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内接多角形の最大化の証明

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まえがき

こんにちは、高3のぱぺです。
なぜか「ぱぺ」と打つと勝手に「日字」と変換されてしまう今日この頃。

こういうのがよくあって、今適当に打って出てくる変なものだと、
s → lt  [ sjke → ltforけ , sjsa → ltforさ ]
k → hear  [ kjje → hearっジェ , ksa → hearさ]
j → for  [ jko → forこ , jwe → forウェ ]
が出てきます。もっとあります。なんで??本当になんで???

本題

さて、「半径が一定のとき、内接$n$角形$P$の面積が最大となるのは、$P$が正多角形のときである。」の高校範囲での証明を考えます。
契機は 日本の高校生が数学界初の偉業を達成しました... /ド文系でも楽しい【ゆっくり数学の雑学】 の動画です。高校数学での初等的な証明をしたとのことで、私も自分なりの方法でやってみようと思った次第です。

証明

次の事柄を考える:

補題1

$n$$2$以上の整数、$M$$0< M\leq 2π$を満たす実数の定数であるとする。
$O$を中心とする半径$1$の円を考え、$\angle{P_0OP_n}=M$となるように$2$$P_0$,$P_n$をとる。
大きさが$M$のほうの中心角$\angle{P_0OP_n}$に対応する弧を「対象弧」と呼ぶことにする。
その後、対象弧上で、$P_0$に近い方から順に$n-1$$P_1,P_2,P_3,...,P_{n-1}$をとる。

$n,M$の値が変化しないように$n-1$$P_i\;(i=1,2,3,\cdots,n-1)$の位置が変化するとき、$n+1$角形$P_0P_1P_2...P_n$($P_{n,M}$と呼ぶこととする)の面積$S_{n,M}$が最大となるのは、$n,M$の値によらず$\angle{P_0OP_1}=\angle{P_1OP_2}=\angle{P_2OP_3}=\cdots=\angle{P_{n-1}OP_n}$のときのみである。 $-(*)$

なお、ここでの多角形については、頂点同士が重なってもよいものとする。証明は後ほど記す。

この補題1について、$n\geq 3$のとき、$M=2π$とすると、$P_0=P_n$であるから、$P$$n$角形$P_1P_2P_3\cdots P_n$となる。この$P$の面積$S_{n,2π}$が最大となるのは$\displaystyle \angle{P_iOP_{i+1}}=\frac{2π}{n}\left(i=0,1,2,\cdots,n-1\right)(P_0=P_n)$すなわち$P$が正$n$角形のときである。

補題1の証明

以下、補題1の証明である。
$k=2,3,4,\cdots$として、以下、数学的帰納法を用いて示す。


$\text{(1)}$ $n=2$のときを考える。$n$$M$は定数である。

下図のように、$P_0P_2$の中点$N$と垂直二等分線$NO$を考える。
半直線$NO$上にあって$P_0P_2$との距離が$P_1$のそれと等しい点を$H$とする。
$\displaystyle S_{2,M}=\triangle{P_0P_1P_2}=\frac{1}{2}\cdot P_0P_2\cdot NH$
$\displaystyle \frac{1}{2}\cdot P_0P_2$は正の値で一定であるから、
$S_{n,M}$の値が最大となるのは、$NH$が最大となるときで、そのようになるのは、$P_1$が対象弧上にあるなかでは$P_1$$NO$上にあるときである。
このとき、$\displaystyle \angle{P_0OP_1}=\angle{P_1OP_2}=\frac{M}{2}$である。
したがって、$n=2$のとき補題1は成立。

!FORMULA[60][36583973][0] $n=2$


$\text{(2)}$ $n=k$で補題1が成立すると仮定して、$n=k+1$で補題1が成立することを示す。なお、$n,M$は定数である。

$ $
$n=k+1(\geq3)$のとき、円の中心$O$から各頂点に線分をひき、$n+1$個の二等辺三角形に分割することで、$P_{n,M}$の面積$S_{n,M}$を計算できる。
$P_{n+1}=P_0,\;\angle{P_iOP_{i+1}}=\theta_{i}\;(i=0,1,2,\cdots,n-1)$とする。
$\theta_{n}=2π-M$であり、定数となる。
$\displaystyle \triangle{P_iOP_{i+1}}=\frac{1}{2}\sin{\theta_i}$ で表されるとし、負の面積も許容すると、
$\displaystyle S_{n,M}=\sum_{i=0}^{n} \triangle{P_iOP_{i+1}}$で表される。
また、$n$角形$P_0P_1P_2\cdots P_{n-1}$の面積は$S_{n,M}-\triangle{P_{n-1}P_nP_0}$で表される。

$ $

ここで、$\theta_{n-1}$の値を固定して考える。

$\displaystyle S_{n,M}=\triangle{P_{n-1}P_nP_0}+(\text{ $n$角形$P_0P_1P_2\cdots P_{n-1}$の面積 })$
右辺第一項は定数であり、第二項が最大となるのは、$n=k$のときに補題1が成り立つとする仮定で、$M$$M-\theta_{n-1}$とすれば、$\angle{P_0OP_1}=\angle{P_1OP_2}=\cdots=\angle{P_{n-2}OP_{n-1}}$のときである。このとき$\angle{P_0OP_1}=\theta$とすると、$\displaystyle \theta_{n-1}=M-(n-1)\theta,\; \theta=\frac{M-\theta_{n-1}}{n-1}$で表される。
したがって、$\theta_{n-1}$を固定したときの$S_{n,M}$の最大は、$\displaystyle \theta_{i}=\theta=\frac{M-\theta_{n-1}}{n-1}\;(i=0,1,2,\cdots,n-2) $であるときであり、このとき
\begin{aligned} S_{n,M}&=\sum_{i=0}^{n}\frac{1}{2}\sin\theta_i \\ &=\sum_{i=0}^{n-2}\frac{1}{2}\sin\theta_i+\frac{1}{2}\sin\theta_{n-1}+\frac{1}{2}\sin\theta_n \\ &=\frac{n-1}{2}\sin\theta+\frac{1}{2}\sin\theta_{n-1}+\frac{1}{2}\sin(2π-M) \\ &=\frac{n-1}{2}\sin\theta+\frac{1}{2}\sin\left\{M-(n-1)\theta\right\}-\frac{1}{2}\sin{M} \end{aligned}
である。

