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円に接しまくるn次関数

2028
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はじめに

約1年5か月ぶりの投稿になります。Mathlogも随分見栄えが変わりましたね。
久々に投稿したくなったので、昔、いろいろ計算して結局分かんなくなっちゃった問題について書きます。

問題

n3以上の整数とし、n次多項式fn(x)の最高次の係数は正とする。
x2+y2=1n次関数y=fn(x)n1個の共有点を持ち、すべての共有点が接点である。
また、そのn1個の接点のうち、x座標が最も小さい点と最も大きい点で、
x2+y2=1n次関数y=fn(x)は交差する。
fn(x)はどんな多項式だろうか。

要するに、こんな(↓)感じになる多項式を考えてみましょうという話です。
!FORMULA[14][36584190][0]の場合 n=9の場合

大まかな考え方

fn(x)=anxn+an1xn1++a1x+a0 (an>0)とします。
また、n1個の共有点のx座標を小さい順にp1,p2,,pn1とします。

p1,p2,,pn12n次方程式x2+(fn(x))21=0を満たします。
さらに、x=p1,pn13重解、x=p2,p3,,pn2では2重解なので、
x2+(fn(x))21=a(xp1)3(xp2)2(xp3)2(xpn3)2(xpn2)2(xpn1)3(aは定数)
というxの恒等式が成り立っているはずです。
ここで、x2nの係数を比較するとa=an2なので、
x2+(anxn+an1xn1++a1x+a0)21=an2(xp1)3(xp2)2(xp3)2(xpn3)2(xpn2)2(xpn1)3(1)
となります。
残りの定数も係数比較で求めることになります。

小さいnに対しfn(x)を計算

計算機に任せたけど・・・

(1)式からそのまま計算するのは、人力はもちろん、コンピューターにとってもとてもきついようで、愚直に計算させるだけだとn=6で処理がタイムアウトしてしまう事態になりました。(Wolfram Clowdで入力しました)
そこで、n=6以降は、見た感じ成り立っていそうな仮定や経験則をつけて計算させました。

  1. nに対し、fn(x)はただ一つ存在する。
  2. nが奇数のとき、fn(x)は奇関数である。
    すなわち、an1=0, an3=0, , a0=0が成り立つ。
    このとき、p1+pn1=0, p2+pn2=0, , pn12+pn+12=0も成立する。
    nが偶数のとき、fn(x)は偶関数である。
    すなわち、an1=0, an3=0, , a1=0が成り立つ。
    このとき、a0=(1)n2, p1+pn1=0, p2+pn2=0, , pn22+pn+22=0, pn2=0も成立する。
  3. p1=n(n2)n1, pn1=n(n2)n1
  4. nが奇数のとき、a1=(1)n12n(n2)
    nが偶数のとき、a2=(1)n21(n1)22
  5. nが奇数のとき、a3=(1)n+12(n1)46n(n2)
    nが偶数のとき、a4=(1)n2(n1)424

予想(1)について

計算しないといけない定数がan1,an2,,a1,a0,p1,p2,,pn2,pn12n個あり、
x2n以外の項は定数項からx2n1まで2n個あり、2n個の連立方程式になるので、
おそらく、これらの定数の中に任意定数となるものはないと思います。
さらに、an>0と制限をしているので、anxn+an1xn1++a1x+a01倍したものは解にならず、
これらの定数は全てただ一つに求まると考えています。

予想(2)について

コンピューターに計算を任せる前からなんとなく予想していました。
直観にも反しないと思いますが、どうにも証明が思いつかない・・・。

予想(3),(4),(5)について

n=10くらいまで調べて、これが成り立ちそうに見えました。

n=3から16までの結果

nfn(x)p1p2, p3, , pn2pn1
3833x33x32-32
4278x492x2+12230223
520487515x5128315x3+15x154108,108154
63125216x662524x4+252x2126535,0,35265
71492992857535x76220817535x5+21635x335x35642+72112,4272112,4272112,42+72112356
882354313824x8117649864x6+240124x4492x2+143725+77,2577,0,2577,25+77437
9214748364867512697x967108864833497x7+1310721897x5204897x+37x3784194304x64423680x4+1088640x235721=0
を満たすx
378
103874204891600000x104304672164000x8+531441800x621878x4+812x21459531441x6688905x4+243000x220000=0
を満たすx0
459
115120000000000316996683311x111280000000002619807311x9+1600000002940311x780000029711x5+5000911x3311x311105120000000x87884800000x6+3659040000x4517492800x2+10673289=0
を満たすx
31110
12285311670611291600000x12259374246018100000x10+21435888154000x8124009275400x6+1464124x41212x2+123011214358881x8382657176x6+221371920x445738000x2+2430000=0
を満たすx0
23011
1318260173718028288777362416259143x133804202857922564599777611143x11+3302259425282924207143x9152882380820449143x7+3483648143143x53456143x3+143x1431210567230160896x1021464686264320x8+14920938160128x64115922370560x4+383188085280x25436100813=0
を満たすx
14312
1430287510659225376846444416x14232980851224811568294784x12+1378584918496223392x1081573072149392x8+4826809756x62856124x4+1692x2124213137858491849x10314056327585x8+255434732280x688873149456x4+12270454560x2457419312=0
を満たすx0
24213
1591029559914971267072824705568984375195x1516255278556244869123665358084375195x13+10366886834339841445900625195x1126446139883524448925195x9+337323212812675195x760236288975195x5+192083195x3195x1951433174037869887488x1283781371150991360x10+78144295477248000x832982981857280000x6+6152756500800000x4408090992400000x2+4229259328125=0
を満たすx
19514
1643789389038085937527633517592576x1629192926025390625431773712384x14+1297463378906251101463552x12211438476562519668992x10+38443359375702464x86834375448x6+168758x42252x2+141415129746337890625x12359829843750000x10+378897750000000x8188606880000000x6+44808422400000x44460927385600x2+123363917824=0
を満たすx0
41415

グラフにするとこうなります。なかなか綺麗・・・?な感じになりました。
!FORMULA[144][36584004][0]から!FORMULA[145][1121275][0]の場合を重ねたグラフ n=3から16の場合を重ねたグラフ

n=17以降はどうやっても計算がタイムアウトしちゃうので諦めました。
自分の計算のさせかたが悪いんだろうと思うのですが、Wolfram言語を数時間かじった程度では、これが限界でした。

おわりに

この多項式fn(x)、一般にはどうなるのかわからないので、知ってる人は教えてください。
以上、ご覧頂きありがとうございました。

投稿日:2023109
OptHub AI Competition

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SunPillar
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