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OMC248(F)の別解

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まえがき

先日のOMC248にてF問題を通した解法がユーザー解のなかにもなかったので, 少し解説を書いてみようとおみます.

OMC248(F) (writer:Shota_1110)

正の実数x,y,zに対し,関数 FF(x,y,z)=4zx2+2xy+y2+8z+4xyx2+6xy+y2+4zxy+zx2+y2+2z

と定め,x,y,zをそれぞれ正の実数全体で動かしたときに F(x,y,z) がとり得る最大の実数値を M とします.  このとき,以下 2 つをみたす正の実数の組 (X,Y,Z) が一意に存在することが証明できます.正の整数 a,b を用いて XYZ=a+b と表せるので,a+b の値を解答して下さい.

  • X,Y,Z はこの順で等差数列をなす.
  • F(X,Y,Z)=M が成り立つ.

解く際に考えたこと

一番左の項x2+y2+2xy+8z=(x+y)2+8zになることから, (x+y)2でくくるのが有効に見えるが, あんまり見えてくるものがない.
このとき逆に(xy)2でまとめてみると左の二項が
4z(xy)2+4xy+8z+4xy(xy)2+8xy+4zとなって, xy,zに対して対称になっているので, イェンゼンの不等式をうまく使えそうに思える.
ここでk=(xy)2+4xy+4z とおくと, イェンゼンがうまく使える形になるので, あとはかなり解きやすい形になる.
f(x,y,z)4t+21t2=3t10t24
と表した後は, tに関する関数として微分して最大値を求める方法がパッと思い浮かぶが, AM-GMでやった方が楽なのでそっちの方法で書いた.

解説

k=(xy)2+4xy+4z,s=xyとすると,
f(x,y,z)=4zk+4z+4sk+4sz+sk2(s+z)
となる. また, k=(xy)2+4xy+4z4(s+z)が成立する.()
このときg(x)=xk+xとすると, g(x)=2k(k+x)3<0となるので, g(x)は上に凸である. したがって, Jensenの不等式より,
f(x,y,z)=2(12g(4z)+12g(4s))z+sk2(s+z)2g(2z+2s)z+sk2(s+z)=4(z+s)k+2(z+s)z+sk2(s+z)
等号成立はs=zつまりxy=zとなる.
このときt=kz+sとすると
f(x,y,z)4t+21t2=3t10t24
と整理できる. () より, 3t10が成立するので, ある正の実数aを用いると, AM-GM不等式より,
3t10t24=3t10t2+a2a243t102ata24
とあらわせ, 等号成立はt=aとなる. このとき, 2ata243t10で割り切れると嬉しいので,
a2+42a=10320a=3a2+120=(3a2)(a6)
a=6,2/3となる. 等号成立条件の都合により, a=6 とすると,
3t102ata24=3t104(t10)=14
となるので, f(x,y,z) の最大値は1/4となり, 等号成立は
xy=z,(xy)2+4xy+4zz+xy=6
つまり, x,y,z の満たすべき条件は,
xy=z,x2+y2=4xy+2z
となるので, 公式解説と同様に解ける.

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