10年前に考えた問題
2次体$\mathbb{Q}(\sqrt{d})$では$x^3+y^3=z^3$を考えると自明でない解があったりするが、そのような2次体はどう特徴づけられるか
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13144522878
$|d| \equiv 1 \pmod 3$ では解が無い傾向があったがさらに調べると$d=-31$や$d=43$では解があった。(オンライン整数列大辞典
A383047
、
A383048
)
$\mathbb{Q}(\sqrt{-31})$や$\mathbb{Q}(\sqrt{-129})$の類数が3の倍数であることが関係するようだ。
一方、$|d| \equiv 2 \pmod 3$ では解が有る傾向で、これは次の文献内で示されているようであった(理解はしていない)
先行研究は散在して(当時のリサーチ力不足)特に
M. Jones and J. Rouse, Solutions of the cubic Fermat equation in quadratic fields.
を参考にした。(
arXiv版
ではTheorem 1.に一箇所$2y^4$という項があり、$2y^2$の誤植のようだ。)
$\mathbb{Q}(\sqrt{d})$で解を持つことと$\mathbb{Q}(\sqrt{-3d})$で解を持つことは同値であり、$d$の符号を正か負に限って記述すれば良く、以下の記述があるらしい:
$d$を平方因子を持たない正の整数とする。$\mathbb{Q}(\sqrt{d})$で$x^3+y^3=z^3$が非自明解を持つ条件は$dY^2=X^3-432$の階数が正であることに帰着され、その階数が正ならば
・$d \not\equiv 0 \pmod3$が正のときは
$x^2 + y^2 + 7z^2 + xz = d$と$x^2 + 2y^2 + 4z^2 + xy + yz = d$の整数解の個数が等しい
・$d \equiv 0 \pmod3$が正のときは
$x^2 + 3y^2 + 27z^2 = d/3$と$3x^2 + 4y^2 + 7z^2 - 2yz = d/3$の解の個数が等しい
・BSD予想の成立を仮定すれば逆も成り立つ
類次して、合同数の話題でも、こうやって二次形式の整数解の個数で記述できることを以前tsujimotterさんが解説していた
https://tsujimotter.hatenablog.com/entry/congruence_number_and_modular_forms
合同数では、$Y^2=X^3-n^2X$の階数が正である条件を経由していて、今回はそれと同様の仕組みのようだ