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OMC対策(G分野:角度追跡)

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本記事の前提知識

 外心,内心,垂心と,円周角の定理を知っておけば十分である.

角度追跡とは

 競技数学のG分野における,基本中の基本技が角度追跡である.高校数学のカリキュラムの中では「角度追跡」という名称では出現しないし,受験数学でも見かけたことがないので,競技数学に限る技だと言っていいだろう.角度追跡は基本技でありながら,国際数学オリンピックの問題を解く際にもよく用いられる.G分野に取り組むためには,まず身につけなければならない技だと言えよう.
 ここまでの前置きをすると,どんなにすごい技かと思われるかもしれない.しかし何ということはない,名前の通り,角度を追いかけていくだけである.
 具体例を示そう.

例題1

 $△ABC$の外心を$O$,垂心を$H$とするとき,$\angle OAC=\angle HAB$を示せ.

略解
$\angle OAC=\angle HAB=90°-\angle ABC$となる.
例題2

 $△ABC$の辺$BC$上に点$D$を取ったところ,以下が成立した.
$AB=AC=CD, AD=BD$
 このとき$AB:BC$を求めよ.

略解
$\angle ABC=\theta$とおいて角度追跡すれば$△ABC \sim △DAB$を得る.よって$BD:AB=AB:BC$である.
$AB=1,BC=x$とおいて二次方程式を解けば,$AB:BC=1:\dfrac{1+\sqrt{5}}{2}$を得る.

 重要なのは例題2だろう.角度追跡によって,二等辺三角形や相似に気付いて展望が開けることは,ままあるのだ.
 角度追跡の重要性を感じるには,やはりいくつか問題を解いてみるのがいいだろう.

OMCの例題
OMC177(C)
OMC109(D)
OMC075(F)

 以下の二問は,角度追跡に加えて,少しのアイディアが必要な問題である.

OMC163(B)
OMC203(F)

角度追跡から得られる重要な性質

 最後に,角度追跡によって得られる重要な性質を二つ紹介しておく.どちらも,競技数学ではよく使われる性質であり,G分野が得意な人は間違いなく覚えているものだ.
 角度追跡の練習問題として,実際に証明してみるとよいだろう.

内心傍心補題(トリリウムの定理)の一部

 $△ABC$の内心を$I$とし,$AI$と外接円$ABC$の交点を$M(\neq A)$とするとき,$MB=MC=MI$

略証
$\angle BIM=\angle BAI+\angle IBA$$\angle IBM=\angle MBC+\angle IBC=\angle MAC+\angle IBC$より示せる.
垂心の性質

 $△ABC$の垂心を$H$とする.

  1. $AH$$BC$の交点を$D$$AH$と外接円$ABC$の交点を$X(\neq A)$とするとき$BH=BX,DH=DX$
  2. $BC$の中点を$M$とし,$AY$が外接円$ABC$の直径であるとき$MH=MY$
略証
$\angle HBC=\angle DAC=\angle XAC=\angle XBC$より$△BHD \equiv △BXD$
$\angle HDM=\angle HXY=90°$より$△HDM \sim △HXY$.よって$DH=DX$から$MH=MY$
投稿日:315
更新日:318
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て
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