Pivotal isogonal circular cubic と Vu circlecevian point について、実用性の全くない極めてささいなある性質を発見したのでまとめます。
以下、基準三角形を$\triangle ABC$とします。
定理7程度までは読み飛ばしていただいても構いません。
点$P$について、それぞれ直線$AP,BP,CP$と円$(PBC),(PCA),(PAB)$の再び交わる点を頂点とする三角形をCirclecevian三角形という。
直線$PP^{*}$が点$Q$を通るような点$P$の軌跡を、pivotを$Q$とするPivotal isogonal cubicという。
任意の円が通る無限遠直線上の2点を虚円点という。
また、虚円点を通る曲線をcircularであるという。
pivotが無限遠にあるPivotal isogonal cubicはcircularである。例えばK001やK021。
点$P,Q$について、$P$のCeva三角形(Cevian triangle)と$Q$の反Ceva三角形(Anticevian triangle)の配景中心をCeva商$(P/Q)$という。
特に$(P/(P/Q))=Q$が成立する。
Pivotal isogonal cubicとは、直接関係のない事象を補題とする。
点$P,P^{*}$のCirclecevian三角形の$A$側の頂点をそれぞれ$P_A,P^{*}_A$として、
$P_A,P^{*}_A$は等角共役で、$PP^{*}//P_AP^{*}_A$.
簡単な角度追跡で証明可能。
点$P,Q$のCirclecevian三角形をそれぞれ$\triangle P_AP_BP_C,\triangle Q_AQ_BQ_C$とする。
$P_AQ_A\cap BC,P_BQ_B\cap CA,P_CQ_C\cap AB$はCeva三角形になる。このCeva三角形の元の点$\text{V}(P,Q)$をVu circlecevian 点という。
また、$A,B,C,P,Q,\text{V}(P,Q)$は共円錐曲線(Randy Hutson, 2019)。
点$P$のCirclecevian三角形を$\triangle P_AP_BP_C$、点$Q$のCeva三角形を$\triangle Q_aQ_bQ_c$とする。
円$(PBCP_A),(PCAP_B),(PABP_C)$と$P_AQ_a,P_BQ_b,P_CQ_c$のそれぞれの第2交点と$P$は共円。
この円をVu円という。
補題2,3ともにVu Thanh Tungによる。
$P,Q,Q^{*}$の共線$ \Leftrightarrow P^{*},Q,(P/Q)$の共線。
以下では無限遠直線を$\mathcal{L_{\infty}}$、2つの虚円点を$I,J$、pivotを$\Omega\in \mathcal{L_{\infty}}$とするPivotal isogonal cubicを$\mathcal{K}$とかく。
また円周、直線をそれぞれ$\odot$、オーバーラインで表すことがある。
$P\in \mathcal{K}$について$P,P^{*}$を通る円と$\mathcal{K}$の他の2交点をそれぞれ$D,E$としたとき、$D,E,\Omega^{*}$は共線。
$\Omega\Omega^{*}$は$\mathcal{K}$の漸近線である。
$\Big( P,P^{*},D,E,I,J,\Omega,\Omega,\Omega^{*}\Big)=\mathcal{K}\cap(\odot (PP^{*}DEIJ)\cup\overline{\Omega\Omega\Omega^{*}})$.
$(P,P^{*},\Omega),(I,J,\Omega)$の共線とCayley-Bacharachの定理より$D,E,\Omega^{*}$は共線。
$P,Q\in \mathcal{K}$について直線$PQ,P^{*}Q^{*}$と$\mathcal{K}$の第3交点をそれぞれ$D,E$とすると、$D,E,\Omega^{*}$は共線。
定理5と$PP^{*}//QQ^{*}$、Reimの定理より示される。
一般にそれぞれ$P,P^{*}$を通る直線と$\mathcal{K}$の4交点は共円(Feuerbach-Gergonne in AoPS, 2024)。
$P\in \mathcal{K}$のCirclecevian三角形を$\triangle P_AP_BP_C$とすると、$P_A,P_B,P_C\in \mathcal{K}$.
$\mathcal{K}$の定義と補題1より明らか。
$P,Q\in \mathcal{K}$のCirclecevian三角形をそれぞれ$\triangle P_AP_BP_C,\triangle Q_AQ_BQ_C$とすると、$P_AQ_A,P_BQ_B,P_CQ_C,P^{*}Q^{*},\mathcal{K}$は共点。
$P,P_A$に定理6を使用すると、$A$における$\mathcal{K}$のある接線が$\Omega^{*}$を通ることが分かる。
$\Big( A,A,\Omega^{*},P,P^{*},\Omega,Q,Q^{*},\Omega\Big)=\mathcal{K}\cap(\overline{AA\Omega^{*}}\cup\overline{PP^{*}\Omega}\cup\overline{QQ^{*}\Omega})$.
