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2026年 東京大学 理系数学 第3問

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問題

2026年 東京大学 理系数学 第3問

座標空間内の原点を中心とする半径 $5$ の球面を $S$ とする。$S$ 上の相異なる $3$ 点 $\mathrm{P},\mathrm{Q},\mathrm{R}$ が次の条件を満たすように動く。
条件:$\mathrm{P},\mathrm{Q}$ は $xy$ 平面上にあり,三角形 $\mathrm{PQR}$ の重心は $\mathrm{G}(2,0,1)$ である。
以下の問いに答えよ。
(1) 線分 $\mathrm{PQ}$ の中点 $\mathrm{M}$ の軌跡を $xy$ 平面上に図示せよ。
(2) 線分 $\mathrm{PQ}$ が通過する範囲を $xy$ 平面上に図示せよ。

1. 問題の構造

1.1 記号と基本補題

記号
  1. 点とその位置ベクトルを同一視し、内積を $\mathrm{X}\cdot\mathrm{Y}$、長さを $|\mathrm{X}|$ で表す。$xy$ 平面上の点 $(x,y,0)$ を $(x,y)$ と略記し、$\mathrm{X}=(x,y)$ に対して $r=|\mathrm{X}|=\sqrt{x^2+y^2}$ とおく。
  2. $\mathrm{O}$ を原点とし、$xy$ 平面内の円 $\Omega:\ x^2+y^2=25$ と閉円板 $\mathcal{D}:\ x^2+y^2\le 25$ を定める。
  3. $\Gamma:\ (x-3)^2+y^2=4$、$\Gamma^{\ast}=\Gamma\setminus\{(5,0)\}$、$\mathrm{C}(3,0)$、$\mathrm{H}(6,0)$ とする。
  4. $\mathrm{M}\neq\mathrm{O}$ に対し、$\mathrm{M}$ を通り $\mathrm{OM}$ に垂直な直線を $\ell_{\mathrm{M}}=\{\mathrm{X}\mid(\mathrm{X}-\mathrm{M})\cdot\mathrm{M}=0\}$ とする。
  5. $\Phi(x,y)=5x^2-30x+25-4y^2$ とし、$\mathcal{B}=\{\Phi\le 0\}$、$\mathcal{H}=\{\Phi=0\}$ とする。
  6. 線分 $\mathrm{PQ}$ の通過範囲を $\mathcal{W}$ とする。

$\Phi=5(x-3)^2-4y^2-20=5(x-1)(x-5)-4y^2$ より、$\mathcal{H}$ は双曲線 $\dfrac{(x-3)^2}{4}-\dfrac{y^2}{5}=1$、$\mathcal{B}$ はその二枝に挟まれた閉領域である。

弦とその中点

$\mathrm{P},\mathrm{Q}\in\Omega$、$\mathrm{M}=\dfrac{\mathrm{P}+\mathrm{Q}}{2}$ とする。
(1) $|\mathrm{M}|\le 5$ であり、等号は $\mathrm{P}=\mathrm{Q}$ のときに限る。
(2) $\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$ かつ $\mathrm{M}\neq\mathrm{O}$ ならば、直線 $\mathrm{PQ}=\ell_{\mathrm{M}}$、線分 $\mathrm{PQ}=\ell_{\mathrm{M}}\cap\mathcal{D}$ である。
(3) 逆に $0<|\mathrm{M}|<5$ ならば、$\mathrm{M}$ を中点とする $\Omega$ の弦($\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$)が順序を除いてただ一つ存在する。

  1. $|\mathrm{P}+\mathrm{Q}|^2=50+2\,\mathrm{P}\cdot\mathrm{Q}\le50+2|\mathrm{P}||\mathrm{Q}|=100$。等号は $\mathrm{P},\mathrm{Q}$ が正の比例関係、すなわち $\mathrm{P}=\mathrm{Q}$ のときに限る。
  2. $(\mathrm{P}-\mathrm{Q})\cdot\mathrm{M}=\frac12\left(|\mathrm{P}|^2-|\mathrm{Q}|^2\right)=0$ と $\mathrm{M}\in\mathrm{PQ}$ より、直線 $\mathrm{PQ}=\ell_{\mathrm{M}}$。$\ell_{\mathrm{M}}\cap\mathcal{D}$ は端点を $\Omega$ 上にもつ閉線分であり、$\ell_{\mathrm{M}}\cap\Omega=\{\mathrm{P},\mathrm{Q}\}$ であるから線分 $\mathrm{PQ}$ に一致する。
  3. $\boldsymbol{e}\perp\mathrm{M}$ を単位ベクトル、$s=\sqrt{25-|\mathrm{M}|^2}>0$ とすると、$\mathrm{M}\pm s\boldsymbol{e}\in\ell_{\mathrm{M}}\cap\Omega$ である。一意性は (2) と $\ell_{\mathrm{M}}\cap\Omega$ が $2$ 点であることによる。
単位ベクトルとの内積の値域

$\boldsymbol{a}\in\mathbb{R}^2$、$k\in\mathbb{R}$ とする。$\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{e}=k$ を満たす単位ベクトル $\boldsymbol{e}$ が存在するための必要十分条件は $|k|\le|\boldsymbol{a}|$ である。

必要性は Cauchy–Schwarz の不等式による。十分性:$\boldsymbol{a}=\boldsymbol{0}$ なら $k=0$ で自明。$\boldsymbol{a}\neq\boldsymbol{0}$ なら、$\boldsymbol{a}$ を $90^\circ$ 回転したベクトル $\boldsymbol{a}^{\perp}$ を用いて
$$ \boldsymbol{e}=\frac{k\,\boldsymbol{a}+\sqrt{|\boldsymbol{a}|^2-k^2}\,\boldsymbol{a}^{\perp}}{|\boldsymbol{a}|^2} $$
とおけば $\boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{e}=k$、$|\boldsymbol{e}|=1$ である。

