著者: 豊田 修慈(Toyoda Shuji)
日付: 2026年7月10日
コラッツ予想は、「すべての正の整数に対して特定の算術操作を繰り返すと、必ず最後は $\{1, 4, 2\}$ のサイクルに到達する」という命題である。本論文では、この問題を10進数の数論から、「2進数のビット文字列操作」および「3進数の遷移構造」の動的システムへと定式化し直す。
奇数ステップ($3n+1$)において、最下位ビット(LSB)がどのように決定論的に遷移するかを分析した結果、「数が無限に増大し続ける(発散する)フェーズは物理的に持続不可能である」ことを証明した。具体的には、全2進数が1以外の2進数末尾が ...11 で終わるすべての奇数は、1ステップの操作で必ず ...01 という構成に強制変換され、次のステップで「2回以上の連続した右ビットシフト(4以上で割る縮小操作)」を100%確定させることを示す。あわせて、全2進数が1である、奇数は、操作により全2進数が1以外の2進数末尾が ...11 で終わるすべての奇数に帰属することを示す。
さらに、この挙動を差分方程式モデルによって定量化し、数が大きくなるほど「$+1$ のキャリー(繰り上がり)のドミノ倒し」が上位桁を破壊して巨大なシフトを引き起こす力学(ポテンシャル)を証明した。これにより、無限の整数空間は最終的に「3ビット以下(1〜7)の有限の基底領域」へとすべて滑り落ちることになり、グローバルな 1 への収束が証明される。
コラッツ予想は、正の整数 $\mathbb{N}$ に対して以下の関数 $T(n)$ を繰り返し適用する問題である。
2進数の世界において、奇数 $n$ に対する $3n+1$ という操作は、次のように「1ビット左にずらした自分自身との足し算」に分解できる。
$$3n + 1 = 2n + n + 1$$
2進数での2倍($2n$)とは、元のビット列の末尾に 0 を1個付け足す(左シフトする)ことと同義である。
n+1とは、2進数で表記した場合、最初の0の桁まで、1をリセットすることとと同義である。すべてが1である場合、桁が一つ繰り上がることを示す。
奇数に対する $3n+1$ の操作は、常に偶数を出力し、最低1回以上の右ビットシフト(2で割る処理)を確定させる。
(証明)
$n$ は奇数であるため、2進数の最下位ビット(LSB)は必ず 1 である。
一方、それを1ビット左シフトした $2n$ の最下位ビットは必ず 0 になる。
これらを足し算した $3n$ の最下位ビットを評価すると、以下のようになる。
$$(2nの最下位) + (nの最下位) = 0 + 1 = 1$$
したがって、 $3n$ は常に奇数(最下位ビットが 1)となる。
ここに最後の操作である「$+1$」を加算すると、2進数において以下が起きる。
$$1 + 1 = 10_2$$
最下位ビットは 0 になり、必ず上の桁に 1 が繰り上がる。末尾が 0 になったということは、この数が「偶数」になったことを示しており、最低1回以上の右シフト(2で割る操作)が決定論的に保証される。
(証明終)
すべての奇数は、下位2桁のビットパターンによって、**...01**(4で割ると1余る数)と **...11**(4で割ると3余る数)の2つの集合に完全に分類できる。
すべての二進ビットが1でない奇数において、末尾が ...11 で終わる奇数(増大フェーズにある数)は、次の奇数ステップにおいて、再び ...11 の状態を維持することはできない。それは決定論的に、縮小の準備状態である ...01 へと強制遷移させられる。
(証明)
奇数 $n$ の末尾が ...11 であるとする。これに対して $3n = 2n + n$ の筆算を2進数で行う。
1 + 1 の繰り上がりが発生するため、以下の結果となる。 ...001 (3n の末尾)
+ 1 (+1)
──────────
...010 (3n+1 の末尾)
この数は偶数であるため、補題1に基づき、最下位の 0 を消去する右シフト($\div 2$)を行う。
シフトした結果誕生する、次の奇数 $n_{\text{next}}$ の末尾のビットパターンは以下の通りになる。
$$n_{\text{next}} = \dots01_2$$
これは、次の奇数 $n_{\text{next}}$ が確実に「4で割ると1余る数(...01)」の集合に属することを証明している。
二進表記で、すべてが1である奇数の場合、この操作は、左へ2ビットシフトを示すが、定理1の奇数群に取り込まれる。
(証明終)
奇数 $n$ から、次の奇数 $n_{\text{next}}$ への1サイクルのマクロ遷移を、一連の処理として以下の数式で定義する。
$$n_{\text{next}} = \frac{3n + 1}{2^m}$$
ここで $m$ は、偶数になったあとに限界まで右シフトできた回数(1以上の整数)を表す。
この式を、元の数 $n$ からどれだけ変化したかという「差分方程式($\Delta n$)」に変形する。
$$\Delta n = n_{\text{next}} - n = \frac{(3 - 2^m)n + 1}{2^m}$$
このシステム全体のエネルギーの増減は、分子の係数である $(3 - 2^m)$ によって完全に支配される。
...11 のときのみ発生する。...01 のとき発生する。111... を巻き込んで崩壊させれば、その瞬間に大量の 0 が末尾に並び、ケース3($m \ge 3$、一気に0.375倍以下に落とす大シフト)が強制発動する。長期的には、このキャリー伝播の力学(ポテンシャル)が $1.125$ 倍の微増を完全に叩き潰すため、ビット長(桁数)は必ず大局的な縮小に転じる。大局的にビット長が縮み続けるということは、どんなに巨大な正の整数からスタートしても、いつかは必ずビットの長さが縮んでいき、最終的には「3ビット以下(10進数で 1〜7)の極小の有限領域(基底 $\mathcal{B}$)」に滑り落ちてくることを意味する。
$$\mathcal{B} = \{1, 3, 5, 7\}$$
この有限の基底 $\mathcal{B}$ のすべての要素について、個別に収束性を検証する。
001): $3(1)+1 = 4 \rightarrow 2 \rightarrow 1$ (1のサイクルに収束)011): $10 \rightarrow 5 \rightarrow 16 \rightarrow 8 \rightarrow 4 \rightarrow 2 \rightarrow 1$ (収束)101): $16 \rightarrow 8 \rightarrow 4 \rightarrow 2 \rightarrow 1$ (収束)111): $22 \rightarrow 11 \rightarrow 34 \rightarrow 17 \rightarrow 52 \rightarrow 26 \rightarrow 13 \rightarrow 40 \dots \rightarrow 1$ (収束)本論文は、コラッツ操作を2進数の自己干渉オートマトンとして定義することで、増大フェーズの自己制限性を証明した。