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RELSMO2024 問7を解読する!

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 お久しぶりです ぴーです

 以前AoPSを漁っていたらこんなものを見つけまして...




















RELSMO2024 問7

Prove that
nZ0+:(bZ0+:(mZ0+:((xZ0+:(x+m=b))(sZ0+:(pZ0+:((¬(xZ0+:(p+x=1)))(¬(xZ0+:(yZ0+:(p=(x+2)(y+2)))))(xZ0+:(p=m+x+1))(rZ0+:((xZ0+:(yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp)))))(xZ0+:(yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+m)+y))))))(uZ0+:((xZ0+:(u=p+x))(u=0)(u=n+1)(¬(rZ0+:((xZ0+:(yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp)))))(xZ0+:(yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+u)+y)))))))(vZ0+:(kZ0+:((¬(v=0))((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))(rZ0+:((xZ0+:(yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp)))))(xZ0+:(yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+v)+y)))))))))))))))))

AoPSにLatexコード表示機能があってまじで良かったなと思ってます 感謝

それはそうとして、まぁ見るからにやばいですね 難問とかいう次元じゃないです そもそもなんの分野なんでしょうか

ということで、これを解読していきたいと思います

そもそもRELSMOって?

 の前に、ほとんどの人はRELSMOを知らないと思うので(僕もこれを見つけて初めて知った)説明します

 まず ELMO (Experimental Lincoln Math Olympiad)というアメリカの数オリがあります
 問題はAoPS→USA Contests→MOP Contestsから見れるので、もしかしたら見かけたことある人もいるかもしれません
 この大会は1チーム約6~7人のチーム戦であり、毎年AoPSで募集がかけられています 非公式(?)だけど問題はちゃんとしてる
 正直情報源が少なくて真偽も微妙なので詳しくは上のリンクから見てください

 まぁそんな感じのELMOですが、こんな説明が書いてあります DeepLに突っ込んだ DeepLに突っ込んだ

 簡単にまとめると、ELSMOとRELMO(RELSMO)はおふざけ数学コンです
 実際に見てみると、ELSMOは問題用紙がふざけてます
 問題自体はELMOと同じです(例外有) 2017年 これでもまだ優しい方 2017年 これでもまだ優しい方
 2012年から開催されていて、解読難易度は
(2012)<2014<2013<2016<2021<2023<2020<2017<2019<2018<2022
 です これを解読するのも面白いかも?

 一方、RELMO(RELSMO)は大学数学を使ったり、知識一発ゲーだったり、普段なら出題されないような問題が出題されています
 比較的新しく、2022年から始まっています

RELMO 2024 P7

不等辺三角形ABCが描かれており,エルモはその内心I,フォイエルバッハ点X,ナーゲル点Nに印をつけた。悲しいことに,abcdEfghijkLMnOpqrstuvwxyzを取った後、エルモは三角形ABCを失ってしまった。エルモは定規とコンパスだけで三角形を復元できるか?

 問題文おかしいですがそのまま書いてあったので...
 この問題も深く考えないほうがいいです
 解説はAoPSから見れます

解読その1

 前置きはこれくらいにして、いよいよ解読に入りましょう

 文字列をよく見てみると、xZ0+:(yZ0+:((zZ0+:のようなものは
x,y,zZ0+とまとめられるので、こうなります

nZ0+:(bZ0+:(mZ0+:((xZ0+:(x+m=b))(s,pZ0+:((¬(xZ0+:(p+x=1)))(¬(x,yZ0+:(p=(x+2)(y+2))))(xZ0+:(p=m+x+1))(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+m)+y)))))(uZ0+:((xZ0+:(u=p+x))(u=0)(u=n+1)(¬(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+u)+y))))))(v,kZ0+:((¬(v=0))((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+v)+y))))))))))))))

 次で解読の半分くらい進んじゃいますが、実は問題文をよくよく見てみると、2行目の終わりから
(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+m)+y)))))
 4行目の終わりから
(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+u)+y)))))
 7行目の前半から
(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+v)+y)))))

 と、ほとんど同じ文字列が繰り返されています(最後がm,u,vかの違いのみ)
 これをそれぞれPmPuPvと置いちゃいましょう
 さらにnZ0+:(bZ0+:(mZ0+:は問題文全体に掛かっているので以下のように書き直せます。

 nを非負整数とする.ある非負整数bが存在して,任意の非負整数mに対して以下を満たすことを示せ.
(xZ0+:(x+m=b))(s,pZ0+:((¬(xZ0+:(p+x=1)))(¬(x,yZ0+:(p=(x+2)(y+2))))(xZ0+:(p=m+x+1))Pm(uZ0+:((xZ0+:(u=p+x))(u=0)(u=n+1)(¬Pu)(v,kZ0+:((¬(v=0))((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))Pv))))))
 ただしPα
(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((zZ0+:(r=y+z+1))(s=r(px+α)+y)))))
 とする.

