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現代数学解説
文献あり

「特異点のこころえ」問1.1の回答

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「特異点のこころえ」(参考文献参照)の演習問題の回答を順次記事にしていきます。
今回は問1.1の回答を作成しました。

問1.1 $(x_1,y_1)\in \mathbb{R}^2$$\bar{f}$の特異点であるとき, $\mathrm{rank}J_{\bar{f}}(x_1,y_1)=1$が成り立つ(ヤコビ行列の階数が0となる特異点は現れない)ことを示せ.

$\bar{f}$の定義

$\bar{f}(x,y)=(x^2-y^2+2\epsilon x,2xy-2\epsilon y)=:(f_1(x,y),f_2(x,y))  (\epsilon\neq0)$ 

仮定の$(x_1,y_1)\in \mathbb{R}^2$$\bar{f}$の特異点であるとは,$\mathrm{rank}J_{\bar{f}}(x_1,y_1)\leq1$であることに他ならない.すなわち,$\mathrm{rank}J_{\bar{f}}(x_1,y_1)=0,1$であるので,$\mathrm{rank}J_{\bar{f}}(x_1,y_1)\neq0$を示せばよい.これを背理法で示す.
$\mathrm{rank}J_{\bar{f}}(x_1,y_1)=0$,すなわち,
\begin{eqnarray} \begin{pmatrix} \frac{\partial f_1}{\partial x}(x_1,y_1)&\frac{\partial f_1}{\partial y}(x_1,y_1)\\ \frac{\partial f_2}{\partial x}(x_1,y_1)&\frac{\partial f_2}{\partial y}(x_1,y_1) \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2x_1+2\epsilon&*\\ *&2x_1-2\epsilon \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0&0\\ 0&0 \end{pmatrix} \end{eqnarray}が成立すると仮定すると.$\epsilon=x_1=-\epsilon$となり,$\epsilon=0$が得られる.
しかし,これは$\epsilon\neq0 $と矛盾する.

参考文献

[1]
佐久間一浩, 特異点のこころえ―トポロジーの本質を視るために, 株式会社 日本評論社, 2019, pp.9-12
投稿日:2023125
更新日:2023125

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幾何学(複素幾何、リーマン幾何、微分トポロジー、代数トポロジー)の勉強をしています。今は特異点のこころえを読んでいます。

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