方程式の両辺を平方すると、式から根号を外せます。ただし「変形後を満たす値」が「変形前も満たす」とは限りません。平方は符号の情報を消すからです。
次の方程式を考えます。
$$
\sqrt{x+2}=x. \tag{1}
$$
平方根の中が非負であるため
$$
x+2\ge0
$$
が必要です。さらに左辺 $\sqrt{x+2}$ は非負なので、等式 (1) が成立するなら右辺も非負です。
$$
x\ge0. \tag{2}
$$
この例では (2) のほうが強く、$x+2\ge0$ も同時に満たします。
式 (1) の両辺を平方すると
$$
x+2=x^2.
$$
整理して
$$
x^2-x-2=0,
$$
$$
(x-2)(x+1)=0.
$$
したがって候補は
$$
x=2,\quad x=-1
$$
です。ここで「解は $2,-1$」と書くと誤りになります。平方後の方程式から得たのは、元の方程式の解の候補です。
$x=2$ を (1) へ代入すると
$$
\sqrt{2+2}=\sqrt4=2
$$
で成立します。
$x=-1$ では
$$
\sqrt{-1+2}=1,\qquad x=-1
$$
となり、左右は一致しません。そもそも必要条件 $x\ge0$ に反しています。したがって元の方程式の解は
$$
\boxed{x=2}
$$
だけです。
平方後の候補を元の式で確かめる流れ
この記事の自作方程式を図にしたもの。Evoltonへ入力した実行結果ではなく、定義域、候補、戻し代入の関係を示す補助図です。
元の式が成立するとします。
$$
\sqrt{x+2}=x
\quad\Longrightarrow\quad
x+2=x^2.
$$
この向きは成立します。等しい実数を平方すれば、平方した値も等しいからです。
逆向きは、$x+2=x^2$ だけでは成立しません。たとえば $x=-1$ は平方後の式を満たしますが、元の式を満たしません。逆向きを成立させるには $x\ge0$ という符号条件が要ります。
$$
\left\{
\begin{array}{l}
x+2=x^2,\\
x\ge0
\end{array}
\right.
\quad\Longrightarrow\quad
\sqrt{x+2}=\sqrt{x^2}=|x|=x.
$$
絶対値 $|x|$ が現れるところに、平方で消えた符号情報が戻っています。
平方以外にも、解の候補を増減させる操作があります。
数学AIの出力でも確認は変わりません。
Evoltonの数学解答PDF作成ページ
Evoltonの公開画面。ここに写るのは機能の入口であり、この記事の自作方程式を処理した証拠ではありません。
Evoltonの解答PDF作成
は問題画像から方針・解答・条件確認を含むPDFを作るサービスです。生成物は学校や大学の公式解答ではなく、正しさも保証されません。この記事の方程式と導出は自作で、Evolton固有の誤り率を示す実験ではありません。
この記事は株式会社Fermionが運営するTeX64 Primeアカウントからの発信です。Evoltonも同社が運営しています。内容の誤りは
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から連絡できます。