船旅においては、第5章が一番の山場である。数2の直交座標や三角関数の知識がそもそも前提になっているため、その説明が恐ろしく少ない。数少ない例題で分かるのか、いや分からない。獲得金メダル5章ではもう少し詳しく書いている。しかし問題数が少ない。この2つの参考書で互いに補完し理解を深めてほしい。
なお、複素座標はその仕組み上因数分解しやすいため計算が楽になりやすい。
こっちの方が簡単だ。複素座標に関しては6章で十分だと思っている。予め数Cの複素座標や、第8章の反転をやっておくとなおよい。
3種類の解法があるが、船旅5章ではその区別が明確ではないようだ。
これは船旅の唯一批判するべき点である。
1.直交座標
2.長さ中心の追求
3.三角比中心の追求
本資料は2にフォーカスする。さらに理解を深めてほしい。
そしてこの資料にある差がつく公式を覚えよう。
しかし、この方針で示したい条件をきれいな数式で表せることのほうが少ないため、
基本的には対称式を目指して、対称的な文字を異なる文字で置いたりして、
うまく式変形することが求められる。
⓪内心傍心補題
内接円や傍接円の接点となす長さはs,s-a,s-b,s-cで表現できる(これはヘロンの定理と繋がっている)が知っていて当然だから省略する。非常によく使うので絶対忘れないように。
①扱いにくい長さ1 垂足
ΔABCにいついて、AからBCに下した垂足をDとして、
AD=2S/aで置くのが最も分かりやすい。
他には
csinB,bsinCといった置き方もあるが、
対称性が崩れるため、(bsinC+csinB)/2と配置することも検討する。
また、BD=ccosB CD=bcosC とおくのがおすすめだ。
ここで、ccosB+bcosC=aが成立し、これを第一余弦定理という。
頻繁に出てくる形だから図形的に理解しよう。
②扱いにくい長さ2 垂足と中点
垂足と中点の距離は非常に扱いにくい、が、扱うことを強いられることがしばしばある。さっきの話に繋がるが、|ccosB-bcosC|/2と置くと対称的になる。
絶対値は2乗すると外れることも押さえておこう。
③扱いにくい長さ3 Mid-Arc
Mid-arcと各頂点の距離は、できればトレミーの定理だけで完結したいが、それは理想論だ。
Isocelizer半角系をイメージしよう。
A-mid ArcをDとして、
BD=CD=ID=JaD=a/2cos(A/2)
がトリリウムの定理からわかる。
AD=BD(b+c)/a=(b+c)/2cos(A/2)
がトレミーの定理からわかる。
半角の公式からは平方根が生まれるので、
うまいこと2乗の式に持ち込むのを意識しよう。
ちなみに、正弦定理からAD=2Rsin(B+A/2)は対称性が崩れてしまうぞ。
④2RcosAとRcosA
これは本当によく出てくる。
ΔABCの外心をO,垂心をH,BCの中点をMとして、
AH=2RcosA,OM=RcosAとなる。
これはオイラー線を証明するのに有効だ。
類似中線に関する問題でも役立つ事がある。
⑤a(cosBcosC-cosA)
これは加法定理より、三角形の面積Sに持ち込める。cosBcosCをみたら加法定理使えないか
考えてみよう。
⑥傍接円の半径
rA=(-a+b+c)/2S=(s-a)/S
これを覚えていたら十分だ。
ここから、いくつかの美しい公式を導出できる。
⑦cosと面積(ヘロンを分解したやつ)
ヘロンの公式の導出過程で
bcsin^2(A/2)=bc(1-cosA)/2=(s-b)(s-c)
bccos^2(B/2)=bc(1+cosA)/2=s(s-a)
が登場するが、これはコサインと内心傍心補題を結びつける強力な式だ。問題の解法のヒントは導出過程にあることもある。忘れないでおこう。
このあたりの解析的手法は本当に難しいが、研究しまくって慣れていこう。
これは重要な分野である。
問題集(船旅5章にないもの)
難易度順には並んでいないようだ。
IMO2008/1
imo2008/1
京進数オリ学習会第一問
円に内接する三角形ABCがある。∠A,∠B,∠Cの二等分線とO との共有点のうち、頂点以外のものを順にP,Q,Rとする。
このとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
AP+BQ+CR>BC+CA+AB
挑戦的問題集2問目
△ABCを鋭角三角形とし、
内接円の半径をr、外接円の半径を R、傍接円の半径をそれぞれrA,rB,rCとする。
(1) 4R=rA+rB+rC-rを証明せよ
(2)△ABCの傍接円の中心をJA,JB,JCとし、 それらはそれぞれ線分BC,CA,ABに接する。
円JB,JCの共演外接線で直線BCでない方をl
円JC,JAの共通外接線で直線CAでない方をm
円JA,JBの共通外接線で直線ABでない方をn
とし、l、m、nがなす三角形の内接円の半径が1/2(rA+rB+rC+r)であることを証明せよ。
ドロー・ファニー円
△ABCの中点三角形を△MAMBMC、垂心をHとする。Hを中心とする円と△MAMBMCのそれぞれの辺の交点と対応する基準三角形の頂点との距離はすべて等しいことを示せ。
フールマン円
ΔABCのナーゲル点Nと垂心 Hを直径の両端とする円と、AH,BH,CHの交点でHでない方をそれぞれP,Q,Rとして、AP=BQ=CR=2rを示せ。