この記事はFred Diamond, Jerry Shumanの『A First Course in Modular Forms』 1 に対する正誤表です.一読者である私(ことり)が作成したものですので,ミスがあるかもしれません.l.-nとは,下からn行目であることを意味します. 「(注意)」として誤りではないが注意が必要な箇所について記述しました.
This article is an errata list for Fred Diamond and Jerry Shurman’s "A First Course in Modular Forms" 1 . It was prepared by me (Kotori), an ordinary reader, so it may contain mistakes. "l.-n" means the n-th line from the bottom.
In this errata list, "誤" means that it is incorrect, and "正" means that it is correct. I described places that are not incorrect but require care as "(注意)".
誤:$\dfrac{\pi i}{12}+...$
正:$\dfrac{\pi i}{12}-...$
(4箇所ある.)
誤:proving (1).
正:proving (c).
$|a+d|<2$となるためには,$\begin{pmatrix}a&b\\ c&d\end{pmatrix}\neq \pm I$という条件が必要.
誤:moves $\tau$ to $i$
正:moves $i$ to $\tau$
誤:for N divisible by any prime p ...
正:for N divisible by some prime p ...
(注意)$\,$if $\Gamma$ is normal ...で始まる文が成立するのは,Lemma2.4.1にあるように$X(1)$がcuspを1つだけ持つことが効いている.
誤:where $\tau_1$ has width $h_1$
正:where $\tau_1$ has period $h_1$
誤:$Y\setminus h(\mathcal{E})$
正:$Y\setminus f(\mathcal{E})$
誤:$\Gamma_0(p)(\infty)$
正:$\Gamma_0(13)(\infty)$
誤:with with
正:with
p.74の議論と整合的になるように,p.72,l.4の$h$($h_{p.72}$と表記する)は次のようにcase Aとcase Bで場合分けして定義した方が良いか.
p.74,l.-17の3つの条件を順に(1),(2),(3)とする.p.74,l.-17の$h$を$h_{p.74}$と表記する.$h_{p.74}$は$\infty$の$\Gamma$に関するwidthである.(p.59参照.)
case A : (1)または(2)または((3)かつ$k$が偶数).
$h_{p.74}$をそのまま$h$とする.$h_{p.72}:=h_{p.74}$.
case B : (3)かつ$k$が奇数.
$h_{p.74}$の2倍を$h$とする.$h_{p.72}:=2h_{p.74}$.
(($\begin{smallmatrix}1&N\\0&1\end{smallmatrix})\in\Gamma$となる最小の$N\in\mathbf{Z}^+$は,(1)または(2)の場合は$h_{p.74}$であり,(3)の場合は$2h_{p.74}$であることに注意する.よってcaseAに含まれる((3)かつ$k$が偶数)の場合だけ本のp.72における$h$とここで定めた$h_{p.72}$は一致しない.)
誤:$q_{h'}=e^{2\pi i/h'}$
正:$q_{h'}=e^{2\pi i\tau/h'}$
(3.3)におけるif節の条件が満たされるとき,$\pi(s)$や$s$がirregular cuspと呼ばれる.cusp $x$がregularなのかirregularなのかは,$k$と$\Gamma$によって定まり,$f$に依らない.
一方でp.89下部におけるregular / irregularは,$f$に依存して定まっていると考える方が,あとの議論と整合的になるように思う.ここでは$\nu_x(f)$が整数のときregular,整数+$1/2$のときirregularと定義していると解釈するといいと思う.
誤:(then it) has width $N+1$
正:(then it) has width $N$
誤:$D\in \mathrm{Div}^0(X)$
正:$D\in \mathrm{Div}(X)$
誤:$L(\lambda)$
正:$L(\mathrm{div}(\lambda))$
(l.-8も同様.)
p.75,l.9の項目を参照.
誤:$f[\alpha]_1$
正:$f_1[\alpha]_1$
誤:degree degree
正:degree
誤:$(u,v)\gamma\alpha$
正:$(u,v)\gamma_J\alpha$
行列の括弧の前に$\pm$をつける.(det $m$の符号)
(注意)$J:=\mathbf{Z}u+\mathbf{Z}Nv$が$J_\gamma$の$A$-submoduleとなることは自明ではないように思う.しかしここは$J$が$J_\gamma$の$\mathbf{Z}$-submoduleであることと$[A\!:\!J]=N=[A\!:\!J_\gamma]$となることから,$J=J_\gamma$が言える.