$ $
次に、$\theta_{n-1}$の値を$0\leq\theta_{n-1}\leq M$の間で動かす。
$\theta_{n-1}$が固定されたときの$S_{n,M}$の最大値を$\displaystyle f\left(\frac{M-\theta_{n-1}}{n-1}\right)=f(\theta)$とおいて値を比べ、その中の最大値を考えると、それは$n,M$が不変であるときの図形$P$の面積の最大値に一致する。

$0\leq\theta_{n-1}\leq M\; \Leftrightarrow\;\displaystyle 0\leq\theta\leq \frac{M}{n-1}$であるから

$\displaystyle 0\leq\theta\leq \frac{M}{n-1}$ における $\displaystyle f(\theta)=\frac{n-1}{2}\sin\theta+\frac{1}{2}\sin\left\{M-(n-1)\theta\right\}-\frac{1}{2}\sin{M}$の最大値を以下で求める。
$ $
$ $

\begin{aligned} f(\theta)&=\frac{n-1}{2}\sin\theta+\frac{1}{2}\sin\left\{M-(n-1)\theta\right\}-\frac{1}{2}\sin{M} \\ f'(\theta)&=\frac{n-1}{2} \left\{\cos\theta-\cos\left\{M-(n-1)\theta\right\}\right\} \end{aligned}
$\displaystyle n\geq3\;,\; \frac{n-1}{2}>0$であるから、$\displaystyle \frac{2}{n-1}f'(\theta)=\cos{\theta}-\cos\left\{M-(n-1)\theta\right\}$の正負を調べればよい。
$\displaystyle 0\leq\theta\leq\frac{M}{n-1}\leq π$より$\theta\leq2π-\theta$である。

増減調べ①

$\displaystyle0\leq\theta\leq \frac{M}{n-1}$.

$0\leq M-(n-1)\theta<\theta$ すなわち $\displaystyle \frac{M}{n}<\theta\leq\frac{M}{n-1}$のとき

$\cos\theta<\cos\left\{M-(n-1)\theta\right\}$ より$f'(\theta)<0$
$ $
$M-(n-1)\theta=\theta$ すなわち $\displaystyle \theta=\frac{M}{n}$のとき

$\cos\theta=\cos\left\{M-(n-1)\theta\right\}$ より$f'(\theta)=0$
$ $
$\theta \leq M-(n-1)\theta<2π-\theta$ すなわち $\displaystyle 0\leq\theta<\frac{M}{n}$のとき

$\cos\theta>\cos\left\{M-(n-1)\theta\right\}$ より$f'(\theta)>0$
$ $
$2π-\theta\leq M-(n-1)\theta$となることはない。

増減調べ②

\begin{aligned} 0<\theta<\frac{M}{n} &\Rightarrow f'(\theta)>0 \\ \theta=\frac{M}{n} &\Rightarrow f'(\theta)=0 \\ \frac{M}{n}<\theta<\frac{M}{n-1} &\Rightarrow f'(\theta)<0 \end{aligned}

$f(\theta)$は明らかに連続かつ開区間$\displaystyle \left(0\;,\;\frac{M}{n-1}\right)$で連続であるから、
$\displaystyle 0\leq\theta\leq \frac{M}{n-1}$における最大値は極大値を与える$\displaystyle \theta=\frac{M}{n}$のときである。
このとき、$\displaystyle \theta_{n-1}=M-(n-1)\theta=\frac{M}{n}$である。

以上から、$S_{n,M}$が最大となるのは$\displaystyle \angle{P_0OP_1}=\angle{P_1OP_2}=\cdots=\angle{P_{n-2}OP_{n-1}}=\angle{P_{n-1}OP_n}=\frac{M}{n}$のときである。
従って、$n=k$のとき補題1が成立するならば、$n=k+1$のときも補題1が成立する。


$\text{(1)(2)}$から、$n\geq2$であるすべての$n$と定数$M$について補題1が成立する。 (補題1証明終了)

$ $
$ $

あとがき

これってうまく書けばその高校生集団みたいに論文書けたりしませんかね、無理か、無理だね。初等的じゃないし。

ちなみに、補題1の証明の$\text{(1)}$において、
$P_1$から$NO$に下ろした垂線の足を$H$とする。」
と書かなかったのは、$P_1$$NO$上にあるときに危ないことになるからですね。
それにもかかわらず、$P_0$$P_n$が一致することで$P_0P_n$が直線として存在できないような$M=2π$を含めたままだったのは悪手だったなあと思います。そこは心残り。

数研の研究発表、できたらこれにしようかなと思ってます。高3だし引退してるけど。

更新欄

2025/8/6.18:15 投稿

投稿日:86
更新日:86
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高校3年のぱぺです。 文章を作るのは苦手です。数学は好きで、かつ学年の中では数学が得意なほうです。 ここでは、①作問の投稿 ②高校数学のいろいろの投稿 ③「問題解いてみる」系投稿 を行います。

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