4

正八面体を反射したら円周上に有理距離の点が並んだ件

198
0
$$$$

ある日,正八面体の面で点を反射してたら同じ円周上を動いていることに気づきました。

しかもその点は円周のどんな短い弧にも入り込むみたいです。なのに出てくる点のうちどの$2$点を選んでも距離を$\sqrt2$で割ると有理数になります👀

おもろいものみつけて こういう投稿 をしました。今回はそのときのメモと録音を読み直しながら何を手がかりに考えたのかとそこからさらに分かったことをまとめます。

この問題は 第$22$回くるくみん模試の第$4$問 で出題しました。
前半は当時のメモに沿った説明で後半は今回あらためて整理したものです。

先に既知の話との関係も書いておきます。円周上に互いの距離がすべて有理数になる点を並べられること自体は結構知られてるっぽいですね。この記事で扱うのは自分が正八面体の反射問題からたどり着いた具体的な構成です。自分が調べた範囲では同じ反射列を扱った例は確認できなかったけど初出かどうかまでは分かりませんでした。😢

原点

一辺の長さが$1$の正八面体$\mathrm{ABCDEF}$を考えます。
$\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{C},\mathrm{D}$はこの順に同じ平面上の正方形の頂点で$\mathrm{E},\mathrm{F}$が残りの対頂点で,中心を$\mathrm{O}$とします。

点を平面$\mathrm{EAB},\mathrm{EBC},\mathrm{ECD},\mathrm{EDA}$についてこの順に反射する操作を$T$とします。ここでいう反射は面を含む平面に関する対称移動であって,点を立体の内側に戻す操作ではありません。

最初の点を$\mathrm{P}_0=\mathrm{F}$とします。点$\mathrm{P}_n$にこの$4$回の反射を施して次に得られる点を$\mathrm{P}_{n+1}$と呼びます。

元の問題ではこれらの点が半径$\dfrac{2\sqrt{10}}5$の同じ円周上にあり$\dfrac{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_n}{\sqrt2}$が互いに異なる有理数になることを示してもらいました。ここではさらに次のことまで示します。

これらの点は円周のどんな短い弧にも入り込み任意の$0\leqq m< n$に対して$\dfrac{\mathrm{P}_m\mathrm{P}_n}{\sqrt2}$は有理数になる。しかもその既約分数の分母はちょうど$9^{n-m}$である。

まず反射をまとめて見てみよう

手元のメモでは最初,隣り合う面のなす角を調べてました。

平面$\mathrm{EAB}$と平面$\mathrm{EBC}$のなす鋭角を$\alpha$とすると,$ \cos\alpha=\dfrac13$

$2$つの平面について続けて反射するとその交線のまわりの回転になります。最初の$2$回は直線$\mathrm{EB}$まわりの回転です。後ろの$2$回は直線$\mathrm{ED}$まわりの回転になります。

ここで気になるのはその$2$つを続けたら何になるかです。メモにも$\mathrm{EG}$軸の回転?って書いてありました。

実際ちょうどよすぎる固定点が見つかるんですよね。半直線$\mathrm{OC}$上に
$$ \mathrm{CG}=\mathrm{CO} $$
となる点$\mathrm{G}$を取り半直線$\mathrm{OA}$上に
$$ \mathrm{AH}=\mathrm{AO} $$
となる点$\mathrm{H}$を取ります。つまり$\mathrm{G}$と$\mathrm{H}$は正方形の対角線$\mathrm{AC}$を両側に延長したとこにある点です。

最初の$2$回の反射で$\mathrm{G}$は$\mathrm{H}$へ移り後ろの$2$回で$\mathrm{H}$は$\mathrm{G}$に戻るから,$T$は$\mathrm{G}$を固定します。$\mathrm{E}$もすべての反射面上にあるので固定されます。

反射を偶数回合わせた空間の合同変換が異なる$2$点を固定しているわけです。恒等じゃなければその$2$点を結ぶ直線まわりの回転になります。
今回は後で$\mathrm{P}_1\ne\mathrm{F}$を確かめるので$T$は直線$\mathrm{EG}$まわりの回転です。

この固定点が見えたところで点の動きが一気に円の話になりますね。

円の中心と半径

$\mathrm{F}$から直線$\mathrm{EG}$に下ろした垂線の足を$\mathrm{K}$とします。求める円の中心は$\mathrm{K}$で半径は$\mathrm{FK}$です。この円を$\Gamma$と呼びます。

一辺が$1$なので

$$ \begin{aligned} \mathrm{EO}&=\mathrm{FO} \qquad \mathrm{OG}=\sqrt2\\ &=\mathrm{AO}\\ &=\dfrac1{\sqrt2}\\ \end{aligned} $$

したがって

$$ \begin{aligned} \mathrm{EG}&=\sqrt{\dfrac12+2}\\ &=\dfrac{\sqrt{10}}2 \end{aligned} $$

三角形$\mathrm{EFG}$の面積を$2$通りに表すと

$$ \dfrac12\mathrm{EF}\cdot\mathrm{OG} =\dfrac12\mathrm{EG}\cdot\mathrm{FK} $$

$$ \begin{aligned} \mathrm{FK}&=\dfrac{\sqrt2\cdot\sqrt2}{\dfrac{\sqrt{10}}2}\\ &=\dfrac{2\sqrt{10}}5 \end{aligned} $$

あの半径はこの三角形の高さだったってことです。

距離が有理数になる仕組み

ここで$T$を$1$回計算すると
$$ \mathrm{P}_0\mathrm{P}_1=\dfrac{16\sqrt2}9 $$
計算の中身は後ろにまとめときますね。
$T$の回転角のうち小さい方を$2\theta$とします。$0<\theta\leqq\dfrac\pi2$なので弦の長さから

$$ \dfrac{16\sqrt2}9 =\dfrac{4\sqrt{10}}5\sin\theta $$

$$ \begin{aligned} \sin\theta=\dfrac{4\sqrt5}9,\quad \cos\theta=\dfrac19 \end{aligned} $$
この$\cos\theta$が有理数になるところが効きます。
符号をつけた弦の長さとして

$$ u_n=\dfrac{4\sqrt5}5\sin n\theta $$

実際の距離との関係は

$$ \dfrac{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_n}{\sqrt2}=|u_n| $$

加法定理より

$$ \sin(n+2)\theta =2\cos\theta\sin(n+1)\theta-\sin n\theta $$

$$ \begin{aligned} u_0=0,\quad u_1=\dfrac{16}9,\quad u_{n+2}=\dfrac29u_{n+1}-u_n \end{aligned} $$
有理数から始めて有理数の四則演算をしてるので$u_n$はすべて有理数です。
しかも$m< n$なら$T$を$m$回戻すことで

$$ \mathrm{P}_m\mathrm{P}_n =\mathrm{P}_0\mathrm{P}_{n-m} $$

これで最初の点からの距離だけじゃなくどの$2$点の間の距離についても同じことが言えます。
円に乗ることと有理数になることはここでつながりました。円に乗るから弦の長さが正弦で表せてその正弦が有理数係数の漸化式に従います。

分母に反射した回数が残っている

この漸化式をもう少し見ると有理数になる以上のことが分かります。

$a_n=\dfrac{9^n u_n}{16}$とおくと
$$ \begin{aligned} a_0=0,\quad a_1=1,\quad a_{n+2}=2a_{n+1}-81a_n \end{aligned} $$
$a_n$は整数です。

さらに$3$で割った余りだけを見ると$81a_n$の項は消えるから,$n\geqq1$では$a_n$を$3$で割った余りは$2^{n-1}$を$3$で割った余りと同じです。これは$1$か$2$なので$a_n$は$3$で割り切れません。

