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円に接しまくるn次関数

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$$\newcommand{arccosec}[0]{\textrm{arccosec}} \newcommand{arccot}[0]{\textrm{arccot}} \newcommand{arccsc}[0]{\textrm{arccsc}} \newcommand{arcosech}[0]{\textrm{arcosech}} \newcommand{arcosh}[0]{\textrm{arcosh}} \newcommand{arcoth}[0]{\textrm{arcoth}} \newcommand{arcsch}[0]{\textrm{arcsch}} \newcommand{arcsec}[0]{\textrm{arcsec}} \newcommand{arsech}[0]{\textrm{arsech}} \newcommand{arsinh}[0]{\textrm{arsinh}} \newcommand{artanh}[0]{\textrm{artanh}} \newcommand{cosec}[0]{\textrm{cosec}\ } \newcommand{cosech}[0]{\textrm{cosech}} \newcommand{csch}[0]{\textrm{csch}} \newcommand{sech}[0]{\textrm{sech}} $$

はじめに

約1年5か月ぶりの投稿になります。Mathlogも随分見栄えが変わりましたね。
久々に投稿したくなったので、昔、いろいろ計算して結局分かんなくなっちゃった問題について書きます。

問題

$n$$3$以上の整数とし、$n$次多項式$f_{n}(x)$の最高次の係数は正とする。
$x^2+y^2=1$$n$次関数$y=f_{n}(x)$$n-1$個の共有点を持ち、すべての共有点が接点である。
また、その$n-1$個の接点のうち、$x$座標が最も小さい点と最も大きい点で、
$x^2+y^2=1$$n$次関数$y=f_{n}(x)$は交差する。
$f_{n}(x)$はどんな多項式だろうか。

要するに、こんな(↓)感じになる多項式を考えてみましょうという話です。
!FORMULA[14][36584190][0]の場合 $n=9$の場合

大まかな考え方

$f_{n}(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0\ (a_n>0)$とします。
また、$n-1$個の共有点の$x$座標を小さい順に$p_1,p_2,\cdots,p_{n-1}$とします。

$p_1,p_2,\cdots,p_{n-1}$$2n$次方程式$x^2+(f_{n}(x))^2-1=0$を満たします。
さらに、$x=p_1,p_{n-1}$$3$重解、$x=p_2,p_3,\cdots,p_{n-2}$では$2$重解なので、
$x^2+(f_{n}(x))^2-1=a(x-p_1)^3(x-p_2)^2(x-p_3)^2\cdots(x-p_{n-3})^2(x-p_{n-2})^2(x-p_{n-1})^3$($a$は定数)
という$x$の恒等式が成り立っているはずです。
ここで、$x^{2n}$の係数を比較すると$a={a_n}^2$なので、
$x^2+(a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0)^2-1={a_n}^2(x-p_1)^3(x-p_2)^2(x-p_3)^2\cdots(x-p_{n-3})^2(x-p_{n-2})^2(x-p_{n-1})^3\qquad\cdots(1)$
となります。
残りの定数も係数比較で求めることになります。

小さい$n$に対し$f_{n}(x)$を計算

計算機に任せたけど・・・

$(1)$式からそのまま計算するのは、人力はもちろん、コンピューターにとってもとてもきついようで、愚直に計算させるだけだと$n=6$で処理がタイムアウトしてしまう事態になりました。(Wolfram Clowdで入力しました)
そこで、$n=6$以降は、見た感じ成り立っていそうな仮定や経験則をつけて計算させました。

  1. $n$に対し、$f_{n}(x)$はただ一つ存在する。
  2. $n$が奇数のとき、$f_{n}(x)$は奇関数である。
    すなわち、$a_{n-1}=0,\ a_{n-3}=0,\ \cdots,\ a_0=0$が成り立つ。
    このとき、$p_1+p_{n-1}=0,\ p_2+p_{n-2}=0,\ \cdots,\ p_{\frac{n-1}{2}}+p_{\frac{n+1}{2}}=0$も成立する。
    $n$が偶数のとき、$f_{n}(x)$は偶関数である。
    すなわち、$a_{n-1}=0,\ a_{n-3}=0,\ \cdots,\ a_1=0$が成り立つ。
    このとき、$a_0=(-1)^{\frac{n}{2}},\ p_1+p_{n-1}=0,\ p_2+p_{n-2}=0,\ \cdots,\ p_{\frac{n-2}{2}}+p_{\frac{n+2}{2}}=0,\ p_{\frac{n}{2}}=0$も成立する。
  3. $\displaystyle p_1=-\frac{\sqrt{n(n-2)}}{n-1},\ p_{n-1}=\frac{\sqrt{n(n-2)}}{n-1}$
  4. $n$が奇数のとき、$\displaystyle a_1=(-1)^{\frac{n-1}{2}}\sqrt{n(n-2)}$
    $n$が偶数のとき、$\displaystyle a_2=(-1)^{\frac{n}{2}-1}\frac{(n-1)^2}{2}$
  5. $n$が奇数のとき、$\displaystyle a_3=(-1)^{\frac{n+1}{2}}\frac{(n-1)^4}{6\sqrt{n(n-2)}}$
    $n$が偶数のとき、$\displaystyle a_4=(-1)^{\frac{n}{2}}\frac{(n-1)^4}{24}$

