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1997年 東京大学 文系数学 第4問

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1997年 東京大学 文系 第4問

$0\leqq t\leqq 1$ を満たす実数 $t$ に対して、$xy$ 平面上の点 $\mathrm{A},\ \mathrm{B}$ を
$$ \mathrm{A}\left(\frac{2(t^2+t+1)}{3(t+1)},\,-2\right),\quad \mathrm{B}\left(\frac{2}{3}t,\,-2t\right) $$
と定める。$t$ が $0\leqq t\leqq 1$ を動くとき、直線 $\mathrm{AB}$ の通りうる範囲を図示せよ。


1. 問題の構造

1.1 記法

  • 点を表す文字は立体で書き,点とその位置ベクトルを同一視する。
  • $t\in[0,1]$ に対し $a_t=\dfrac{2(t^2+t+1)}{3(t+1)}$,$b_t=\dfrac{2t}{3}$ とおき,問題の2点を $\mathrm{A}_t(a_t,-2)$,$\mathrm{B}_t(b_t,-2t)$ と書く。
  • $\ell_t(x)=-3x+3xt^2-2t^3$,$L_t:\ y=\ell_t(x)$ とする。特に $L_0:\ y=-3x$,$L_1:\ y=-2$ である。
  • $f(x)=x^3-3x$,$\mathrm{T}_t=(t,f(t))$,$C=\lbrace \mathrm{T}_t\mid 0\leqq t\leqq 1\rbrace$(三次曲線の弧)とする。
  • $\mathrm{O}(0,0)$,$\mathrm{P}\left(\frac23,-2\right)$,$\mathrm{Q}(1,-2)$ とする。$\mathrm{P}$ は $L_0$ と $L_1$ の交点である。
  • 点 $(x,y)$ に対し $u=3x+y$,$v=y+2$ とおく。$u,v$ はそれぞれ $L_0$,$L_1$ に対する符号付きの位置を表す。
  • $G_{x,y}(t)=2t^3-3xt^2+u$ とおく。$G_{x,y}(t)=y-\ell_t(x)$ である。
  • 求める範囲を $\mathcal{R}=\bigcup_{0\leqq t\leqq 1}L_t$ とし,$m(x)=\min_{0\leqq t\leqq 1}\ell_t(x)$,$M(x)=\max_{0\leqq t\leqq 1}\ell_t(x)$ とおく。
  • $\tau(x)=\min(1,\max(0,x))$ とおく($x$ に最も近い $[0,1]$ の点)。
  • 次の二つの閉集合を用いる。
    $$ \mathcal{W}=\lbrace (x,y)\mid uv\leqq 0\rbrace=\lbrace (x,y)\mid \min(-3x,-2)\leqq y\leqq\max(-3x,-2)\rbrace, $$
    $$ \mathcal{K}=\lbrace (x,y)\mid 0\leqq x\leqq 1,\ \max(-3x,-2)\leqq y\leqq f(x)\rbrace . $$
    $\mathcal{W}$ は $\mathrm{P}$ を頂点として左上方と右下方へ無限に広がる二つの閉じた角領域の和であり,$\mathcal{K}$ は折れ線 $\mathrm{OPQ}$ と弧 $C$ で囲まれた有界閉集合(曲線三角形)である。結論を先に述べると $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$ である。

1.2 直線族への還元

直線族の方程式

すべての $t\in[0,1]$ で $\mathrm{A}_t\neq\mathrm{B}_t$ であり,直線 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ は
$$ L_t:\ y=\ell_t(x)=-3x+3xt^2-2t^3 $$
である。

$$ a_t-b_t=\frac{2(t^2+t+1)-2t(t+1)}{3(t+1)}=\frac{2}{3(t+1)} > 0 $$
より $\mathrm{A}_t\neq\mathrm{B}_t$ であり,直線 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ は $y$ 軸に平行でない。傾きは
$$ \frac{-2-(-2t)}{a_t-b_t}=-3(1-t)(1+t)=3t^2-3 $$
であり,$\mathrm{B}_t$ を通るから $y=(3t^2-3)\left(x-\dfrac{2t}{3}\right)-2t=-3x+3xt^2-2t^3$ を得る。

有理式で与えられた2点の座標は,直線の方程式に直すと $t$ の多項式($x$ については一次式)に簡約される。$a_t-b_t$ の分子で $2(t^2+t+1)-2t(t+1)=2$ という大きな約分が起こることは,座標の背後に構造があることを示唆する( 1.3 節 , 1.4 節 )。

1.3 接線族としての正体

接線表示と基本恒等式
  1. $\ell_t(x)=f(t)+f'(t)(x-t)$。すなわち $L_t$ は曲線 $y=f(x)$ の点 $\mathrm{T}_t$ における接線である。
  2. すべての実数 $x,t$ について
    $$ f(x)-\ell_t(x)=(x-t)^2(x+2t). $$
  3. すべての実数 $x,t$ について
    $$ \frac{\partial}{\partial t}\ell_t(x)=6t(x-t)=f''(t)(x-t). $$
  1. $f(t)+f'(t)(x-t)=t^3-3t+(3t^2-3)(x-t)=(3t^2-3)x-2t^3=\ell_t(x)$。
  2. 左辺は $x^3-3t^2x+2t^3$ であり,右辺を展開したものに一致する。
  3. $\ell_t(x)$ を $t$ で微分すると $6xt-6t^2=6t(x-t)$ であり,$f''(t)=6t$ である。

