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JMO本選解いてみた

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はじめに

先日JMO本選があったらしいので、解いてみました。

当然ながら、まずは問題を自分で解いてみることを強く推奨します。問題は以下のリンクを参照してください。
https://www.imojp.org/archive/mo2026/jmo/problems/jmo36hq.pdf

P1

P1の解答
$ABP\sim ACQ$ですので、$\frac {AC}{AB}=\frac{AQ}{AP}$及び、$\angle BAC=\angle BAP -\angle PAC=\angle CAQ - \angle PAC=\angle PAQ$より、$ABC\sim APQ$がいえます。
$\angle ACD=\angle ACB=\angle AQP=\angle AQD$より、$AQDC$の共円が言えます。同様に$APDB$の共円も言えます。
$\angle MDC=\angle ADB=\angle APB = \angle CAQ = \angle CDQ = \angle CDO$なので、$O$$M$がどちらも$BC$の垂直二等分線上に存在することを加味すれば、$O$$M$$BC$に対して対称な位置にあります。
よって$2\angle BAC=\angle BOC=\angle BMC=180\degree-\angle BAC$より、$\angle BAC=60\degree$です。

P2

P2の解答
$a_1,a_2< p$なる任意の奇素数$p$は数列$A=a_3,a_4,...$の中に必ず現れます。これは、$A$の狭義単調増加性及び、$p$が常に$p$より小さい整数と互いに素であることから従います。

さて、適当な大きい素数$p$$a_n=p$なる整数$n$を取ってきます。この時、$a_{n+1}=p+2s,a_{n+2}=p+2s+2t$とできます。ベルトラン・チェビシェフの定理より、ある素数$p< q<2p$が存在するので、$p+2s\leq q<2p\Rightarrow 2s< p$です。ここで、$t>1$であると仮定すると、$\gcd(p,p+2s+2)>1$ということになりますが、これは$p|s+1$を意味します。しかし、$p\leq s+1<\frac{p}2+1$となり、矛盾が生じます。よって、$t=1$です。
最後に、ある整数$m$について、$a_{m+1}-a_{m}=2$ならば、$a_{m}$が奇数であるために$\gcd(a_m,a_m+4)=1$なので、$a_{m+2}=a_m+4$となり、$a_{m+2}-a_{m+1}=2$となります。よって再帰的に$M>m$について、$a_{M+1}-a_M=2$であることがわかり、$|a_M-2M|=a_m-2m$となります。よって示されました。

P3

P3の解答
$m$角形の頂点をある頂点から時計回りに$1,2,...,m$とします。$m=n^2+1$ならば、$1,2,..n$を赤く、$n+1,2n+1,...,(n-1)n+1,n^2+1$を青く塗ることで、条件を満たします。これは、赤く塗られたどの2つの頂点も差が高々$n-1$であり、青く塗られたどの$2$つの頂点も差が$n$以上であることからわかります。

以下は、$m\leq n^2$がありえないことを示します。赤く塗られている頂点を$a_1,...,a_n$とし、青く塗られている頂点を$b_1,...,b_n$とします。
条件は任意の$n$以下の正の整数の組$(s,t,u,v)$について、$a_s-a_t\not \equiv b_u-b_v\pmod m$を満たすことです。これは、$n^2$個の$n$以下の正の整数の組$(i,j)$について、$a_i-b_j$$m$で割ったあまりが全て異なることを意味します。特に、$a_i-b_j\equiv 0\pmod m$がありえない(これは同一のますが赤、青で共に塗られていることを意味するため)ことから、$m$$n^2+1$以上であることが要求されます。

よって答えは$n^2+1$です。

P4

P4の解答
$P(x,y)$で与式への代入を表します。
$f(s)=f(t)$なる実数$s,t$について、$P(x,s)-P(x,t)$より、

- $f(x)\equiv0$または、
- $f$が単射

であることを得ます。以下では後者について考えます。
$P(f(x),y)-P(f(y),x)$より$f(f(x))y=f(f(y))x$なので、

- $f(f(0))=0$及び、
- 任意の$x\neq0$について$\frac{f(f(x))}x=C$($C\neq0$はある定数)