予想(1)について

計算しないといけない定数が$a_{n-1},a_{n-2},\cdots,a_1,a_0,p_1,p_2,\cdots,p_{n-2},p_{n-1}$$2n$個あり、
$x^{2n}$以外の項は定数項から$x^{2n-1}$まで$2n$個あり、$2n$個の連立方程式になるので、
おそらく、これらの定数の中に任意定数となるものはないと思います。
さらに、$a_n>0$と制限をしているので、$a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0$$-1$倍したものは解にならず、
これらの定数は全てただ一つに求まると考えています。

予想(2)について

コンピューターに計算を任せる前からなんとなく予想していました。
直観にも反しないと思いますが、どうにも証明が思いつかない・・・。

予想(3),(4),(5)について

$n=10$くらいまで調べて、これが成り立ちそうに見えました。

$n=3$から$16$までの結果

$n$$f_n(x)$$p_1$$p_2,\ p_3,\ \cdots,\ p_{n-2}$$p_{n-1}$
$3$$\frac{8}{3\sqrt{3}}x^3-\sqrt{3}x$$-\frac{\sqrt{3}}{2}$-$\frac{\sqrt{3}}{2}$
$4$$\frac{27}{8}x^4-\frac{9}{2}x^2+1$$-\frac{2\sqrt{2}}{3}$$0$$\frac{2\sqrt{2}}{3}$
$5$$\frac{2048}{75\sqrt{15}}x^5-\frac{128}{3\sqrt{15}}x^3+\sqrt{15}x$$-\frac{\sqrt{15}}{4}$$-\frac{\sqrt{10}}{8},\frac{\sqrt{10}}{8}$$\frac{\sqrt{15}}{4}$
$6$$\frac{3125}{216}x^6-\frac{625}{24}x^4+\frac{25}{2}x^2-1$$-\frac{2\sqrt{6}}{5}$$-\frac{3}{5},0,\frac{3}{5}$$\frac{2\sqrt{6}}{5}$
$7$$\frac{1492992}{8575\sqrt{35}}x^7-\frac{62208}{175\sqrt{35}}x^5+\frac{216}{\sqrt{35}}x^3-\sqrt{35}x$$-\frac{\sqrt{35}}{6}$$-\frac{\sqrt{42+7\sqrt{21}}}{12},-\frac{\sqrt{42-7\sqrt{21}}}{12},\frac{\sqrt{42-7\sqrt{21}}}{12},\frac{\sqrt{42+7\sqrt{21}}}{12}$$\frac{\sqrt{35}}{6}$
$8$$\frac{823543}{13824}x^8-\frac{117649}{864}x^6+\frac{2401}{24}x^4-\frac{49}{2}x^2+1$$-\frac{4\sqrt{3}}{7}$$-\frac{2\sqrt{5+\sqrt{7}}}{7},-\frac{2\sqrt{5-\sqrt{7}}}{7},0,\frac{2\sqrt{5-\sqrt{7}}}{7},\frac{2\sqrt{5+\sqrt{7}}}{7}$$\frac{4\sqrt{3}}{7}$
$9$$\frac{2147483648}{6751269\sqrt{7}}x^9-\frac{67108864}{83349\sqrt{7}}x^7+\frac{131072}{189\sqrt{7}}x^5-\frac{2048}{9\sqrt{7}}x+3\sqrt{7}x$$-\frac{3\sqrt{7}}{8}$$4194304x^6-4423680x^4+1088640x^2-35721=0$
を満たす$x$
$\frac{3\sqrt{7}}{8}$
$10$$\frac{387420489}{1600000}x^{10}-\frac{43046721}{64000}x^8+\frac{531441}{800}x^6-\frac{2187}{8}x^4+\frac{81}{2}x^2-1$$-\frac{4\sqrt{5}}{9}$$531441x^6-688905x^4+243000x^2-20000=0$
を満たす$x$$0$
$\frac{4\sqrt{5}}{9}$
$11$$\frac{5120000000000}{3169966833\sqrt{11}}x^{11}-\frac{128000000000}{26198073\sqrt{11}}x^9+\frac{160000000}{29403\sqrt{11}}x^7-\frac{800000}{297\sqrt{11}}x^5+\frac{5000}{9\sqrt{11}}x^3-3\sqrt{11}x$$-\frac{3\sqrt{11}}{10}$$5120000000x^8-7884800000x^6+3659040000x^4-517492800x^2+10673289=0$
を満たす$x$
$\frac{3\sqrt{11}}{10}$
