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高校数学解説
文献あり

1998年東京大学後期第3問を一般化した Part2

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今回は白丸が長方形状に並ぶグラフについて考えます。

主定理

白丸が長方形状に並ぶグラフのうち、どのように線を配置しても可能グラフにできないものは次の3種類に限られる:

  • 1×(3m+2)、ただしmは非負整数
  • 2×2

証明

長方形の大きさをn×mとします。

n=1のときは元の問題ですでに示されているので、n2のときを示します。

補題

任意のグラフの頂点に対し、少なくとも1方向が空いていれば、そこにを追加することができる(以下ではこの操作を操作Tと呼ぶ)。

??¯??

ただし?は残りの部分、または¯の色を反転したもの。

n×mの長方形が作れるならば、(n+3)×mn×(m+3)の長方形も作れる(以下ではこの操作を操作Tと呼ぶ)。

n×mの長方形の1個の辺を構成する全ての頂点に操作Tを適用すればよい。

n=2のとき

m=2のとき

2×2だけの長方形を作ることはできない。

操作2を行うと3個以上の頂点が一直線上に並ぶので2×2の長方形を作るためには操作1のみで行う必要がある。操作1の個数の偶奇を反転させるが、頂点が4個あるグラフでは操作13回必要であり、したがっての個数は奇数でなければならない。よって、4個すべての頂点をにすることはできない。

2×3だけの長方形は作ることができる。

以下の過程で作れる。

  | | | ||

任意の3以上の整数mに対し、2×mだけの長方形は作ることができる。

「最も右下にあるの上と右に操作1を適用する」という操作を繰り返すことで、以下のグラフが得られる:

|||

ただし、 | m3個存在する。

このグラフの最も右下の頂点に定理5の証明の構成法と同じものを適用すれば、2×mの長方形が得られる。

n=3のとき

任意の正整数mに対し、3×mだけの長方形は作ることができる。

m%3=0,1であれば、1×mのグラフの上下にを追加すればよい:

||||||

m%3=2であれば、まず2×3の操作を転置して3×2を作り、そこから操作Tを繰り返せばよい。

もちろん別解も存在し、たとえば3×5の長方形には次のような構成法もあります:

|||||

ここで、最初の頂点は最も左の列の真ん中の行に位置しています。

n4のとき

任意の正整数n4,m2に対し、n×mだけの長方形は作ることができる。

(i) m=2,3のとき

m×nの構成法を転置してn×mとすればよい。

(ii) m=4のとき

n%3=1,2であれば、1×mが作れるのでそれに操作Tを繰り返せばよい。
n%3=3であれば、3×4が作れるのでそれに操作Tを繰り返せばよい。

(iii) m5のとき

n×(m3)をまず作り、それに操作Tを行えばよい。

結論

以上をまとめると、次の結果が得られる:

定理1(再掲)

白丸が長方形状に並ぶグラフのうち、どのように線を配置しても可能グラフにできないものは次の3種類に限られる:

  • 1×(3m+2)、ただしmは非負整数
  • 2×2

参考文献

投稿日:5月5日
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  1. 主定理
  2. 証明
  3. 補題
  4. n=2のとき
  5. n=3のとき
  6. n4のとき
  7. 結論
  8. 参考文献