よって

$$ \dfrac{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_n}{\sqrt2} =\dfrac{16|a_n|}{9^n} $$

は既約分数です。
最初のいくつかは
$$ \dfrac{16}9,\quad \dfrac{32}{81},\quad \dfrac{1232}{729},\quad \dfrac{5056}{6561},\quad \dfrac{89680}{59049} $$

これで元の問題の互いに異なるも出ます。異なる$n$では既約分数の分母が違うので距離も違います。点が重なることもありません。
さらにどの$2$点を取っても距離を$\sqrt2$で割った既約分数の分母を調べれば添え字の差が分かります。たとえば分母が$9^7$ならその$2$点は$7$段階離れてます。

どうしてどんな短い弧にも入るのか

分母の議論から$n\geqq1$に対して$u_n\ne0$です。したがって
$$ \sin n\theta\ne0 $$

であり$\theta$は$\pi$の有理数倍ではありません。

あとは同じ角度で円周上を回り続けるときの基本的な性質を使います。回転角が$2\pi$の有理数倍じゃなければ出てくる点はどんな短い弧にも入ります。

この部分も鳩の巣原理で説明できます。円周を十分細かく等分して最初のいくつかの点を入れていくと同じ区間に入る$2$点が見つかります。その添え字の差を$q$とすると$q$回分の回転は円周上ではとても小さな角度の回転です。向きはどっちでも構いません。

そこで$q$回分ずつ進めてみます。小さな同じ幅で円をほぼ一周するまで点を並べれば点と点の間隔も小さくなります。最初の等分を細かくすればこの間隔はいくらでも小さくできます。だからあらかじめ指定した短い弧にも点が入ります。
途中から始めても同じ議論ができるのでどんな短い弧にも点は無限個入ります。

左は$\mathrm{P}_0$から$\mathrm{P}_{11}$まで,右は$\mathrm{P}_0$から$\mathrm{P}_{299}$までを円を正面から見て描いたものです。有限枚の図で密度の証明はできてないけど点が動いてく様子はこんな感じ。

きれいに並ぶのに円周上の全部の点じゃない

ここおもろくて,どんな短い弧にも点はありますが円周上の点を全部通るわけではありません。
たとえば元の点たちの中に直径の両端になる$2$点はなくて,もしあればその距離を$\sqrt2$で割った値は

$$ \dfrac{2\mathrm{FK}}{\sqrt2}=\dfrac{4\sqrt5}5 $$

になり無理数になってしまいます。

一方で直径の両端にはいくらでも近づけます。つまり距離には最大値がなく上限だけあります。
距離は$\dfrac{4\sqrt{10}}5$にいくらでも近づきますがこの値そのものは取りません。
また,有限個の点を選べばそれらの間の距離を全部整数にするよう拡大できます。選んだ添え字の最大と最小の差を$N$とすると$\dfrac{9^N}{\sqrt2}$倍すれば十分です。
ただし,無限個をまとめて整数距離にする共通の倍率はありません。基準になる距離の比を見るだけでも分かります。共通の倍率があれば$\mathrm{P}_0\mathrm{P}_n$と$\mathrm{P}_0\mathrm{P}_1$の比に掛ける固定の整数で分母$9^{n-1}$をすべて払わなきゃならんからです。
有限個なら分母を払えるのに無限個になると払えなくなる。この違いも分母を追うとそのまま見えます。

どこで有理性が生まれたのか

ここまでの話を少し一般化してみましょう。

半径$R$の円周上で点を毎回$2\theta$ずつ回します。ただし回転の向きを選び直して$0<\theta\leqq\dfrac\pi2$としておきます。長さの基準を$\ell$とすると

$ v_n=\dfrac{2R}{\ell}\sin n\theta $は, $ v_{n+2}=2\cos\theta\,v_{n+1}-v_n $に従うから

$$\cos\theta \text{と} \dfrac{2R\sin\theta}{\ell}\text{が有理数ならすべての弦の長さが$\ell$の有理数倍になります。} $$

逆に最初の$2$種類の弦の長さが$\ell$の有理数倍なら

$$ \dfrac{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_2}{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_1} =2\cos\theta $$

$\cos\theta$も有理数です。つまり同じ回転で作る点列については最初の$3$点の距離でその後の有理性がすべて決まります。

今回の正八面体では

$$ \begin{aligned} R=\dfrac{2\sqrt{10}}5,\quad \ell=\sqrt2,\quad \cos\theta=\dfrac19,\quad \dfrac{2R\sin\theta}{\ell}=\dfrac{16}9 \end{aligned} $$

半径そのものは無理数でも必要な組合せが有理数になっています。

回転が周期的かどうかを調べるために次の事実も使います。

角$\varphi$が$\pi$の有理数倍で$\cos\varphi$も有理数なら$2\cos\varphi$は整数になる。

証明も短く書けます。

多項式を
$$ \begin{aligned} f_0(x)=2,\quad f_1(x)=x,\quad f_{n+1}(x)=xf_n(x)-f_{n-1}(x) \end{aligned} $$

で定めると$n\geqq1$では最高次の係数が$1$の整数係数多項式になり

$$ f_n(2\cos\varphi)=2\cos n\varphi $$

$\dfrac\varphi\pi$が有理数ならある正整数$k$に対して$f_k(2\cos\varphi)=2$となります。
最高次の係数が$1$の整数係数多項式の有理数の根は整数なので主張が従います。

最後の事実は既約分数代入して分母払えばすぐ確かめれます。

元の回転は別の回転の平方

こっからは元のメモをもうちょい先へ進めた話です。

最初の$2$回の反射を$U$と書きます。後ろの$2$回は$V$です。また直線$\mathrm{EF}$のまわりの半回転を$J$とします。操作を並べた式では右側から順に行うものとします。

$J$では$\mathrm{A}$と$\mathrm{C}$が入れ替わり$\mathrm{B}$と$\mathrm{D}$も入れ替わるので

$$ V=JUJ $$

したがって

$$ \begin{aligned} T&=VU\\ &=JUJU\\ &=(JU)^2 \end{aligned} $$

ここで$W=JU$とおけば$T=W^2$です。

しかも$U$は$\mathrm{G}$を$\mathrm{H}$へ移し$J$は$\mathrm{H}$を$\mathrm{G}$へ戻すので$W$も直線$\mathrm{EG}$まわりの回転です。元の点の列は$W$で回してできる点を$1$個おきに拾ったものでした。

点$\mathrm{F}$に操作$W$を施して得られる点を$\mathrm{Q}$とすると

$$ \dfrac{\mathrm{FQ}}{\sqrt2}=\dfrac43 $$

$W$の小さい方の回転角を$2\eta$とすれば

$$ \begin{aligned} \sin\eta=\dfrac{\sqrt5}3,\quad \cos\eta=\dfrac23 \end{aligned} $$

ここでは$\cos\eta$が$\dfrac23$になります。$W$で作った点列の弦の長さを$\sqrt2$で割り符号をつけたものを$w_n$と書くと

$$ \begin{aligned} w_0=0,\quad w_1=\dfrac43,\quad w_{n+2}=\dfrac43w_{n+1}-w_n \end{aligned} $$

よってこの点の列でも任意の$2$点間の距離を$\sqrt2$で割ると有理数になります。

さらに$b_n=\dfrac{3^n w_n}4$とおけば

$$ \begin{aligned} b_0=0,\quad b_1=1,\quad b_{n+2}=4b_{n+1}-9b_n \end{aligned} $$

$n\geqq1$では$b_n$を$3$で割った余りは常に$1$なのでこっちの既約分数の分母は$3^n$です。元の点の列は偶数番目なので分母が$3^{2n}=9^n$になることまで説明できました。

