0

三次方程式の解と係数の関係から問題を作成してみる

179
0

三次方程式の解と係数の関係を利用した問題作成

数学を楽しむ方は問題集や受験のような試験の問題を解くことがあると思います。本記事では問題を解くのではなく、問題を作成していくことにフォーカスを当てていきます。本記事では三次方程式の解と係数の関係を利用して、どのような数学の問題を作成することができるのかを考えていきます。

三次方程式の解と係数の関係

三次方程式の解と係数の関係を利用していくため、まずは準備をしていきます。

三次方程式の解と係数の関係

ax3+bx2+cx+d=0 (a,b,c,dR) の3つの解を α,β,γ とおくと
{α+β+γ=baαβ+βγ+γα=caαβγ=da
が成り立つ。

3つの解がα,β,γであることから、
ax3+bx2+cx+d=a(xα)(xβ)(xγ)=a(x3(α+β+γ)x2+(αβ+βγ+γα)xαβγ)=ax3a(α+β+γ)x2+a(αβ+βγ+γα)xaαβγ
このことより導くことができる。

上記の三次方程式の両辺をaで割るとx3+bax2+cax+da=0となり、b=ba,c=ca,d=daとおくと、x3+bx2+cx+d=0と書くことができます。このようにaで割っても、この方程式の解はα,β,γであり、解と係数の関係性に大きく影響を与えなさそうなので、ここからはx3の係数を1として進めていきます。

三次方程式の解と係数の関係(x3の係数が1の場合)

x3+bx2+cx+d=0 (b,c,dR) の3つの解を α,β,γ とおくと
{α+β+γ=bαβ+βγ+γα=cαβγ=d
が成り立つ。

x2の係数が0となるように式変形

三次方程式をさらに変形させていきます。ここではx2の係数b=0となるように変形させていきます。

x3+bx2+cx+d=(x+b3)3+(b23+c)xb327+d=(x+b3)3+(b23+c)(x+b3)+2b327bc3+d=0
x=x+b3,c=b23+c,d=2b327bc27+dとおくと、x3+cx+d=0と書くことができます。このように、式変形をすることでx2を消すことができました。この状態で三次方程式の解と係数の関係を確認します。

三次方程式の解と係数の関係(x2の係数が0の場合)

x3+cx+d=0 (c,dR) の3つの解を α,β,γ とおくと
{α+β+γ=0αβ+βγ+γα=cαβγ=d
が成り立つ。

整理すると三次方程式x3+bx2+cx+d=0について、xb3だけ平行移動すると、3つの解の和が0ということがいえます。もしくはx3+cx+d=0の3つの解の和は0ともいえます。

解と係数の関係から問題を作成

ここから問題作成に近づいていきます。
三次方程式x3+cx+d=0の係数はc,dの2つですが、この2つを1つの変数で表すようにしてみます。ここでの表し方によってどのような問題が出来上がるかが変化します。試しにc=2k,d=kとおくと、x3+(2k)x+k=0となります。この3つの解がα,β,γとすると、上で述べてきたとおり,、解と係数の関係からα+β+γ=0となります。また三次方程式に解を代入すると次の式が成り立ちます。
{α3+(2k)α+k=0β3+(2k)β+k=0γ3+(2k)γ+k=0
これをkでまとめるように式変形をすると、次の等式が成り立ちます。
α3+2αα1=β3+2ββ1=γ3+2γγ1(=k)
このkを隠してみると、3つの変数の等式だけが残ります。

特に影響はありませんが問題として見やすくなるように、α,β,γをそれぞれa,b,cに置き換えると、下のような問題を作ることができます。

三次方程式の解と係数の関係から作成した問題

a3+2aa1=b3+2bb1=c3+2cc1 (abc)
が成り立っているとき、a+b+c=0となることを示す。

a,b,cの等号、不等号には特に触れてきませんでしたが、abcとしています。この問題の解き方の一例を下で示していきます。

上の問題の証明

a3+2aa1=b3+2bb1=c3+2cc1=k
とおくと、
{a3+(2k)a+k=0(1)b3+(2k)b+k=0(2)c3+(2k)c+k=0(3)
(1)式-(2)式を計算すると、
a3+(2k)a+kb3(2k)bk
=(ab)(a2+ab+b2+2k)=0となる。
(2)式-(3)式を同様に計算すると、
(bc)(b2+bc+c2+2k)=0となる。
ab,bcであるので下のようになる。
{a2+ab+b2+2k=0(4)b2+bc+c2+2k=0(5)
(4)式-(5)式を計算すると、
a2+ab+b2+2kb2bcc22+k
=a2+abbcc2
=(ac)(a+b+c)=0となる。
acなので、a+b+c=0であることが示せた。

おわりに

三次方程式の解と係数の関係を変形して利用することで、1つの数学の問題を作成することができました。問題作成時の係数c,dの置き方を少し変えるだけで、上の類似問題をいくらでも生み出すことができます。係数が変わってくるだけで解き方に変化はないので、面白味は減ってしまうかもですが。このような問題は実際に大学入試でも出てきます。
問題を解くだけではなく、問題を作成する過程を楽しむのも面白いですね。考慮不足などありましたら、ご指摘ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿日:2023912
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

くっく
くっく
10
53297
趣味数学家。 大学院時代には凸解析学を専攻。 多くの人が数学を好きになるためのサポート。 アイコンはdesmosを使用した関数アート。

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. 三次方程式の解と係数の関係を利用した問題作成
  2. 三次方程式の解と係数の関係
  3. x2の係数が0となるように式変形
  4. 解と係数の関係から問題を作成
  5. おわりに