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第10回和田杯、僕の解答

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ねたばれありまーす。

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aを実数とする.正の整数に対して定義され実数値をとる関数fであって,

  • 任意の正の整数xに対して|f(x)|<1
  • k=1f(k)=a
    をみたすものが存在するようなaをすべて求めよ.

|k=1f(k)|<|f(1)|<1より|a|<1
f(1)=|a|aa,f(x)=a1/2xとすれば構成できるので答えは|a|<1

構成,結構いっぱいできるはずで,最初に思いついたのは
f(x)=(x+k)(x+k+2)(x+k+1)2としてf(1)だけずらすものです.
漸化式的に値を定義していた方もいました.

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正実数に対して定義され正実数値をとる関数fであって,任意の正実数x,yに対して
( f[f(x)](y) )[f(x)]=( [f(x)]+y )[x+1]
が成り立つようなものをすべて求めよ.
ただし正整数kに対してfkとはf1(x)=f(x),fn+1(x)=f(fn(x))で定義されたものであり,実数rに対して[r]r以下の整数のうち最大のものを表すとする.

[f(x)]=0とすると1=y[x+1]となり矛盾.よって[f(x)]は正整数.
任意の正整数nについてn1/n31/3<2なので任意の正整数nについてn1/n<t<2をみたす正実数tがとれるのでとる.
n<tnよりy=t[f(x)][f(x)]とでき,すると
f[f(x)](y)=t[x+1]となるので[x+1]=1となるようにすればf(a)=t<2なる正実数aをとれることがわかる.
x=aとするとf(y)=(y+1)[a+1]A
Aの式にy=aを代入して2>(a+1)[a+1][a+1][a+1]から[a+1]=1.これをAに当てはめるとf(y)=y+1
この式は十分性をみたす.

僕の原案:f[f(x)](y)=y+[f(x)]
を魔改造してもらってできた問題です.
fの肩にも,式の肩にも,両肩に荷を載せました.

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xy平面上においてある点が良い点であるとは,その点のx座標とy座標が共に1以上n以下の正整数であることを指すものとする.N匹のウサギが(1,1)から(n,n)まで,良い点から良い点への移動のみで移動する.また,ウサギは今いる良い点よりx座標とy座標の少なくとも一方が小さい点には移動できないものとする.このとき,任意の1ijn1kln(i,k)(j,l)をみたす整数i,j,k,lに対して,(i,k)から(j,l)へ移動したウサギが存在したという.ウサギの匹数としてありえる最小値を求めよ.

僕は解けてない

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nを正の整数,aを整数としたとき,
d|nadϕ(nd)d|nadμ(nd)  (mod n)
が成立することを示せ.

僕は解けてない

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鋭角三角形ABCの垂心をHとする.HA,B,Cを対称移動させた点をそれぞれA,B,Cとする.AHBCの交点,BHCAの交点,CHABの交点をそれぞれD,E,Fとする.点X,Y,Zをそれぞれ三角形BEF,三角形CFD,三角形ADEの外心とする.このとき,
(1)三直線AX,BY,CZが全てある共通の一点を通ることを示せ.
(2)(1)の点をPとするとき,PO:PHを求めよ.

訂正:(2)について,Oは三角形ABCの外心.

BFC=BEC=90°だからB,C,E,Fは共円.
HCHF=HCHF=HEHB=HEHBよりB,C,E,Fは共円.
同様にC,A,D,FA,B,E,Dもそれぞれ共円だから,三角形XYZは三つの線分AD,BE,CFの垂直二等分線から成る三角形.
そのためBCYZはいずれもADに垂直なので,BC//YZ
同様にXY//AB,XZ//ACより三角形ABC,XYZは相似拡大の関係にあるため(1)が示された.
ここで,辺BCの中点をM,三角形ABCの九点円の中心をOとする.
X,Oは定義から線分EFの垂直二等分線上にあり,ME=MB=MFよりMについてもそうである.MO//AOより直線XOは三角形XYZの外心を通り,同様に直線YO,ZOについてもいえるので,Oは三角形XYZの外心.
AB:XY=1:xとする.
|YHZ|=12YZ(HD+HA2)=12xBCAD2=x2|ABC|である.同じことを繰り返して足せば
|XYZ|=3x2|ABC|である.ここで二つの三角形の相似比は1:xだから面積比が1:x2になるので,x=32
よってPは線分OO3:2に外分する点であるため,PO:PH=1:2