$\dfrac{\mathrm{FQ}}{\sqrt2}=\dfrac43$の分母は$3$なので$\mathrm{Q}$は元のどの$\mathrm{P}_n$とも一致しません。しかも$\mathrm{Q}$から元のすべての点までの距離も$\sqrt2$の有理数倍です。
すでにどんな短い弧にも点があるのにその間へさらに同じ有理性を保った点をぶちこめます。密に並んでることとこれ以上点を追加できないことは別らしい。

追加できる点も全部書ける

もうちょい欲張って元の点の列と有理距離を保ったまま円周上に追加できる点を全部調べてみます。ここでの有理距離は引き続き距離を$\sqrt2$で割ったものが有理数になるという意味です。

円周上の点$\mathrm{Q}$について$\mathrm{F}$から測った向きつきの中心角を$2\varphi$とします。次の$x,y$を使って距離を表してみます。

$$ \begin{aligned} x=\cos\varphi,\quad y=\dfrac{\sin\varphi}{\sqrt5} \end{aligned} $$

すると

$$ x^2+5y^2=1 $$

円周の向きを$\mathrm{P}_1$の中心角が$2\theta$になるように選ぶと

$$ \begin{aligned} \dfrac{\mathrm{FQ}}{\sqrt2}=4|y|,\quad \dfrac{\mathrm{P}_1\mathrm{Q}}{\sqrt2}&=\dfrac49|y-4x| \end{aligned} $$

したがってこの$2$つの距離が有理数になることと$x,y$がともに有理数になることは同じです。

さらに別の点$\mathrm{Q}'$に対応する値を$x',y'$とすると

$$ \dfrac{\mathrm{QQ}'}{\sqrt2}=4|yx'-xy'| $$

つまり$x,y$が有理数になる点を全部集めてもその中のどの$2$点の距離も条件を満たします。

あとは$x^2+5y^2=1$の有理数解を書けばいいわけです。有理数$s$を使って次のように表せます。

$$ \begin{aligned} x=\dfrac{1-5s^2}{1+5s^2},\quad y=\dfrac{2s}{1+5s^2} \end{aligned} $$

実際$x\ne-1$なら$s=\dfrac y{x+1}$とおけばこの式になります。
残る$(x,y)=(-1,0)$は中心角を倍にすると$(1,0)$と同じ点$\mathrm{F}$を表すので円周上の点としての取りこぼしはありません。
対応する点を$\mathrm{Q}_s$と書けば距離も

$$ \dfrac{\mathrm{Q}_s\mathrm{Q}_t}{\sqrt2} =\dfrac{8|(s-t)(1+5st)|}{(1+5s^2)(1+5t^2)} $$

と有理数だけで書けます。異なる$s$が同じ点を表す場合もありそのときは右辺も$0$になります。たとえば$s=1$はさっきの点$\mathrm{Q}$です。

これで追加できる点が全部分かりました。元の点の列に加えられる点なら少なくとも$\mathrm{P}_0$と$\mathrm{P}_1$からの距離が条件を満たすので上の表示に入ります。逆に上の表示で作る点は元の点の列すべてと条件を満たします。

この円周上で元の点の列を含む有理距離点集合としてはここまで集めたものが最大です。しかも判定には最初の$2$点からの距離を調べるだけで足りました。

同じ面でも順番を変えると何が変わるのか

上側の面を

$$ \begin{aligned} ①:\mathrm{EAB},\quad ②:\mathrm{EBC},\quad ③:\mathrm{ECD},\quad ④:\mathrm{EDA} \end{aligned} $$

と呼ぶことにします。元の操作は$①\to②\to③\to④$の順の反射です。

同じ$4$面を$1$回ずつ使う順序は全部で$24$通りあります。正方形を回したり裏返したりして面の名前を付け直すと次の$3$種類に分かれます。

順序該当する順序の数半径最初の弦$÷\sqrt2$
$①\to②\to③\to④$$8$通り$\dfrac{2\sqrt{10}}5$$\dfrac{16}9$
$①\to②\to④\to③$$8$通り$\sqrt2$$\dfrac{8\sqrt5}9$
$①\to③\to②\to④$$8$通り$\dfrac{\sqrt{10}}5$$\dfrac89$

回転角はどの順序でも同じなのか。。。どれも小さい方の回転角を$2\theta$とすれば$\cos\theta=\dfrac19$になります。変わるのは回転軸と円の半径だから最初と最後の種類では元の問題と同じく距離を$\sqrt2$で割ると有理数になります。真ん中の種類では最初の弦から無理数になってます。
ただし真ん中の種類も距離を$\sqrt{10}$で割れば有理数になります。最初の弦を$\sqrt{10}$で割った値が$\dfrac89$になり漸化式の係数は同じ$\dfrac29$だからです。
つまり$24$通りのうち$16$通りが$\sqrt2$を基準とする例で残る$8$通りが$\sqrt{10}$を基準とする例になります。どの場合も円周には密に並びます。

分類が$3$種類で済む理由も確認しておきます。最初の面を$1$と呼び直すと次の面は隣の面か向かいの面です。隣なら$2$と呼び直せて残りの並べ方は$1234$か$1243$。向かいなら$3$で残りの並べ方は正方形の裏返しによって$1324$にそろいます。それぞれ正方形の付け直しが$8$通りあるのでこれで全部です。

軸と座標の計算は補足に置きます。同じ面を使ってるから同じ性質が出るわけじゃなく同じ回転角でも半径によって基準となる根号が変わる
ということまで分かりました。

そもそも反射を$2$回ずつにしたらどうなんねん

今度は平面$\mathrm{EAB},\mathrm{EBC}$についての反射だけをこの順に繰り返します。出発点は$\mathrm{F}$です。

軸は直線$\mathrm{EB}$で回転角は$2\alpha$。$\mathrm{EB}$と$\mathrm{ED}$は直交するので$\mathrm{F}$から直線$\mathrm{EB}$までの距離は$1$になります。たとえば三角形$\mathrm{EBF}$で$\mathrm{EF}=\sqrt2$かつ$\angle\mathrm{BEF}=\dfrac\pi4$を見ると確かめられます。

この点の列を$\mathrm{R}_0,\mathrm{R}_1,\ldots$とすると
$$ \dfrac{\mathrm{R}_0\mathrm{R}_n}{\sqrt2} =\sqrt2|\sin n\alpha| $$

符号をつけた右辺の初項は$\dfrac43$で漸化式の係数は$2\cos\alpha=\dfrac23$。こちらもぜんぶ有理数になり円周のどんな短い弧にも点が入ります。
分母についても元と同じ議論が使えますな。$\dfrac{\mathrm{R}_0\mathrm{R}_n}{\sqrt2}$の既約分母は$3^n$です。
だから円周に密で距離が$\sqrt2$の有理数倍という性質だけなら隣り合う$2$面の反射でも現れます。元の$4$面の問題ではそこから軸が斜めになり半径$\dfrac{2\sqrt{10}}5$の円が現れたわけです。

じゃあ辺を共有しない上側の$2$面ならどうなんだ?
平面$\mathrm{EAB},\mathrm{ECD}$について交互に反射します。この$2$面を含む平面の交線は$\mathrm{E}$を通り平面$\mathrm{ABCD}$に平行です。
円の半径は$\mathrm{EF}=\sqrt2,2$平面のなす鋭角の余弦の絶対値はやっぱ$\dfrac13$なので最初の弦の長さは

$$ 2\sqrt2\cdot\dfrac{2\sqrt2}3=\dfrac83 $$

こっちは距離そのものが全部有理数になるな。符号つきの弦の初項が$\dfrac83$で漸化式の係数が$\dfrac23$だから。

左は交線に垂直な断面で見た$2$回の反射で点$\mathrm M$は交線と断面の交点です。右は平行な$2$平面での反射です。図の$\ell,m$は反射する平面の断面を表しています。

スタート地点を別の頂点に変えても成立する?

