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高校数学解説
文献あり

背景知識のみで数Aのn進数問題を解いてみよう!

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どうも、Mathlogでは初投稿です、ITetsuYKと申します。

専攻は日本語専攻を選択する予定です。でも数学は好きです。
基本的には(日本・韓国両方の)高校数学に収まる範囲をよく扱っています。

この記事は「$n$進法」を習っていない筆者が、
必死に$n$進法の問題を解いていく内容となっています。
筆者は純粋な(?)韓国人のため、進法は履修していないんですよね。
僕の履修した前の前、ほどの改定で外れたそうです。
が、HEX Code(*)などで一応n進法が何か、は理解しています。
(*) RGBに対応する3個の2桁の16進法で表された数字の組み合わせで色を表す方法。

まぁそんな感じの背景知識+基礎数学に関する知識のみで、
ひたすらn進法に関する入試問題を解いていきます。
複数のサイトから再引用した問題です。
$\;$


‘68 神戸大

$7$進法で表すと$3$けたとなる正の整数がある. これを$11$進法で表すと, やはり$3$けたで, 数字の順序がもととちょうど反対となる. このような整数を$10$進法で表せ.

……あ、最初に文字で桁数を表す方法を決めていかないとな。
$\displaystyle\overline{b_kb_{k-1}\cdots b_1\color{white}}_{(n)}:=\sum_{i=1}^k b_in^{i-1}$ とします。つまり$\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\\3\\4\end{pmatrix}$なら$\overline{abc}_{(5)}=134_{(5)}$となります。

さて、やっていきます。まぁ変数設定をしてからやっていくのがいいだろうな。
問題の整数を$N=\overline{abc}_{(7)}=\overline{cba}_{(11)}$とすると($a,b,c\in[0,\;6],\;a\neq0\neq c$
方程式$7^2a+7b+c=11^2c+11b+a$を立てることができる。
$a$に対してまとめると$48a=4b+120c$, $12a=b+30c$

ここで範囲を考えてみると係数の大きい$c$の範囲をだいぶ絞れそう。
$a\in[1,\;6]$から$12a=b+30c\in[12,\;72]$なので
$c=1$または$c=2$になる。特に$c=2$なら$b=0,\;a=5$
まずこれを試してみるか。
$(a,\;b,\;c)=(5,\;0,\;2)$なら$N=502_{(7)}=247_{(10)}=205_{(11)}$
おし、できたね。

万が一のために$c=1$の場合も考慮してみる。
$b=12a-30=6(2a-5)$から$b$$6$の整数倍であることが確定。
$2a-5=0$の解は整数ではないので$b\neq0$
$b\in[0,\;6]$なので$b=6$、代入すると$a=3$
$(a,\;b,\;c)=(3,\;6,\;1)$から$N=361_{(7)}=190_{(10)}=163_{(11)}$
オーケー、これも合ってるっぽいです。

ということで答えは $247_{(10)}$または$190_{(10)}\;\;\blacksquare$
$\;$


以下の問いに答えよ. (‘18 九州大)

 (1) $n$を自然数とする. $2^n$$7$で割った余りを求めよ.
 (2) 自然数$m$は, $2$進法で$101$$6$回連続する表示
   $101101101101101101_{(2)}$をもつとする.
   $m$$7$で割った余りを求めよ.

……$n$進法問題と言っておきながらこれはもうほぼ合同式の問題だな。
これに関してもまったく知識はありません。$a\equiv b\;({\rm mod}\;n)$が意味するのが
$a-kn=b-ln$を満たす整数解$(k,\;l)$が存在する、っていうことぐらい。

さぁ、やっていきましょ。まずは(1)。
$2^0=1\equiv1,\;2^3=8\equiv1\;({\rm mod\;7})$から
$i\in\mathbb{N}_0;\;2^{3i}\equiv1\;({\rm mod}\;7)$とまとめることができるので、
これに$2$$2^2$をかけると全ての負ではない整数に対応させることができそうだ。
$2^{3i+1}\equiv2\cdot1=2,\;2^{3i+2}\equiv4\cdot1=4$なので
最終的に$2^n$$7$で割った余りを$R(n)$とすれば
$i\in\mathbb{N};\;R(n)=\begin{cases}2&(n=3i-2)\\4&(n=3i-1)\\1&(n=2i)\end{cases}\quad\blacksquare$

次は(2)。計算しやすいように$8$進法にしてみると$555555_{(8)}$
これを$10$進法に直すと$5(8^5+8^4+8^3+8^2+8)_{(10)}+5_{(10)}$
${\rm mod}\;7$の洗礼を受けさせる(?)と
(ここから下は全部$10$進法で表してます)
$5(8^5+8^4+8^3+8^2+8)+5\equiv5(1+1+1+1+1)+5=30\equiv 2\;({\rm mod}\;7)$

