1

リーマン和から導く積分の定義式

97
0
$$$$

はじめに

ここでは、面積で定義した積分から高校数学で習う積分の定義の$\int^{b}_{a}f(x)dx=F(b)-F(a)$を求めていきます。

前置き

ここでは$x$の関数$f(x)$を滑らかで連続的な関数として考えます。
$F(x)$$f(x)$の原始関数を表しています。
また、極限と総和と微分の知識を前提としています。

面積と導関数と原始関数の関係

まずは、関数$f(x)$$f(x)$から$f(x+h)$までの面積について、($h$は正の実数範囲の変数とします)
!FORMULA[9][38352][0]から!FORMULA[10][36866259][0]までの面積の図 $x$から$x+h$までの面積の図
この面積を$S(x)$とおくと面積は$S(x+h)-S(x)$と表せ、この幅は$h$であるため、$f(x)< f(x+h)$のとき、
\begin{eqnarray} f(x)h\leq S(x+h)-S(x)\leq f(x+h)h \end{eqnarray}
となり、各辺$h$で割ると
\begin{eqnarray} f(x)\leq \frac{S(x+h)-S(x)}{h}\leq f(x+h) \end{eqnarray}
これの$h\to 0$の極限を各辺にとると、
\begin{eqnarray} \lim_{h\to 0}f(x)\leq\lim_{h\to 0}\frac{S(x+h)-S(x)}{h}\leq\lim_{h\to 0}f(x+h)\Longleftrightarrow f(x)\leq\lim_{h\to 0}\frac{S(x+h)-S(x)}{h}\leq f(x) \end{eqnarray}
このとき、
\begin{eqnarray} \lim_{h\to 0}\frac{S(x+h)-S(x)}{h} \end{eqnarray}
これは微分の定義
\begin{eqnarray} f'(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} \end{eqnarray}
より、
\begin{eqnarray} \lim_{h\to 0}\frac{S(x+h)-S(x)}{h}=S'(x) \end{eqnarray}
つまり、元の式にも適用させてると、
\begin{eqnarray} f(x)\leq S'(x)\leq f(x)\Leftrightarrow f(x)=S'(x) \end{eqnarray}
となり、はさみうちの定理より、極限をとったときの面積の関数の微分は元の関数と一致することが示せました。

区分求積法

つぎに、本格的に面積を求めます。
!FORMULA[24][37639][0]から!FORMULA[25][37670][0]までを!FORMULA[26][555489008][0]に分けた図 $a$から$b$までを$\frac{b-a}{h}$に分けた図
これは$f(x)$を幅$h$で分けたものです。
この赤い範囲を左から$1$つ目,$2$つ目,$3$つ目,,,$n$つ目と考えたとき、それぞれの面積を$T(x)$という関数にすると、総和記号$\sum$を用いて面積は次のように書けます。
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^{n}T(k) \end{eqnarray}
このとき、図での赤線の$x$座標を左から$x_1,x_2,x_3,,,x_n$として、これを$S(x)$を用いて展開すると、
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^{n}T(k)&=&T(1)+T(2)+\cdots+T(n-1)+T(n)\\ &=&\{S(x_2)-S(x_1)\}+\{S(x_3)-S(x_2)\}+\cdots+\{S(x_{n-1})-S(x_{n-2})\}+\{S(x_n)-S(x_{n-1})\}\\ &=&\{\cancel{S(x_2)}-S(x_1)\}+\{\cancel{S(x_3)}-\cancel{S(x_2)}\}+\cdots+\{\cancel{S(x_{n-1})}-\cancel{S(x_{n-2})}\}+\{S(x_n)-\cancel{S(x_{n-1})}\}\\ &=&-S(x_1)+S(x_n)\\ &=&S(x_n)-S(x_1) \end{eqnarray}
これで面積を面積の関数で表せました。

積分の一般化

$S(x)$を微分すると$f(x)$になるため、逆に考えると$S(x)$$f(x)$の原始関数であると言え、
\begin{eqnarray} \{x_1からx_nまでのf(x)の面積\}&=&S(x_n)-S(x_1)\\ &=&F(x_n)-F(x_1) \end{eqnarray}
と書けます。これを積分記号を用いて表すと次のようになり、
\begin{eqnarray} \int^{x_n}_{x_1}f(x)dx=F(x_n)-F(x_1) \end{eqnarray}
これを$a$から$b$の面積として一般化すると
\begin{eqnarray} \int^{b}_{a}f(x)dx=F(b)-F(a) \end{eqnarray}
となり、みなさんも習った積分の定義式が導けました!

最後に

実際の高校教育では面積を元にした定義での説明が高校生にとって理解が厳しいものとされており、教えられる機会がほとんどありませんが、これでより本質的な理解に繋がれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

投稿日:108
更新日:1010
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

何屋未来界隈の関数アートの人です

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中