補題3 から次が読み取れる。

    1. より,$L_t$ は曲線 $y=f(x)$ と $\mathrm{T}_t$ で接し,$t\neq 0$ のときは $x=-2t$ で再び交わる。$0\leqq x,t\leqq 1$ では $\ell_t(x)\leqq f(x)$ であり,等号は $x=t$ のときに限る。これは $[0,1]$ で $f''(x)=6x\geqq 0$(弧 $C$ が下に凸)であることの定量的な表現であり,以下のほぼすべての解法で用いられる。
  • $\mathrm{O}=\mathrm{T}_0$ は変曲点であり,$f(x)-\ell_0(x)=x^3$ より $L_0$ は $\mathrm{O}$ で曲線と重複度 $3$ で交わる(変曲接線)。$\mathrm{Q}=\mathrm{T}_1$ は極小点であり,$L_1$ は水平な接線である。$C$ は変曲点から極小点までの弧である。
    1. より,$x$ を固定すると $t\mapsto\ell_t(x)$ は $t$ が $x$ に近づく向きに増加する。増減が「$t$ と $x$ の大小」だけで決まることが,本解の計算を短くする(一般形は 5.1 節 )。
    1. で $x$ と $t$ の役割を入れ替えて読むと,点 $(x,f(x))$ では $G_{x,f(x)}(t)=2(t-x)^2\left(t+\frac x2\right)$ となり,$t=x$ が重根である( 3.6 節 )。

1.4 端点接線と元の二点の配置

端点接線との関係

$0\leqq t\leqq 1$ とする。
(1) $\mathrm{B}_t=(1-t)\mathrm{O}+t\mathrm{P}$,$\mathrm{A}_t=(1-\rho_t)\mathrm{P}+\rho_t\mathrm{Q}$ である。ただし $\rho_t=\dfrac{2t^2}{1+t}$ は $[0,1]$ 上で $0$ から $1$ へ狭義単調に増加する。
(2) すべての実数 $x$ について
$$ \ell_t(x)=(1-t^2)\,\ell_0(x)+t^2\,\ell_1(x)+2t^2(1-t). $$
(3) すべての実数 $x$ について
$$ \ell_t(x)-\ell_0(x)=3t^2(x-b_t),\qquad \ell_t(x)-\ell_1(x)=3(1-t^2)(a_t-x). $$
(4) $b_t\leqq t\leqq a_t$ である。

  1. $b_t=\frac23t$ より $\mathrm{B}_t=t\mathrm{P}$ である。また $a_t-\frac23=\dfrac{2t^2}{3(t+1)}=\dfrac{\rho_t}{3}$ と $\mathrm{Q}-\mathrm{P}=\left(\frac13,0\right)$ より後半が従う。$\rho_0=0$,$\rho_1=1$ であり,$0 < t\leqq 1$ で $\rho_t'=\dfrac{2t(t+2)}{(1+t)^2} > 0$ である。
  2. 右辺を展開すると $-3x+3xt^2-2t^2+2t^2-2t^3=\ell_t(x)$ となる。
  3. $\ell_t(x)-\ell_0(x)=3xt^2-2t^3=3t^2\left(x-\frac{2t}{3}\right)$ である。また
    $$ \ell_t(x)-\ell_1(x)=-3x(1-t^2)+2(1-t^3)=3(1-t)(1+t)\left(\frac{2(1+t+t^2)}{3(1+t)}-x\right). $$
  4. $t-b_t=\dfrac t3\geqq 0$,$a_t-t=\dfrac{(1-t)(t+2)}{3(t+1)}\geqq 0$ である。

補題4 の各項は次の意味をもつ。
(1) $t=0$ で線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ は辺 $\mathrm{OP}$ に,$t=1$ で辺 $\mathrm{PQ}$ に一致し,その間,両端は三角形 $\mathrm{OPQ}$ の隣り合う2辺上を単調に動く。$\mathrm{B}_t$ は等速であり,$\mathrm{A}_t$ は等速でない。
(2) $\ell_t(x)$ は端点値 $\ell_0(x)$,$\ell_1(x)$ の凸結合(重み $1-t^2$,$t^2$)に非負の補正 $2t^2(1-t)$ を加えたものである。補正は $t=0,1$ でのみ $0$ になる。これが,下側境界が端点直線だけから生じる理由である。
(3) $0 < t < 1$ のとき $\mathrm{B}_t=L_t\cap L_0$,$\mathrm{A}_t=L_t\cap L_1$ である。すなわち問題の2点は,動く接線と二本の端点接線との交点である。さらに $b_t < a_t$ と符号から次の表を得る。