1.2 次元削減:三点から中点へ

自由度は $(\mathrm{P},\mathrm{Q})$ が $2$、$\mathrm{R}\in S$ が $2$、重心条件が $3$ 本の拘束であり、配置全体は $1$ 径数族である。$\mathrm{M}=(u,v,0)$ とおくと
$$ \mathrm{R}=3\mathrm{G}-2\mathrm{M}=(6-2u,\,-2v,\,3). $$
よって $\mathrm{R}\in S\iff\mathrm{M}\in\Gamma$、$\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}\iff|\mathrm{M}|<5$( 補題1 )。$z_{\mathrm{R}}=3$ より $\mathrm{R}\notin\{\mathrm{P},\mathrm{Q}\}$ と $3$ 点の非共線性は自動的に成り立ち、問題は一点 $\mathrm{M}$ の問題に帰着する。

1.3 弦の正規形と直交射影の核

補題1 より線分 $\mathrm{PQ}=\ell_{\mathrm{M}}\cap\mathcal{D}$ であり、(2) は次の同値に支配される。
$$ \mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}=|\mathrm{M}|^2 \tag{C}\label{eqcore} $$
$\mathrm{M}\in\Gamma$ では $|\mathrm{M}|^2=6u-5$ より、\eqref{eqcore} は $(x-6)u+yv+5=0$ となる。これは $(x,y)$ と $(u,v)$ の双方について一次であり、点を固定してパラメータの存在を問う方針(逆像法)が自然に導かれる。
\eqref{eqcore} の言い換えと、それを出発点とする解法は次のとおりである。

表現式幾何的意味解法
内積$\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}=\lvert\mathrm{M}\rvert^2$$\mathrm{OX}$ の $\mathrm{OM}$ 方向への射影が $\mathrm{OM}$本解
直角$(\mathrm{X}-\mathrm{M})\cdot(\mathrm{O}-\mathrm{M})=0$$\mathrm{M}$ は直径 $\mathrm{OX}$ の円上別解1
反射$\lvert\mathrm{X}\rvert=\lvert\mathrm{X}-2\mathrm{M}\rvert$$\ell_{\mathrm{M}}$ は $\mathrm{O}$ と $2\mathrm{M}$ の垂直二等分線別解2
方べき$\mathrm{X}\cdot\mathrm{N}=5$、$\mathrm{N}=5\mathrm{M}/\lvert\mathrm{M}\rvert^2$$\ell_{\mathrm{M}}$ は円 $x^2+y^2=5$ に関する $\mathrm{N}$ の極線参考解1

反射の行は恒等式 $|\mathrm{X}-2\mathrm{M}|^2-|\mathrm{X}|^2=4\left(|\mathrm{M}|^2-\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}\right)$ による。

1.4 数値設定の分析

$\mathrm{G}(g,0,h)$($|h|<5/3$)に対し、$\mathrm{R}\in S$ は
$$ \left|\mathrm{M}-\left(\tfrac{3g}{2},0\right)\right|=\rho,\qquad \rho=\tfrac12\sqrt{25-9h^2} $$
と同値である。本問の $(g,h)=(2,1)$ について:
(1) $h=1$:$z_{\mathrm{R}}=3$、$3^2+4^2=5^2$ より $\rho=2$。
(2) $g=2$:$\mathrm{OC}+\rho=5$、すなわち $\Gamma$ は $\Omega$ に $(5,0)$ で内接し、退化点はちょうど一つである。
(3) $\mathrm{OC}=3>\rho=2$:境界は双曲線であり( 定理6 )、$a=2$、$c=3$、$e=\frac32$、$b^2=\mathrm{OC}^2-\rho^2=5$ は $\mathrm{O}$ の $\Gamma$ に関する方べきに等しい。
(4) $(5,0)$ は $\Gamma$ と $\Omega$ の接点、$\mathcal{H}$ の右頂点、右枝と $\mathcal{D}$ の唯一の共有点を兼ね、右枝は答えに現れない。
(5) $\mathrm{G}$ の $y$ 座標が $0$ より、全体は $x$ 軸対称である。
全量を整数に保ちつつ退化を一点に限り、双曲線の片枝を答えの外に置く配置である。(1) で軌跡の必要十分性を、(2) で直線と線分の区別および一点除外を問う構成と解釈できる。

1.5 直線と線分、退化の処理

$$ \mathcal{W}=\bigcup_{\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}}\left(\ell_{\mathrm{M}}\cap\mathcal{D}\right)=\Bigl(\bigcup_{\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}}\ell_{\mathrm{M}}\Bigr)\cap\mathcal{D}. $$
$\mathcal{D}$ との共通部分は省略できない。除外パラメータ $\mathrm{M}=(5,0)$ の直線 $x=5$ は $\mathcal{D}$ と $(5,0)$ のみを共有し、この点を覆う他のパラメータはない( 2.2 )。

1.6 特殊配置からの予想

$\mathrm{M}=(1,0),(5,0)$ は直線 $x=1,\ x=5$ を与える。$\mathrm{O}$ から $\Gamma$ への接点 $\mathrm{M}=\left(\frac53,\pm\frac{2\sqrt5}{3}\right)$($|\mathrm{M}|^2=5$)は
$$ \frac53x\pm\frac{2\sqrt5}{3}y=5\iff y=\mp\frac{\sqrt5}{2}(x-3) $$
を与え、いずれも $\mathrm{C}$ を通る。中心 $(3,0)$、頂点 $(1,0),(5,0)$、漸近線の傾き $\pm\frac{\sqrt5}{2}$ から、計算前に境界 $\dfrac{(x-3)^2}{4}-\dfrac{y^2}{5}=1$ が予想される。