!FORMULA[124][1149640][0]が!FORMULA[125][1150663][0]の中点であることは演習とします. OOHの中点であることは演習とします.
他にも同じ式からHが三角形XYZの重心だと示していく方針も

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正実数に対して定義され正実数値をとる関数fであって,任意の正実数xに対して
f(x)2(2f(2f(x))+1)=2f(x)+1
が成り立つようなものをすべて求めよ.

f(2f(x))>0より,f(x)<3
f(2f(x))=12f(x)2+1f(x)12
f(2f(x))1=(12f(x)212)+(1f(x)1)=(1f(x))(3f(x)+12f(x)2)B


ここで,f(x)1と仮定する.
a1=f(x),an+1=f(2an)で定義される数列を考えると,Bからan+11an1=3an+12an2<0であるため,a1,a2,1より大きい数と1より小さい数が交互に並ぶ数列である.
3x+12x2>2(x<1),3x+12x2>59(1<x<3)より,|an+2|>109|an|
よって十分大きいnについて|an|>2024であり,これは0<f(x)<3に矛盾する.


したがってf(x)=1.これは十分性をみたす.

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n3以上の整数とする.平面上のn個の点からなる集合Sが以下の条件を満たす.

任意の相異なる二点A,BSに対してあるSの要素Cが存在し,三角形ABCが正三角形となる.

このときnとしてありえる値をすべて求めよ.

n=3のときはS={A,B,C}を正三角形の頂点からなる集合とすれば条件をみたす.
以下n4とする.
Sの二つの要素であって,二点間の距離が最大であるような二点A,Bをとり,三角形ABCが正三角形となる点Cをとる.最大性からA,B,C以外のSの要素PについてAP,BP,CPABより,Pは正三角形ABCを含むルーローの三角形内にある.
対称性よりBP,CPAPとするとPの範囲は上図の A である.すると三角形APQが正三角形になるような点Qの範囲は上図の B,C であるため,これはルーローの三角形外であるから矛盾する.
したがってn=3のみ.

自信作です!

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fを正の整数に対して定義され正の整数値をとる広義単調増加関数とする.(1),(2)それぞれについて条件をみたすfをすべて求めよ.
(1)任意のnkをみたす正の整数n,kについてf(nCk)= f(n)Cf(k)のとき
(2)任意のnkをみたす正の整数n,kについてf(nPk)= f(n)Pf(k)のとき

二つの問題に特に関連はないので別々に考える.与式へのn,kの代入をいずれもP(n,k)とする.

(1)

P(n,n) f(1)=1
P(n+1,n) f(n+1)= f(n+1)Cf(n)よりf(n)=1またはf(n+1)=f(n)+1

  • f(2)=1のとき
    P(n,2) f(n(n1)2)=f(n)よりf(4)=f(6)=f(15)=となるためf(n)=Const.(n4)
    f(6C4)=1よりConst.=1で,単調増加性からf(n)=1
  • f(2)>1のとき
    単調増加性からf(n)=1でないためf(n+1)=f(n)+1(n2)
    f(4)+2=f(6)=f(4C2)=f(4)Cf(2)=f(4)Cf(4)f(2)=f(4)C2=12f(4)(f(4)1)
    f(4)23f(4)4=0よりf(4)=4
    よってf(n)=n

上に行っちゃったからもう一回書くとf(nPk)= f(n)Pf(k)

P(n,n) f(n!)=f(n)!
P(n,n1) f(n!)= f(n)Pf(n1)よりf(n)f(n1)=0,1

  • f(3)>3
    f(6)=f(3)!よりf(6)f(3)=f(3){(f(3)1)!1}4(61)となってしまい矛盾.
  • f(3)=3
    f(6)=6,f(720)=720からf(n)=n(n3)
    10= 10Pf(1)より,f(1)=1
    90= 10Pf(2)より,f(2)=2
    よってf(n)=n
  • f(3)<3
    f(3)!=f(3)よりf(3)以降は定数.
    あり得るのは次の4つ.
    f(n)=1(n<k)f(n)=2(nk) (k=1,2,3)
    f(n)=1
    これら全部十分性をみたす(証明略)