元の反射の順序に戻ってスタート地点を$\mathrm{F}$から変えてみます。回転軸は変わらないので新しい点が直線$\mathrm{EG}$からどれだけ離れてるかだけを調べれば十分です。

その距離を$r$とすると最初の弦の長さは

$$ \begin{aligned} \dfrac{2r\sin\theta}{\sqrt2} &=\dfrac{4\sqrt{10}}9r \end{aligned} $$

したがって新しいスタート地点からの点の列で距離がすべて$\sqrt2$の有理数倍になるための必要十分条件は

$$ \dfrac r{\sqrt{10}}\text{が有理数} $$

最初の弦から必要性が出て漸化式から十分性が出ます。$r>0$なら円周には必ず密に並びます。

各頂点から軸までの距離を計算すると次の表になります。

出発軸までの距離最初の弦$÷$$\sqrt2$
$\mathrm{E}$$0$$0$
$\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{D}$$\dfrac{3\sqrt{10}}{10}$$\dfrac43$
$\mathrm{C}$$\dfrac{\sqrt{10}}{10}$$\dfrac49$
$\mathrm{F}$$\dfrac{2\sqrt{10}}5$$\dfrac{16}9$

固定されたままの$\mathrm{E}$除けばどの頂点から出発しても同じ有理性が成立します。
ただし同じ半径だから同じ円になるとは限らなくて,$\mathrm{A}$から出発する円と$\mathrm{B}$から出発する円は軸に沿った位置が違います。$\mathrm{B}$と$\mathrm{D}$から出発する円は一致します。

さらにさっきの操作$W$では最初の$2$面の反射が$\mathrm{B}$を動かさず半回転が$\mathrm{B}$を$\mathrm{D}$へ移します。したがって$\mathrm{B}$と$\mathrm{D}$の点の列を合わせたものは$W$による点の列です。この$2$つは一緒に集めても距離の有理性を保ちます。

一方ですべての頂点から作る点の列を無条件に合わせることはできません。すでに辺$\mathrm{AB}$の長さが$1$なので$\dfrac{\mathrm{AB}}{\sqrt2}$が無理数です。各点の列の中で成立することと複数の点の列を合わせても成立することは別に調べる必要があります。

図では平面$\mathrm{ACF}$内にある$\mathrm{A},\mathrm{C},\mathrm{F}$から軸へ下ろした垂線を描いてます。垂線の足がそれぞれ$\mathrm{K}_{\mathrm A},\mathrm{K}_{\mathrm C},\mathrm{K}_{\mathrm F}$で,$\mathrm{B},\mathrm{D}$の半径は空間内での距離です。

$5$はどっから出てきてんねん?

半径にも$x^2+5y^2=1$という式にも$5$が出てきてます。後で調べる三角形の面積にも同じ根号が残ります。回転軸から見直すとこの数字がどっからでてきたんかも分かります。

補足と同じく長さを$\mathrm{OA}$で割った座標では

$$ \begin{aligned} \mathrm{E}(0,0,1),\quad \mathrm{G}(-2,0,0) \end{aligned} $$

直線$\mathrm{EG}$の方向は$(2,0,1)$です。その長さの$2$乗が$5$になります。図形的には直角三角形$\mathrm{EOG}$の辺の比が$1:2:\sqrt5$になったとこで現れます。

もう少し具体的に書きます。点$(x,y,z)$から軸までの距離を元の一辺$1$の長さで測ったものを$r$とすると

$$ r^2=\dfrac{(x-2z+2)^2+5y^2}{10} $$
軸は互いに垂直な平面$y=0$と$x-2z+2=0$の交線です。各平面までの距離の$2$乗を足し最後に長さの単位を戻すとこの式が出ます。
したがって出発点についての必要十分条件も
$$ (x-2z+2)^2+5y^2\text{が有理数の平方になること} $$
と座標だけで書けます。頂点を代入するとこの値は$\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{D}$で$9$になり$\mathrm{C}$で$1$になり$\mathrm{F}$で$16$になります。どの頂点からでも有理性が成立した理由がここでも見えます。

一方で反射の計算に出てくる$3$は面の方程式$x+y+z=1$の係数の$2$乗の和から出てきます。反射の座標計算では分母に$3$が入り円周の距離を追うとそのべきが残ります。軸の$5$と反射の$3$が同時に現れてあの半径と分母ができてたわけです。

長さだけじゃなく面積にも同じ根号が残る

元の点の列から異なる$3$点を取って三角形を作ります。辺の長さを
$$ \sqrt2a,\quad\sqrt2b,\quad\sqrt2c $$
と書くと$a,b,c$は正の有理数です。外接円は$\Gamma$なので面積$S$は

$$ \begin{aligned} S &=\dfrac{(\sqrt2a)(\sqrt2b)(\sqrt2c)}{4\cdot\dfrac{2\sqrt{10}}5}\\ &=\dfrac{\sqrt5}4abc \end{aligned} $$

よってどの三角形の面積も$\sqrt5$の有理数倍になり面積そのものは無理数ですね。長さには$\sqrt2$が面積には$\sqrt5$が共通して残ります。

たとえば$\mathrm{P}_0,\mathrm{P}_1,\mathrm{P}_2$を結んだ三角形の面積は

$$ \begin{aligned} S &=\dfrac{\sqrt5}4\cdot\dfrac{16}9\cdot\dfrac{16}9\cdot\dfrac{32}{81}\\ &=\dfrac{2048\sqrt5}{6561} \end{aligned} $$

円周の順に並べた有限個の点を結んで多角形を作っても同じです。対角線で三角形に分ければ面積の和になるので多角形の面積も$\sqrt5$の正の有理数倍になります。
前に書いた$\dfrac{9^N}{\sqrt2}$で拡大してすべての辺と対角線を整数にした後も面積は無理数のままです。面積の倍率が$\dfrac{9^{2N}}2$という有理数だからです。
角についても調べられます。余弦定理より三角形のどの内角の余弦も有理数です。一方で内角自体はどれも$\pi$の有理数倍ではありません。円周角の定理で各内角を表すと整数倍の$\theta$と整数倍の$\pi$の和か差になり$\dfrac\theta\pi$が無理数であることから従います。
つまり辺の比や角の余弦は有理数でそろってるのに直角三角形も正三角形も現れません。

空間の反射を平面の反射で作り直す

ここまで来ると元の点の列は円周上だけでも作れちゃうんだよな。
最初の$3$点$\mathrm{P}_0,\mathrm{P}_1,\mathrm{P}_2$を取ります。次に弦$\mathrm{P}_1\mathrm{P}_2$の垂直二等分線について$\mathrm{P}_0$を反射すると$\mathrm{P}_3$になります。円周上の角度を比べると確かめられます。
同様に$\mathrm{P}_n$までできたら弦$\mathrm{P}_1\mathrm{P}_n$の垂直二等分線について$\mathrm{P}_0$を反射すれば$\mathrm{P}_{n+1}$ができます。
この作り方が有理距離を保つことはトレミーでも説明できます。円周上の有理距離の点たちから異なる$2$点$\mathrm{Y},\mathrm{Z}$を選び別の点$\mathrm{X}$を弦$\mathrm{YZ}$の垂直二等分線について反射して$\mathrm{X}'$に移します。ここでは長さを$\sqrt2$で割って考えます
反射は$\mathrm{Y},\mathrm{Z}$を入れ替えるので$\mathrm{X}'\mathrm{Y},\mathrm{X}'\mathrm{Z}$も有理数です。既存の別の点$\mathrm{V}$について四角形$\mathrm{X}'\mathrm{YZV}$を円周上の順に見れば辺と対角線の$6$本のうち$5$本は有理数です。トレミーを残りの$\mathrm{X}'\mathrm{V}$について解くとこれも有理数になります。$\mathrm{V}=\mathrm{X}$の場合も同じです。
四角形が退化する位置では新しい点が既存の点と一致してるだけなので問題ないです。これで点を増やすたびに既存のすべての点との有理距離が保たれます。