1.7 構造と解法の対応

着眼する構造翻訳帰着する問題解法
重心の中線比 $\mathrm{RG}:\mathrm{GM}=2:1$中心 $\mathrm{G}$、比 $-\tfrac12$ の相似変換円の像(1) の別証
内積形とパラメータ円単位ベクトルの一次条件内積の値域本解
$\angle\mathrm{OMX}=90^\circ$直径 $\mathrm{OX}$ の円二円の位置関係別解1
菱形 $\mathrm{OPTQ}$($\mathrm{T}=2\mathrm{M}$)$\mathrm{OT}$ の垂直二等分線焦点距離の差別解2
$\mathrm{O}$ の $\Gamma$ に関する方べき $5$反転 $\mathrm{M}\mapsto\mathrm{N}$右辺一定の直線族参考解1
$1$ 径数直線族接触条件 $F=F_t=0$包絡線参考解2
$\mathrm{M}$ は $\mathrm{O}$ からの垂線の足補助円円錐曲線の同定参考解3

2. 本解

2.1 方針

  1. $\mathrm{P},\mathrm{Q}$ を中点 $\mathrm{M}$ に集約し、$\mathrm{R}\in S$ を課したうえで退化 $\mathrm{P}=\mathrm{Q}$ を除く。(2) 点 $\mathrm{X}$ を固定し、$\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}$ を満たす $\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}$ の存在を 補題2 で判定する。最後に $\mathcal{D}$ との共通部分をとり、退化パラメータを除く。

2.2 解答

結論
  1. $\mathrm{M}$ の軌跡は $\Gamma^{\ast}$、すなわち円 $(x-3)^2+y^2=4$ から点 $(5,0)$ を除いたものである。
  2. 線分 $\mathrm{PQ}$ の通過範囲は
    $$ \mathcal{W}=(\mathcal{B}\cap\mathcal{D})\setminus\{(5,0)\}=\left\{(x,y)\ \middle|\ x^2+y^2\le25,\ \ \frac{(x-3)^2}{4}-\frac{y^2}{5}\le1\right\}\setminus\{(5,0)\} $$
    である。

(1) の証明

$\mathrm{M}=(u,v,0)$ とおく。$\mathrm{R}=(6-2u,-2v,3)$ より
$$ \mathrm{R}\in S\iff(6-2u)^2+4v^2+9=25\iff(u-3)^2+v^2=4. $$
必要性:$\mathrm{M}\in\Gamma$。$\Gamma$ 上では $|\mathrm{M}|^2=6u-5$($1\le u\le5$)であり、$|\mathrm{M}|=5$ となるのは $\mathrm{M}=(5,0)$ のみである。$\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$ より 補題1 (1) から $|\mathrm{M}|<5$、よって $\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}$。
十分性:$\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}$ なら $1\le|\mathrm{M}|^2<25$ であり、 補題1 (3) より弦 $\mathrm{PQ}$($\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$)が存在する。$\mathrm{R}=(6-2u,-2v,3)\in S$ とすれば、$z_{\mathrm{R}}=3$ より $\triangle\mathrm{PQR}$ は非退化で、重心は $\mathrm{G}$ である。$\blacksquare$

(2) の証明

$\mathrm{M}\in\Gamma^{\ast}$ は $0<|\mathrm{M}|<5$ を満たすから、 1.5 の等式が成り立つ。$\mathrm{X}=(x,y)$ を固定する。$\mathrm{M}=(u,v)\in\Gamma$ に対し、\eqref{eqcore} と $|\mathrm{M}|^2=6u-5$ より
$$ \mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff(x-6)u+yv+5=0. \tag{2.1}\label{eq21} $$
$\Gamma$ の点を単位ベクトル $\boldsymbol{e}=(\alpha,\beta)$ で $\mathrm{M}=\mathrm{C}+2\boldsymbol{e}$ と表すと
$$ 2\{(x-6)\alpha+y\beta\}=13-3x. \tag{2.2}\label{eq22} $$
補題2 ($\boldsymbol{a}=2(x-6,y)$、$k=13-3x$)より
$$ \exists\,\mathrm{M}\in\Gamma:\ \mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff|13-3x|\le2\sqrt{(x-6)^2+y^2}. \tag{2.3}\label{eq23} $$
両辺を平方して整理すると $5x^2-30x+25-4y^2\le0$、すなわち $\mathrm{X}\in\mathcal{B}$。
除外:$\mathrm{X}\in\mathcal{B}\cap\mathcal{D}\setminus\{(5,0)\}$ に対応する $\mathrm{M}$ が $(5,0)$ ならば、 \eqref{eq21} より $x=5$、$\mathrm{X}\in\mathcal{D}$ より $y=0$ となり矛盾する。逆に $\mathrm{X}=(5,0)$ では \eqref{eq21} が $u=5$ を与え、対応するのは $\mathrm{M}=(5,0)$ のみである。よって $\mathcal{W}=(\mathcal{B}\cap\mathcal{D})\setminus\{(5,0)\}$。$\blacksquare$

2.3 図示

通過範囲の同値表示

$\mathrm{X}=(x,y)\in\mathcal{D}$、$r=|\mathrm{X}|$ について、次は同値である。
(1) $\mathrm{X}\in\mathcal{B}$
(2) $3x+2r\ge5$
(3) $\mathrm{X}=(r\cos\theta,r\sin\theta)\neq\mathrm{O}$ かつ $\cos\theta\ge-\dfrac13$、$\dfrac{5}{2+3\cos\theta}\le r$

(1)$\iff$(2):$3x\ge5$ のとき $\frac53\le x\le5$ より $(x-3)^2\le4$、よって両条件とも成り立つ。$3x<5$ のとき (2) $\iff$ $4(x^2+y^2)\ge(5-3x)^2$ $\iff$ $\Phi\le0$。
(2)$\iff$(3):$\mathrm{X}=\mathrm{O}$ は (2) を満たさない。$\mathrm{X}\neq\mathrm{O}$ では (2) $\iff$ $r(2+3\cos\theta)\ge5$ であり、$r\le5$ より $2+3\cos\theta\ge1$、すなわち $\cos\theta\ge-\frac13$ が従う。逆は明らか。

