局所小圏${\mathcal C}$を任意に固定します。任意のi,j${ \in }$Ob(${\mathcal C}$)に対して
(広義の)関係iSjを「各 $t= 1, \dots ,n$ について、$x_{t-1}$ から $x_{t}$ への射が存在する、または$x_{t}$ から $x_{t-1}$ への射が存在する対象の有限列$i=x_0, x_1, \dots, x_n=j$ を持つ」で定義します。この関係は
このとき同値類[i]:={j$\in $ Ob(${\mathcal C}$)|i$\in $ Ob(${\mathcal C}$)と関係iSjを持つ}を、iを含む連結成分とよびます。同値類の基本的な性質として
Ob(${\mathcal C}$)=$ \bigcup_{i \in Ob({\mathcal C})} [i]$ かつ 「$[i]\cap[j]\neq\emptyset\iff[i]=[j]$」が成り立ちます。(証明略)
また各$i\in Ob({\mathcal C})$に対して、[i]を対象の集まり、各$i',j'\in [i]$に対しての射$f:i' \to j'$を集めたものを射のあつまりとした${\mathcal C}$の部分圏${\mathcal C}_{[i]}$が定義できます。
次に局所小圏${\mathcal C}$から局所小圏${\mathcal D}$に、関手Fが定義されているとします。
$F[i]:=${$F(i')| i'\in [i]$}とすると、上で見たのと同様に
$F(ob({\mathcal C}))=\bigcup_{i \in ob({\mathcal C})}F[i]$ かつ
「$F[i]\cap F[j]\neq\emptyset\iff F[i]=F[j]$」が成り立ちます。
${\mathcal C}$における各連結成分の集まり{$[i]|i \in ob({\mathcal C})$} から$F({\mathcal C})$における各連結成分の集まり{$ F[i]|i \in ob({\mathcal C})$}への写像$\Phi $を$\Phi $([i])=F[i]で定めると、これは写像です。
(証明)[i]=[j]として、任意の$i',j'\in[i]=[j]$を取る。このとき「各 $t= 1, \dots ,n$ について、$x_{t-1}$ から $x_{t}$ への射が存在する、または$x_{t}$ から $x_{t-1}$ への射が存在する対象の有限列$i'=x_0, x_1, \dots, x_n=j'$ を持つ」が成り立つならば、Fは関手なので「$F(x_{t-1})$ から $F(x_{t})$ への射が存在する、または$F(x_{t})$ から $F(x_{t-1})$ への射が存在する対象の有限列$F(i')=F(x_0),F(x_1), \dots,F(x_n)=F(j')$ を持つ」となり $F(i'),F(j')\in F[i]=F[j].$
すなわち「[i]=[j]ならばF[i]=F[j]」が成り立つので、$\Phi $は写像。
(証明終)
命題。Fが充満関手のとき、${\mathcal C}$における連結成分の集まりと$F({\mathcal C})$における連結成分の集まりは(類として)対等となる。
(証明)$\Phi $が逆写像を持つことを示せばよい。$F[i]=F[j]$ として任意の$F(i'),F(j')\in F[i]=F[j]$を取る。ここで「$F(x_{t-1})$ から $F(x_{t})$ への射が存在する、または$F(x_{t})$ から $F(x_{t-1})$ への射が存在する対象の有限列$F(i')=F(x_0),F(x_1), \dots,F(x_n)=F(j')$ を持つ」とすると、Fの充満関手性より「$x_{t-1}$ から $x_{t}$ への射が存在する、または$x_{t}$ から $x_{t-1}$ への射が存在する対象の有限列$i'=x_0, x_1, \dots, x_n=j'$ を持つ」が成立。すなわち$[i]=[j].$逆写像が定義できる。 (証明終)
命題。$F:{\mathcal C}\to {\mathcal D}$が本質的に全射な充満関手のとき、${\mathcal C}$における連結成分の集まりと${\mathcal D}$における連結成分の集まりは(類として)対等となる。
(証明)Fが本質的に全射ならば、任意のk$\in {\mathcal D}$に対してあるi$\in {\mathcal C}$があってk$\in F[i].$よって${\mathcal D}=\bigcup_{i \in ob({\mathcal C})}F[i].$ これに上命題を適用すれば、求める結果が得られる。(証明終)
系。$F:{\mathcal C}\to {\mathcal D}$が圏同値をあたえる関手のとき、${\mathcal C}$における連結成分の集まりと${\mathcal D}$における連結成分の集まりは(類として)対等となる。
(証明)Fが圏同値ならば本質的に全射な充満関手なので、上命題よりわかる。(証明終)
${\mathcal D}$が薄い圏の場合、連結成分はどうなるかを見ておきます。たとえばFを括射関手とすると、F(${\mathcal C}$)は強連結なので連結成分はF(${\mathcal C}$)ひとつになります。
「薄い圏の考察(5)」であげた標準的な薄い圏を構成する関手をFとすると、Fは充満関手なので${\mathcal C}$における連結成分の集まりと$F({\mathcal C})$における連結成分の集まりは対等になります。
${\mathcal C}$とF(${\mathcal C}$)をもっと細かく位相的に比較しようとすると、神経の分類空間を考えたり、アレクサンドロフ位相を考えたりすることになりますが、それは本稿では触れません。