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円周率の近似計算に使われた定積分

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$\displaystyle\int_0^1\frac{x^4(1-x)^4}{1+x^2}\,dx$ において$x=\tan\theta\quad(0\leq\theta\leq\frac{\pi}{4})$ と変数変換すると

$\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{4}}\tan^4\theta(1-\tan\theta)^4\,d\theta=I_8-4I_7+6I_6-4I_5+I_4$

ここで $\displaystyle I_n=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\tan^n\theta\,d\theta\quad(n=0,1,2,\cdots)$である.

$\displaystyle I_{n+2}=\int_0^{\frac{\pi}{4}}\biggl(\frac{1}{\cos^2}-1\biggr)\tan^n\theta\,d\theta=\frac{1}{n+1}-I_n$より $I_7+I_5=1/6$

また$I_8-6I_6+I_4=1/7+5I_6+I_4=8/7-I_4=80/21-4I_0=80/21-\pi$だから

求める積分値は$80/21-\pi-2/3=22/7-\pi$である.

さて$\displaystyle\frac{1}{1+x^2}=\sum_{n=0}^{\infty}(-x^2)^n\quad(|x|<1)$より

$\displaystyle\int_0^1\frac{x^4(1-x)^4}{1+x^2}\,dx=\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^n\int_0^1x^{2n+4}(1-x)^4\,dx$

$\displaystyle=24\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^n\frac{1}{(2n+9)(2n+8)(2n+7)(2n+6)(2n+5)}$,となるから

$\displaystyle\pi=22/7-24\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^n\frac{1}{(2n+9)(2n+8)(2n+7)(2n+6)(2n+5)} $

これによって$\pi$の近似値を計算することができる.

投稿日:2023125
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PCを持っておらずiPadで書いている為見づらいかもしれませんが、ご容赦ください。横浜市立大学理学部数理科学科卒業。東京大学大学院数理科学研究科修士課程終了。

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