この記事について
論文
Categories enriched on two sides
にて定義された、2-圏の間の豊穣圏について紹介する。
背景
任意のモノイダル圏に対して、上の豊穣圏の概念があり、それに伴って-函手や-自然変換といった概念もある。
これらは、直積をテンソル積として持つ集合の圏上の豊穣圏が局所小圏と一致するような一般化になっている。
単一対象なbicategory を与えることとモノイダル圏を与えることは、関係式より同値となる。このとき、はのサスペンションと呼ばれており、で表される。
と同様に、一般のbicategory 上の豊穣圏の概念によりbicategory が構成される。これは、のときに一致する。
がbicategory 上の豊穣圏のとき、写像により、各に対してとなっている。
一般元の考え方から、は射であるため、の部分をより一般化したのが、今回紹介する「2-圏の間の豊穣圏」である。
定義
2-圏の水平合成をと表すこととする。
2-sided enrichment
, をbicategoryとする。
からへの豊穣圏(category enriched from to )とは、以下のデータからなる:
(1) 対象: スパン
(2) Hom: 各に対して函手
(3) 恒等子: 各に対しての2-射
(4) 合成子: 各に対して自然変換
, による-成分を書き下すと以下のようになる:
これらのデータは、以下の公理をそれぞれ満たす:
(R1) 左単位性: とに対して以下の図式が可換となる:
(R2) 右単位性: とに対して以下の図式が可換となる:
(R3) 結合性: と, , に対して以下の図式が可換となる:
2-sided enrichmentは、enrichment over bicategoryの一般化になっている。
事実、からへの豊穣圏は、bicategory 上の豊穣圏の定義と一致する。
2-sided enrichmentは、bifunctorの一般化になっている。
事実、からへの豊穣圏の持つスパンが特に写像な場合、はからへのbifunctorとなる。
豊穣圏とに対して、スパンとの合成と、函手との合成により、との合成となる豊穣圏が定義できる。