 かなりスッキリしました(?)ね

解読その2

 ここからは数学的考察を含んだ解読をしていきます

 まず
xZ0+:(x+m=b)(一行目)
¬(xZ0+:(p+x=1))(一行目)
¬(x,yZ0+:(p=(x+2)(y+2)))(一行目)
xZ0+:(p=m+x+1)(二行目)
xZ0+:(u=p+x)(三行目)
¬(v=0)(三行目)
zZ0+:(r=y+z+1)(Pα二行目)

 はそれぞれ
mb
p>1
pは素数
p>m
up
v0
r>y
 と同値です。言われてみれば問題文にと不等号は出てきてなかったので、これが諸悪の根源ですね

 また括弧を頑張って追っていくと、問題文の構造は
(xZ0+:(x+m=b))または(以下すべて)」すなわち
mbまたは(以下すべて)」だとわかるので、以下に書き換えられます

問題名(任意)

 nを非負整数とする.あるbZ0+が存在して,bより大きい任意のmZ0+に対して以下を満たすことを示せ.
s,pZ0+:((p>1)(p:prime)(p>m)P(uZ0+:((up)(u=0)(u=n+1)(¬P)(v,kZ0+:((v0)((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))P)))))
 ただしPα
(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((r>y)(s=r(px+v)+y)))))
 とする.

解読その3

 ここまで解読できてもまだややこしいのは中括弧や大括弧が使われていないからだと思うんですが、何重にも重なっているので使っても意味ないんですよね... 

 次に、問題文の後半
uZ0+:((up)(u=0)(u=n+1)(¬P)(v,kZ0+:((v0)((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))P)))
 を考えます。

 まず、構造としては
uZ0+:((up)(u=0)(u=n+1)(¬P)または(ほげほげ)
 となり、これは
p未満の正整数nun+1かつPnを満たすものすべてに対して、(ほげほげ)が成り立つ」
 と同値です。
 ここで、nZ0+だったのをnNとし、unに変えればスッキリします。

 次に、Pαについて考えます。

Pα:(rZ0+:((x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp))))(x,yZ0+:((r>y)(s=r(px+α)+y)))))

 まず、x,yZ0+:((¬(xy=r))(x=1)(zZ0+:(x=zp)))の部分は
xy=rを満たす任意の非負整数x,yに対して、x=1もしくはxpの倍数である」
となります。これはずばりrpの累乗であることと同値ですね

 次に、x,yZ0+:((r>y)(s=r(px+α)+y))の部分は、r=pkとしたときsp進数で表した時のpkの位がαということなので、全体としては
sp進数表示した時、αが現れる」
となります。

 またこれはα=0のとき必ず真ですが、m,u,v0が保証されているので大丈夫です。
 以上を踏まえると

 nを正整数とする.あるbZ0+が存在して,bより大きい任意のmZ0+に対して以下を満たすことを示せ.

sp進数表示したときにmが現れるよう非負整数sと素数p>mが存在して、sp進数表示に現れる正整数unを任意にとると、以下を満たす.
v,kZ0+:((v0)((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))Pv)

 最後に、v,kZ0+:((v0)((u=v(k+2))(u=v(k+2)+1))Pv)
sp進数表示に現れる正整数vであって、u=vkまたはu=vk+1(k2以上の整数)を満たすものが存在する」
となります。

 以上より

sp(>α)進数表示したときに数αが現れるとき,α良い数であるとする.

nを正整数とする.ある非負整数bが存在して,bより大きい任意の整数mに対して以下を満たすことを示せ.
mが良い数となるような非負整数spが存在して,「nと異なる良い数uを任意にとった時,2以上の整数kが存在してu=vkまたはu=vk+1を満たす良い数vが存在する

 となります!解読完了!(文章が不自然なのはおいといて...)

解く
















 とはいえ、せっかく解読したので解きたいですよね。

 問題文は以下のように言い換えられます

 正整数nに対し以下の操作を行う。

  • 正整数k2をとり、nknまたはkn+1に書き換える
     任意の正整数nに対しある非負整数bが存在して、上の操作を何回か行うことでbより大きい正整数すべてに達することができることを示せ。

 解こう...と思ったんですが、これ未解決らしいです かなしい(もし解決していたら教えてください)

 不完全燃焼なのでおまけとしてこういう問題を一問作ろうと思ったんですが、エイプリルフールというちょうど良い時期が来たので公開しました
 なのでこれ以上は特に無いです...

 最後まで読んでいただきありがとうございました

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