$\mathcal{H}$ と $\Omega$ の交点は $3x^2-10x-25=(3x+5)(x-5)=0$ より
$$ (5,0),\qquad \mathrm{A}_{\pm}\left(-\frac53,\ \pm\frac{10\sqrt2}{3}\right) $$
である。右枝は $x\ge5$ にあり、$\mathcal{D}$ とは $(5,0)$ のみを共有する。
(1) の図:中心 $(3,0)$、半径 $2$ の円($\Omega$ に $(5,0)$ で内接)を描き、$(5,0)$ を白丸とする。
中点 M の軌跡 中点 M の軌跡
(2) の図:$\mathcal{W}$ は、$\mathcal{H}$ の左枝の弧 $\mathrm{A}_{-}\to(1,0)\to\mathrm{A}_{+}$(極方程式 $r=\frac{5}{2+3\cos\theta}$)と、$\Omega$ の弧 $\mathrm{A}_{+}\to(5,0)\to\mathrm{A}_{-}$($\cos\theta\ge-\frac13$)で囲まれた閉領域から、$(5,0)$ のみを除いたものである。$\mathrm{O}\notin\mathcal{W}$。

線分 PQ の通過範囲 線分 PQ の通過範囲

2.4 検証・検算

  1. 境界と重解:$\mathrm{X}=(1,0)$ では \eqref{eq21} の解は $\mathrm{M}=(1,0)$ のみ(接触)、内点 $\mathrm{X}=\mathrm{C}$ では $\mathrm{M}=\left(\frac53,\pm\frac{2\sqrt5}{3}\right)$ の $2$ 個である。
  2. 外点:$\Phi(0,0)=25>0$。$\mathrm{O}$ を通る弦は直径であり、その中点 $\mathrm{O}\notin\Gamma$ と整合する。
  3. 直線の式:\eqref{eq21} に $(x,y)=(u,v)$ を代入すると $\Gamma$ の方程式に一致し、$\mathrm{M}\in\ell_{\mathrm{M}}$ を確認できる。
  4. 対称性:\eqref{eq21} は $(y,v)\mapsto(-y,-v)$ で不変である。
  5. 端点:$\mathrm{X}=(0,5)$ では \eqref{eq21} と $\Gamma$ から $61u^2-210u+150=0$、判別式 $7500>0$ であり、弧上の点が実際に端点となる。

3. 別解と参考解

3.1 (1) の別証:重心による相似変換

着想・方針

$\mathrm{RG}:\mathrm{GM}=2:1$ より、$\mathrm{R}\mapsto\mathrm{M}$ は中心 $\mathrm{G}$、比 $-\frac12$ の相似変換である。

解答

$z_{\mathrm{R}}=3$、$\mathrm{R}\in S$ より、$\mathrm{R}$ は平面 $z=3$ 上の中心 $\mathrm{K}(0,0,3)$、半径 $4$ の円上にある。$\mathrm{M}=\mathrm{G}-\frac12(\mathrm{R}-\mathrm{G})$ による $\mathrm{K}$ の像は $(3,0,0)$、半径は $2$ であり、像は $\Gamma$ である。対応は全単射であり、$\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}$ は $\mathrm{M}\neq(5,0)$、すなわち $\mathrm{R}\neq(-4,0,3)$ と同値である。$\blacksquare$

検証・検算

$\mathrm{R}=(-4,0,3)$ の像は $(5,0,0)$ で退化点に一致する。比が負であるため $\mathrm{K}$ と $\mathrm{C}$ は $\mathrm{G}$ の反対側にある。

3.2 通過範囲の諸表示

以下は存在条件の座標表示であり、独立な解法ではない。
(1) 焦点 $\mathrm{H}$:\eqref{eq23} は $\mathrm{XH}\ge\frac32\left|x-\frac{13}{3}\right|$(準線 $x=\frac{13}{3}$、$e=\frac32$)。
(2) 焦点 $\mathrm{O}$:$\mathcal{B}$ は $|5-3x|\le2r$、すなわち $\mathrm{XO}\ge\frac32\left|x-\frac53\right|$(準線 $x=\frac53$)とも同値。
(3) 極座標:$r=\dfrac{5}{2+3\cos\theta}$ は半通径 $\frac52$、$e=\frac32$ の円錐曲線の極方程式である。
(4) 焦点座標:$\xi=\mathrm{XO}-\mathrm{XH}$、$\eta=\mathrm{XO}+\mathrm{XH}$ により $\mathcal{B}\cap\mathcal{D}=\{|\xi|\le4,\ \xi+\eta\le10\}$。
(1) は本解、(2) は参考解1が与える表示であり、両者の対称性は 3.9 で述べる。

3.3 別解1:タレスの円と二円の位置関係

着想・方針

$\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}$ は $\angle\mathrm{OMX}=90^\circ$(または $\mathrm{X}=\mathrm{M}$)であり、$\mathrm{M}$ は直径 $\mathrm{OX}$ の円 $\omega_{\mathrm{X}}$ 上にある。存在条件は $\Gamma\cap\omega_{\mathrm{X}}\neq\varnothing$ に帰着する。