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正の整数に対して定義され正の整数値をとる関数fであって,任意の正の整数a,b,cに対して
f(a)3+f(b)3+f(c)33abcf(a)+f(b)+f(c)
が整数になるようなものをすべて求めよ.

x3+y3+z33xyz=(x+y+z)(x2+y2+z2xyyzzx)より問題の条件は
3(f(a)f(b)f(c)abc)f(a)+f(b)+f(c)が整数になることと同値.この分数へのa,b,cの代入をP(a,b,c)で表す.
P(a,a,a) f(a)a3を割り切る.よってf(1)=1
P(a,1,1) f(a)+23(f(a)a)を割り切るので3a+6を割り切る.よって5以上の素数pについて,f(p)=1,p

  • f(p)=pをみたす素数pが無数に存在するとき
    P(a,p,p) f(a)+2p3p2(f(a)a)を割り切る.pを十分大きくすればf(a)+2ppと互いに素であるからf(a)+2p3(f(a)a)を割り切る.
    3|f(a)a|<f(a)+2pよりf(a)=a
  • ある整数Mが存在して,素数pp>Mのときf(p)=1であるとき
    f(n)=1とする.
    P(a,n,n) f(a)+23(f(a)an2)を割り切るので3an2+6も割り切り,f(1)=1から3a+6も割り切るので,3an2+6n2を割り切るため6(n21)を割り切る.
    任意の5以上の素数または16,9であるqについてp21qで割り切れない素数は無限に存在するので(証明略)
    f(a)+2683=144を割り切る.
    f(3)=1,3,9,27であることからf(3)=1であるためf(a)+2=6(91)=48を割り切る.
    ここで,aが奇数ならf(a)a3を割り切ることからf(a)+2も奇数であるため48の奇約数が1,3であることと合わせてf(a)=1となる.
    P(a,a,n) 2f(a)+13(f(a)2a2n)を割り切るので3(4a2n+1)を割り切る.ここでn=2f(a)+1とすると2f(a)+14a2n+1は互いに素だから,2f(a)+13を割り切る.よってf(a)=1

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非負整数の組(a,b,c)であって,
(abcabab)(acbc)(bbca)=8abc
をみたすものをすべて求めよ.

和田杯で唯一解答者が出なかった問題.長いので別の記事に分けて書こうと思う.

略.
(a,b,c)

  • (a,b,0) (a,b)=(0,0)またはa,b2
  • (0,0,c)
  • (0,1,c) c0
  • (5,3,2)

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垂心をH,外心をO,外接円をΓとする鋭角三角形ABCがある.辺BCの中点をMとし,辺BCの垂直二等分線が直線AB,ACと交わる点をそれぞれP.Qとし,線分PQの中点をNとする.直線AHΓの交点のうちAでない方をD,直線DPΓの交点のうちDでないものをE,三角形ENPの外接円と直線ABの交点をKとする.二つの直線OH,KMが点Rで交わるとき,OR:RHを求めよ.


全てを知ってる作問者目線ということでめちゃくちゃ一致法をします

三角形ABCの九点円の中心をR,重心をG,直線MRABの交点をK,半直線MHと直線AB,Γの交点をH,Lとする.
angle-chace(容易だから略)よりB,M,Q,K,Lは共円.PKQ=90°
NPK=NKP
[H,A;K,P]=[H,G;R,O]ALH=90°より直線LAは角KLPを二等分する.
ALK=ALBBLK==KPN(RM//AOとかを使う)
よってL,K,N,Pは共円.
典型構図(NP=NK')より三角形PALの外接円は直線PQPで接する.この円をω1とする.
AD//PQよりQPE=EDA=EBPであるから三角形EBPの外接円は直線PQPで接する.この円をω2とする.
Γ,ω1,ω2の根心はPQ,ALの交点NであるためB,E,Nは共線.
LED=LCD=LMD=LKDよりL,K,E,Pは共円.というわけでKKが一致してRRも一致するので答えは1:1

[H,G;R,O]を使いたかった問題

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正の整数の組(x,y,n)であって,
xy!+yx!=2024n
をみたすものをすべて求めよ.

