この記事では、私が他で見たことないパターンの$ \sqrt{2} $が無理数であることの証明を与えます。
$ \sqrt{2} $が無理数であることを証明せよ。
証明: 以下の補題を示すことで行う。
$ a $を負でない整数、$ b $を負でない有理数とする。このとき、$ \sqrt{a} = b $が成り立つならば$ b $は整数である。
補題の証明: 対偶を示す。そのために、$ b $が整数でない有理数であると仮定し、$ a = b^2 $が整数でない有理数であることを示す。
$ b $は整数でない有理数なので、$ b = \frac{q}{p} $($ p, q $は正の整数、$ p $と$ q $は互いに素、$ p \geq 2 $)と書ける。このとき、$ b^2 = \frac{q^2}{p^2} $であるが、$ p $と$ q $は互いに素なので$ q^2 $は$ p^2 $の倍数ではなく、よって$ \frac{q^2}{p^2} $は整数ではない。(Q.E.D.)
$ \sqrt{2} $が無理数であることを背理法で示す。$ \sqrt{2} $が有理数だと仮定すると、$ 2 $は整数であるから、補題より$ \sqrt{2} $は整数である。$ \sqrt{2} > 0 $であるから、$ \sqrt{2} $は$ 1 $以上の整数である。
$ 1^2 = 1 < 2, 2^2 = 4 > 2 $であり、$ n \geq 3 $のとき$ n^2 \geq 3n > 2 $であるから、どの整数も$ \sqrt{2} $ではない。
これは$ \sqrt{2} $は$ 1 $以上の整数であることと矛盾するので、背理法により題意が示された。(Q.E.D.)
この証明は、一般の$ \sqrt{m} $に対しても$ n < \sqrt{m} < n + 1 $をみたす整数$ n $を見つけることで同様に適用できます。$ n $の素因数分解を求める必要がないという点で、この証明は十分に大きい$ m $に対して「速く」構成することができるというメリットがあります。