もし、数値計算で気合いでimmersionを構成出来る人がいる場合は、arXivにそれを投稿して人類の知見を一つ増やしましょう!(?)
私はエアプトポロジストなので、絵で誤魔化します。
(a)穴あきトーラス$S^1×S^1-\{point\}$は、$\mathbb R^2$の中にimmersion(はめ込み)できる。
(b)穴あき$n$次元トーラス$(S^1)^n-\{point\}$は、$\mathbb R^n$の中にimmersionできる。
単に(b)は(a)の一般論なので、(b)を言えば十分です。
(a)は、以下の微分同相による変形により、明らかにimmersionになる。
円筒を回転させてくっつけたものと微分同相
((私の画力の問題により)境界も実線で書いているが、開である事を注意する。)
(b)の証明には、Smale-Hirsch immersion theorem(Smale-Hirschのはめ込み定理(?))を使います。※文脈によって定理の形が違いますが、今回は以下の形を採用します。
$n$次元開多様体$M$が$\mathbb R^n$にimmersionできることは、その接束$TM$が$\mathbb R^n$の自明束$\epsilon^n$へのfiberwise に単射な束写像(単射ベクトル束準同型)を持つことと同値である。
本来の定理は(検索すれば分かりますが)かなり複雑です。
ただ、今回の状況ではそれは強すぎるので、$M$が開かつ$\mathbb R^n$と次元が同じである事や、$\mathbb R^n$へのimmersionという設定を活用して、かなり単純化した形で記述しています。
(b)$n$次元トーラス$(S^1)^n=T^n$はLie群であり、その接束は左不変ベクトル場で自明化出来るので、$TT^n$は自明束である。(分かりにくいですが、$TT^n$の左の$T$は接束の$T$です。右はトーラスです。)
よってそこから一点抜いた穴あき$n$次元トーラス$(S^1)^n-\{point\}$の接束も、単にベクトル束の制限なので自明束である。
いま、$T^n$のベクトル場$X_j(j=1,…,n)$を$X_j(z_1,…,z_n)=(0,…,0,iz_j,0,…,0)$(各$z_j$の大きさは$1$)のように定める。(つまり、各$S^1$の角度座標$\theta_j$についての微分$\partial_{\theta_j}$のこと。)
これは$T^n$の接ベクトルであり、各点で基底になっている。
従って、これにより$T^n$の大域枠$\{X_1,…,X_n\}$が構成でき、よってこれの制限により穴あき$n$次元トーラスにも大域枠が入る。
これにより、$F:T((S^1)^n-\{point\})\to \epsilon^n$を、各点の接ベクトルに対して、この大域枠を使って表現した時の係数をとる写像とすると、これは各点で線形同型(特に単射)になる。
また、その構成から滑らかなベクトル束写像でもある。
よってこの$F$によりSmale-Hirsch immersion theoremを適用すると、穴あき$n$次元トーラス$(S^1)^n-\{point\}$は$\mathbb R^n$にimmersionできる事がわかる。
もしあなたが$n$次元空間を観測出来る存在であれば、穴あき$n$次元トーラスというのは、$n$次元トーラスをハンドル分解して、次数の小さい方から組み上げて出来る最後の蓋をする役割の$D^n$を接合せずに放置したものなので、構成の段階で明らかにimmersionのまま繋げていけるというのが分かると思います。