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高校数学解説
文献あり

余弦定理の四面体ver.

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概要

三平方の定理と,その一般化である余弦定理は有名ですね.

三平方の定理

C=90°の直角三角形ABCについて,次式が成り立つ:
c2=a2+b2.
ただし,3辺BC,CA,ABの長さをa,b,cとした.

略.

余弦定理

C=90°とは限らない)ABCについて,次式が成り立つ:
c2=a2+b22abcosC.
ただし,3辺BC,CA,ABの長さをa,b,cとした.

略.

また互いに直交する3面をもつ四面体については,三平方の定理と同様の式が成り立つこともよく知られています.

AOB=BOC=COA=90°の四面体OABCについて,次式が成り立つ:
|ABC|2=|AOB|2+|BOC|2+|COA|2.
ただし,平面図形Fの面積を|F|とした.

頑張れば示せるが,次の定理の系として従うので略.

すると,三平方の定理を余弦定理に一般化したのと同じように,公式3を一般の四面体に対する公式へと一般化できないだろうか?という疑問が生じます.
これは実際に可能なので,その公式を紹介したいと思います.

四面体OABCについて,2平面OCAOABOABOBCOBCOCAがなす角をそれぞれα,β,γとする.
このとき,次式が成り立つ:
|ABC|2=|OAB|2+|OBC|2+|OCA|22|OCA||OAB|cosα2|OAB||OBC|cosβ2|OBC||OCA|cosγ.
ただし,平面図形Fの面積を|F|とした.

これの証明は本記事の最後に行い,まずそのための準備から始めます.

準備

空間ベクトルの外積

外積とは,2つの空間ベクトルから,それらの両方に直交する空間ベクトルを構成する操作である.

外積

2つの空間ベクトルa=(a1,a2,a3)b=(b1,b2,b3)に対して,外積a×b
a×b:=(a2b3a3b2,a3b1a1b3,a1b2a2b1)
で定める.

外積の基本性質

空間ベクトルa,b,cと実数λに対して,次のことが成り立つ.

  • a×b=b×a.特にa×a=0
  • a(a×b)=0かつb(a×b)=0
    つまりa×ba,bの両方と直交する.
  • a×(b+λc)=a×b+λa×c
    (a+λb)×c=a×c+λa×b
  • |a×b|は,a,bが張る平行四辺形の面積に等しい.
  • a×bの向きは「abの始点を揃えて,回転角が180°未満になるようにaからbの向きに回転させたときに右ねじが進む向き」である.

略.

外積は結合法則を満たさない.

たとえば,e1=(1,0,0),e2=(0,1,0),e3=(0,0,1)に対して
(e1×e2)×e2=e3×e2=e1,e1×(e2×e2)=e1×0=0
より(e1×e2)×e2e1×(e2×e2)である.

スカラー4重積

4つの空間ベクトルa,b,c,dについて,まず外積a×bc×dを考え,(これらが空間ベクトルであることに注意して)さらにそれらの内積を取ることで
(a×b)(c×d)
という実数が得られる.この形の内積は,スカラー4重積と呼ばれている.

次の補題は,定理を示す鍵となる.

スカラー4重積と四面体の側面積

四面体OABCについて,2平面OCAOABOABOBCOBCOCAがなす角をそれぞれα,β,γとする.
またa=OAb=OBc=OCとする.
このとき,次の式が成り立つ.
(c×a)(a×b)=|c×a||a×b|cosα=4|OCA||OAB|cosα,(a×b)(b×c)=|a×b||b×c|cosβ=4|OAB||OBC|cosβ,(b×c)(c×a)=|b×c||c×a|cosγ=4|OBC||OCA|cosγ.

(気が向いたら追記します.)

c×aa×bのなす角をθとおく.
このとき,c×aa×bで「四面体OABCの内側を向いているか外側を向いているか」が揃っていることに注意すれば,α+θ=180°であることがわかる(詳細略)から
(c×a)(a×b)=|c×a||a×b|cosθ=|c×a||a×b|cos(180°α)=|c×a||a×b|cosα
となる.残りの式も同様に示せる.

定理の証明

冒頭の定理を証明する.

(定理の証明)

a,b,cは補題の通りとする.
外積の大きさが平行四辺形の面積を表すという性質から
2|ABC|=|CA×CB|=|(ac)×(bc)|=|a×bc×ba×c+c×c|=|a×b+b×c+c×a+0|=|a×b+b×c+c×a|.
(この式も簡潔かつ対称性があって綺麗ですね.)
よって
4|ABC|2=|a×b+b×c+c×a|2=|a×b|2+|b×c|2+|c×a|2+2(c×a)(a×b)+2(a×b)(b×c)+2(b×c)(c×a)
であり,右辺のスカラー4重積に補題を使うと
4|ABC|2=4|OAB|2+4|OBC|2+4|OCA|28|OCA||OAB|cosα8|OAB||OBC|cosβ8|OBC||OCA|cosγ
となるから,両辺を4で割れば所望の等式を得る.

参考文献

投稿日:2023429
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  1. 概要
  2. 準備
  3. 空間ベクトルの外積
  4. スカラー4重積
  5. 定理の証明
  6. 参考文献