この記事ではラマヌジャンの書いた論文"Some definite integrals connected with Gauss’s sums"を読んでいきます。
タイトルの12という番号はハーディによる書籍"Collected Papers of Srinivasa Ramanujan"におけるナンバリングに準じています。ちなみに"Collected Papers"の全容については
こちらのサイト
や
こちらのサイト
にて閲覧することができます。
なお各命題の証明については論文で示されている式変形以外は自力で考案したものとなるので至らぬ点もあるかもしれませんがあしからず。
この論文の主題は
のような積分の
そこで重要となってくるのはその積分の持つ保型性にあります。特に注目したいのは第2節で提示されている
という式にあり、そしてこの式こそがこの論文の一番ヤバい部分であると思います。
のような公式が得られることとなりますが、ここにガウス和
やそれに類似した式が現れることが論文の題名にある"connected with Gauss’s sums"の由来だと思われます。ちなみにこの論文の中でGauss sumという単語が現れることはありません。
を示せばよい。いま
の極を持つことに注意するとこの右辺は留数定理より
と計算できる。
を示せばよい(
に注意すると
とわかる。
被積分関数は偶関数であることに注意すると
を得る。
とおいたとき、上の公式において
が成り立つのでこれを
を得る。
とおくと
が成り立つ。
公式1において
つまり
が成り立つのでこの実部虚部を比較することで
を得る。これを
以下、公式1,2,3と同様にして以下が得られる。
とおくと
が成り立つ。
とおくと
が成り立つ。
この公式は公式4を
以下では
が有限和として表せることを示していく。
いま
が成り立つのでこれと同じラプラス変換を持つ関数を考える。
とおいたとき
が成り立つ。
および
に注意すると
を得る。
フレネル積分
に注意すると
と求まるので
とわかる。
以下簡単のため
なるものとする。このとき
と表せることに注意する。
とおいたとき
が成り立つ。特に
が成り立つ。
第一項の積分については
と計算でき、第二項の積分については
および
と計算できることから主張を得る。
仮定より
が成り立つこと、および
に注意すると
のように変形できることからわかる。
ちなみに
第一式は
に注意すると
のようにしてわかる。また第二式については
のようにしてわかる。
以下簡単のためディリクレ指標
と定める。
いい感じの関数
とおくと
が成り立つ。
とおくと
が成り立つ。
これは公式10からわかるらしいが詳しくは検証していない。
残りの節は第2節の類似なので詳しい解説は省略する。
ちなみに「第2,4節では分母が
なるものは同様に部分分数展開を用いることで上手いこと計算できる」といったことをラマヌジャンは述べている。
これを
下の公式は公式15において
とおいたとき、
が成り立ち、また
が成り立つ。