この反射による有理距離点集合の拡張は既知の方法で最後に挙げた解説にも出てきます。正八面体の空間的な反射列が円周上ではこの方法につながっていたという見方です。

正八面体を保つ操作では同じことは起きない

正八面体が対称な立体だからこんな点の列ができるんじゃねって思うかもなのでここは区別しておきたいところ。

正八面体そのものを重ね合わせる回転や対称移動だけ使うなら操作の候補は有限個です。中心を原点にして頂点を座標軸上に置くと対称移動は$3$つの座標を入れ替えたり符号を変えたりするものになります。

$$ 3!\cdot2^3=48 $$

向きを保つ回転だけならその半分の$24$通りです。したがって点をどっから始めてもこれらの操作だけで無限個の点を作ることはできません。頂点から始めれば移動先は$6$頂点だけです。

今回反射している平面$\mathrm{EAB}$などは正八面体を重ね合わせる対称面ではありません。面を含む平面について立体全体を反射すると正八面体は別の場所に移ります。

この違いって大事で,立体の有限個の対称性だけ使ってるんじゃなく立体の面を鏡として使うことで対称性の外へ出てるから無限個の点が現れるんだよね。

向かい合う面を使うと円ではなく直線になる

正八面体の向かい合う面$\mathrm{EAB},\mathrm{FCD}$は平行です。この$2$面を含む平面について続けて反射すると平行移動になります。
一辺が$1$の正八面体では向かい合う面の距離が$\dfrac{\sqrt6}3$なので平行移動する長さは$ \dfrac{2\sqrt6}3$

同じ操作を繰り返すと点は一直線上に等間隔で並びます。距離を$\dfrac{2\sqrt6}3$で割ればすべて整数ですが短い区間のどこにでも入るわけではありません。
交わる$2$平面なら回転になり平行な$2$平面なら平行移動になる。この最初の分かれ道だけでも点の集まり方が大きく変わります。

上側と下側の面を混ぜると一定方向へ進むこともある

なんか極端な例もあるっぽい。
平面$\mathrm{EAB},\mathrm{EBC},\mathrm{FBC},\mathrm{FCD} $についてこの順に反射する操作を繰り返します。

補足と同じく長さを$\mathrm{OA}$で割った座標を使って$1$組の反射前後の座標を$(x,y,z),(x',y',z')$とすると

$$ x'+y'+4z'=x+y+4z-8 $$
が成り立ちます。したがって$\mathrm{F}$から始めて$n$組の反射を終えた点では

$$ x+y+4z=-4-8n $$

これは同じ円周や同じ球面の上を動き続けることができないってこと。

さらにコーシーシュワルツ使うと添え字が$n-m$離れた点の距離は実際の長さで少なくとも$\dfrac43(n-m)$になります。一定方向へ進み続ける成分があるわけです。

元の問題の$4$面がすべて$\mathrm{E}$を通ることやもう$1$つの固定点$\mathrm{G}$を持つことはこんな動きを除くためにも影響してたんだな。

正四面体ならどうなる

一辺が$1$の正四面体$\mathrm{ABCD}$を考えます。平面$\mathrm{ABC},\mathrm{ABD}$についてこの順に反射する操作を点$\mathrm{C}$から繰り返します。
軸は直線$\mathrm{AB}$で円の半径は正三角形の高さ$\dfrac{\sqrt3}2$です。$2$面のなす鋭角を$\beta$とすると

$$ \cos\beta=\dfrac13 $$

正八面体の隣り合う面と同じ値です。点の列を$\mathrm{S}_0,\mathrm{S}_1,\ldots$とすると

$$ \dfrac{\mathrm{S}_0\mathrm{S}_n}{\sqrt6} =\dfrac1{\sqrt2}|\sin n\beta| $$

符号つきの右辺は初項が$\dfrac23$で漸化式の係数が$\dfrac23$になるので全部有理数です。分母は既約分数で$3^n$となり点は円周上に密に並びます。

正四面体でも頂点から同じ現象が起きます。ただしここで自然な基準長は$\sqrt6$です。最初の弦の長さが$\dfrac{2\sqrt6}3$なので同じ$\sqrt2$で割ればいいわけじゃありません。

立方体だとどう反射しても円周を密に動けない

一辺が$1$の立方体を座標で$0\leqq x,y,z\leqq1$の位置に置きます。面を含む平面についての反射はたとえば
$$ x\longmapsto-x,\quad x\longmapsto2-x $$

という形で残りの座標は変わりません。$y,z$についても同じです。

頂点$(0,0,0)$から始めるとどの面をどんな順序で反射しても座標はすべて偶数の整数になります。逆に$2$だけの平行移動を各座標方向に作れるので偶数の整数座標の点は全部作れます。

この点たちは互いに少なくとも$2$離れるから円周のどんな短い弧にも点があるということは起きません。

頂点以外から始めても同じ結論です。各座標の移動先は出発点の座標かその符号を反転した値に偶数を足したものだけです。限られた範囲に入る点の個数は有限です。
決めた反射の組を繰り返す場合はさらに簡単に分かります。各座標についての操作は$x\mapsto x+2k$か$x\mapsto-x+2k$のどっちかです。$2$組分を合わせると平行移動になるので点列は周期的か一定方向へ遠ざかるものに限られます。

正八面体と立方体はよく似た対称性を持ってますが面を鏡にしたときの動きはここまで違います。

正十二面体と正二十面体では$1$個おきに拾う

残りの正多面体も調べます。隣り合う$2$面を含む平面のなす鋭角を$\gamma$とすると

$$ \begin{aligned} \cos\gamma&=\dfrac1{\sqrt5} &&\text{正十二面体}\\ \cos\gamma&=\dfrac{\sqrt5}3 &&\text{正二十面体} \end{aligned} $$

後ろに座標からの確認も置きます。
この$2$面についての反射を$1$回ずつまとめると回転角は$2\gamma$です。軸上にない点から始めたとき最初の弦と次の弦の比は$2\cos\gamma$となりどっちの立体でも無理数です。

したがってこのままの点の列ではどんな基準長を選んでもすべての距離を有理数倍にすることはできません
ところがどっこい$1$個おきに点を取ると回転角が$4\gamma$になります。その半角の余弦を計算すると

$$ \begin{aligned} \cos2\gamma &=2\cos^2\gamma-1\\ &=-\dfrac35 &&\text{正十二面体}\\[2pt] \cos2\gamma &=\dfrac19 &&\text{正二十面体} \end{aligned} $$

両方とも有理数に変わります。小さい方の回転角を選ぶ場合はこの絶対値を取れば十分です。

半径を$R$とすると最初の弦の長さはそれぞれ

$$ \begin{aligned} \ell&=\dfrac{8R}5 &&\text{正十二面体}\\ \ell&=\dfrac{8\sqrt5R}9 &&\text{正二十面体} \end{aligned} $$

