はじめに
2025年1月1日にX上に掲載したKKK杯(≠大会)の問題と解説を書きました。初めて見る方も、解答は隠れているのでぜひ解いてみてください。
範囲は12問N分野です。たまにA,Cが絡みます。
解答のミスなどあれば指摘お願いします。(多少自信ないです)
問題
やのように、隣り合う桁の数字の差が全てであるような自然数をKKK的な数と呼ぶ。
桁のKKK的な数であって、の倍数であるものの個数を求めよ。
解答
桁の数がの倍数であることは、と同値。また、(はかのいずれか)と表せるため、これを代入すると
を得る。よって、以下の通りのうちいずれかに当てはまるものは題意を満たす。
の値をの値が全て以上以下となるように設定することを考えると、題意を満たす数は個。
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KKK杯企画当初に作った問題です。工夫をするとだいぶ場合分けが楽になって気に入ってました。
出題当初は8桁のものを求めさせる予定だったのですが、実際に解き直してみるとおびただしいほどの場合分けが必要になってしまい、4桁に急遽変更しました。
のように、各桁の和がその数を割り切るような自然数を巳年の数と呼ぶこととする。
桁の巳年の数であって、で割った余りがであるものの個数を求めよ。
解答
桁の数に対して、で割った余りがであることは、かつと同値。
よって、( は正整数 ) とおける。ここで、
よりで割ったときの商はであるから、 、つまりを得る。
また、が偶数であるとき、も偶数であり、そのときは明らかに奇数なので
よって不適。これによりが奇数であることが分かる。
以下、の値で場合分けする。
の時、より、先述の条件を満たす唯一の正整数は必ず巳年の数である。
の時、より同様のことが言え、条件を満たす個は必ず巳年の数である。
の時、が必要十分。するととなり、条件に代入すると
したがっては偶数であり、個が条件を満たす。
の時、一つずつ調べることによりのみが適することが分かる。
の時、は明らかに不適。
以上より、求める個数は
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これは2025年あけおめ問題として色んなところに載せている問題です。12で割って9余るという条件はその年が巳年である条件でした。
無理やりで少し解法の面倒臭さはありますが、巳年感溢れる問題が出来上がったと思います。
以上以下の相異なるつの整数を選ぶ方法であって、 どのつも互いに素であるようなものは何通りあるか。
解答
個の整数は、素因数によって次のように分類できる。
条件を満たす数は、の要素をつずつ、重複なく選ぶことで得られる。したがって、鳩の巣原理からとを選ぶ事が必要。
からのいずれかを選ぶとき
とから任意の要素を選ぶことができるため.通り。
からを選ぶとき
からを選ぶことができないため、通り。
からを選ぶとき
からを選ぶことができないため、 通り。
以上より、求める答えは通り。
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これに関してはほぼCですが、Nとして扱いました。
個人的に、「1からmまでの整数の中から条件を満たすi個を持ってくる方法」問題は好みのテーマですが、作ったところで大体手も足も出ません。
を以上以下の整数とする。数列を次の条件によって定めるとき、 なる正の整数の最大値を求めよ。
解答
最大値をとおくと、
そして、漸化式よりは次のような数列で与えられることが容易にわかる。
ここで、正整数に対し以下の漸化式が成り立つ。
これを解いて、を得る。同時に
も分かる。いまであるから、
このとき、
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コラッツ予想っぽく作りました。実験さえすればほぼ答えが見えるので見た目より柔らかいかもです。
(出題時、をと間違えて問題文に書いてしまっていました。申し訳ありません。)
追記:訂正したつもりがまだとが違うところがありました。眼科行ってきます
解答
とが互いに素でない、つまりのとき、明らかに(左辺)(右辺)となるため不適。
よって、とが互いに素であるとしてもよい。
についても同様。
を法とすると、フェルマーの小定理よりよって、が成り立つ。これを満たす素数はのみであるから、
したがって、
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フェルマーの小定理知りたての頃に練習問題として作ったものです。式がIMO Shortlistの問題と一致していたので嬉しかった(寄りの感情)です。
解答
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この式変形バリ好きです。頑張って全代入しようと思えば出来るところが弱い点です。
解答
偶奇性より、明らかにまたは
のとき
これを解いて、
のとき
より、
とおける。これを与式に代入して、
ここで、(左辺)であるから、
のとき、
のとき不適。のとき、を法とするとフェルマーの小定理より
ところがどっこいしかし、左辺はの倍数であるから不適。
のときも不適。
したがって、を満たす組は存在しない。
以上より、
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典型的な整数問題のイメージです。多分LTEでも解けると思います(未検証)
数列はを満たす。このとき、としてありうる数列全てに対して、の総和を求めよ。
解答
なるが個存在したとすると、なる は個存在し、この時の値は
また、各に対しが成り立つような数列の個数は 個である。したがって、求める和は以下のように計算できる。
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なんとなく、競技数学っぽい感じの問題を考えていた時に出来た良問(既出でないことを願う)です。主客転倒の考え方と、公式を用いた綺麗すぎる計算がお気に入りです。
正整数の正の約数の個数をとするとき、以下の等式を満たす以下の正整数の組すべてに対して、の総和を求めよ。
解答
とおくと、与式は、以下のように変形できる。
が平方数でない偶数の時、分母は偶数、分子は奇数となり左辺が整数とならないため不適。よって、が偶数の時は平方数。
また、が正整数と、平方因子を持たない正整数を用いてと表せる時、少なくともである。
のとき、より明らかに不適。
のとき、
のとき、より明らかに不適。
のとき、、より不適。
のとき、より明らかに不適。
のとき、、より不適。
また、より、
したがってであり、
のみであることが分かる。
であることから、は素数の乗。
に留意すると、
の総和は、
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d(n)を文字でおくタイプの整数問題、この間初めて見て感動したので大晦日に作ってました。いろんなアプローチがありそう
解答
である。ここで、
なる正整数に対して、
が成り立つことから、
同様の計算を繰り返すことにより、
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逆式変形シリーズ。シグマ公式の証明でやる"あれ"(伝われ)を無限に拡張したら綺麗にCとPが現れたので、感動して問題にしました。
整数がで割り切れる回数をとするとき、 の値を求めよ。
解答
正整数に対して、であることを考えると、が成り立つことから、に対して以下の漸化式が成立する。
これを用いると求める総和は、
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3で割り切れる回数に関わらず全部足してから、3の倍数だけ引いてあげる感じの発想です。
正整数がを満たすとき、のとりうる以上以下の整数の総和を求めよ。ただし、で 以下の最大の整数を表す。
解答
とおく。
は、以上以下のの倍数の個数を表している。よって、を満たす整数の個数に注目すると、
ここで、よりまた、とおくと、
よりのときは奇数のみ、のときはすべての整数値をとるから、の総和は、
したがって、の総和は
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主客転倒を用いて、見た目のイカついガウス記号の和をほぼ初等的に表せてしまいます!個人的に結構綺麗で好きです
おわりに
投稿日をなんとかJMO予選前に間に合わせることができました。
ギリギリですが少しでも勉強の足しになってくれればと思っています。
でも前日は早く寝ましょう