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有限体とユニタリ行列

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教えてほしいこと

有限体を用いてユニタリ行列を作ってみました。
作り方が面白かったので、
作った行列の名称が知りたいです。

作り方と証明

準備

Fqを位数qの有限体
ただしq>2
θ(a)Fqの非自明な複素乗法指標とします。ただしθ(0)=0

Fq上の2次元ベクトル空間をFq2
P1(Fq)Fq上の射影直線(2つの元のなす比全体)
射影直線
pを射影直線への自然な全射
p:Fq2{0,0}P1(Fq)
とします。

VWpの切断
AP1(Fq) p(W(A))=A
AP1(Fq) p(V(A))=A
とします。

A¯=(a1,a2)Fq2
B¯=(b1,b2)Fq2の時
A¯,B¯
A¯,B¯=a1b1+a2b2とします。

性質1

pの切断

pの任意の2つの切断W(A)V(A)に対して、
Q(A)W(A)=V(A)となる、Pから Fqの乗法群への写像Q(A)が存在する。

逆にそのようなQ(A)が存在すれば、
Q(A)W(A)も切断となる。

特別なpの切断

特別なpの切断として次のX([a1,a2])があります。
P1(Fq)の元[a1,a2]に対して、
X([a1,a2])={(a1a2,1) a20(1,0)a2=0

値域は(x,1) xFq(1,0)です。

作り方

q+1次行列Uθ,V,Wを下記で定義します。
Uq,θ,V,W={θ(V(A),W(B))q}A,BP1(Fq)

ユニタリ性の証明

BP1(Fq)θ(V(A),W(B))qθ(V(C),W(B))q

{1A=C0AC となればよい。
V(A)=(a1,a2)
V(C)=(c1,c2)
W(B)=(b1,b2)
とします。

代入して式変形すると、
1qBP1(Fq)θ(a1b1+a2b2)θ(c1b1+c2b2)

W(B)=(b1,b2)0でないFqの元Q(B)を掛けると、
θ(Q(B))θ(Q(B))=1となること用いると、
W(B)=X(B)として一般性を失わない。
このため

θ(a1)θ(c1)q+1qxFqθ(a1x+a2)θ(c1x+c2)

以下a1=0の場合とa10の場合に分けて証明する。

a1=0の場合

θ(a1)θ(c1)q+1qxFqθ(a1x+a2)θ(c1x+c2)=
1qxFqθ(a2)θ(c1x+c2)

c1=0の場合

A=Cとなるため、
V(C)の定義より、
a2=c2
1qxFqθ(a2)θ(c1x+c2)=

1qxFqθ(a2)θ(c2)=1qxFq1=1

c10の場合(AC)

c1x+c2は全単射のため、
1qxFqθ(a2)θ(c1x+c2)=
1qxFqθ(a2)θ(x)=0
最後はθ(x)の非自明性より

a10の場合

y=a1x+a2とおいて代入すると、
θ(a1)θ(c1)q+1qxFqθ(a1x+a2)θ(c1x+c2)=

θ(a1)θ(c1)q+1qyFqθ(y)θ((ya2a1)c1+c2)=

θ(a1)θ(c1)q+1qyFqθ(y)θ(a1)θ(yc1a2c1+a1c2)=
θ(a1)θ(c1)q+1qyFq,y0θ(a1)θ(c1+(a1c2a2c1)y)=
1qyFqθ(a1)θ(c1+y(a1c2a2c1))=

a1c2a2c1=0の場合(A=C)

ACは同じ比のため、
a1=c1
1qyFqθ(a1)θ(c1)=1qyFq1=1

a1c2a2c10の場合(AC)

c1+y(a1c2a2c1)yに関して、全単射
1qyFqθ(a1)θ(y)=0
最後はθ(y)の非自明性より、

まとめ

以上より、
BP1(Fq)θ(V(A),W(B))qθ(W(B),V(C))q={1A=C0AC が成り立つ。
Uq,θ,V,Wがユニタリ行列であることが証明できた。

研究したいこと

Uq,θ,V,Wと単位行列たちがどのような特徴を持った集合か調べたい。

投稿日:2024725
更新日:2024910
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