$\therefore 2\;\;\blacksquare$

そして、合っているか不確かだったのでとりあえず公式を少し証明しといた。
整数$P,\;T$に対して$P\equiv T\;({\rm mod}\;k)$なら
$p,\;t,\;\alpha\in\mathbb{Z};\;P=pk+\alpha,\;T=tk+\alpha$と表すことができる。
ならそれぞれを自然数$n$に対して$n$乗すると
$P^n=\displaystyle\sum_{i=0}^n\,_n\!\:\!{\rm C}_i(pk)^i\alpha^{n-i}=\sum_{i=1}^n\,_n\!\:\!{\rm C}_i(pk)^i\alpha^{n-i}+\alpha^n\equiv\alpha^n\;({\rm mod}\;k)$
$T^n=\displaystyle\sum_{i=0}^n\,_n\!\:\!{\rm C}_i(tk)^i\alpha^{n-i}=\sum_{i=1}^n\,_n\!\:\!{\rm C}_i(tk)^i\alpha^{n-i}+\alpha^n\equiv\alpha^n\;({\rm mod}\;k)$
$A\equiv C,\;B\equiv C$なら$A\equiv B$なので、
$P\equiv T$なら$P^n\equiv T^n$が真であることが証明できた。
$\displaystyle\left({\sf *\;}_n\:\!\!{\rm C}_r=\frac{n!}{(n-r)!r!}{\textsf.\;\;}n{\sf \,個の中から\,}r{\sf\,個を選んで作る組み合わせの数。}\right)$

また同様の方法で
$P\equiv T\longrightarrow nP\equiv nT$
$P\equiv T\longrightarrow n+P\equiv n+T$
も真であることを証明することができる。なんならこっちのがもっと簡単。
$\;$


‘16 京都大・文系

$n$$4$以上の自然数とする.
$2,\;12,\;1331$がすべて$n$進法で表記されているとして,
$2^{12}=1331$が成り立っている。このとき$n$はいくつか.
十進法で答えよ.

${2^{12}}_{(n)}={2^{n+2}}_{(10)}=(n^3+3n^2+3n+1)_{(10)}={(n+1)^3}_{(10)}$
から$n=2^k-1\;(k\in\mathbb{N})$であることがわかる。
代入すると$2^{2^k+1}=2^{3k}$から$2^k=3k-1$なのだけど、
指数関数と多項関数の連立方程式は確か高校過程では解けないはずなので、
素直に一番小さいやつから試していこうか。

でも解の個数はわかる。
$2^k$$3k-1$も導関数の関数値が常に正の実数なので、
方程式$2^k=3k-1$の解の実数解は$1$個あるか、存在しない。

(ⅰ) $n=2^3-1=7$
$2^9=(7+1)^3=8^3=2^9\;\;(\bigcirc)\;$

(ⅱ) $n=2^4-1=15$
$2^{17}\neq16^{3}=2^{12}\;\;(\times)$

(ⅲ) $n=2^5-1=31$
$2^{33}\neq32^3=2^{15}\;\;(\times)$

一応確認のために3個までやったのだが、これ以上の解は存在しない。
グラフを描いてみてもわかる。$3k-1$側の傾きがそのままなのに対して、
$2^k$側はずっと傾きが増え続けるので遠のいていくだけ。

$\therefore n=7_{(10)}\;\;\blacksquare$
$\;$


‘21 慶応義塾大・薬学部

$3$進法で表された$3n$桁(けた)の整数
   $\underbrace{210210\cdots210}_{3n\,{\rm 桁}}$
がある(ただし, $n$は自然数とする). この数は, $1\leqq k\leqq n$を満たすすべての自然数$k$に対して, 最小の位から数えて$3k$番目の位の数が$2$, $3k-1$番目の位の数が$1$, $3k-2$番目の位の数が$0$である. この数を$10$進法で表した数を$a_n$とおく.
 (1) $a_2=$[ ク ]である.
 (2) $a_n$$n$の式で表すと[ ケ ]である.

……問題2でさらっとやってしまったものだ、これ。
順番しくじったなぁ、まぁいっか。
一応(1)からやっていこう。
$a_2$$3$進法で表したものが$210210_{(3)}$なので、これを$10$進法で書き直すと
$a_2=(2\cdot3^5+3^4+2\cdot3^2+3)_{(10)}=(486+81+18+3)_{(10)}=588_{(10)}\;\;\blacksquare$

正直言うと(2)からしたかった。
とりあえず$210_{(3)}$$10$進法で書き直すと$21_{(10)}$で、
$210000_{(3)}$${(21\cdot 3^3)}_{(10)}$
これを足したものが$a_2=\{21\cdot(3^3+1)\}_{(10)}$になるわけで。
なら$a_3$はこれに$(21\cdot3^6)_{(10)}$を足した$\{21\cdot(3^6+3^3+1)\}_{(10)}$
これを一般化すると
$\displaystyle a_n=21_{(10)}\sum_{k=1}^{n}{27^{k-1}}_{(10)}={\frac{21}{26}\cdot(27^n-1)}_{(10)}\;\;\blacksquare$

$\;$
……問題4つだけでかなり疲れますね、これ。
累乗の足し算だからかなり頭を使うことになる。しかも変数設定しちゃうとなおさら。

もしエラー等ございましたら教えてくださると幸いです。
では今回はこれにて。ばいばい。

参考文献

投稿日:2023914

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YK
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どうも。なぜか日本語ができる韓国人です。 数学は楽しいという感情でやっています。よろしくお願いします。

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