この$\ell$を基準にすれば以後のすべての距離が有理数倍になります。ここで基準長を立体間で同じ$\sqrt2$にそろえてるわけではありません。
さらに$\dfrac{2\gamma}\pi$は無理数です。もし有理数ならさっきの整数係数多項式の議論により$2\cos2\gamma$が整数でなければなりませんが$-\dfrac65$も$\dfrac29$も整数ではありません。したがって両方とも円周上に密に並びます。
正二十面体では$\cos2\gamma=\dfrac19$なので元の正八面体の問題と回転角まで一致します。半径そろえて円を重ねれば回る向きを除いて同じ点の列になります。
隣り合う面の反射を使う場合をまとめるとこうなります。いずれも出発点は交線上にないものとします。表の$\gamma$は$0<\gamma\leqq\dfrac\pi2$の方の角です。

立体$\cos\gamma$有理距離の円周上の密な点列を作る反射の組
正四面体$\dfrac13$隣り合う面で$2$回
立方体$0$周期的
正八面体$\dfrac13$隣り合う面で$2$回
正十二面体$\dfrac1{\sqrt5}$隣り合う面で$4$回
正二十面体$\dfrac{\sqrt5}3$隣り合う面で$4$回

正八面体は孤立した例ではなかったんだけど,立方体は反射回数を増やしても回転角が周期的なままで同じ方法じゃむり。

反射を別の回転に置き換えるとどうなるか

正八面体の辺$\mathrm{EB}$のまわりに今度は角$\alpha$ずつ回してみます。隣り合う面の反射$2$回では$2\alpha$ずつでしたからその半分の角です。
$\mathrm{F}$から始めた円の半径は$1$なので最初の弦を$\sqrt2$で割った値は

$$ \begin{aligned} \dfrac{2\sin\dfrac\alpha2}{\sqrt2} &=\sqrt{\dfrac23} \end{aligned} $$

この値は無理数です。ところが$1$個おきに拾うとさっきの反射$2$回の点の列になります。
元の操作に半回転を付け加えた場合も調べられます。直線$\mathrm{EG}$まわりに元の回転をしてからさらに$\pi$回すと最初の弦を$\sqrt2$で割った値は

$$ \begin{aligned} \dfrac{2R|\cos\theta|}{\sqrt2} &=\dfrac{4\sqrt5}{45} \end{aligned} $$

で無理数になります。軸も円も同じで回転角に半回転を足しただけなのに有理性が失われます。

有理性を決めてるのは円に乗ることや回転角の余弦が有理数であることじゃないんだよな。半角の余弦と最初の弦の長さの組合せを見る必要がありそうですね。

頂点$\mathrm{F}$を中心に反転すると有理数の漸化式になる

反射とは別の操作として反転も試してみます。点$\mathrm{F}$中心とする半径$\sqrt2$の円に関する反転です。円$\Gamma$と同じ平面内で行います。

点$\mathrm{X}$を半直線$\mathrm{FX}$上の点$\mathrm{X}'$へ移すときの条件は

$$ \mathrm{FX}\cdot\mathrm{FX}'=2 $$

中心の$\mathrm{F}$だけにはできません。

反転した$2$点の距離には

$$ \mathrm{X}'\mathrm{Y}' =\dfrac{2\mathrm{XY}}{\mathrm{FX}\cdot\mathrm{FY}} $$

という関係があります。三角形$\mathrm{FXY}$と三角形$\mathrm{FY}'\mathrm{X}'$の相似から出るやつです。

長さを$\sqrt2$で割った値を$a=\dfrac{\mathrm{FX}}{\sqrt2},b=\dfrac{\mathrm{FY}}{\sqrt2},c=\dfrac{\mathrm{XY}}{\sqrt2}$と書けば

$$ \dfrac{\mathrm{X}'\mathrm{Y}'}{\sqrt2}=\dfrac c{ab} $$

元の点の列の距離の有理性は反転後も残ります。
しかも$\mathrm{F}$を通る円$\Gamma$は反転によって直線に変わります。円周に密だった点列は直線全体に密な点列になります。
ここから計算をもう少し進めれます。長さを$\sqrt2$で割り$\mathrm{F}$を原点とする平面座標を取り直します。$x$軸を$\mathrm{FK}$の方向に取ると円の半径は$\dfrac2{\sqrt5}$なので円の方程式は

$$ x^2+y^2=\dfrac4{\sqrt5}x $$

反転後の座標を$(X,Y)$とすると

$$ \begin{aligned} X&=\dfrac{x}{x^2+y^2}\quad Y=\dfrac{y}{x^2+y^2}\\ &=\dfrac{\sqrt5}4\\ \end{aligned} $$

点$\mathrm{P}_n$の反転後の$Y$座標を$z_n$とすると向きを適切に選んで

$$ z_n=\dfrac{\sqrt5}4\dfrac{\cos n\theta}{\sin n\theta} \quad(n\geqq1) $$

加法定理と$\dfrac{\cos\theta}{\sin\theta}=\dfrac1{4\sqrt5}$を使うと

$$ \begin{aligned} z_1=\dfrac1{16},\quad z_{n+1} &=\dfrac{\sqrt5}4\dfrac{\cos n\theta\cos\theta-\sin n\theta\sin\theta}{\sin n\theta\cos\theta+\cos n\theta\sin\theta}\\ &=\dfrac{z_n-5}{16z_n+1} \end{aligned} $$

円周上の密度を反転で直線へ移したからこの有理数だけの漸化式が実数直線のどんな短い区間にも項を持ちます。

分母が$0$になることもありません。もし$16z_n+1=0$なら次の点が反転の中心$\mathrm{F}$になることに対応しますが元の点の列は$\mathrm{F}$へ戻りません。

正八面体の反射から始めたけど分数の漸化式になりましたね。見た目だけなら整数や数列の問題にできそうだけどその点がどこへ動いてるかは円の回転を見ると分かります。

正八面体である必要は?

正八面体を縦に伸ばしてみます。

$\mathrm{ABCD}$は一辺$1$の正方形のまま$\mathrm{E}$と$\mathrm{F}$をその中心$\mathrm{O}$の真上と真下に同じ高さで置きます。

$$ t=\left(\dfrac{\mathrm{EO}}{\mathrm{OA}}\right)^2>0 $$

とおくと正八面体は$t=1$の場合です。反射する平面と順番はそのままにします。

さっきの固定点も残ります。今度は半直線$\mathrm{OC}$と半直線$\mathrm{OA}$上に

$$ \begin{aligned} \mathrm{OG}=2t\,\mathrm{OA},\quad \mathrm{OH}=2t\,\mathrm{OA} \end{aligned} $$

となる点を取ります。操作$U$で$\mathrm{G}$が$\mathrm{H}$へ移るので$W=JU$は直線$\mathrm{EG}$のまわりの回転になります。点$\mathrm{F}$に操作$W$を施して得られる点を$\mathrm{Q}_t$とします。円の半径を$R_t$とし$W$の小さい方の回転角を$2\phi_t$とすると

$$ \begin{aligned} R_t^2=\dfrac{8t^2}{1+4t},\quad \cos\phi_t=\dfrac{2t}{1+2t},\quad \dfrac{\mathrm{F}\mathrm{Q}_t}{\sqrt2}&=\dfrac{4t}{1+2t} \end{aligned} $$

計算は補足に載せます。

したがって$t$が正の有理数なら同じ漸化式の議論で任意の$2$点間の距離が$\sqrt2$の有理数倍になります。もちろん$T=W^2$で作る元の形式の点の列でも成り立ちます。

密度についてはさっきの事実を使います。今回$t$が正の有理数なら

$$ 0<\cos\phi_t=\dfrac{2t}{1+2t}<1 $$

この範囲で$2\cos\phi_t$が整数になる可能性は$1$だけなので周期的になる可能性があるのは

$$ \begin{aligned} \dfrac{2t}{1+2t}=\dfrac12, \text{すなわち} t=\dfrac12 \end{aligned} $$
だけです。このときは実際に$W$の回転角が$\dfrac{2\pi}3$となり$T$も$3$周期になります。