$x$ の範囲$\ell_t(x)$ の位置点 $(x,\ell_t(x))$ の属する集合
$x < b_t$$\ell_1(x) < \ell_t(x) < \ell_0(x)$$\mathcal{W}$ の内部
$b_t\leqq x\leqq a_t$$\ell_t(x)\geqq\max(\ell_0(x),\ell_1(x))$$\lbrace u\geqq 0,\ v\geqq 0\rbrace$
$x > a_t$$\ell_0(x) < \ell_t(x) < \ell_1(x)$$\mathcal{W}$ の内部

すなわち,直線 $L_t$ のうち線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ の外側の部分は $\mathcal{W}$ に含まれ,線分自身は二直線の上側の閉領域 $\lbrace u\geqq 0,\ v\geqq 0\rbrace$ に含まれる。
(4) 接点 $\mathrm{T}_t$ は直線 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ 上にあるだけでなく,線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ 上にある。

1.5 順像と逆像

求める範囲は量化子を用いて
$$ (x,y)\in\mathcal{R}\iff\exists\,t\in[0,1]:\ y=\ell_t(x)\iff\exists\,t\in[0,1]:\ G_{x,y}(t)=0 $$
と書ける。中央の式を「$x$ を固定したときの $t\mapsto\ell_t(x)$ の値域」と読むのが順像法,右の式を「点を固定したときの $t$ の三次方程式の可解性」と読むのが逆像法である。

鉛直断面の原理

$$ \mathcal{R}=\lbrace (x,y)\mid m(x)\leqq y\leqq M(x)\rbrace . $$

$x$ を固定すると,$t\mapsto\ell_t(x)$ は閉区間 $[0,1]$ 上の連続関数であるから最大値 $M(x)$ と最小値 $m(x)$ をもち,中間値の定理によりその値域は閉区間 $[m(x),M(x)]$ に一致する。$(x,y)\in\mathcal{R}$ は $y$ がこの値域に属することと同値である。

補題5 は,上下界の決定(必要条件)と,その間の点がすべて実現されること(十分条件)を一度に保証する。包絡線や判別式のように境界の候補だけを与える方法は,この十分性を別に補う必要がある。
逆像法で用いる $G_{x,y}$ の基本量は次のとおりである。最後の式は 補題4 (2) を $G_{x,y}=y-\ell_t(x)$ で書き直したものである。
$$ G_{x,y}(0)=u,\qquad G_{x,y}(1)=v,\qquad G_{x,y}'(t)=6t(t-x),\qquad G_{x,y}(x)=y-f(x), $$
$$ G_{x,y}(t)=(1-t^2)\,u+t^2\,v-2t^2(1-t). $$

1.6 境界を生む三つの機構

補題3 (3) より,$x$ を固定したとき $t\mapsto\ell_t(x)$ の最大・最小を与えうるのは区間の端点 $t=0,1$ と,内部の停留点 $t=x$($0 < x < 1$ のとき)に限られる。

機構パラメータ生成される曲線
区間の端点$t=0$$L_0:\ y=-3x$
区間の端点$t=1$$L_1:\ y=-2$
内部の停留点$t=x\ (0 < x < 1)$$C:\ y=x^3-3x$

逆像法の言葉では,$[0,1]$ 内の相異なる実根の個数が変化しうるのは,根が端点を通過するとき($G_{x,y}(0)=0$ または $G_{x,y}(1)=0$)と,内部で二根が合流するとき($G_{x,y}=G_{x,y}'=0$)であり,同じ三種の曲線が現れる。包絡線の言葉では,$F(x,y,t)=G_{x,y}(t)$ とおいた連立方程式 $F=F_t=0$ の $0 < t < 1$ の解が $t=x$,$y=f(x)$ である。
注意すべき点が二つある。

  • $t=0$ では $F_t=6t(t-x)$ が $x$ によらず $0$ になり,$L_0$ 全体が $F=F_t=0$ を満たす。これは傾き $3t^2-3$ と切片 $-2t^3$ の $t$ 微分がともに $t=0$ で $0$ になること(双対曲線のパラメータ表示の特異点)による退化であり,正則な包絡点ではない。$G_{x,y}$ の判別式が $108(3x+y)(x^3-3x-y)$ と因子 $3x+y$ を含むのはこのためである。一方,$L_1$ は判別式に現れない。
  • 三種の曲線は境界の候補にすぎない。実際の境界は,$L_0$ のうち $x\leqq 0$ または $x\geqq\frac23$ の部分,$L_1$ のうち $x\leqq\frac23$ または $x\geqq 1$ の部分,および $C$ 全体である。

