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[数学的帰納法」の最初の問題

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1978一橋大の問題
整式$x^n$を整式$x(x-1)^2$で割ったときの余りは,
$ (n-1)x^2+(2-n)x$であることを証明せよ.
ただし,$n$は正の整数とする.

これは,私が初めて「数学的帰納法」に触れた問題です.
高校1年の1学期「剰余の定理」を学んだところで
解答に頓挫した私は学校の先生に質問にいって,
教科書「数学ⅡB」のここをマネしてやれと,
アドバイスをもらったというワケです.
整式といわず,多項式といういい方をすることにします.
[解1]「数学的帰納法」で
[証明]
[basis]$n=1,2$のとき,trivial.
$n=3$のとき,$x^3=x(x-1)^2+2x^2-x$なので成り立つ.
[induction step]$n=k$ $(k \geqq 3)$のとき,成り立つと仮定する:
$$x^k=x(x-1)^2 Q_{k}(x)+(k-1)x^2+(2-k)x $$
(ただし,$Q_{k}(x)$$x$の多項式とする.)
が成り立つと仮定する.
この仮定から,
$$x^{k+1}=x(x-1)^2(xQ_{k}(x)) +(k-1)x^3+(2-k)x^2 $$
$x^{k+1}$$x(x-1)^2$で割ったときの余りは,
$(k-1)x^3+(2-k)x^2 $$x(x-1)^2$で割ったときの余りに等しい.
$n=3$のときの式を使って,
$$(k-1)x^3+(2-k)x^2=(k-1)x(x-1)^2+(k-1)(2x^2-x)+(2-k)x^2 $$
$$(k-1)x^3+(2-k)x^2=(k-1)x(x-1)^2+kx^2+(1-k)x $$
よって,$n=k+1$のときも成り立つ.
[conclusion]
以上から,証明された.□□

上で確認したとおり,$n=1,2$のとき,trivialなので,
以降,$n$は3以上の自然数とする.

[解2]「積の微分」で,
$$x^n=x(x-1)^2 Q_{n}(x)+ax^2+bx+c $$
ここで,余りは高々2次の多項式なので,$ax^2+bx+c$とし,
商は多項式$Q_{n}(x)$とした.
$x=0,1$として,
$c=0$, $a+b+c=1$
さらに等式を微分して,
$$nx^{n-1}=((x-1)^2)' (xQ_{n}(x))+(x-1)^2 (xQ_{n}(x))'+2ax+b $$
$$nx^{n-1}=2(x-1) (xQ_{n}(x))+(x-1)^2 (xQ_{n}(x))'+2ax+b $$
ここで,$x=1$として,
$2a+b=n$
これらから,$a=n-1$$b=2-n$$c=0$.
余りは,$ (n-1)x^2+(2-n)x$
よって証明された.□□

[解3]「2項定理」で,
$$x^n=x((x-1)+1)^{n-1}=x \sum_{r=0}^{n-1} {}_{n-1} \mathrm{ C }_r{(x-1)}^r $$
$$x^n=x \sum_{r=2}^{n-1} {}_{n-1} \mathrm{ C }_r{(x-1)}^r+ {}_{n-1} \mathrm{ C }_1x(x-1)+ {}_{n-1} \mathrm{ C }_0x $$
余りは,
$$ {}_{n-1} \mathrm{ C }_1x(x-1)+ {}_{n-1} \mathrm{ C }_0x =(n-1)x^2+(2-n)x $$
よって証明された.□□

投稿日:18日前
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