を得ます。
$P(0,f(0))$より$f(0)=0$または$f(0)=-1$です。$f(0)=-1$だと仮定すると、$P(0,0)$より$ f(1)=0$となり、$f$の単射性に矛盾します。よって、$f(0)=0$です。
$P(x,0)$より$f(x^2)=f(x)^2$です。
$(Cx)^2=f(f(x))^2=f(f(x^2))=Cx^2$なので、$C\neq0$と合わせて$C=1$です。すなわち、$f(f(x))=x$です。
$f(x)^2=f(x^2)=f((-x)^2)=f(-x)^2$より、$f$の単射性と合わせて、$f(x)=-f(-x)$です。さらに、$x>0$ならば、$f(x)=f(\sqrt x)^2>0$です。

今、正の実数$y$について、
$P(-y,f(y))$より、$f(2y^2)=2f(y)^2$が得られます。ここで、$f(\sqrt2y)^2=f(2y^2)$なので、$f(\sqrt2y)=\sqrt2f(y)$です。よって、$2f(y)=\sqrt2f(\sqrt2y)=f(2y)$を得ます。$f(y)=-f(-y)$より、任意の実数$x$について、$2f(x)=f(2x)$を得ます。

$P(x,f(y))-P(x,f(-y))$より、$f(x+y)^2-f(x-y)^2=4f(x)f(y)$です。
また、$2P(x,f(y))$より、$4f(x)f(y)=2f(x+y)^2-2f(x^2+y^2)$です。ここで、$s=x+y,t=x-y$とすれば、
$f(s)^2-f(t)^2=4f(x)f(y)=2f(s)^2-f(s^2+t^2)\Rightarrow f(s^2)+f(t^2)=f(s^2+t^2)$となります。いま、$(s^2,t^2)$$\mathbb{R_+}^2$全体を動きます。よって、コーシーの関数方程式より、$f(x)\equiv Dx$($D$は定数)となります。$D^2x=f(f(x))=x$より、$D=1,-1$です。ですが、$x>0$ならば$f(x)>0$なので、$D=-1$は不適です。

以上より、$f(x)\equiv x,0$$2$つが答えとなります。十分性は容易に確認できます。

P5

P5の解答
$AI$$BC$$BI$$AC$$CI$$AB$の交点をそれぞれ$D,E,F$とします。
$EF$$BC$$DF$$AC$$DE$$AB$の交点をそれぞれ$S,T,U$とします。
$X,Y,Z$はいずれも$II_AI_BI_C$の外接球上にあることに注意します。

$AB:BC=AP:CP$なので、$\angle APC$の二等分線は$D$を通ります。同様に、$\angle APB$の二等分線は$E$を通ります。今、メネラウスの定理より、

$\frac{CS}{SB}=\frac{CE}{EA}\frac{AF}{FB}=\frac{BC}{AB}\frac{AC}{BC}=\frac{AC}{AB}$

となるため、$S$$\angle BAC$の外角の二等分上にあります。よって、

$\frac{PI_C}{I_CF}\frac{FS}{SE}\frac{EI_B}{I_BP}=\frac{PA}{AF}\frac{FS}{SE}\frac{AE}{PA}=1$

となり、メネラウスの定理より、$S,I_B,I_C$は同一直線上にあります。よって、$S,I_B,I_C,I,X$は($\pi$と異なる)同一平面上にあるので、$S,I,X$は同一直線上にあります。同様に、$T,I,Y$及び$U,I,Z$はそれぞれ同一直線上($\pi$と平面$II_BI_C$の交わる線)にあります。
よって、$\measuredangle YXZ=\measuredangle YIZ=\measuredangle TIU$となり、$\measuredangle YXZ$$P$によらず一定です。同様に$\measuredangle XZY,\measuredangle ZYX$$P$によらず一定です。
よって、示されました。

最後に

例年のことですが、非常に面白い問題で構成されていたと思います。
$P5$を最初に見た時は空間図形がありなのか、と思いましたが、解いてみれば初等幾何学の良問でした。難易度としては昨年の$P5$の方が難しかったような気がします。

もしかしたら誤字脱字や論理の間違いがあるかもしれません。その際は優しく指摘していただけると非常に助かります。

投稿日:10日前
更新日:5日前
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ネギみたいなもんです

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