おおまかな議論はLeinster『basic category theory』による。
特に指定がない限りを小さな圏、をからへの関手圏、を関手、の対象による表現関手をとする。
また、のように射を表すとき、反対圏でない圏での射の向きで示すものとする。
本稿での目的は、以下の双対的な(しかし非対称的な)命題である。
上の状況で、
(1)に極限が存在するなら、関手として
(2)に余極限が存在するなら、関手として
これらの式の意味を確認しつつ、証明に必要な補題を証明していく。
まず、
右辺は関手の極限。
は、すべてのに対して、図式に整合的な射
が存在することにより誘導される射であるが、以下の補題により、より簡単に理解できる。
における極限、および余極限は明示的に構成できる。を関手とすると、
(余談:に対しては、このような便利な表示をもたないことが本稿で証明する定理の非対称性に関わっていると思われる。一見すると、のように“懐が広い”圏は対称的であるように思えるのにそうとも限らない点が印象深い。)
の錐(英:cone)としてをとる。
として、と定義すると、これが極限の普遍性より誘導される射にあたる。一意性は明らかである。
上の補題を踏まえると、
は、
となるから、簡単のために
と表す。(左からをかけるという意味)
は、表現関手に他ならない。
双関手(英:bifunctor)Cone:
と定義する。ここで、は対角関手を対応させる関手である。
は、を頂点とするのすべての錐からなる集合である。射としては、錐の成分の射に適当に作用させるようなものを考える。(標準的な記法のものである。)
補題2よりとなること(と射の対応の確認)により、以下が成り立つ。
次の補題を証明することで、定理1の(1)を証明が完了する。
を固定した関手として
(余談:標語的に言えば、「の極限が存在する⇔関手が表現可能」。)
それぞれを固定して、同型が成り立つことを示せばよい。
まずを固定し、を示したいが、
極限の普遍性よりはを頂点としたの錐と自然に対応する(射の対応を計算せよ)。よって、同型が成り立つ。
補題3,4に対しては、同様にして双対的な命題が成り立つ。
よって、定理1の(2)が成り立つ。