1.7 作問の設計と解法の導出

以上の構造から,作問の設計は次のように読める(数値設定からの分析であり,出題者の意図についての推定を含む)。

  • 素材は三次曲線 $y=x^3-3x$ の接線族である。せん断 $Y=y+3x$ により,これは標準形 $Y=x^3$ の接線族 $Y=3t^2x-2t^3$ に帰着する( 3.1 節 )。
  • パラメータ区間 $[0,1]$ は,変曲点 $\mathrm{O}$ から極小点 $\mathrm{Q}$ までの弧に対応する。弧は下に凸であるから接線は弧の一方の側にだけあり,包絡線は上側境界にのみ現れる。端点接線は変曲接線 $y=-3x$ と水平接線 $y=-2$ という単純な直線になり,その交点 $\mathrm{P}$ が下側境界の折れ点となる。
  • 点 $\mathrm{A},\mathrm{B}$ は,動く接線と二本の端点接線との交点である( 補題4 )。$\mathrm{B}_t$ は辺 $\mathrm{OP}$ 上を等速で動き,$\mathrm{A}_t$ は辺 $\mathrm{PQ}$ 上を比 $\rho_t=\frac{2t^2}{1+t}$ に従って非等速で動く。両端がともに等速($\rho_t=t$)ならば,包絡線は $\mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q}$ を制御点とする放物線(二次 Bézier 曲線)であり,これは典型的な「糸掛け」の問題である。本問は $\mathrm{A}$ の速さを変えることで包絡線を三次曲線にしたものと読める( 5.7 節 )。
  • 座標を有理式で与えることで接線構造を隠している。直線の方程式に直すと分子が約分され( 補題2 ),構造が現れる。
  • 問うのは線分ではなく直線の通過範囲である。線分の掃く有界部分 $\mathcal{K}$ に加え,延長による非有界部分 $\mathcal{W}$ が現れ,両者の取り違えが典型的な誤答となる。
  • 下側境界は端点に由来して $\mathrm{P}$ で折れ,上側境界は内部停留に由来して $\mathrm{O}$,$\mathrm{Q}$ で端点直線に滑らかにつながる。端点由来の境界と内部停留由来の境界の区別が,答案の要点として問われている。
  • $\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$ と増減が単純になるよう数値が調整されており,数学II の範囲で完答できる。
    各構造がどの解法を導くかを整理する。
    着目する構造導かれる解法
    鉛直断面と $\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$本解
    せん断座標と標準形 $Y=x^3$3.1 節,3.2 節
    端点分解と基本恒等式 $(x-t)^2(x+2t)$3.3 節,別解1
    接線族・凸性・端点接線との交点別解2,参考解2
    逆像($t$ の三次方程式の可解性)参考解1,参考解5,参考解7
    直線と係数の双対性参考解3,参考解4
    端点接線の交点 $\mathrm{P}$ を原点とするアフィン座標参考解5,参考解6

2. 本解:鉛直断面による値域の決定

2.1 方針

直線 $\mathrm{AB}$ を $y=\ell_t(x)$ の形に表し( 補題2 ),$x$ を固定して $t\mapsto\ell_t(x)$ の最大値・最小値を求める。増減は $\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$ の符号だけで決まり,候補は $t=0,1,x$ に限られる。最大値と最小値の間の値がすべて実現されることは,閉区間上の連続関数に対する中間値の定理で保証する( 補題5 )。

2.2 解答

直線 $\mathrm{AB}$ の方程式

$\mathrm{A},\mathrm{B}$ の $x$ 座標を $a_t,b_t$ とおくと
$$ a_t-b_t=\frac{2(t^2+t+1)-2t(t+1)}{3(t+1)}=\frac{2}{3(t+1)} > 0 $$
であるから,すべての $t\in[0,1]$ で $\mathrm{A}\neq\mathrm{B}$ であり,直線 $\mathrm{AB}$ は $y$ 軸に平行でない。傾きは $\dfrac{-2+2t}{a_t-b_t}=3t^2-3$ であり,$\mathrm{B}$ を通るから
$$ y=(3t^2-3)\left(x-\frac{2t}{3}\right)-2t=-3x+3xt^2-2t^3 . $$

鉛直断面の値域

実数 $x$ を固定し,
$$ g(t)=-3x+3xt^2-2t^3\qquad(0\leqq t\leqq 1) $$
とおく。$g'(t)=6t(x-t)$,$g(0)=-3x$,$g(1)=-2$ である。
(i) $x\leqq 0$ のとき。$0 < t\leqq 1$ で $x-t < 0$ より $g'(t) < 0$ であり,$g$ は $[0,1]$ で減少する。よって最大値は $g(0)=-3x$,最小値は $g(1)=-2$ である。
(ii) $0 < x < 1$ のとき。$g'(t) > 0\ (0 < t < x)$,$g'(t) < 0\ (x < t < 1)$ より,$g$ は $[0,x]$ で増加し $[x,1]$ で減少する。よって最大値は
$$ g(x)=-3x+3x^3-2x^3=x^3-3x $$
であり,最小値は両端の値の小さい方 $\min(-3x,-2)$ である。
(iii) $x\geqq 1$ のとき。$0 < t < 1$ で $x-t > 0$ より $g'(t) > 0$ であり,$g$ は $[0,1]$ で増加する。よって最小値は $g(0)=-3x$,最大値は $g(1)=-2$ である。
$x\leqq 0$ では $-3x\geqq 0 > -2$,$x\geqq 1$ では $-3x\leqq -3 < -2$ であるから,(i)~(iii) はまとめて
$$ m(x)=\min(-3x,\,-2),\qquad M(x)=\begin{cases} -3x & (x\leqq 0)\\ x^3-3x & (0\leqq x\leqq 1)\\ -2 & (x\geqq 1) \end{cases} $$
と書ける($x=0,1$ では両側の式が一致する)。$g$ は閉区間 $[0,1]$ 上で連続であるから,中間値の定理により $m(x)$ 以上 $M(x)$ 以下のすべての値をとる。したがって,点 $(x,y)$ を直線 $\mathrm{AB}$ が通りうるための必要十分条件は $m(x)\leqq y\leqq M(x)$ である。
$-3x=-2\iff x=\frac23$ に注意して整理すると,求める範囲は
$$ \begin{cases} -2\leqq y\leqq -3x & (x\leqq 0)\\[2pt] -2\leqq y\leqq x^3-3x & \left(0\leqq x\leqq \frac23\right)\\[2pt] -3x\leqq y\leqq x^3-3x & \left(\frac23\leqq x\leqq 1\right)\\[2pt] -3x\leqq y\leqq -2 & (x\geqq 1) \end{cases} $$
であり,境界をすべて含む。