ちなみに$J$が$J_\gamma$の$A$-submoduleであることは,l.22と同様に示すことができる.(少し工夫がいるが.)
「bijective correspondence」とあるが,elliptic pointsと条件を満たすイデアルの個数が同じだけで,標準的な全単射があるとは限らないことに注意する必要がある.p.93,l.-12の「The extended...」で始まる一文を参照せよ.
誤:Exercise3.1.4(b,c)
正:Exercise3.1.4(c,d)
誤:Exercise 1.2.2(b)
正:Exercise 1.2.3(b)
「$y_0\equiv c'c^{-1}$」とあるが,$c$と$N$は互いに素とは限らないので,$c^{-1}$という表記は微妙だと思う.ここでは$c'\equiv y_0c\pmod N$を満たす$y_0$を取っている.
誤:$X(N)\to X_1(N)$
正:$X(N)\to X(1)$
誤:$-I\notin\Gamma_0(N)$ while $-I\in SL_2(\mathbf{Z})$
正:$-I\notin\Gamma_1(N)$ while $-I\in\Gamma_0(N)$
(注意)この表では$\dim S_k(\Gamma)$は$k\ge3$の場合のみ表示していることに注意.ちなみにすべての行で$\dim S_2(\Gamma)=g$となる.
誤:$a_{n^{-1}}(k)$
正:$a_n(k)$
(注意) $\chi':=\psi\phi$は$N$と互いに素な整数$n$に対しては$\chi'(n):=\psi(n)\phi(n)$で定まるが,$n$が$N$と互いに素でないときは$\chi'(n)=0$と定める.このとき$n$が$N$と互いに素でない場合は一般に$\chi'(n)\ne\psi(n)\phi(n)$である.
この定め方のもとで$\psi\phi=\chi$とは,任意の$n\in(\mathbf{Z}/N\mathbf{Z})^*$に対して$\psi(n)\phi(n)=\chi(n)$が成り立つことと同値である.
誤:$\mathcal{E}_k(\Gamma(N))$
正:$\mathcal{E}_k(\Gamma_1(N))$
(l.4の$M_k(\Gamma(N))$も同様に$\Gamma_1(N)$に変更.)
(注意)「the parity condition」とはここでは$(\psi'\phi')(-1)=(-1)^k$という条件のこと.
$N=1$の場合を考えているので,$C_2/N^2,1/N^2$はそれぞれ$C_2,1$としてよい.
誤:$g_r(s)=\displaystyle \int_{t=-\infty}^0...$
正:$g_r(s)=\displaystyle -\int_{t=-\infty}^0...$
誤:$(\Sigma\ldots)^{(n)}$
正:$(\Sigma\ldots)^{(k)}$
$\overline{c_v}\ne0$のとき,$G_1^{\overline{(-c_v,d_v)}}(\tau)=-G_1^{\overline{(c_v,d_v)}}(\tau)$は一般には不成立.$\overline{c_v}=0$か否かによらず$G_1^{-\overline v}=-G_1^{\overline v}$は成立.
誤:$\zeta^{\overline{cv,d+ev}}(1)$
正:$\zeta^{\overline{d+ev}}(1)$
誤:is is
正:is
誤:$|S_m|\le l(2m+1)^{l-1}$
正:$|S_m|\le 2l(2m+1)^{l-1}$
((c)でも同様に変更.)
誤:$g_k^{\overline v}$
正:$g_k^a$
誤:$\ldots=\theta^{\overline v}(it)$
正:$\ldots=\theta^{\overline v}(it,N)$
(ただしこの$N$は以降しばしば省略.)
誤:$e^{2\pi i\tau}$
正:$e^{2\pi i\tau m}$
誤:$\dim S_1(\Gamma_0(3))=0$
正:$\dim S_1(\Gamma_1(3))=0$
(ここで$M_1(3,\psi)=\mathcal{E}_1(3,\psi)$を言うのに$S_1(\Gamma_1(3))=0$が必要.)
誤:$\Gamma_3\backslash\Gamma_2=\bigcup_j\Gamma_3\gamma_{2,j}$
正:$\Gamma_3\backslash\Gamma_2=\{\Gamma_3\gamma_{2,j}\mid j\}$
(または$\Gamma_2=\bigcup_j\Gamma_3\gamma_{2,j}$とする.)
おそらく「the special cases」とはp.166の(1)–(3)のこと.最初と最後のcaseでは$\alpha=I$として考える.