解答

  1. は 3.1 による。(2) $\mathrm{X}\in\mathcal{D}$、$r=|\mathrm{X}|\le5$ とする。$\omega_{\mathrm{X}}$ は中心 $\frac12\mathrm{X}$、半径 $\frac r2$ であり、$2\left|\mathrm{C}-\tfrac12\mathrm{X}\right|=\mathrm{XH}$ であるから、二円が共有点をもつ条件は
    $$ |4-r|\le\mathrm{XH}\le4+r. $$
    左側は $\mathrm{XH}\ge\mathrm{OH}-\mathrm{OX}=6-r\ge|4-r|$($r\le5$)より自動的に成り立つ。右側は
    $$ (x-6)^2+y^2\le(r+4)^2\iff3x+2r\ge5 $$
    であり、 命題4 より $\mathcal{D}$ 上で $\mathrm{X}\in\mathcal{B}$ と同値である。除外は本解と同一。$\blacksquare$

検証・検算

$\mathrm{X}=(1,0)$ では $\mathrm{XH}=5=r+4$(外接)、$\mathrm{X}=(5,0)$ では $\mathrm{XH}=1=|4-r|$(内接、接点は禁止点)、$\mathrm{X}=\mathrm{A}_{+}$ では $\mathrm{XH}^2=\left(\frac{23}{3}\right)^2+\frac{200}{9}=81$ より $\mathrm{XH}=9=r+4$ である。

3.4 別解2:反射点 $\mathrm{T}=\mathrm{P}+\mathrm{Q}$ と焦点距離の差

着想・方針

$\mathrm{T}=\mathrm{P}+\mathrm{Q}=2\mathrm{M}$ とおくと $\mathrm{OPTQ}$ は菱形であり、$\ell_{\mathrm{M}}$ は $\mathrm{OT}$ の垂直二等分線となる。$\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}$ が $\mathrm{XO}=\mathrm{XT}$ に変わり、$\mathrm{T}$ が円を動くことから焦点距離の差が現れる。

解答

  1. $\mathrm{T}+\mathrm{R}=(6,0,3)$ より $z_{\mathrm{R}}=3$、$\mathrm{R}$ の水平成分 $\mathrm{H}-\mathrm{T}$ の長さは $4$。よって $\mathrm{T}\in\Sigma:\ |\mathrm{T}-\mathrm{H}|=4$、$\mathrm{M}=\frac12\mathrm{T}\in\Gamma$。除外は $\mathrm{T}\neq(10,0)$。
  2. 1.3 の恒等式より $\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff\mathrm{XO}=\mathrm{XT}$。よって条件は、中心 $\mathrm{X}$・半径 $\mathrm{XO}$ の円と $\Sigma$ が交わること、すなわち
    $$ |\mathrm{XO}-4|\le\mathrm{XH}\le\mathrm{XO}+4. $$
    $\mathrm{XO}+\mathrm{XH}\ge\mathrm{OH}=6>4$ より、これは $|\mathrm{XO}-\mathrm{XH}|\le4$ と同値である。$s=\mathrm{XO}$、$t=\mathrm{XH}$ とすると $s^2-t^2=12(x-3)$ より
    $$ s\le t+4\iff3x-13\le2t,\qquad t\le s+4\iff3x+2s\ge5. $$
    $\mathcal{D}$ 上では $x\le5$、$t\ge1$ より前者は自動的であり、後者は 命題4 より $\mathrm{X}\in\mathcal{B}$ と同値である。境界 $|\mathrm{XO}-\mathrm{XH}|=4$ は焦点 $\mathrm{O},\mathrm{H}$、$2a=4$、$2c=6$、$b^2=5$ の双曲線 $\mathcal{H}$ である。除外は本解と同一。$\blacksquare$

検証・検算

$a=2$(距離の差が $2a$)、$c^2=a^2+b^2=9$。菱形の対角線 $2|\mathrm{M}|$、$2\sqrt{25-|\mathrm{M}|^2}$ の平方和は $100=4\cdot5^2$ で平行四辺形の法則と整合する。$\mathrm{T}=(10,0)$ では半径 $5$ の二円(中心 $\mathrm{O},\mathrm{T}$)が外接し、$\mathrm{P}=\mathrm{Q}$ となる。

3.5 参考解1:方べきによる再パラメータ化

着想・方針

$\mathrm{O}$ の $\Gamma$ に関する方べきは $3^2-2^2=5$ であり、直線 $\mathrm{OM}$ と $\Gamma$ の他方の交点は $\mathrm{N}=5\mathrm{M}/|\mathrm{M}|^2$ である。これにより \eqref{eqcore} の右辺が定数になる。

解答

$\mathrm{M}=(u,v)\in\Gamma$ に対し $\mathrm{N}=5\mathrm{M}/|\mathrm{M}|^2$ とおくと
$$ |\mathrm{N}|^2-6N_x+5=\frac{5\left(|\mathrm{M}|^2-6u+5\right)}{|\mathrm{M}|^2}=0 $$
より $\mathrm{N}\in\Gamma$ であり、$\mathrm{M}\mapsto\mathrm{N}$ は $\Gamma$ 上の対合($(5,0)\mapsto(1,0)$)である。\eqref{eqcore} に $5/|\mathrm{M}|^2$ を掛けて $\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff\mathrm{X}\cdot\mathrm{N}=5$。$\mathrm{N}=\mathrm{C}+2\boldsymbol{e}$ とおくと $\mathrm{X}\cdot\boldsymbol{e}=\frac{5-3x}{2}$ となり、 補題2 より
$$ |5-3x|\le2\sqrt{x^2+y^2}\iff\Phi(x,y)\le0. $$
除外は $\mathrm{N}=(1,0)$、すなわち直線 $x=5$ に対応する。$\blacksquare$
$(p,q)=\mathrm{N}/5$ とすれば直線族は $px+qy=1$、パラメータは円 $\left(p-\frac35\right)^2+q^2=\left(\frac25\right)^2$ 上を動く( 5.4 )。

検証・検算

$\mathrm{M}=(5,0)$ で $\mathrm{OM}\cdot\mathrm{ON}=5\cdot1=5$。接点 $\mathrm{M}=\left(\frac53,\pm\frac{2\sqrt5}{3}\right)$ では $|\mathrm{M}|^2=5$ より $\mathrm{N}=\mathrm{M}$ で、対合の不動点に一致する。