図示

画像の名前 画像の名前

$\mathrm{O}(0,0)$,$\mathrm{P}\left(\frac23,-2\right)$,$\mathrm{Q}(1,-2)$ とする。範囲の境界は次の3種の部分からなる。

境界の部分$x$ の範囲
直線 $y=-3x$$x\leqq 0$ および $x\geqq \frac23$
直線 $y=-2$$x\leqq\frac23$ および $x\geqq 1$
曲線 $y=x^3-3x$$0\leqq x\leqq 1$

求める範囲は,次の二つの和集合である。

  • 二直線 $y=-3x$,$y=-2$ にはさまれ,$\mathrm{P}$ を頂点として左上方と右下方へ無限に広がる二つの角領域 $\mathcal{W}$。
  • 折れ線 $\mathrm{OPQ}$ と曲線 $y=x^3-3x$ $(0\leqq x\leqq 1)$ で囲まれた有界な曲線三角形 $\mathcal{K}$。
    曲線は $\mathrm{O}$ で直線 $y=-3x$ に,$\mathrm{Q}$ で直線 $y=-2$ に接する。線分 $\mathrm{OP}$,$\mathrm{PQ}$ は両端を除いて範囲の内部にあり,境界ではない。範囲は境界を含む。

2.3 検証・検算

  • 端点:$t=0$ で $\mathrm{A}=\mathrm{P}$,$\mathrm{B}=\mathrm{O}$ となり直線 $y=-3x$,$t=1$ で $\mathrm{A}=\mathrm{Q}$,$\mathrm{B}=\mathrm{P}$ となり直線 $y=-2$ を得る。いずれも $\ell_0$,$\ell_1$ に一致する。
  • 接点:$t=\frac12$ の直線は $y=-\frac94x-\frac14$ であり,$x=\frac12$ で $y=-\frac{11}{8}=f\left(\frac12\right)$ となって曲線に接する。最大値 $M\left(\frac12\right)=-\frac{11}{8}$ と一致する。
  • 特徴的な断面:$x=0$ で $-2\leqq y\leqq 0$,$x=\frac23$ で $-2\leqq y\leqq-\frac{46}{27}$,$x=1$ で $-3\leqq y\leqq -2$。いずれも $[m(x),M(x)]$ に一致する。
  • 滑らかさ:$M$ は $x=0$ で左右の微分係数がともに $-3$,$x=1$ でともに $0$ であり,$C^1$ 級である。これは $C$ が $\mathrm{O}$,$\mathrm{Q}$ で端点直線に接することと整合する。一方 $m$ は $x=\frac23$ で折れる。
  • 凸性:$M$ は一次関数族の最大値として凸,$m$ は最小値として凹でなければならない( 5.9 節 )。実際 $M''=6x\geqq 0$($0 < x < 1$)であり,$m$ は二直線の最小である。
  • 通る直線の本数:代表点 $\left(\frac12,-\frac75\right)\in\mathcal{K}$ では $G(t)=2t^3-\frac32t^2+\frac1{10}$ が $[0,1]$ に2根をもち( 3.6 節 ),範囲外の $(0,1)$ では $G(t)=2t^3+1 > 0$ である。
  • 面積:$\mathcal{K}$ の面積は $\int_0^{2/3}x^3\,dx+\int_{2/3}^1(x^3-3x+2)\,dx=\frac{4}{81}+\frac{11}{324}=\frac1{12}$ であり,三角形 $\mathrm{OPQ}$ の面積 $\frac13$ の $\frac14$ である。この比が端点 $1$ の選び方によらないことは 5.2 節 で説明する。
  • 他解法との一致:3章の全解法が同じ集合 $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$ に到達する。

3. 別解と参考解

以下では 1.1 節の記号と 補題2 ~ 補題5 を断りなく用いる。

3.1 直線 $\mathrm{AB}$ の方程式の他の導出:せん断座標

着想・方針

$\mathrm{B}$ は直線 $y=-3x$ 上にあるから,$Y=y+3x$ とおくと $\mathrm{B}$ の $Y$ 座標は $0$ になる。変換 $(x,y)\mapsto(x,Y)$ は行列式 $1$ のせん断であり,直線を直線に,鉛直線を鉛直線に移し,接触と面積を保つ。