対称性からxyとします.
x=1ならy=2024n1
x2ならx!,y!はいずれも偶数だからxy!+yx!という平方数の和が11の倍数になるよということで114k+3型素数であることからx,y11の倍数.
するとmod 31(ここは13でも多分いい)を考えてn3の倍数になるので,フェルマーの最終定理よりだめ.
よって解は(x,y,n)=(1,2024n1,n),(2024n1,1,n)

作問者による解はフェル終とかジグモンとか使ってないんですって。

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鋭角不等辺三角形ABCにおいて,内心をI,内接円をωとする.辺BC,CA,ABωの交点をそれぞれD,E,Fとする.三角形AEFの外接円と三角形ABCの外接円の交点のうちAでないものをA1Iを直線BCで対称移動させた点をA2とし,三角形DA1A2の外接円をωAとする.同様にωB,ωCを定める.
(1)ωA,ωB,ωCはある共通の二点を通ることを示せ.
(2)三角形ABCの外心をOとする.(1)の二点が直線OI上にあることを示せ.

上図みたいなG,HAを含まない弧BCの中点Mをとる.
有名事実としてA1,D,Mは共線(証明は読者への課題).
OM//HD,OA1=OMより,HA1=HDであるためGA1=DA2=ID
したがって三角形ABCの内接円の半径をr,外接円の半径をRとすると
PowωA(I)=IDIA2=2r2 PowωA(O)=OA1OG=R(R+r)
これはA,B,Cによらない値なので,直線OIは三円ωA,ωB,ωCの根軸.

A1D,B1E,C1Fの共点とかを使うのかと思ったらそのままいけてしまった.そっちの共点を使うルートもあるらしい.

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鋭角三角形ABCにおいて,Aから辺BCに下ろした垂線の足をDDから辺AB,ACに下ろした垂線の足をそれぞれE,Fとする.三角形ABCの外接円と直線EFとの交点二つをP,Qとする.三角形ABCの外接円と直線ADの交点のうちAでない方をXとし,辺BC上にBD=CYをみたす点Yをとる.線分XYの中点をMとしたとき,三角形PQDの外接円と三角形BMCの外接円は互いに接することを示せ.

上図みたいなT,M,Dをとる.
中心A半径ADの円での反転でP,Qは不動だからAP=AQ=AD=AD
DDDM=DTDM=DBDC
よって二円はDで交わる.
あとはBM=CMに着目すれば有名な話になる.

Dさえとれればどうやってもできそう

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AB<ACなる鋭角三角形において,内心をIIからBCに下ろした垂線の足をDとする.直線BC上にAX=XDなる点Xをとる.ここで,Xから直線AIに下ろした垂線の足をP,辺BCの中点をQとしたとき,三角形ABCの外接円と三角形XPQの根軸をlとする.線分IDの中点をYとしたとき,lYを通ることを示せ.

長さ追跡をします.座標じゃないし余弦定理とかも使わないし許されると思ってる.

AからBCにおろした垂線の長さをh,角A内の内接円,外接円の半径をそれぞれr,Rとする.
AIAJ=ABAC=AGAMよりAD:DK=AI:IM=AG:GJであるためBC//KJ
QM=Rr2よりKM=R+r2
h:R=AG:GJ=AI:IM=DI:MKDI=r:Rr2よりh=Rr2Rr

D',G,J,K,M,N,U,Zをとる. D',G,J,K,M,N,U,Zをとる.

BDDC+rQN=Rr+rQN(三角形BDI,JDBの相似から)
=r(R+QN)=2rR+rR+r2KN=hh+RKMKN=ADKAKAKU=ADKU
ADDK=ADDU+ADKU=BDDC+(BDDC+rQN)=2(BQ2DQ2)+rQN=2QNQM2DQ2+rQN=2QN(QM+r2)2DQ2
より12ADDK=QN(QM+r2)DQ2
QX=DX+DQ=DKDZDQ+DQ=DKDA2DQ+DQ=QN(QM+r2)DQ2DQ+DQ=QNDQ(QM+r2)であるため
QX:QN=QM+r2:DQ=MQ+DY:DQ,よってMYNXは垂直.この交点をHとすると,MHN=90°よりHは三角形ABCの外接円上にあり,XHM=XPM=XQM=90°よりX,H,P,Q,Mは共円.そのため二円の根軸は直線MHであり,これはYを通るので示された.

ここに乗ってないやつは後日別記事で上げようと思います.

投稿日:202455
OptHub AI Competition

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投稿者

Hola_6
Hola_6
18
2012
誰にも読まれず棚の底に沈めた手紙は手紙と呼べるのだろうか。

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