結局次のとこまで広がりました。

正方形を赤道とする上下対称な四角錐を貼り合わせた立体で$\left(\dfrac{\mathrm{EO}}{\mathrm{OA}}\right)^2$が正の有理数かつ$\dfrac12$じゃなければ同じ反射列から円周上に密に並ぶ$\sqrt2$の有理数倍の距離を持つ点集合ができる。

正八面体だけの現象じゃありませんでした。ただ正八面体なら辺の長さだけで設定できて固定点も$\mathrm{CG}=\mathrm{CO}$という取り方で見つかります。

高さを変えた場合は最後まで分類できる

実は$t$が有理数という条件も必要じゃないんだよな。元の$4$回の反射をまとめた$T$に戻ると条件を最後まで書けます。

$$ q=\left(\dfrac{2t}{1+2t}\right)^2 $$

$0< q<1$です。$T=W^2$なので$T$の小さい方の回転角を$2\theta_t$とすると

$$ \begin{aligned} \cos\theta_t=|1-2q|,\quad \dfrac{\mathrm{P}_0\mathrm{P}_1}{\sqrt2}=4q \end{aligned} $$

したがって元の点の列の任意の$2$点間の距離が$\sqrt2$の有理数倍になるための必要十分条件は$q$が有理数であることです。必要性は最初の距離から出ます。十分性には弦の漸化式を使います。

そのうえで円周に密になるためには回転が周期的にならなければいいから
$$ q\ne\dfrac14,\quad q\ne\dfrac12,\quad q\ne\dfrac34 $$
が必要十分。実際$q$が有理数なら$\cos\theta_t$も有理数であり周期的な場合はさっきの事実から$\cos\theta_t$が$0$か$\dfrac12$になります。これが上の$3$つに対応します。順に周期は$3,2,3$です。

つまり正の有理数$q$を$0< q<1$の範囲で選びこの$3$つを避けて

$$ t=\dfrac{\sqrt q}{2\left(1-\sqrt q\right)} $$

とすればすべての例が得られます。

たとえば$q=\dfrac15$なら

$$ t=\dfrac{1+\sqrt5}8 $$

という無理数の値でも成立します。この例では$W$の最初の弦を$\sqrt2$で割ると$\dfrac2{\sqrt5}$で無理数ですが$T=W^2$の点列ではすべて有理数になります。元の点を$1$個おきに拾うことがここでは本当に必要になります。

正八面体は$q=\dfrac49$の場合です。

反射の順番まで自由にしていいわけじゃない

ここまでで使ってるのは指定した$4$回の反射を$1$組として見る点の列で,途中の点まで全部集めた集合について同じ主張をしているわけじゃないんすよ。

たとえば$\mathrm{F}$を最初の平面$\mathrm{EAB}$について$1$回反射した点を$\mathrm{X}$とすると

$$ \begin{aligned} \mathrm{FX}=\dfrac{2\sqrt6}3,\quad \dfrac{\mathrm{FX}}{\sqrt2}=\dfrac{2\sqrt3}3 \end{aligned} $$
最初の反射だけで有理性が崩れています。
さらに$\mathrm{E}$を通るあの$4$つの平面について順番も回数も自由に反射していいことにすると点は円周よりずっと広く動きます。実は$\mathrm{E}$を中心とする半径$\mathrm{EF}$の球面のどの部分にも近づけます。

最初の$2$面の反射を繰り返せば直線$\mathrm{EB}$まわりに回れます。後ろの$2$面を使えば軸は直線$\mathrm{ED}$です。この$2$本の直線は直交します。また$\cos\alpha=\dfrac13$とさっきの事実から$\dfrac\alpha\pi$は無理数です。したがってどっちの軸のまわりでも任意の回転角にいくらでも近づけます。

直交する$2$本の軸のまわりの回転を組み合わせれば球面上の任意の点へ動かせます。具体的には$\mathrm{EB}$の方向を北極の向きと考えます。まず$\mathrm{EB}$まわりに回して点を$\mathrm{ED}$に垂直な円上へ運びます。次に$\mathrm{ED}$まわりに回せば北極へ運べます。この操作を逆向きにも使えば任意の点同士を結べます。各回転角を有限回の反射で近似すればいいから順番を固定したことにも意味があります。自由に動かせば球面に広がる操作から特定の並べ方で円周上の有理距離の点の列を取り出しています。

円の半径から見直す

関連する既知の話ともつながりますね。

長さを$\ell$で割って考えるとき半径$R$の円に任意の$2$点間の距離が$\ell$の有理数倍になる密な点集合を置けるための必要十分条件は
$$ \left(\dfrac R\ell\right)^2\text{が有理数} $$

ここでも半径そのものじゃなくその$2$乗が出てきます。

必要性は円周上の異なる$3$点を取ると分かります。長さを$\ell$で割った三角形の辺を$a,b,c$とし面積を$S$とします。ヘロンから$S^2$は有理数です。外接円の半径の公式から次の値も有理数と分かります。

$$ \left(\dfrac R\ell\right)^2 =\dfrac{a^2b^2c^2}{16S^2} $$
十分性もこの記事の回転の議論で出せます。$d=\left(\dfrac R\ell\right)^2$が正の有理数とします。正の有理数$s$を十分小さく取り

$$ \begin{aligned} \cos\psi=\dfrac{1-ds^2}{1+ds^2},\quad \sin\psi=\dfrac{2\sqrt d\,s}{1+ds^2} \end{aligned} $$

このとき

$$ \dfrac{2R\sin\psi}{\ell} =\dfrac{4ds}{1+ds^2} $$

は有理数です。$\cos\psi>\dfrac12$となるように$s$を小さくしておけば$\dfrac\psi\pi$は無理数です。よって毎回$2\psi$ずつ回すことで求める密な点集合ができます。

今回の円では

$$ \left(\dfrac{\dfrac{2\sqrt{10}}5}{\sqrt2}\right)^2 =\dfrac45 $$
正八面体の反射を追っかけてたら有理距離の点集合を持てる円が具体的な操作と一緒に現れたことになります。

読み返してみて

手元のメモではまず反射を$2$回ずつ組にしてて,それから$\mathrm{G}$が戻ってくるかを調べて回転軸を探してました。$\mathrm{G}=\mathrm{G}'$?の疑問符が残っているのもその途中だったからだと思います。固定点が見つかってからは同じ円に乗ることが分かり弦の長さを調べると漸化式が出ました。発見のきっかけとして一番大きかったのはこの軸を探したとこだったかなって思います。

今回さらに調べると反射の順序や出発点を変えたときの違いまで半径と半角の余弦で整理できました。正二十面体では別の反射列から同じ回転角が出てきます。面積には長さと違う根号が現れ反転すれば有理数の分数式の漸化式にもなります。まだ調べれてないのは面の重複も許した長い反射列です。上側の$4$面を$1$回ずつ使う$24$通りは分類できたkど全$8$面を任意の長さで組み合わせた場合には円にとどまるものと一定方向へ進むものが混ざります。その見分け方を面の並び方から直接読めるのかは続けて考えてみたいです。

補足:反射の計算

本文で使った計算をここにまとめます。ここだけは長さを$\mathrm{OA}$で割った座標を使います。実際の長さに戻すときは$\dfrac1{\sqrt2}$倍します。

$$ \begin{aligned} \mathrm{A}(1,0,0),\mathrm{B}(0,1,0), \mathrm{C}(-1,0,0),\mathrm{D}(0,-1,0), \mathrm{E}(0,0,1),\mathrm{F}(0,0,-1), \mathrm{G}(-2,0,0),\mathrm{H}(2,0,0) \end{aligned} $$

