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三次方程式の解と係数の関係から問題を作成してみる

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$$\newcommand{convex}[2]{\lambda {#1} + (1- \lambda ){#2}} $$

三次方程式の解と係数の関係を利用した問題作成

数学を楽しむ方は問題集や受験のような試験の問題を解くことがあると思います。本記事では問題を解くのではなく、問題を作成していくことにフォーカスを当てていきます。本記事では三次方程式の解と係数の関係を利用して、どのような数学の問題を作成することができるのかを考えていきます。

三次方程式の解と係数の関係

三次方程式の解と係数の関係を利用していくため、まずは準備をしていきます。

三次方程式の解と係数の関係

$ax^3 + bx^2 + cx + d = 0 \ (a,b,c,d \in \mathbb{R})$ の3つの解を $\alpha , \beta , \gamma $ とおくと
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \alpha + \beta + \gamma = - \frac{b}{a} \\ \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = \frac{c}{a} \\ \alpha \beta \gamma = - \frac{d}{a} \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
が成り立つ。

3つの解が$\alpha , \beta , \gamma$であることから、
$$ \begin{align} ax^3 + bx^2 + cx + d &= a(x - \alpha)(x - \beta)(x - \gamma) \\ &= a(x^3 - (\alpha + \beta + \gamma)x^2 + (\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha)x - \alpha \beta \gamma) \\ &= ax^3 - a(\alpha + \beta + \gamma)x^2 + a(\alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha)x - a \alpha \beta \gamma \end{align} $$
このことより導くことができる。

上記の三次方程式の両辺を$a$で割ると$x^3 + \frac{b}{a} x^2 + \frac{c}{a} x + \frac{d}{a} = 0$となり、$b^{\prime} = \frac{b}{a} , c^{\prime} = \frac{c}{a} , d^{\prime} = \frac{d}{a} $とおくと、$x^3 + b^{\prime} x^2 + c^{\prime} x + d^{\prime} = 0$と書くことができます。このように$a$で割っても、この方程式の解は$\alpha , \beta , \gamma $であり、解と係数の関係性に大きく影響を与えなさそうなので、ここからは$x^3$の係数を$1$として進めていきます。

三次方程式の解と係数の関係($x^3$の係数が$1$の場合)

$x^3 + bx^2 + cx + d = 0 \ (b,c,d \in \mathbb{R})$ の3つの解を $\alpha , \beta , \gamma $ とおくと
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \alpha + \beta + \gamma = -b \\ \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = c \\ \alpha \beta \gamma = -d \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
が成り立つ。

$x^2$の係数が$0$となるように式変形

三次方程式をさらに変形させていきます。ここでは$x^2$の係数$b=0$となるように変形させていきます。

\begin{align} x^3 + bx^2 + cx + d &= (x + \frac{b}{3})^3 + (- \frac{b^2}{3} + c)x -\frac{b^3}{27} + d \\ &= (x + \frac{b}{3})^3 + (- \frac{b^2}{3} + c)(x + \frac{b}{3}) + \frac{2b^3}{27} - \frac{bc}{3} + d \\ &= 0 \\ \end{align}
$x^{\prime} = x + \frac{b}{3} , c^{\prime} = - \frac{b^2}{3} + c , d^{\prime} = \frac{2b^3}{27} - \frac{bc}{27} + d$とおくと、${x^{\prime}}^3 + c^{\prime} x^{\prime} + d^{\prime} = 0$と書くことができます。このように、式変形をすることで$x^2$を消すことができました。この状態で三次方程式の解と係数の関係を確認します。

三次方程式の解と係数の関係($x^2$の係数が0の場合)

$x^3 + cx + d = 0 \ (c,d \in \mathbb{R})$ の3つの解を $\alpha , \beta , \gamma $ とおくと
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} \alpha + \beta + \gamma = 0 \\ \alpha \beta + \beta \gamma + \gamma \alpha = c \\ \alpha \beta \gamma = -d \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
が成り立つ。

