あいさつ
んちゃ!
今回はめっちゃ面白い文献を見つけたので、こちらの文献を参考にYoung図形を用いてRogers-Ramanujanの恒等式の証明を試みます。
まずは真似から
整数列に対して以下の様な記号を定める。
ただし、便宜上の場合は0とする。
下記の連分数について考察してください。
また、として下記の式が成り立つ事を証明せよ。
[1]まずは最初の項を書き出してみる。
[2]上記の計算によりの様に置くと
より
[3]の極限が存在するとし、とする。すると
が得られる。
[4]そこでの様に置き代入すると
ゆえにのべきを比較する事で以下の式を得る。
[5]この式を解くと
また
より。
[6]以下とすると
[7]この事から驚くべき連分数を得る事が出来る。
Durfee正方形
分割の1st Durfee正方形とは、の左上端を共有した状態で内に正方形を描いたとき最大面積を持つ正方形の事を言う。
また th Durfee正方形とは、th Durfee正方形の左下端と共有する様にして描いた内の最大面積を持つ正方形の事を言う。
を個のDurfee正方形を持つ分割全体の集合とする。また、を個のDurfee正方形を持つの分割全体の集合とする。
r-Duffer長方形
Duffer正方形を横,縦の様な長方形に変えたものをr-Duffer長方形と呼ぶ。
下記の式が成り立つ事を証明してください。
この問題を証明するには相当根気がいるので覚悟してください。
また、写像の方法を書いただけで、厳密にはその写像で本当に問題ないのか証明する必要があります。
【戦法】組み合わせ論を用いて証明を行う。
[1]をのべきで展開する事を考える。
とすると各項はの様な形で書けるので下記の様なYoung図形に対応付けて和を取ったものだと分かる。
(1)のYoung図形と
(2)縦幅の上限横幅不定のYoung図形
➡👈結局隣接する和因子の差分は2以上であるYoung図形と同値 上記のをこの順番で右上端、左上端を隣接させて出来るYoung図形👆の正方形の面積はである事に注意[2]次の様な分割の部分集合を考える。そして下記の様な計算を行う。さらに、分割に対して定まる分割(👈各隣接する和因子の差分が2)を考え、の様に二つの分割に分ける。するとが成り立つので下記の様な式が得られた。[2]またなので各項はの様に書けるので、結局これは和因子が法の下であるいはになる様なもので構成された分割全体を考えている事が分かる。そこで、次の様な分割の部分集合を考える。[3]次に、Jacobiの恒等式においてを代入するとより下記の式が得られる。この事から、結局下記の式を証明すればいい事が分かる。[4]次の様なDufeer m-長方形による分割を考える。👆は分割Durfee 2-長方形で分解した場合を表しています。この時、th Durfee -長方形、th Durfee長方形について、(1)th Durfee -長方形の右側のYoung図形を(2)th Durfee -長方形の間にあるYoung図形を(3)th Durfee -長方形の下にあるYoung図形をとの様に記号を定める。注目ポイント:このDurfee m-長方形による分解ではは長さ、は長ささらに幅が高々である事に注意ただし、は-th Durffer-長方形の縦の長さ、は-th Durffer-長方形の縦の長さ[5]次に、(2,m)-rankを定義する。に対して、分割の-rankは次の様に与えられる。意味が分かりづらいと思うので少し例を示します。[6]次の様な-ランクにより分けられた分割の集合:を考える。そして、次の様な-ランクが以上の場合のの分割の総数、以下の場合のの分割の総数を考える。するとどのような分割でもランクは以下かそれより大きいかのどちらかなのでであり、また定義よりの場合はの場合なので[7]重要事項以下この事を示す。そのために、全単射な写像を次の様に構成する。まず、を二つのDurfee正方形により分解する。そして[5]で定めた三つの分割に分ける。以下の五組の分割を考える。- 次に、を
の様に定める。 - そして、
- またとしての様な分割を考える。
- 最後に
- 最後に三つの組を次の様にして構成する。
- するととして、新たな分割を対応付けるとこれは全単射になる。
実際にやってみる。下の様な分割を二つの正方形で分割する。すると[9]第二対称性:を証明するために次の様な全単射を構成する。[5]の記号を踏襲する。- 二つのDurfee-長方形の高さをとする。この時、のDurfee-長方形の高さをとすると
- そして、
実際にやってみる[10]次の様に記号を定める。[6]の式を用いるとまたより[11]母関数を次の様に定める。[12]次の様な数列に対して定まる母関数:について[13]この事を用いると[14]よって[15]以上をまとめると証明完了。おまけ
[1]
[2]実験的にについて書いてみよう。
各の係数の符号については、の相違なる分割の長さの偶奇で決まっている事は直ぐに分かるので、偶奇が異なる二つのYoung図形との間に一対一対応を与えれば良さそう。上に描いたYoung図形の場合、一番目⇔二番目そして三番目⇔四番目との間に対応関係を持たせれば結局は符号が帳尻合わせで消えてになりそうだとすぐに分かる。[3]これを厳密化しよう。そのためにについてを満たす最大の自然数と、を比較し次の様な対応関係を考える。(1)(2)これはYoung図形の階段部分(和因子差分が連番となる部分)に着目して、下に移動させるか逆に移せない場合(相違なるYoung図形の構成を壊してしまう場合)は下の部分を階段部分に移動させる事を意味している。👈階段の構造(差分がのままである事)も変わらない事も注意[4]このように対応付けたとき一対一対応を付けれない場合がある。それは次の二つの場合です。(i)である場合:(ii)である場合:👆上記(i)の場合は階段部分を下に写す事も、下部分を階段部分に写す事も(階段の構造を保持)できない。(ii)の場合は階段部分を下に写そうとすると相違なる分割の構造が壊れる。[5]またを用いると、である事にも注意して下記の級数が得られる。[1]まずは簡単な式変形を行う。
[2]次の様に変数を置き直す。
[3]以下示す事:
[4]
[5]
[6]以上の事から、の係数を比較して
[7]Theory of Paritions👈を参照しました。
(i)の場合:
これを反時計回りに回転しにくっつける。そして、左側に対角線を引き、赤部分:、青部分:を対応付ければよい。(ii)の場合:時計周りにだけ回転しにくっつける。そして上側の部分について対角線を引き、青色部分をだけ反時計回りに回転したもの:、赤色部分を時計周りにだけ回転したもの:を対応付ける。👆上の対応で重要なのはいずれにしても対角線を除く事で異なる分割になっているという事[8]以上の事から下記の式が成り立つ事が分かるので証明完了。最後に
ここまで読んで頂きありがとうございます。
正直どうやってこんな方法を思いついたんだ?って疑問しか湧きませんよね?
Young図形は奥が深いです。
いつかは僕も面白い証明を構成してみたいものです。
ではばいちゃ!