外心,内心,垂心と,円周角の定理を知っておけば十分である.
競技数学のG分野における,基本中の基本技が角度追跡である.高校数学のカリキュラムの中では「角度追跡」という名称では出現しないし,受験数学でも見かけたことがないので,競技数学に限る技だと言っていいだろう.角度追跡は基本技でありながら,国際数学オリンピックの問題を解く際にもよく用いられる.G分野に取り組むためには,まず身につけなければならない技だと言えよう.
ここまでの前置きをすると,どんなにすごい技かと思われるかもしれない.しかし何ということはない,名前の通り,角度を追いかけていくだけである.
具体例を示そう.
このとき
重要なのは例題2だろう.角度追跡によって,二等辺三角形や相似に気付いて展望が開けることは,ままあるのだ.
角度追跡の重要性を感じるには,やはりいくつか問題を解いてみるのがいいだろう.
最後に,角度追跡によって得られる重要な性質を二つ紹介しておく.どちらも,競技数学ではよく使われる性質であり,G分野が得意な人は間違いなく覚えているものだ.
角度追跡の練習問題として,実際に証明してみるとよいだろう.