LTEの補題の証明はいくつか知られているが今回自分が思いついた証明は少なくとも自分は見たことが無かったので紹介させていただきます(既出だったり嘘をついてたりしてたら教えていただけるとありがたいです.)
奇素数$p$,$x\equiv y\not\equiv0\pmod p$なる整数$x,y$,正整数$n$に対して$$v_p(x^n-y^n)=v_p(x-y)+v_p(n)$$が成り立つ.
$n=p^k×m$($m$は$p$と互いに素な整数)としよう.このとき$x^{p^k×m}-y^{p^k×m}=(x^{p^k}-y^{p^k})\displaystyle\sum_{t=0}^{m-1}(x^{p^k})^{t}(y^{p^k})^{m-1-t}$.
$\displaystyle\sum_{t=0}^{m-1}(x^{p^k})^{t}(y^{p^k})^{m-1-t}$は$p$で割り切れないので結局$n$が$p$のべきの場合のみを考えればよいことがわかる.また$k=0$の時の成立は明らかであるので$k>0$の場合を考える.k=1のとき,$$x^{p}-y^{p}=(x-y)\sum_{t=0}^{p-1}(x^{t}y^{p-1-t})$$
$\displaystyle v_p(\sum_{t=0}^{p-1}(x^{t}y^{p-1-t}))=1$を示せばよい.$x,y$が$p$と互いに素であることをふまえると$$\sum_{t=0}^{p-1}(x^{t}y^{p-1-t})\equiv y^{p-1}\sum_{t=0}^{p-1}(xy^{-1})^t\pmod {p^2}$$
$x\equiv y\pmod {p^2}$のとき$\displaystyle\sum_{t=0}^{p-1}(xy^{-1})^t\equiv \sum_{t=0}^{p-1}1^t\equiv p\pmod {p^2}$より従う.
$x\not\equiv y\pmod{p^2}$であるときある$1$以上$p-1$未満の正整数$m$が存在して$xy^{-1}\equiv mp+1\pmod{p^2}$となること,二項定理より$(mp+1)^t=\displaystyle\sum_{k=0}^{t}(mp)^k{}_t \mathrm{C}_k\equiv mtp+1\pmod{p^2}$となることから$$\displaystyle\sum_{t=0}^{p-1}(xy^{-1})^t\equiv \sum_{t=0}^{p-1}mtp+1\equiv p+mp\sum_{t=0}^{p-1}t\equiv p\pmod{p^2}$$となるので$v_p(x^p-y^p)=v_p(x-y)+1$がわかる.ここで$n=p^k$のときに補題が成り立てば$v_p(x^{p^{k+1}}-y^{p^{k+1}})=v_p((x^{p^k})^p-(y^{p^k})^p)=v_p(x^{p^k}-y^{p^k})+1=v_p(x-y)+k+1$となるので帰納的に任意の$k$について補題は示され,それと同時に任意の$n$についても補題は示された.
結局$n$が$p$のべきになる場合に帰着され$n=p$の場合について考察した後に帰納法を回すという手法は他の多くの証明でも取られているが$\displaystyle v_p(\sum_{t=0}^{p-1}(x^{t}y^{p-1-t}))=1$の示し方がすこし新しいかもしれない.読んでいただきありがとうございました.