3.6 参考解2:包絡線による境界の抽出

着想・方針

$\mathcal{D}$ 内部の境界は隣接する直線の接触点、すなわち $F=F_t=0$ の解として現れる。領域の側は別に決める。

解答

$\mathrm{M}=(3+2\cos t,\,2\sin t)$($\Gamma^{\ast}$ は $t\neq0$)とおくと $|\mathrm{M}|^2=13+12\cos t$ であり、
$$ F=3x-13+2(x-6)\cos t+2y\sin t,\qquad F_t=-2(x-6)\sin t+2y\cos t. $$
$F=F_t=0$ を $2(x-6)\cos t+2y\sin t=13-3x$、$-2(x-6)\sin t+2y\cos t=0$ と書いて平方和をとると
$$ 4\{(x-6)^2+y^2\}=(13-3x)^2\iff\Phi=0. $$
$\cos t\neq-\frac23$ のとき接点は
$$ \mathrm{E}(t)=\left(\frac{12+13\cos t}{2+3\cos t},\ \frac{-5\sin t}{2+3\cos t}\right) $$
であり、$\cos t=-\frac23$ では解がない($\ell_{\mathrm{M}}$ は漸近線)。よって包絡線は $\mathcal{H}$ である。領域の側は \eqref{eq23} により $\mathcal{B}$ と定まり、$\mathcal{D}$ との共通部分と $(5,0)$ の除外を加える。$\blacksquare$

検証・検算

$c=\cos t$、$d=2+3c$ とすると
$$ \frac{(x-3)^2}{4}-\frac{y^2}{5}=\frac{(3+2c)^2-5(1-c^2)}{d^2}=\frac{(2+3c)^2}{d^2}=1. $$
$\mathrm{E}(\pi)=(1,0)$、$\mathrm{E}(0)=(5,0)$。$x-3$ の符号は $d$ の符号に一致し、$\mathcal{D}$ 内で境界を作るのは $\cos t<-\frac23$ の直線(左枝に接する)のみである。

3.7 参考解3:垂足曲線と補助円による双曲線の同定

着想・方針

$\mathrm{M}$ は $\mathrm{O}$ から $\ell_{\mathrm{M}}$ への垂線の足であり、円 $\Gamma$ を描く。焦点から接線への垂線の足が補助円を描くという円錐曲線の性質を逆に用いる。

焦点から接線への垂線の足

焦点 $\mathrm{F}_1,\mathrm{F}_2$、中心 $\mathrm{Z}$、主軸の半長 $a$ の双曲線の任意の接線に対し、$\mathrm{F}_1$ から下ろした垂線の足は中心 $\mathrm{Z}$、半径 $a$ の円上にある。

接点を $\mathrm{E}$ とすると、接線は $\angle\mathrm{F}_1\mathrm{E}\mathrm{F}_2$ の二等分線である。$\mathrm{F}_1$ の接線に関する鏡像 $\mathrm{F}_1'$ は半直線 $\mathrm{E}\mathrm{F}_2$ 上にあり、$\mathrm{F}_2\mathrm{F}_1'=|\mathrm{E}\mathrm{F}_2-\mathrm{E}\mathrm{F}_1|=2a$。垂線の足は $\mathrm{F}_1\mathrm{F}_1'$ の中点であるから、中点連結定理によりその $\mathrm{Z}$ からの距離は $a$ である。

解答

定理5 を逆に読むと、焦点 $\mathrm{O}$、中心 $\mathrm{C}$、$a=2$、$c=3$ の双曲線、すなわち $\mathcal{H}$(他方の焦点 $\mathrm{H}$)が候補となる。実際、$X=x-3$ とすると $\ell_{\mathrm{M}}:\ uX+vy=3u-5$ であり、$\Gamma$ 上で
$$ 4u^2-5v^2=9u^2-30u+25=(3u-5)^2 $$
が成り立つ。直線 $\alpha X+\beta y=\gamma$ が $\frac{X^2}{4}-\frac{y^2}{5}=1$ に接する条件 $4\alpha^2-5\beta^2=\gamma^2\neq0$ より、$\ell_{\mathrm{M}}$ は $u\neq\frac53$ で $\mathcal{H}$ の接線、$u=\frac53$ で漸近線である。領域の側・$\mathcal{D}$ との共通部分・除外は本解と同様に処理する。$\blacksquare$

検証・検算

準線 $x=3\pm\frac{a^2}{c}=\frac53,\frac{13}{3}$ は 3.2 と、漸近線は 1.6 と、焦点 $\mathrm{H}$ は別解1・2と一致する。

3.8 同じ系列に属する変形

いずれも \eqref{eq21} を満たす $\mathrm{M}\in\Gamma$ の存在判定の実装違いであり、独立な解法とはしない。
(a) 円と直線の距離:$\dfrac{|3x-13|}{\sqrt{(x-6)^2+y^2}}\le2$。$\mathrm{X}=\mathrm{H}$ では直線が退化し距離公式が定義されない($\mathrm{H}\notin\mathcal{D}$ のため結論には影響しない)。
(b) 三角関数の合成:$A\cos t+B\sin t=K$ が解をもつ $\iff$ $K^2\le A^2+B^2$。
(c) Cauchy–Schwarz の不等式:必要性のみを与え、十分性には解の構成が別に要る。
(d) 判別式:$y\neq0$ で $v$ を消去すると $\{(x-6)^2+y^2\}u^2+\{10(x-6)-6y^2\}u+25+5y^2=0$、$\frac{D}{4}=-y^2\Phi$。$y=0$ は $u=\frac{5}{6-x}\in[1,5]$ の条件として別に処理する。
(e) 中心への平行移動:$U=u-3$ で $U^2+V^2=4$、(a) に帰着する。
(f) Weierstrass 置換:$\tau=\tan\frac t2$ で \eqref{eq22} は $(x-1)\tau^2+4y\tau+5(x-5)=0$、$\frac{D}{4}=-\Phi$。ただし $\mathrm{M}=(1,0)$ は $\tau=\infty$ に対応し、有限の $\tau$ のみでは境界点 $(1,0)$ を取りこぼす。
(g) 複素数表示:$\mathrm{M}\leftrightarrow3+2e^{it}$ で (b) と同一になる。