$12$$\frac{285311670611}{291600000}x^{12}-\frac{25937424601}{8100000}x^{10}+\frac{214358881}{54000}x^8-\frac{12400927}{5400}x^6+\frac{14641}{24}x^4-\frac{121}{2}x^2+1$$-\frac{2\sqrt{30}}{11}$$214358881x^8-382657176x^6+221371920x^4-45738000x^2+2430000=0$
を満たす$x$$0$
$\frac{2\sqrt{30}}{11}$
$13$$\frac{18260173718028288}{777362416259\sqrt{143}}x^{13}-\frac{380420285792256}{4599777611\sqrt{143}}x^{11}+\frac{330225942528}{2924207\sqrt{143}}x^9-\frac{1528823808}{20449\sqrt{143}}x^7+\frac{3483648}{143\sqrt{143}}x^5-\frac{3456}{\sqrt{143}}x^3+\sqrt{143}x$$-\frac{\sqrt{143}}{12}$$10567230160896x^{10}-21464686264320x^8+14920938160128x^6-4115922370560x^4+383188085280x^2-5436100813=0$
を満たす$x$
$\frac{\sqrt{143}}{12}$
$14$$\frac{302875106592253}{76846444416}x^{14}-\frac{23298085122481}{1568294784}x^{12}+\frac{137858491849}{6223392}x^{10}-\frac{815730721}{49392}x^8+\frac{4826809}{756}x^6-\frac{28561}{24}x^4+\frac{169}{2}x^2-1$$-\frac{2\sqrt{42}}{13}$$137858491849x^{10}-314056327585x^8+255434732280x^6-88873149456x^4+12270454560x^2-457419312=0$
を満たす$x$$0$
$\frac{2\sqrt{42}}{13}$
$15$$\frac{91029559914971267072}{824705568984375\sqrt{195}}x^{15}-\frac{1625527855624486912}{3665358084375\sqrt{195}}x^{13}+\frac{1036688683433984}{1445900625\sqrt{195}}x^{11}-\frac{2644613988352}{4448925\sqrt{195}}x^9+\frac{3373232128}{12675\sqrt{195}}x^7-\frac{60236288}{975\sqrt{195}}x^5+\frac{19208}{3\sqrt{195}}x^3-\sqrt{195}x$$-\frac{\sqrt{195}}{14}$$33174037869887488x^{12}-83781371150991360x^{10}+78144295477248000x^8-32982981857280000x^6+6152756500800000x^4-408090992400000x^2+4229259328125=0$
を満たす$x$
$\frac{\sqrt{195}}{14}$
$16$$\frac{437893890380859375}{27633517592576}x^{16}-\frac{29192926025390625}{431773712384}x^{14}+\frac{129746337890625}{1101463552}x^{12}-\frac{2114384765625}{19668992}x^{10}+\frac{38443359375}{702464}x^8-\frac{6834375}{448}x^6+\frac{16875}{8}x^4-\frac{225}{2}x^2+1$$-\frac{4\sqrt{14}}{15}$$129746337890625x^{12}-359829843750000x^{10}+378897750000000x^8-188606880000000x^6+44808422400000x^4-4460927385600x^2+123363917824=0$
を満たす$x$$0$
$\frac{4\sqrt{14}}{15}$

グラフにするとこうなります。なかなか綺麗・・・?な感じになりました。
!FORMULA[144][36584004][0]から!FORMULA[145][1121275][0]の場合を重ねたグラフ $n=3$から$16$の場合を重ねたグラフ

$n=17$以降はどうやっても計算がタイムアウトしちゃうので諦めました。
自分の計算のさせかたが悪いんだろうと思うのですが、Wolfram言語を数時間かじった程度では、これが限界でした。

おわりに

この多項式$f_{n}(x)$、一般にはどうなるのかわからないので、知ってる人は教えてください。
以上、ご覧頂きありがとうございました。

投稿日:2023109

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SunPillar
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