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自己紹介・記録解説
文献あり

2024年5月の進捗と6月の勉強予定

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5月はRVの5章と, Lの3章と4章のはじめのほうを読みました.

RVはアデール・イデールの話です. 代数体$K$のすべての完備化をあつめた環(制限直積)$\mathbb{A}_K$$K$のアデール環, その乗法群$\mathbb{I}_K := \mathbb{A}_K^{\times}$$K$のイデール群といい, その上に位相や測度が定義できます.
$x = (x_v)_{v} \in \mathbb{I}_K$に対して, 各素点$v$での絶対値の積が$1$であるもの全体を$\mathbb{I}_K^{1}$と書くと, 商群$\mathbb{I}_K^1/K^{\times}$はコンパクトとなり, ここからディリクレの単数定理やイデアル類群の有限性などの代数的整数論の古典的な結果が導かれます.
$K_v$の制限直積という(あえて言えば)安直なものに, 整数の情報がエンコードされているのは, 面白いと思います.

Lの3章は主に射の性質についてです. 代数幾何で$\mathbb{A}_k^1 \times \mathbb{A}_k^1$として$\mathbb{A}_k^2$を得るには, 集合としての積のかわりにファイバー積を考えます. ファイバー積は可換代数におけるテンソル積の双対です.
ファイバー積は, その名のとおり$f: X \rightarrow Y$の各点$y \in Y$でのファイバーの定義にも使われます. 加群の係数拡大が幾何学的な操作と対応するのは面白いです.
代数幾何ではザリスキ位相を扱うので, ハウスドルフ性やコンパクト性のかわりに分離射や固有射を考えるのですが, この定義が抽象的で難解です.

Lの4章はスキームの局所的な性質についてです. AMのProposition 5.13. にあるように, 整域$A$が正規(商体の中で整閉)であることは, $A$の各素イデアル$P \subset A$に対して局所化$A_P$が正規であることと同値です. これはスキーム論で言えば, 正規性が, 位相空間における連続写像のように, 各点の周りで定義される局所的な性質であるということになります. スキーム論で素イデアルと点と考える理由のひとつが垣間見えた気がします.

6月は, RVの6章を読みたいです. また, 三枝洋一先生の本Mも興味があるので読んでみたいです.

参考文献

[1]
Dinakar Ramakrishnan , Robert J. Valenza, Fourier Analysis on Number Fields, Graduate Texts in Mathematics (GTM, volume 186), Springer, 1999
[2]
Qing Liu, Algebraic Geometry and Arithmetic Curves, Oxford Graduate Texts in Mathematics, Oxford University Press, 2006
[3]
M.F.Atiyah 著・ I.G.MacDonald 著・ 新妻 弘 訳, Atiyah-MacDonald可換代数入門, 共立出版, 2004
[4]
三枝洋一, 数論幾何入門, 森北出版, 2024
投稿日:611
更新日:611

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投稿者

名古屋の大学生です。整数論を研究したいです。

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