解答

$Y_{\mathrm{B}}=-2t+3\cdot\frac{2t}{3}=0$,$Y_{\mathrm{A}}=-2+3a_t=\dfrac{2t^2}{t+1}$ である。$(x,Y)$ 平面での傾きは
$$ \frac{Y_{\mathrm{A}}-Y_{\mathrm{B}}}{a_t-b_t}=\frac{2t^2}{t+1}\cdot\frac{3(t+1)}{2}=3t^2 $$
であるから,直線は $Y=3t^2\left(x-\dfrac{2t}{3}\right)=3t^2x-2t^3$,すなわち $y=-3x+3xt^2-2t^3$ である。
$Y-t^3=3t^2(x-t)$ と書けるから,これは曲線 $Y=x^3$ の点 $(t,t^3)$ における接線である。せん断で戻せば,$L_t$ は $y=x^3-3x$ の $\mathrm{T}_t$ における接線である( 補題3 (1) の別証)。

検証・検算

$t=0$ で $Y=0$,すなわち $y=-3x$。$t=1$ で $Y=3x-2$,すなわち $y=-2$。いずれも $L_0,L_1$ に一致する。せん断座標では答も簡潔になり,$\min(0,\,3x-2)\leqq Y\leqq M(x)+3x$ である。

3.2 最大値 $x^3-3x$ の別証:相加相乗平均

着想・方針

せん断座標で $Y_t(x)=3xt^2-2t^3=t\cdot t\cdot(3x-2t)$ であり,3因子の和 $t+t+(3x-2t)=3x$ は $t$ によらない。

解答

$0\leqq x\leqq 1$,$0\leqq t\leqq 1$ とする。$3x-2t\geqq 0$ ならば,3つの非負数に相加相乗平均の不等式を用いて
$$ t\cdot t\cdot(3x-2t)\leqq\left(\frac{t+t+(3x-2t)}{3}\right)^3=x^3 . $$
$3x-2t < 0$ ならば $t\cdot t\cdot(3x-2t)\leqq 0\leqq x^3$ である。よって常に $3xt^2-2t^3\leqq x^3$,すなわち $\ell_t(x)\leqq x^3-3x$ である。等号は $t=3x-2t$,すなわち $t=x$ のときに成り立ち,$t=x\in[0,1]$ は許される。ゆえに $0\leqq x\leqq 1$ で $M(x)=x^3-3x$ である。

検証・検算

不等式 $x^3-3xt^2+2t^3\geqq 0$ は 補題3 (2) の $(x-t)^2(x+2t)\geqq 0$ と同じものであり,相加相乗平均の等号条件 $t=x$ は二重根 $(x-t)^2$ に対応する。

3.3 上界 $M(x)$ の一括証明:区間への射影

着想・方針

本解では $x$ の範囲で3通りに場合分けした。最大値を与えるパラメータが $\tau(x)$($x$ を $[0,1]$ に射影した点)であることを,一つの恒等式で示す。

解答

すべての実数 $s,t,x$ について
$$ \ell_s(x)-\ell_t(x)=(s-t)^2(s+2t)+3(x-s)(s^2-t^2) $$
が成り立つ。実際,左辺は $3(s^2-t^2)x-2(s^3-t^3)$ であり,右辺は $(s^3-3st^2+2t^3)+3x(s^2-t^2)-3s^3+3st^2$ に等しい。
$s=\tau(x)$ とおく。$s,t\in[0,1]$ より第1項は非負である。第2項について,$x < 0$ なら $s=0$ で $3(x-s)(s^2-t^2)=-3xt^2\geqq 0$,$0\leqq x\leqq 1$ なら $x-s=0$,$x > 1$ なら $s=1$ で $3(x-1)(1-t^2)\geqq 0$ である。よってすべての $t\in[0,1]$ で $\ell_t(x)\leqq\ell_{\tau(x)}(x)$ であり,
$$ M(x)=\ell_{\tau(x)}(x)=\begin{cases}\ell_0(x)=-3x & (x\leqq 0)\\ \ell_x(x)=x^3-3x & (0\leqq x\leqq 1)\\ \ell_1(x)=-2 & (x\geqq 1)\end{cases} $$
を得る。

検証・検算

$s=x$ とおくと恒等式は $f(x)-\ell_t(x)=(x-t)^2(x+2t)$ に帰着し,$s=0,1$ とおくと別解1の (i),(iii) の式に一致する。「最大点は $x$ に最も近い許容パラメータ」という構造は,凸弧の接線族に共通である( 定理6 )。

3.4 別解1:端点分解と因数分解による上下界

着想・方針

微分を用いず,下界は端点分解( 補題4 (2))から,上界は因数分解から,それぞれ等号の成立まで込めて決定する。十分性は 補題5 と同じく連続性による。

解答

下界

$0\leqq t\leqq 1$ のとき
$$ \ell_t(x)=(1-t^2)(-3x)+t^2(-2)+2t^2(1-t) $$
において $1-t^2\geqq 0$,$t^2\geqq 0$,$(1-t^2)+t^2=1$,$2t^2(1-t)\geqq 0$ であるから $\ell_t(x)\geqq\min(-3x,-2)$。右辺の値は $t=0$ または $t=1$ で実現されるので $m(x)=\min(-3x,-2)$ である。

