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自作問題あなぐら8(複素数列の漸化式)

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$$\newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{Lvec}[1]{\overrightarrow{\mathrm{#1}}} $$

問題

 $\alpha$$|\alpha| = 1$を満たす複素数の定数とし,$\beta$$0$でない実数の定数とする.複素数列$\{z_n\}$を以下のように定義する.
$$ z_1 = 1, \qquad z_{n+1} = \alpha z_n + \beta \quad (n = 1,\ 2,\ \cdots) $$
ただし,虚数単位は$i$とする.

  1. $\alpha = i$$\beta = 2$のとき,複素数平面上で点$z_n\ (n=1,\ 2,\ \cdots)$は同一円周上に存在することを示し,その円の中心と半径を求めよ.
  2. 複素数平面上で点$z_n\ (n=1,\ 2,\ \cdots)$が原点を中心とし,半径を$1$とする円周上にあるような$\alpha$$\beta$を求めよ.

余話

 一時期,たくさん複素数平面の問題を作っていました.というのも,当時,受けもっていた生徒さんが複素数平面を苦手としていたからです.この分野の問題を調べて扱っていく中で,痒い所に手が届くような問題が少ない(探しきれなかったともいう)と感じ,作成&出題を繰り返していました.自作問題あなぐらシリーズに複素数平面の問題が多いのはこのためです.誰も読んでないよとかいうのやめて

解答

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(1) 漸化式は$z_{n+1} = i z_n + 2$ゆえ$z_{n+1} - (1+i) = i \{z_n - (1+i)\}$.よって
$$ z_n - (1+i) = i^{n-1} (z_1 - (1+i)) = - i^{n}, \qquad \therefore z_n = 1 + i - i^n. $$
よって$|z_n - (1+i)| = 1$が成立するので,点列$\{z_n\}$は複素数平面上で中心$1+i$,半径$1$の円周上に存在する
(2) 任意の$n$に対して$|z_n| = 1$となるような$\alpha$$\beta$を求めればよい.$|z_2| = 1$かつ$|z_3| = 1$が必要だから,$|\alpha| = 1$および$\beta = \bar{\beta} \neq 0$を用いて整理すると
$$ \begin{cases} |\alpha + \beta| = 1, \\ |\alpha^2 + \alpha \beta + \beta| = 1 \end{cases} \qquad \therefore \begin{cases} 2 \Re(\alpha) + \beta = 0, \\ \beta + 2 \Re(\alpha) \beta + (\alpha^2 + \bar{\alpha}^2) = 0. \end{cases} $$
第1式より$\alpha = - \beta/2 + y i \ (y \in \mathbb{R})$とおけるから,$|\alpha| = 1$および第2式に用いて
$$ \begin{cases} \sqrt{\dfrac{\beta^2}{4} + y^2} = 1, \\ \beta - \dfrac{\beta^2}{2} - 2 y^2 = 0 \end{cases} \qquad \therefore \begin{cases} \beta = 2, \\ y = 0. \end{cases} $$
よって$\alpha = - 1$$\beta = 2$が必要.逆にこのとき,任意の$n \in \mathbb{N}$に対して$|z_n| = 1$であることを示す.$\alpha = - 1$$\beta = 2$のとき漸化式は$z_{n+1} = - z_n + 2$で,$z_1 = 1$から帰納的に$z_n = 1$が示される.よって$\alpha = - 1$$\beta = 2$で十分であることが示された.したがって求めるものは$\alpha = - 1$$\beta = 2$

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