先ほどの評価ではでした。
これらの間にある分かりやすい違いは、回反復にあります。
オーダーがの関数を一度反復すると、オーダーがになります。
回反復ならばとなってしまいます。
ところが、オーダーがの関数は、一度の反復では
つまり、
になりまして、回反復では
となり、常によりも小さいオーダーになります。
つまり、の回反復であるは、常によりも小さいオーダーの関数で上から抑えられます。
このことから次の式が成り立ちます。
任意の自然数に対して、
ランダウの記号の小さいほうのを使って、
と表せます。
さらに定理1よりですから、
もしくは
となります。
ここからわかるのは、
任意の自然数に対して
を満たす自然数は高々有限個しかない。
ということです。