上界

(i) $x\leqq 0$ のとき,$\ell_0(x)-\ell_t(x)=t^2(2t-3x)\geqq 0$ であり,等号は $t=0$ で成り立つ。よって $M(x)=-3x$。
(ii) $0\leqq x\leqq 1$ のとき,$f(x)-\ell_t(x)=(x-t)^2(x+2t)\geqq 0$ であり,等号は $t=x$ で成り立つ。よって $M(x)=x^3-3x$。
(iii) $x\geqq 1$ のとき,$1-t\geqq 0$ と $3x(1+t)\geqq 3(1+t)$ より
$$ \ell_1(x)-\ell_t(x)=(1-t)\lbrace 3x(1+t)-2(1+t+t^2)\rbrace\geqq(1-t)\lbrace 3(1+t)-2(1+t+t^2)\rbrace=(1-t)^2(1+2t)\geqq 0 $$
であり,等号は $t=1$ で成り立つ。よって $M(x)=-2$。

十分性

$t\mapsto\ell_t(x)$ は $[0,1]$ で連続であるから,$m(x)$ と $M(x)$ の間の値をすべてとる。よって求める範囲は 2.2 節の結論に一致する。

検証・検算

(i)~(iii) の恒等式は, 3.3 節 の恒等式で $s=0,x,1$ とおいたものである。下界の補正項 $2t^2(1-t)$ が $t=0,1$ でのみ $0$ になることは,下側境界が端点直線だけから生じることと整合する。(ii) で $x+2t\geqq 0$ を用いるため,この評価を $x < 0$ に延長してはならない。

3.5 別解2:三次曲線の接線と移動線分

着想・方針

$L_t$ は弧 $C$ の接線であり,接点 $\mathrm{T}_t$ は線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ 上にある( 補題3 , 補題4 )。直線を線分とその延長に分け,線分の掃く範囲がちょうど $\mathcal{K}$,延長部分が $\mathcal{W}$ に含まれ,$\mathcal{W}$ 全体が実現されることを示す。

解答

線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ は $\lbrace (x,\ell_t(x))\mid b_t\leqq x\leqq a_t\rbrace$ である。

(a) $\mathcal{W}\subset\mathcal{R}$

任意の $x$ で $\ell_0(x)=-3x$,$\ell_1(x)=-2$ であり,$t\mapsto\ell_t(x)$ は連続であるから,その間の値はすべて実現される。

(b) 線分の掃く範囲は $\mathcal{K}$ に含まれる

$b_t\leqq x\leqq a_t$ とする。$0\leqq b_t$,$a_t=\frac23+\frac{\rho_t}{3}\leqq 1$ より $0\leqq x\leqq 1$ である。 補題4 (3) より $\ell_t(x)\geqq\max(-3x,-2)$ であり, 補題3 (2) より $\ell_t(x)\leqq f(x)$ である。よって $(x,\ell_t(x))\in\mathcal{K}$。

(c) $\mathcal{K}$ は線分で掃き尽くされる

$0\leqq x\leqq\frac23$ のとき,$t\in[0,x]$ に対して $b_t\leqq t\leqq x\leqq\frac23\leqq a_t$ であるから,点 $(x,\ell_t(x))$ は線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ 上にある。$\ell_0(x)=-3x$,$\ell_x(x)=f(x)$ と連続性より,$-3x\leqq y\leqq f(x)$ のすべての点が線分上に現れる。$\frac23\leqq x\leqq 1$ のとき,$t\in[x,1]$ に対して $b_t\leqq\frac23\leqq x\leqq t\leqq a_t$ であり,$\ell_x(x)=f(x)$,$\ell_1(x)=-2$ より,$-2\leqq y\leqq f(x)$ のすべての点が線分上に現れる。いずれの場合も下端は $\max(-3x,-2)$ である。

(d) 延長部分は $\mathcal{W}$ に含まれる

$0 < t < 1$ のとき, 補題4 の表より,$x < b_t$ または $x > a_t$ の点 $(x,\ell_t(x))$ は $\mathcal{W}$ の内部にある。また $L_0=\lbrace u=0\rbrace\subset\mathcal{W}$,$L_1=\lbrace v=0\rbrace\subset\mathcal{W}$ である。
(b)(d) より $\mathcal{R}\subset\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$,(a)(c) より $\mathcal{W}\cup\mathcal{K}\subset\mathcal{R}$。ゆえに $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$ であり,さらに線分 $\mathrm{AB}$ の掃く範囲はちょうど $\mathcal{K}$ である。

検証・検算

  • $\mathcal{W}\cap\mathcal{K}$ は折れ線 $\mathrm{OPQ}$ であり,(c) の下端 $t=0$($x\leqq\frac23$)と $t=1$($x\geqq\frac23$)はこの折れ線上の点を与える。
  • 凸性から得られるのは「線分が $C$ の下側にある」こと((b))だけであり,「$C$ の下側が掃き尽くされる」こと((c))は連続性による別の主張である。両者を区別しなければ論証は不完全になる。
  • 線分と直線を混同すると,答から $\mathcal{W}$ が欠落する。

