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コラッツ予想で循環する数が「1」のみ存在することの証明のアイデア

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1.はじめに

こんにちは。えのきたけです。
ご覧いただきありがとうございます。
今回は、コラッツ予想で循環する数が「1」のみ存在することについての証明です。

2.仮定

コラッツ予想で1を除いた循環する奇数をC、Dとする。
C、Dは自然数かつ奇数、nは自然数。

3.循環の条件

条件とした以下の2つがあります。

①1に帰着しない。

②Cは $2^{n}×C$ という偶数を通過する。
通過した時点で循環は示される。
循環の入り口はこれのみ。

8C→4C→2C→Cという道が唯一の Cに再帰する方法であり、2C、4C…という偶数に合流する奇数が再帰するための入り口のようなものです。

4.証明①(C=D)

まず、コラッツ予想において、1つの偶数に合流する奇数は1つのみです。
$2^{n}×C$ に合流する奇数をDとします。

証明①では、D=Cの場合について考えます。

これは、$3C+1 = 2^{n}×C$
が成り立つとき、循環が発生することを示しています。

\begin{align} 3C + 1 &= 2^{n}×C \\ 3C − 2^{n}×C &= −1 \\ C(3−2^{n})&= −1 \\  C &= −\frac{1}{3−2^{n}} \\  C &= \frac{1}{2^{n}−3} \\ \end{align}

Cは自然数かつ奇数ですので、
結果の式が成り立つのはn=2のときのみです。
n=2のとき、C=1になります。

よって、D=Cのとき、Cは1のみという結論が得られました。

D=Cの場合にCを求める数式

$$C = \frac{1}{2^{n}−3}$$

5.証明②(C≠D)

証明②では、D≠Cの場合を考えます。
D≠Cの場合、以下の2つの条件があります。

A.DがCの2のn乗倍を通過する
B.CがDの2のn乗倍を通過する

数式化すると、

.(D≠Cの場合の2つの条件)

A. $3D + 1 = 2^{n}×C$
B. $3C + 1 = 2^{n}×D$

Aの式からCの値を求めます。

\begin{align} 2^{n}×C &= 3D + 1 \\ C &= \frac{3D+1}{2^ {n}} \\ \end{align}

この式をBの数式に代入します。

\begin{align} 3(\frac{3D+1}{2^ {n}})+1 &= 2^{n} × D \\  \frac{9D+3}{2^ {n}}+1 &= 2^{n} × D \\  \frac{9D+3+2^{n} }{2^ {n}} &= 2^{n} × D \\  両辺に2のn乗をかける \\  9D+3+2^{n} &= 2^{2n} × D \\  9D − 2^{2n} × D &= −(3+2^{n})\\  D(9−2^{2n})&= −(2^{n}+3)\\  D &= \frac{−(2^{n}+3)}{9−2^{2n}} \\  D &= \frac{2^{n}+3}{2^{2n}−9} \\ \end{align}
最後の式を見に注目して下さい。
nについて考えると、n=1のとき、分母が負の値、n>2のとき、分子<分母となるので、
n=2のみであることが分かります。

n=2を代入して計算します。

Dを求める式(C≠Dの場合)

$$ D = \frac{2^{n}+3}{2^{2n}−9} $$

$$ D = \frac{2^{2}+3}{2^{2×2}−9} = \frac{4+3}{16−9} = \frac{7}{7} = 1 $$

n=2のとき、D=1であることが分かりました。

もし、CがDに合流する間に別の奇数Eを通過するとしても、DとEで同じことが言えるので、問題はないです。

C≠Dの場合は、Cが存在しないことが証明されました。
(これは、Cは1に帰着しないという条件があるためです。)

6.結論

C=Dのとき、C=1
C≠Dのとき、Cは存在しない。
(Cはコラッツ動作で循環する数、DはCの2のn乗倍の偶数に合流する奇数)

よって、C=Dであり、コラッツ予想において循環する数は1のみである。

7.最後に

最後までご覧いただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
ご意見・ご指摘を下さると助かります。

.追記

条件A、Bではどちらもnが使われていますが、値が違う可能性もあります。

A. 3D+1 = 2^{n}×C
B. 3C+1 = 2^{m}×D

と訂正します。本文中の証明はn=mの場合です。

n≠mの場合のDは
$$ D = \frac{2^{n}+3}{2^{n+m}−9} $$
となります。
ですが、この場合でも結論は変わりません。

n=2かつm=2のときを考えると、
D=1です。

分子と分母の大小関係について考えます。
n=2かつ m=2のときに分母と分子の差は0になります。

nの値で場合分けをします。

n=1の場合

$$ D = \frac{5}{2^{1+m}−9 } $$
Dが正の数となるとき、 m>2
(分子)>(分母)となるとき m=3
$$ G= \frac{5}{7} $$
(分子)<(分母)となるとき m>3

n=2の場合

$$ D = \frac{7}{2^{2+m}−9 } $$
Dが正の数となるとき m>1
(分子)=(分母)となるとき m=2、G=1
(分子)<(分母)となるとき m>2

n=3の場合

$$ D = \frac{11}{2^{3+m}−9 } $$
Dが正の数となるとき m>0
(分子)>(分母)となるとき m=1
$G=\frac{11}{7}$
(分子)<(分母)となるとき m>1

n=4の場合

$$ D = \frac{19}{2^{4+m}−9 } $$
Gが正の数となるとき m>0
(分子)<(分母)となるとき m>0

n=5の場合…

つまり、言いたいことは、n=4まで
(分子)=(分母)となる数は「1」しか存在しなく
n$\geqq $4から、 mがどのような値でも
(分子)<(分母)となるGしか現れなくなるということです。

結論としては、n≠mでも、G=1のみだということです。

.追追記

この記事の続きを書きました。
https://mathlog.info/articles/Uur1KKKEUAE1GurN5JlS
よろしければご覧ください。そこまでボリュームはありません。

投稿日:44
更新日:415
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投稿者

こんにちは。えのきたけです。 高校1年生で趣味で数学をやっています。 特にコラッツ予想が好きです。

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