平面の方程式は反射する順に

$$ \begin{cases} &x+y+z=1\\ &-x+y+z=1\\ &-x-y+z=1\\ &x-y+z=1 \end{cases} $$

平面$ax+by+cz=1$についての反射は

$$ (x,y,z)\longmapsto (x,y,z)-\dfrac{2(ax+by+cz-1)}{a^2+b^2+c^2}(a,b,c) $$

たとえば$\mathrm{G}$に最初の$2$回を施すと

$$ (-2,0,0)\longmapsto(0,2,2)\longmapsto(2,0,0) $$

後ろの$2$回では左右を入れ替えたことが起きるので$\mathrm{H}$から$\mathrm{G}$へ戻ります。

$\mathrm{F}$から始めた途中経過は

$$ \begin{aligned} (0,0,-1) &\longmapsto\left(\dfrac43,\dfrac43,\dfrac13\right)\\ &\longmapsto\left(\dfrac89,\dfrac{16}9,\dfrac79\right)\\ &\longmapsto\left(-\dfrac{28}{27},-\dfrac4{27},\dfrac{73}{27}\right)\\ &\longmapsto\left(-\dfrac{128}{81},\dfrac{32}{81},\dfrac{175}{81}\right) \end{aligned} $$

最後の点と$\mathrm{F}$の距離はこの座標では$\dfrac{32}9$です。実際の長さに戻して

$$ \mathrm{P}_0\mathrm{P}_1=\dfrac{16\sqrt2}9 $$

また$W=JU$では最初の$2$回の後に$x,y$の符号を反転するので

$$ \mathrm{Q}\left(-\dfrac89,-\dfrac{16}9,\dfrac79\right) $$

$\mathrm{F}$からの距離はこの座標で$\dfrac83$なので$\dfrac{\mathrm{FQ}}{\sqrt2}=\dfrac43$です。

隣り合う面の法線方向は$(1,1,1)$と$(-1,1,1)$なのでその内積から$\cos\alpha=\dfrac13$も確かめられます。

補足:縦に伸ばしたときのやつ

同じ座標の取り方で

$$ \begin{aligned} \mathrm{E}(0,0,\sqrt t), \mathrm{F}(0,0,-\sqrt t), \mathrm{G}(-2t,0,0), \mathrm{H}(2t,0,0) \end{aligned} $$

とします。最初の$2$つの反射面は

$$ \begin{aligned} \sqrt t\,x+\sqrt t\,y+z&=\sqrt t\\ -\sqrt t\,x+\sqrt t\,y+z&=\sqrt t \end{aligned} $$

$$ \mathrm{G}\longmapsto(0,2t,2\sqrt t)\longmapsto\mathrm{H} $$

また最初の$2$回の反射で$\mathrm{F}$から得られる点の座標は

$$ \left( \dfrac{8t}{(1+2t)^2}, \dfrac{16t^2}{(1+2t)^2}, \dfrac{\sqrt t(-1+12t-4t^2)}{(1+2t)^2} \right) $$

$J$で$x,y$の符号を反転すれば点$\mathrm{Q}_t$が得られます。これと$\mathrm{F}$の距離を計算し実際の長さに戻すと

$$ \mathrm{F}\mathrm{Q}_t=\dfrac{4\sqrt2\,t}{1+2t} $$

一方三角形$\mathrm{EFG}$の面積から求める半径は

$$ R_t=\dfrac{2\sqrt2\,t}{\sqrt{1+4t}} $$

したがって

$$ \begin{aligned} \sin\phi_t&=\dfrac{\mathrm{F}\mathrm{Q}_t}{2R_t}\\ &=\dfrac{\sqrt{1+4t}}{1+2t}\\ \cos\phi_t&=\dfrac{2t}{1+2t} \end{aligned} $$

補足:反射の順序

上の表の座標を確認します。ここでも長さを$\mathrm{OA}$で割り頂点を座標軸上に置きます。各順序で最初に得られる点と軸の方向は次のとおりです。

順序最初に得られる点の座標軸の方向
$1234$$\dfrac1{81}(-128,32,175)$$(2,0,1)$
$1243$$\dfrac1{81}(16,-32,239)$$(2,1,0)$
$1324$$\dfrac1{81}(-128,-16,-17)$$(1,0,2)$

軸はすべて$\mathrm{E}$を通ります。軸から$\mathrm{F}$までの距離を計算し最後に$\dfrac1{\sqrt2}$倍すれば表の半径が得られます。

軸の確認にはそれぞれ$(2,0,2),(2,1,1),(1,0,3)$が固定されることを確かめれば十分です。その点と$\mathrm{E}$を結ぶ直線が表の軸になります。

回転角については軸に垂直な平面内で最初の半径と次の半径のなす角を調べます。どの場合も回転角の余弦が$-\dfrac{79}{81}$になり半角の余弦は$\dfrac19$になります。

補足:一定方向へ進む例

平面$\mathrm{EAB},\mathrm{EBC},\mathrm{FBC},\mathrm{FCD}$について反射した後の座標は

$$ \begin{aligned} x'=\dfrac{-55x+56y+20z-164}{81},\quad y'=\dfrac{-40x-55y+44z+28}{81},\quad z'=\dfrac{44x+20y+65z-128}{81} \end{aligned} $$

したがって$x'+y'+4z'=x+y+4z-8$です。

$m,n$組の操作を終えた点の座標の差を$\Delta x,\Delta y,\Delta z$とすると

$$ \begin{aligned} 8(n-m) &=|\Delta x+\Delta y+4\Delta z|\\ &\leqq\sqrt{18}\sqrt{(\Delta x)^2+(\Delta y)^2+(\Delta z)^2} \end{aligned} $$

補足:正十二面体と正二十面体の角度

$$ \tau=\dfrac{1+\sqrt5}2 $$

$\tau^2=\tau+1$を使います。

正二十面体の頂点を$(0,\pm1,\pm\tau),(\pm1,\pm\tau,0),(\pm\tau,0,\pm1)$と置きます。平面

$$ \begin{aligned} &x+y+z=\tau^2\\ &\tau y+\dfrac z\tau=\tau^2 \end{aligned} $$

は隣り合う面を含みます。それぞれの面に垂直な方向を$(1,1,1),\left(0,\tau,\dfrac1\tau\right)$と取れるので

$$ \begin{aligned} \cos\gamma &=\dfrac{\tau+\dfrac1\tau}{\sqrt3\sqrt{\tau^2+\dfrac1{\tau^2}}}\\ &=\dfrac{\sqrt5}3 \end{aligned} $$

正十二面体は正二十面体の各面の中心を結んで作れます。隣り合う面に垂直な方向は正二十面体の隣り合う頂点の方向なので$(0,1,\tau),(1,\tau,0)$と取れます。したがって

$$ \begin{aligned} \cos\gamma &=\dfrac\tau{1+\tau^2}\\ &=\dfrac1{\sqrt5} \end{aligned} $$

立体の内側の二面角はここで使った鋭角の補角です。表では面を含む平面のなす鋭角を使っています。

関連する話

互いの距離がすべて有理数になる点集合はrational distance setと呼ばれてるらしいです。円周上の密な例は結構知られてるっぽくて反射とトレミーから有理性を保つ方法もあります。

この具体的な正八面体の反射列や同じ計算を扱った文献を知ってる方がいたら教えていただけるとうれしいです。

投稿日:1日前
更新日:1日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

日本語に違和感があるかもしれません。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中