3.9 解法の比較

解法核となる翻訳必要十分性の担保主な注意点
本解内積形・逆像法補題2線分化と一点除外
(1) の別証相似変換全単射性比の符号
別解1タレスの円二円の交差条件下側条件の自明性
別解2反射点・焦点距離の差二円の交差条件$2a=4$ の読み取り
参考解1方べき・反転補題2$\mathrm{M}\mapsto\mathrm{N}$ の全単射性
参考解2包絡線存在条件で補完領域の側、漸近線
参考解3補助円存在条件で補完定理5の使用

本解・別解1・別解2は \eqref{eqcore} を内積・直径円・垂直二等分線で読む違いにすぎない。参考解1は、本解の \eqref{eq21} を $(\mathrm{H}-\mathrm{X})\cdot\mathrm{M}=5$ と書いたものと、点対称 $\mathrm{X}\mapsto\mathrm{H}-\mathrm{X}$ および対合 $\mathrm{M}\mapsto\mathrm{N}$ で移り合う。答案としての完結性では本解、双曲線の由来の説明では別解2が優れる。

4. 汎用的な探索手順

4.1 手順

  1. 自由度を数え、代表点が曲線を描くか領域を動くかを確定する。
  2. 対称な動点の組を和・中点・重心に集約し、残りの点を代表点で表す。
  3. 代表点の条件を必要十分に整え、逆の成立と退化を確認する。
  4. 動く図形を正規形で書く。円の弦は $\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}=|\mathrm{M}|^2$。
  5. 通過範囲は点を固定してパラメータの存在問題にする(逆像法)。
  6. 直交条件は、内積・直径円・垂直二等分線・方べきの各翻訳を走査する。
  7. 直線の通過範囲を固定領域と交わらせ、除外パラメータの像のうち他に覆われない点だけを除く。
  8. 境界は重解(接触)に対応する。特殊パラメータ・テスト点・対称性で検証する。

4.2 存在判定の装置

パラメータ集合条件式判定注意
円一次内積の値域、合成係数ベクトルが零
円幾何的条件二円・円と直線の位置関係半径 $0$ の退化
区間二次解の配置端点の開閉
円の有理パラメータ二次判別式無限遠のパラメータ
直線族境界の発見包絡線領域の側、特異点

4.3 意思決定の流れ

  • 条件がパラメータについて一次:内積の値域(本解型)。
  • 直角が見える:直径円と二円の位置関係(別解1型)。
  • 中点と垂直が同時に見える:反射点と距離の条件(別解2型)。
  • 右辺がパラメータに依存する:方べき・反転で定数化(参考解1型)。
  • 境界の形を先に知りたい:特殊パラメータ・包絡線・円錐曲線の性質で予想し、存在条件で確定する。

5. 発展事項

5.1 数値設定の一般化

$\mathrm{G}(g,0,h)$ に対し $\mathrm{M}$ は中心 $\mathrm{C}=\left(\frac{3g}{2},0\right)$、半径 $\rho=\frac12\sqrt{25-9h^2}$ の円を動く( 1.4 )。

条件(1) の軌跡
$\mathrm{OC}+\rho<5$円全体
$\mathrm{OC}+\rho=5$円から $\Omega$ との接点を除いたもの
$\mathrm{OC}+\rho>5$ かつ $\mathrm{OC}-\rho<5$$\mathcal{D}$ の内部にある開弧
条件直線族の通過範囲の境界
:--:--
$\mathrm{OC}>\rho$焦点 $\mathrm{O}$、$2\mathrm{C}$ の双曲線
$\mathrm{OC}<\rho$焦点 $\mathrm{O}$、$2\mathrm{C}$ の楕円
$\mathrm{OC}=\rho$なし(全直線が $2\mathrm{C}$ を通る)

本問は $\mathrm{OC}+\rho=5$ かつ $\mathrm{OC}>\rho$ の場合である。

5.2 一般定理:垂足円と焦点

垂足が円を描く直線族

円 $\Gamma_0$ の中心を $\mathrm{C}$、半径を $\rho>0$、$\mathrm{H}=2\mathrm{C}$ とする。$\mathrm{O}\notin\Gamma_0$ のとき
$$ \bigcup_{\mathrm{M}\in\Gamma_0}\ell_{\mathrm{M}}= \begin{cases} \{\mathrm{X}\mid\,|\mathrm{XO}-\mathrm{XH}|\le2\rho\} & (\mathrm{OC}>\rho),\\ \{\mathrm{X}\mid\,\mathrm{XO}+\mathrm{XH}\ge2\rho\} & (\mathrm{OC}<\rho). \end{cases} $$
$\mathrm{O}\in\Gamma_0$ のときは、$\mathrm{M}\neq\mathrm{O}$ に対する $\ell_{\mathrm{M}}$ はすべて $\mathrm{H}$ を通る。