誤:(...is $p$) when $p\mid N$ and 0 when $p\nmid N$
正:(...is $p$) when $p\mid n$ and 0 when $p\nmid n$
(注意)「if $p\mid N$ and $t=p$ or if $p\nmid N$」の条件で左の等式が成立.
誤:Section 4 of Chapter 1
正:Section 5 of Chapter 1
$M_n=$の右辺が行列の和集合になっているので適切に書き直す必要がある.
誤:$\det(\beta)\beta^{-1}$
正:$\det(\beta_j)\beta_j^{-1}$
ここでは$T=T_p$の場合を考えている.また図式の上の射は行列が列ベクトル$\begin{pmatrix}f\\g\end{pmatrix}$に左から作用する射である.
誤:$i_p(S_k(***))$
正:$i_p(S_k(***)^2)$
誤:mod $N$
正:mod $M$
$d_1$と$d_2$は互いに素という条件を付け加える.
$f_i\in S_k(N,\chi_i)$とあるが,あとで$f_i(n_{i,j}\tau)\in S_k(N,\chi_i)$が必要になる.
誤:$\chi(p)p^{1-k-2s}$
正:$\chi(p)p^{k-1-2s}$
(l.7も同様.)
誤:$P_+(N)\backslash \Gamma(N)=$
正:$\Gamma(N)=$
($\Gamma(N)\backslash SL_2(\mathbf{Z})$とl.-7の$P_+(N)\backslash SL_2(\mathbf{Z})$も同様.)
$E_k^{\psi,\phi}/2$がeigenformであるためにはProposition5.2.3にあるように$uv=N$という条件が必要でしょう.
$\alpha^{-1}\Gamma_1(N)\alpha=\Gamma_1(N/t)\cap\Gamma^0(t)$とあるが不成立.反例は$N=6,t=3$.$\begin{pmatrix}5&3\\8&5\end{pmatrix}$は右辺に属するが左辺に属さない.
誤:Any path in $X$ ...
正:Any path in $Y$ ...
誤:$\int\gamma$
正:$\int_\gamma$
誤:$\sum_j[\gamma_{Y,j}]_2$
正:$\sum_j[\alpha^{-1}\gamma_{Y,j}]_2$
(l.9も同様.また右下の$\Omega_{\mathrm{hol}}^1(X)$は$\Omega_{\mathrm{hol}}^1(Y)$が正しい.)
誤:「operators $T_p$」
正:「operators $T_p$ and $\langle d\rangle$」
(注意)「(the image is) $\mathbf{Z}[\{a_n(f):n\in\mathbf{Z}^+\}]$」とあるが,Ex.6.5.2参照するとよい.
$A$と$k$の$M$への作用は整合的になっている必要がありそうです.すなわち,任意の$a\in A,c\in k,m\in M$に対して$a(cm)=c(am)$を仮定する必要があります.この仮定がないと,$JM$が$k$上線形空間にならないなどの不都合が生じます.(一般の両側加群について,例えば 3 p.7を参照.)
誤:$Tf=\lambda_f(T)$
正:$Tf=\lambda_f(T)f$
$K_f/\mathbf{Q}$がガロア拡大の場合は24.11.3により$A$の可逆が従う.ガロアでない場合は$K$を$K_f$の$\mathbf{Q}$上のガロア閉包に取り直せばよい.
誤:...$=g.$
正:...$=g_i.$
「nonzero $V$」は不要($V\in\mathbb{T}_{\mathbf{C}}-J_f$より自動的に$V\ne0$).p.240,l.9も同様.
$\mathrm{Gal}(K/k)$の積は$\sigma\tau=\tau\circ\sigma$とする必要がある.p.239,l.6の「$\sigma_j\sigma$」も同様に$\sigma_j\sigma=\sigma\circ\sigma_j$.
以降でもガロア群の演算はこのように定義されていることが多い.
誤:an ideal of $M_P$
正:an ideal of $\overline{k}[C]_P$
誤:...is now longer immediately clear
正:...is no longer immediately clear
誤:$I\in\overline{k}[x_1,\ldots,x_n]$
正:$I\subset\overline{k}[x_1,\ldots,x_n]$
($I'$も同様.)
$g_0,g_1$は$r$変数多項式なので$g_0\circ(h_0,\ldots,h_r)$は普通には定義できない.(どう直す?)
誤:$\sum(Q'+S)-(S)$
正:$\sum((Q'+S)-(S))$
$E_{j(\tau)}$は記号の乱用.新たに$\hat{E}_t:y^2=4x^3-\frac{27t}{t-1728}x-\frac{27t}{t-1728}$と定め,本の$E_{j(\tau)}$を$\hat{E}_{j(\tau)}$に置き換える方が適切.
