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JJMO 2016 P4の一般化とorthotransversalについて

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かえでです.
幾何について書きます.

本題

JJMO 2016 P3

鋭角三角形$ABC$において,$外心$$O$,垂心を$H$とする.また,$O$を通り直線$BC$に平行な直線と辺$AB,AC$の交点をそれぞれ$P,Q$とし,線分$AH$の中点を$M$とする.このとき,$\angle BMP = \angle CMQ$を示せ.

これの一般化を与えて示していきます.

一般化の準備(前提知識)

三角形$ABC$において,その外心を$O$とする.$O$を通る直線$l$の三角形$ABC$での等角共役での像$\mathcal{H}$は三角形$ABC$に外接する直角双曲線になる.

Second Fonteneの定理

$l$または$\mathcal{H}$上の点の三角形$ABC$に対する垂足円はすべて九点円上の点$X$で交わる.特に,$X$$\mathcal{H}$の中心である.また,$X$$l$のGriffiths点という.

それぞれ証明は省きます.(各自調べるなどしてください)

一般化

それでは,冒頭の問題の一般化を与えていきます.

JJMO 2016 P4の一般化

鋭角三角形$ABC$において,その外心を$O$とし,$O$を通る直線$l$を取る.$l$の等角共役の中心を$X$とし,$E = AB \land l , F = AC \land l$とする.このとき,$\angle BXE = \angle CXF$が成り立つ.

$l$を直線$BC$と平行に取ったとき,$X$$AH$の中点$M$に一致しJJMO 2016 P4と同じ構図になります.
では,示していきましょう.(Second Fonteneの定理を認めれば)極めて容易に証明できます.

(定理3)

$E$の垂足円は$CE$を直径とする円であるから,定理2より$\angle BXF = 90^{\circ}$が従う.同様に$\angle CXE = 90^{\circ}$が従うから$\angle BXE = \angle CXF$である.

簡単ですね.また,この証明を踏襲すればSecond Fonteneの定理の次のような応用ができます.

orthotransversalへの応用

三角形$ABC$と点$P$について,$P$を通り直線$AP$に垂直な直線と直線$BC$の交点を$T_A$とし,同様に$T_B \in CA$$T_C \in AB$を定める.このとき,$T_A,T_B,T_C$は共線である.この直線を点$P$の三角形$ABC$におけるorthotransversalという.

共線の証明は省きます.
orthotransversalは近代の幾何学において最も重要な対象の一つであり,非常に多くの強い性質を持っています.
ということで,そのような性質の一つである以下の定理をSecond Fonteneの定理を用いて示してみましょう.

三角形$ABC$において,その九点円上に点$P$を取る.このとき,$P$に依らず点$P$の三角形$ABC$におけるorthotransversalは三角形$ABC$の外心を通る.

三角形$ABC$の外心を$O$$P$のorthotransversalを$l$とし,$l$と直線$BC,CA,AB$の交点をそれぞれ$D,E,F$とする.このとき明らかに$D,E,F$での垂足円は点$P$を通る.一方,Second Fonteneの定理より直線$OD$と直線$CA,AB$の交点における垂足円は点$P$を通る.よって,$l$とそのGriffiths点は一意に対応することから$O,D,E,F$は共線である他ない.

このように,Second Fonteneの定理を認めるだけで簡単に示すことができました.
(余談ですが,$P$が外接円上にあっても同様にそのorthotransversalは外心を通ります.しかしながら,これの証明にSecond Fonteneの定理を使うことはありません.)

最後に

証明を省いたりなどで,かなり支離滅裂な文章と内容だったと思いますが,これを機に是非多くの方に近代三角形幾何学への沼に入って頂きたいです(三次曲線,円錐曲線,三線極線などの愉快な仲間達があなたを待っています><)
以上です.

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投稿者

ユークリッド幾何学専門

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