整理すると三次方程式$x^3 + bx^2 + cx + d = 0$について、$x$$- \frac{b}{3}$だけ平行移動すると、3つの解の和が$0$ということがいえます。もしくは$x^3 + cx + d = 0$の3つの解の和は$0$ともいえます。

解と係数の関係から問題を作成

ここから問題作成に近づいていきます。
三次方程式$x^3 + cx + d = 0$の係数は$c,d$の2つですが、この2つを1つの変数で表すようにしてみます。ここでの表し方によってどのような問題が出来上がるかが変化します。試しに$c = 2 - k, d = k$とおくと、$x^3 + (2 - k)x + k = 0$となります。この3つの解が$\alpha , \beta , \gamma$とすると、上で述べてきたとおり,、解と係数の関係から$\alpha + \beta + \gamma = 0$となります。また三次方程式に解を代入すると次の式が成り立ちます。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} {\alpha}^3 + (2 - k) \alpha + k = 0 \\ {\beta}^3 + (2 - k) \beta + k = 0 \\ {\gamma}^3 + (2 - k) \gamma + k = 0 \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
これを$k$でまとめるように式変形をすると、次の等式が成り立ちます。
$$\frac{{\alpha}^3 + 2 \alpha}{\alpha - 1} = \frac{{\beta}^3 + 2 \beta}{\beta - 1} = \frac{{\gamma}^3 + 2 \gamma}{\gamma - 1} (= k)$$
この$k$を隠してみると、3つの変数の等式だけが残ります。

特に影響はありませんが問題として見やすくなるように、$\alpha , \beta , \gamma$をそれぞれ$a,b,c$に置き換えると、下のような問題を作ることができます。

三次方程式の解と係数の関係から作成した問題

$$\frac{a^3 + 2a}{a - 1} = \frac{b^3 + 2b}{b - 1} = \frac{c^3 + 2c}{c - 1} \ (a \neq b \neq c)$$
が成り立っているとき、$a + b + c = 0$となることを示す。

$a,b,c$の等号、不等号には特に触れてきませんでしたが、$a \neq b \neq c$としています。この問題の解き方の一例を下で示していきます。

上の問題の証明

$$\frac{a^3 + 2a}{a - 1} = \frac{b^3 + 2b}{b - 1} = \frac{c^3 + 2c}{c - 1} = k$$
とおくと、
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a^3 + (2 - k)a + k = 0 \cdots (1) \\ b^3 + (2 - k)b + k = 0 \cdots (2) \\ c^3 + (2 - k)c + k = 0 \cdots (3) \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
(1)式-(2)式を計算すると、
$a^3 + (2 - k)a + k - b^3 - (2 - k)b - k$
$ = (a - b)(a^2 + ab + b^2 + 2 - k) = 0$となる。
(2)式-(3)式を同様に計算すると、
$(b - c)(b^2 + bc + c^2 + 2 - k) = 0$となる。
$a \neq b, b \neq c$であるので下のようになる。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a^2 + ab + b^2 + 2 - k = 0 \cdots (4) \\ b^2 + bc + c^2 + 2 - k = 0 \cdots (5) \\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
(4)式-(5)式を計算すると、
$a^2 + ab + b^2 + 2 - k - b^2 - bc - c^2 - 2 + k$
$ = a^2 + ab - bc - c^2$
$ = (a - c)(a + b + c) = 0$となる。
$a \neq c$なので、$a + b + c = 0$であることが示せた。

おわりに

三次方程式の解と係数の関係を変形して利用することで、1つの数学の問題を作成することができました。問題作成時の係数$c,d$の置き方を少し変えるだけで、上の類似問題をいくらでも生み出すことができます。係数が変わってくるだけで解き方に変化はないので、面白味は減ってしまうかもですが。このような問題は実際に大学入試でも出てきます。
問題を解くだけではなく、問題を作成する過程を楽しむのも面白いですね。考慮不足などありましたら、ご指摘ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

投稿日:2023912
OptHub AI Competition

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くっく
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趣味数学家。 大学院時代には凸解析学を専攻。 多くの人が数学を好きになるためのサポート。 アイコンはdesmosを使用した関数アート。

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