「the order of $R$ is exactly $N$」とあるが,正しくは$R$の位数と$\overline{v}$の位数が等しい.
(7.21)の$[E,Q]\mapsto(j(E),x(Q))$はill-defined.ここは(7.20)の対応として理解すべき.
誤:$\langle Q_{\tau,N}\rangle$
正:$\langle Q_{\tau,p}\rangle$
$\mathrm{char}(k)=2$または$3$の場合は$k$が完全体である仮定が必要.それ以外の標数では完全体でなくとも成立する.
誤:$[N]$
正:$[p]$
誤:$\pi=1+\mu^6$
正:$\pi=1+\mu_6$
誤:$I_0$
正:$i_{(0)}$
誤:...is the reduction of $C$ at $p$.
正:...is the reduction of $C_{\text{hom}}$ at $p$.
「ideal of $\overline{\mathbf{Q}}$」とあるが正確には「ideal of $\overline{\mathbf{Z}}$」.この書き方は以降でも登場する.
l.16「Writing」からl.19までの議論が私にはよくわかりませんでした.私が考えた議論は以下の通りです.
Ex.8.5.7より$\widetilde C_i\subset \widetilde C\setminus \widetilde C_0$を示せば$\widetilde C_i$が空集合であることが言える.そこで$\widetilde C_i\cap \widetilde C_0=\varnothing$を示す.
8.5.4の証明より$\widetilde C_i$の元は$C_{i,1}$の元$[a_0,\ldots,1,\ldots]$のreductionとして書ける.同様に$\widetilde C_0$の元は$C_{0,1}$の元$[1,\ldots,b_i,\ldots]$のreductionとして書ける.これらが等しいとすると,$a_0b_i= 1$ in $\overline{\mathbf{F}_p}$.よって$b_i\ne0$.ところが$x_i\in \widetilde I_{(0)}$より$b_i=0$で矛盾.よって$\widetilde C_i\cap \widetilde C_0=\varnothing$.
誤:...$=J_i$.
正:...$=J_{(i)}$.
誤:$I\mapsto IM$
正:$I\mapsto Ik[C]_P$
$R_P$がネーター環だと書いてあるが,これは成立しなさそうです.反例は$k$を体としたときの$R=k[x_1,x_2,\ldots]/(x_1^2,x_2^2,\ldots)$と$P=(x_1,x_2,\ldots)\subset R$.
したがってEx.8.5.6(b)(c)では$R$がネーター環であるなどの仮定が要ります.
l.11,12は成立しません.
誤:$a_p(E)X$
正:$a_p(E)x$
誤:$\lambda\in O_{K_f}$
正:$\lambda\subset O_{K_f}$
$\alpha$が$\tau$を動かさないことから,どうして$\alpha\in\langle\gamma\rangle$を導けるのか疑問.実際$\tau=i$,$\alpha=\begin{pmatrix}0&-2\\2&0\end{pmatrix}$,$\gamma=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$とすると$\alpha(\tau)=\tau$だが,$\alpha\notin\langle\gamma\rangle$である.
代わりに次のようにすれば良いと思う.Proposition2.3.3より,$\gamma$が$\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$または$\begin{pmatrix}0&-1\\1&1\end{pmatrix}$の場合に帰着できるが,これらの場合はやさしい計算で示せる.
「$a_n(E)=$」の右辺は2倍したものが正しそうです.
(次の行の「$a_n(T_pE)=$」も同様.)
$p\nmid N$のもとで$M_{p^{e-1}}M_p=\ldots$は成立しない.右辺の集合に属する行列は右上の成分が左上の成分より小さいが,左辺はその限りでないため,両辺の集合は一致しない.
ここに書かれているのは(c)のヒントだと思う.なお(b)はTheorem5.8.3の記号で$\beta\subset B_2(88)$となることからわかる.
誤:Consider $d^n\alpha$.
正:Consider $d\alpha$.
誤:$\mathbb{T}_{\mathbf{C}}$-(module)
正:$A$-(module)
誤:$(\sigma\sigma',\sigma'(P)+P')$
正:$(\sigma\sigma',\sigma(P')+P)$
誤:... $G_{\mathbf{Q}}\to \mathbf{F}_2$ is the mod $2$ ...
正:... $G_{\mathbf{Q}}\to \mathbf{F}_l$ is the mod $l$ ...