$\Omega,\Omega,\Omega^{*}$の共線より、$A,A,P,P^{*},Q,Q^{*}$は共円錐曲線。
次に、$P^{*}Q^{*}$と$\mathcal{K}$の、$P^{*},Q^{*}$とは異なる交点を$S$とすると、
$\Big(A,P,P_A,A,Q,Q_A,S,P^{*},Q^{*})=\mathcal{K}\cap(\overline{APP_A}\cup\overline{AQQ_A}\cup\overline{P^{*}Q^{*}S})$.
$A,A,P,P^{*},Q,Q^{*}$の共円錐曲線より、$P_A,Q_A,S$は共線。
対称性より$P_AQ_A,P_BQ_B,P_CQ_C,P^{*}Q^{*},\mathcal{K}$は$S$で交わる。
$P,S\in \mathcal{K}$について、$P$のCirclecevian三角形を$\triangle P_AP_BP_C$とする。
$P_AS,P_BS,P_CS$と円$PBC,PCA,PAB$のそれぞれの第2交点と$P$は共円。
定理8より$P_AS,P_BS,P_CS$と$\mathcal{K}$の第3交点はCirclecevian三角形となる。
したがって、$P_AS\cap BC,P_BS\cap CA,P_CS\cap AB$は補題2よりCeva三角形となるから、
補題3より題意は示された。
第2Fermat点$X_{14}$は第1Napoleon三角形の外接円すなわち$X_{14},X_2$のVu円上にある。
$P,Q\in \mathcal{K}$のVu Circlecevian 点を$V$、$P^{*}Q^{*}$と$\mathcal{K}$の第3交点を$S$とする。このとき、$V\in SS^{*}$。
$P,Q,P^*,Q^*$のCirclecevian三角形をそれぞれ$\triangle P_AP_BP_C,\triangle Q_AQ_BQ_C,\triangle P^*_AP^*_BP^*_C,\triangle Q^*_AQ^*_BQ^*_C$とする。
補題2のRandy Hutsonの結果から、$A,B,C,P,Q,V$は共円錐曲線なので、$P^*,Q^*,V^*$は共線。
補題4より、$(V/S)$が$P^*Q^*$上に存在することを示せばよい。
今、$R=PQ\cap P^*Q^*$として$(V/S)=R$を証明する。$R$のCeva三角形を$\triangle R_aR_bR_c$とする。
$PP^*//QQ^*$などより、$P_AQ_A,P^*_AQ^*_A,AR$は共点。この点を$R'$とする。
$PP_A\cap P^*P^{*}_A=A$より、$(PP^{*}_A\cap P^*P_A)\in BC$。
この構図を$PP_AQQ_A$にあたる部分が等脚台形となるように射影変換する等して、$A,R_a,R,R'$にあたる部分が調和点列を成すことが分かるから、$R'$は$R$の反Ceva三角形の頂点となるので$(V/R)=S$が示された。
一方$(V/(V/S))=S$であるから、$(V/S)=R$。
$P,Q,P^*,Q^*$のCirclecevian三角形をそれぞれ$\triangle P_AP_BP_C,\triangle Q_AQ_BQ_C,\triangle P^*_AP^*_BP^*_C,\triangle Q^*_AQ^*_BQ^*_C$とする。完全四角形$P_AQ_AP^*_AQ^*_A,P_BQ_BP^*_BQ^*_B,P_CQ_CP^*_CQ^*_C$のNewton線の作る三角形は完全四角形$PQP^*Q^*$のNewton線の三線極のCeva三角形である。
上の射影変換の要領で証明が可能です。
Pivotal isogonal circular cubicとは関係ない、未証明の問題を書いて終わろうと思います(定理10の証明の一部に出てくる部分の一般化です)。
点$P,Q,P^*,Q^*$のCirclecevian三角形をそれぞれ$\triangle P_AP_BP_C,\triangle Q_AQ_BQ_C,\triangle P^*_AP^*_BP^*_C,\triangle Q^*_AQ^*_BQ^*_C$としたとき、3つの直線$A(P_AQ_A\cap P^*_AQ^*_A),B(P_BQ_B\cap P^*_BQ^*_B),C(P_CQ_C\cap P^*_CQ^*_C)$は共点。
$P,Q$のVu Circlecevian 点と$PQ^*\cap P^*Q$を結ぶ直線は、完全四角形$PQP^*Q^*$のNewton線に平行。