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複素平面で単位円周上にある複素数

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第21回学力コンテスト/近畿大学主催
問題A-1
$n$を3以上の自然数とし,-1$\leqq$a$\leqq$1とするとき,方程式
$$z^n+az^{n-1}+az+1=0$$
のすべての複素数解は原点を中心とする単位円周上にあることを証明せよ.

[方針]
[1]実数解は存在しても$z=\pm$1に限ること
[2]虚数解は$\left| z \right|$=1をみたすこと
この2つを示す.
まず,$z=0$は方程式をみたさない.
$z^{n-1}+z=0$のとき,
$z^{n-2}=-1$ $\left| z^{n-2} \right|=1$$\left| z \right|$=1 成り立つ.

[1]について,$z$を実数として,
$$f(x)= \frac{x^n+1}{x^{n-1}+x} $$
を考える.
[101]$n$が偶数のとき,
$x>0$のとき,$f(-x)=-f(x)$
$x>0$のとき,$x^{n-1}+x>0$
$x^n+1-(x^{n-1}+x)=(x-1)(x^{n-1}-1) \geqq 0$から,
$$f(x)= \frac{x^n+1}{x^{n-1}+x} \geqq 1 $$
(等号成立は$x=1$のとき)
同様に,$x<0$のとき,
$$f(x)= \frac{x^n+1}{x^{n-1}+x} \leqq -1 $$
(等号成立は$x=-1$のとき)
ここで,-1$\leqq$a$\leqq$1なので,$x=\pm$1に限る.
[102]$n$が奇数のとき,($x=-1$は分母が0になるので除外しておく)
$x>0$のとき,$f(-x)<-f(x)$
上と同様に,$x>0$のとき,$x^{n-1}+x>0$
$$f(x)= \frac{x^n+1}{x^{n-1}+x} \geqq 1 $$
(等号成立は$x=1$のとき)
$x<0$のとき,
$f(-x)<-1$
-1$\leqq$a$\leqq$1なので,$x=1$に限る.
以上で,実数解なら存在しても$x=\pm$1に限る.[1]は示された.

[2]最初の方程式が逆数方程式なので,解にもてばその逆数も解にもつ.
$$z^n+az^{n-1}+az+1=0$$
$$z^{-n}+az^{-(n-1)}+az^{-1}+1=0$$
2つの方程式の解はまったく一致する.
$$ \left({z^n+z^{-n}}\right)+a\left( z^{n-1}+z^{-{(n-1)}}\right)+a\left( {z+z^{-1}}\right)+2=0$$
ここで,$t=z+z^{-1}$とおくと,この方程式は$t$$n$次方程式にかわる.
(証明は「数学的帰納法」による.)
実数を係数とするので,虚数解$t= \alpha $をもてば,$t= \bar{ \alpha } $も解になる.
このとき,$z$の解には,$z+z^{-1}=\alpha$をみたすものと,$z+z^{-1}= \bar{ \alpha } $もみたすものがある.
$$z^2-\alpha z+1=0$$
$z^2-\bar{ \alpha } z+1=0$(かきかえると)${\bar z }^2-\alpha\bar{z}+1=0 $

この2つは実数解をもたない.上の虚数解を$\beta, \gamma $とすると,
下の解は,$\bar{\beta}, \bar{\gamma} $となる.
$$\beta \cdot \gamma=\bar{\beta} \cdot \bar{\gamma}=1$$
$$\beta \cdot \bar{\beta}=\gamma \cdot \bar{\gamma}=1$$
したがって,虚数解$z$をもてば$\left| z \right|=1$.[2]も示された.
以上から,証明された.□□

投稿日:731
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