まずは、巡回行列の行列式について簡単に考察していくのだ。
まあ、すでに既出だしあまり目新しい情報はないかもしれないけどご了承くださいなのだ。
数列$c_{0},c_{1},...,c_{n-1}$に対して下記のような行列を定めるのだ。この行列を巡回行列というのだ。
\begin{equation}
\begin{pmatrix}
c_{0} & c_{1} & \cdots & c_{n-1} \\
c_{1} & c_{2} & \cdots & c_{0} \\
\cdots & \cdots & \cdots & \cdots \\
c_{n-1} & c_{0} & \cdots & c_{n-2}
\end{pmatrix}
\end{equation}
数列$c_{0},c_{1},...,c_{n-1}$に対する巡回行列を$A$とすると次式が成り立つのだ。
\begin{equation}
\det{A}=\Pi_{\zeta}(c_{0}+\zeta c_{1}+\cdots + \zeta^{n-1}c_{n-1})
\end{equation}
ただし、$\zeta$は1の$n$乗根なのだ。
[1]第一列に第i列の$\zeta^{i-1}$をかけて足すのだ。これにより、$\det{A}$が$c_{0}+\zeta c_{1}+\cdots \zeta^{n-1}c_{n-1}$で割り切れることが分かるのだ。
[2]$\zeta$は1のn乗根だから1を含めn個あるのだ。また、$\det{A}$は$c_{0},c_{1},...,c_{n-1}$のn次多項式。ゆえに定理が示されたのだ。
数列1,2,...,nに対する巡回行列$A$の行列式は下記の式で与えられるのだ。
\begin{equation}
\det{A}=\frac{(-n)^{n-1}(n+1)}{2}
\end{equation}
[1]$\zeta=1$の場合:$1+2+\cdots n=\frac{n(n+1)}{2}$
[2]$\zeta\neq 1$の場合:$1+2\zeta+\cdots n\zeta^{n-1}=S$とおくと$(1-\zeta)S=-n$であるから$S=\frac{n}{1-\zeta}$
[3]上記を合わせると$\det{A}=\frac{(-1)^{n-1}n^{n}(n+1)}{2}\Pi_{\zeta\neq 1}\frac{1}{1-\zeta}$
[4]$x^{n}-1=(x-1)(x^{n-1}+x^{n-2}+\cdots x+1)=(x-1)\Pi_{\zeta\neq 1}(x-\zeta)$なので、両辺$x-1$で割り、$x=1$を代入して$\Pi_{\zeta\neq 1}(1-\zeta)=n$を得るのだ。
[5][4]を[3]に代入して$\det{A}=\frac{(-n)^{n-1}(n+1)}{2}$を得るのだ。
[0]当たり前の事:先の定理より与えられた$A$が$1,2,...,n$の巡回行列ならば明らかに成り立つのだ。
つまり巡回行列以外の場合のみを考えればよいのだ。
[1]nが奇数なら明らかなのだ。理由は第一列に第2,3,...,n列を加えて$\frac{n(n+1)}{2}$をくくり出し、さらに第一行に第2,3,...,n行を加えてnをくくり出せばいいからなのだ。そうすれば、$n^{2}$で割り切れるので証明完了なのだ。
[2]nが偶数の場合は明らかではない。理由は先の方法を実行しても、共通の因子$n+1$しか引き出せないからなのだ。
なので、$(n+1)^2$で割り切る事が出来ると証明出来ても、$n^2$で割り切れる事の証明にはならないのだ。
*この部分については別の方法で示す必要がありそうだが今の所分からない状態なので省略するのだ。いやまじで、nが偶数の時の証明方法が分からないのだ。中途半端で申し訳ないねなのだ。後でわかり次第加筆・修正いたしますのだ。