次対称群の元をの順列と同一視する.
降下集合をとして, を降下数といい, 降下集合の元を降下という.
Eulerian多項式を
で定義する. の次の係数をと表し, Eulerian数という.
上の定義においては, は次多項式であるが,
をEulerian多項式という流儀もあり, その場合はEulerian多項式は次になることに注意する必要がある.
Eulerian数は次のような対称性を持つ.
は降下数がであるようなの順列の個数である. 降下数がであるような順列に対して, とすると, の降下数はとなる. これは降下数がの順列と降下数がの順列の間の全単射を与える. よって,
である.
Eulerian数は次のような漸化式を持つ.
まず, の順列の降下数がの場合と, の場合のみ, それにを挿入した順列の降下数がになる場合があることが分かる. の降下数がの場合, 降下の直後と末尾以外のの挿入によって降下数が増える. よってその方法は通りある. の降下数がの場合, 降下の直後と末尾への挿入によって降下数が変わらない. よってその方法は通りある. これらより,
が従う.
順列に対して, となるを超過といい, その全体の集合をと表し, 超過集合という. を超過数という.
とする. の順列に対して, をに置き換えて末尾にを追加することによって, の順列が得られる. この操作はが超過のときは超過数を変えず, が超過数でないときは超過数を増やす. よって,
が得られる. これはEulerian数と全く同じ漸化式であり, は明らかだから, 帰納的にが示される.
これはつまり, 降下数と超過数が等分布であることを意味している.
次に, Eulerian多項式に関してより明示的な級数表示を与える.
のときは明らか. とする. 両辺の次の係数を考えて,
を示せばよい. 右辺はの要素を個の空集合を許した集合への順序付きの分割の個数に等しい. の要素を昇順に並び替えた順列をとすると, のように仕切りを用いて分割を表すことができ, その仕切りを外すと順列が得られる. 逆に順列が与えられたとき, 個の分割を表す仕切りを入れる方法の個数は, まず降下の直後に個の仕切りを最初から入れておくことにより, 残りのの仕切りを追加する方法の個数となる. 仕切りを入れる場所の総数は個であるから, それは重複順列の個数
で与えられる. よって, 全ての順列に対して足し合わせることによって,
を得る.
等式
の係数を比較することによって次の明示式が得られる.