$\mathrm{T}=2\mathrm{M}$ とおくと $\mathrm{X}\in\ell_{\mathrm{M}}\iff\mathrm{XO}=\mathrm{XT}$ であり、$\mathrm{T}$ は中心 $\mathrm{H}$、半径 $2\rho$ の円を動く。よって条件は $|\mathrm{XO}-2\rho|\le\mathrm{XH}\le\mathrm{XO}+2\rho$ である。$\mathrm{OC}>\rho$ なら $\mathrm{XO}+\mathrm{XH}\ge\mathrm{OH}>2\rho$ より $|\mathrm{XO}-\mathrm{XH}|\le2\rho$ に、$\mathrm{OC}<\rho$ なら $|\mathrm{XO}-\mathrm{XH}|\le\mathrm{OH}<2\rho$ より $\mathrm{XO}+\mathrm{XH}\ge2\rho$ に帰着する。$\mathrm{O}\in\Gamma_0$ のとき、$\mathrm{H}\cdot\mathrm{M}=|\mathrm{M}|^2\iff|\mathrm{M}-\mathrm{C}|=|\mathrm{C}|$ が成り立つ。

定理6 は別解2の一般化であり、本問は $\mathrm{C}(3,0)$、$\rho=2$ の場合である。

5.3 垂足曲線と反垂足

接線に定点から下ろした垂線の足の軌跡を垂足曲線という。 定理5 は「中心をもつ円錐曲線の焦点に関する垂足曲線は補助円である」ことを述べ、 定理6 はその逆(反垂足)にあたる。直線を法線形 $x\cos\varphi+y\sin\varphi=p(\varphi)$ で表すと、本問の $p(\varphi)$ は $\Gamma$ の極方程式 $p^2-6p\cos\varphi+5=0$ を満たし、包絡線は
$$ \mathrm{X}(\varphi)=p(\varphi)(\cos\varphi,\sin\varphi)+p'(\varphi)(-\sin\varphi,\cos\varphi) $$
で与えられる。

5.4 極・極線と極相反

円 $\kappa:\ x^2+y^2=5$ は、半径の平方が $\mathrm{O}$ の $\Gamma$ に関する方べきに等しいから $\Gamma$ と直交する。$\mathrm{M}\mapsto\mathrm{N}$ は $\kappa$ に関する反転で $\Gamma$ を保ち、直線 $\mathrm{X}\cdot\mathrm{N}=5$ は $\kappa$ に関する $\mathrm{N}$ の極線である。したがって直線族は $\Gamma$ の $\kappa$ に関する極相反である。
円(中心 $\mathrm{C}$、半径 $\rho$)の、$\mathrm{O}$ を中心とする円に関する極相反は、焦点 $\mathrm{O}$、準線が $\mathrm{C}$ の極線、離心率 $\mathrm{OC}/\rho$ の円錐曲線を包絡する。本問では準線 $3x=5$、離心率 $\frac32$ であり、 3.2 (2) と一致する。参考解1の $(p,q)$ 平面は双対平面であり、直線族がそこで円をなすことは円錐曲線の双対が円錐曲線であることの例である。極相反と双対原理は 19 世紀前半に Poncelet と Gergonne によって体系化された。

5.5 包絡線と Clairaut 方程式

$C^1$ 級の曲線族 $F(x,y,t)=0$ の包絡線上では $F=F_t=0$ が成り立つが、逆は族の特異点などを含みうるため吟味を要する。本問では解集合がちょうど $\mathcal{H}$ である(参考解2)。
$\mathcal{H}$ の傾き $p$($|p|>\frac{\sqrt5}{2}$)の接線は $y=p(x-3)\pm\sqrt{4p^2-5}$ であるから、直線族は Clairaut 方程式
$$ y=xy'+f(y'),\qquad f(p)=-3p\pm\sqrt{4p^2-5} $$
の一般解であり、$\mathcal{H}$ はその特異解である。$|p|\to\frac{\sqrt5}{2}$ の極限が漸近線にあたる。

6. 最終整理

6.1 構造マップ

  • 空間条件の平面化:$\mathrm{R}=3\mathrm{G}-2\mathrm{M}$
    • $\mathrm{R}\in S\iff\mathrm{M}\in\Gamma$、$\mathrm{P}\neq\mathrm{Q}\iff\mathrm{M}\neq(5,0)$:(1) の結論
    • 別経路:相似変換(3.1)、反射点 $\mathrm{T}$(別解2)
  • 弦の正規形:$\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}=|\mathrm{M}|^2$
    • 内積の値域:本解
    • 直径円と二円:別解1
    • 反射点と焦点距離の差:別解2
    • 方べき・反転:参考解1
    • 包絡線:参考解2
    • 補助円:参考解3
  • 合流:$\mathcal{B}$ $\longrightarrow$ $\cap\,\mathcal{D}$ $\longrightarrow$ $(5,0)$ の除外 $\longrightarrow$ $\mathcal{W}$
    $$ \boxed{(1)\quad (x-3)^2+y^2=4,\quad (x,y)\neq(5,0)} $$
    $$ \boxed{(2)\quad \left\{(x,y)\ \middle|\ x^2+y^2\le25,\ \ \frac{(x-3)^2}{4}-\frac{y^2}{5}\le1\right\}\setminus\{(5,0)\}} $$

6.2 要点

  • 中点と重心条件により、三点の問題は一点 $\mathrm{M}$ の問題に帰着する。
  • 軌跡は逆の成立と退化の除外まで示して確定する。本問の退化点は $\Gamma$ と $\Omega$ の内接点のみである。
  • $\mathrm{X}\cdot\mathrm{M}=|\mathrm{M}|^2$ が (2) の全解法の共通の核であり、その四通りの翻訳が各解法を生む。
  • 存在の主張には、不等式による必要性に加え解の構成による十分性が要る。
  • 双曲線は、反射点 $2\mathrm{M}$ が円を描くことから焦点 $\mathrm{O},\mathrm{H}$ と距離の差 $2\rho$ として構造的に定まる。
  • 直線と線分の通過範囲は異なり、その結果、右枝は除外点を除いて答えから消える。
投稿日:4日前
更新日:2日前
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医学部・難関大受験生の指導を行っています。

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