はじめに
ガウス記号とは入試を含む問題中では殆ど100%、「を超えない最大の整数」と説明されています。しかしこれはという記号を用いるときのお約束の文のようなもので、初めてみたときにとっつきやすいものでもなく、あまり良い定義でもありません。そのため、しっかりとした定義を覚える必要があります。
本記事ではこのガウス記号について、例の「お約束文」から自然な流れで定義に誘導することを心がけて書きました。
それでは早速、本論へ入りましょう。
本論
ガウス記号(定義?)
を実数とする。このとき を、
を超えない最大の整数 と定義する。
はじめににて述べたとおり、いきなりこれを見せられてもおそらくあまりピンとこないと思います。後に正確な定義を述べますが、先ずはこの定義(もどき)のもとで様々な例を見ることにより感覚を掴んで行きましょう。
ガウス記号の例
のとき: これを超えない最大の整数は1です。2になると を超えてしまいます。
のとき: なのでこれを超えない最大の整数は3です。4になると を超えてしまいます。
のとき: これを超えない最大の整数は-11です。-10にしたい気持ちはわかりますが、-10は-10.6より大きいため、-10.6を超えています。
いかがだったでしょうか。上の例を見れば、例えば[10.6]は、10.6 = 10 + 0.6
と変形することで[10.6] = 10 となることが、
については、 であることより、 であるということが、実際に意識して計算はせずとも、感覚として高めると思います。
以上から一般の場合について考えていくと、、実数,整数,および0以上1未満の数 に対して、
とできれば、となるということも、簡単にわかると思います。
これらを踏まえ、次の正式な定義を述べましょう。
ガウス記号(ちゃんとした定義)
を実数とする。いま、自然数とを満たす実数 を用いてが と表せたとき、 と定義する。
まあ仰々しく書きましたが、結局言ってることとしてははの整数部分だということです。
ちなみに、右側の不等式に等号がつかない理由を説明しておくと、もし等号がついてしまえば、つまり、 になってしまえば、 が となってしまうからです。(6 = 5 + 1 と分けているようなものです。)
下は、解説はしませんが重要なのでしっかりと考えてみてください。
例1の確認
上の定義式を使って先に示した例が本当にそうなるかを確認せよ。
ヒント:-10.6については、は正であることに注意すること。
定義2を正しく用いれば、ガウス記号についての問題は解けます。ただ、多くの教材は先生はガウス記号の定義を以下のような形で紹介していると思いますので、それを示しておきます。(定義2が不完全だというわけではありません。)
定義2のもとでは が成立することは命題になります。結構明らかですが、気になるなら読んでください。
は だったから、両辺 を加えて
と約束したのだから、結局上式は
である。 ◼️