3.6 参考解1:区間内実根の存在

着想・方針

逆像法により,$(x,y)\in\mathcal{R}$ を「$G_{x,y}(t)=0$ が $[0,1]$ に解をもつ」ことと読む。端点値 $G_{x,y}(0)=u$,$G_{x,y}(1)=v$ の符号で場合を分け,両端が正の場合だけ内部の極小値を調べる。点を通る直線の本数も同時に得られる。

解答

以下 $G=G_{x,y}$ と略し,1.5 節の基本量を用いる。
(i) $uv\leqq 0$ のとき。$G(0)G(1)\leqq 0$ であるから,中間値の定理により $[0,1]$ に解が存在する。この条件は $(x,y)\in\mathcal{W}$ と同値である。
(ii) $u < 0$ かつ $v < 0$ のとき。$G(t)=(1-t^2)u+t^2v-2t^2(1-t)$ において,第1項と第2項の和は負の数 $u,v$ の凸結合で負,第3項は $0$ 以下であるから,$[0,1]$ 上で $G(t) < 0$ となり解はない。
(iii) $u > 0$ かつ $v > 0$ のとき。$G'(t)=6t(t-x)$ である。$x\leqq 0$ なら $[0,1]$ で $G'\geqq 0$ より $G(t)\geqq G(0)=u > 0$,$x\geqq 1$ なら $G'\leqq 0$ より $G(t)\geqq G(1)=v > 0$ で,いずれも解はない。$0 < x < 1$ なら $G$ は $t=x$ で最小値 $G(x)=y-f(x)$ をとる。$G(x)\leqq 0$ ならば $[0,x]$ で中間値の定理により解が存在し,$G(x) > 0$ ならば解はない。よってこの場合の条件は
$$ 0 < x < 1,\qquad \max(-3x,-2) < y\leqq x^3-3x . $$
(i)~(iii) を合わせると,$\mathcal{K}$ のうち $y=\max(-3x,-2)$ を満たす点(折れ線 $\mathrm{OPQ}$)は $\mathcal{W}$ に含まれるから,$\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$ である。

検証・検算

$G$ は $t$ の一次の項をもたないので,根を $r_1,r_2,r_3$ とすると $r_1r_2+r_2r_3+r_3r_1=0$ である。したがって $G$ の正の根は重複度を込めて高々2個であり(3個あれば左辺が正になる),相異なる正の2根 $s,t$ があれば第3根は $-\dfrac{st}{s+t} < 0$ である。$t=0$ が根のときは $G(t)=t^2(2t-3x)$ であるから,相異なる非負の根も高々2個である。これより,点を通る直線 $L_t$ の本数は次のとおりになる。

点の位置$[0,1]$ 内の相異なる根の個数理由
$\mathcal{W}$ の内部$1$$(0,1)$ 内の根は重複度込みで奇数個かつ高々2個
$\mathcal{K}$ の内部$2$$G(0) > 0$,$G(x) < 0$,$G(1) > 0$
弧 $C$($0 < x < 1$)$1$$G(t)=2(t-x)^2\left(t+\frac x2\right)$ の重根
$\mathcal{R}$ の外部$0$(ii) または (iii)

なお $G$ の判別式は $108(3x+y)(x^3-3x-y)$ であり,その零点集合は直線 $y=-3x$ と曲線 $y=x^3-3x$ の全体である。区間 $[0,1]$ の制約は判別式に反映されず,端点 $t=1$ に由来する $y=-2$ は現れない。判別式だけで領域を決定することはできない。

3.7 参考解2:二接線の交点とパラメータ三角形

着想・方針

参考解1を逆向きにたどり,$G_{x,y}$ の二根 $s,t$ を先に選ぶ。$s,t$ がともに根であることは $(x,y)\in L_s\cap L_t$ を意味するから,二接線の交点全体を調べればよい。三角形 $D=\lbrace (s,t)\mid 0\leqq s\leqq t\leqq 1\rbrace$ から $\mathcal{K}$ への写像を構成する。

解答

交点の座標

$0\leqq s < t\leqq 1$ のとき,$\ell_t(x)-\ell_s(x)=3(t^2-s^2)x-2(t^3-s^3)$ より,$L_s$ と $L_t$ はただ1点で交わり,その座標は
$$ \xi(s,t)=\frac{2(s^2+st+t^2)}{3(s+t)},\qquad \eta(s,t)=\ell_s(\xi)=-3\xi+\frac{2s^2t^2}{s+t} $$
である($3s^2\xi-2s^3=\frac{2s^2t^2}{s+t}$ による)。この式は $s+t > 0$ で連続であり,$s=t$ を代入すると $(t,t^3-3t)=\mathrm{T}_t$ になる。そこで $D\setminus\lbrace (0,0)\rbrace$ 上では同じ式で $\Phi(s,t)=(\xi,\eta)$ と定め,$\Phi(0,0)=\mathrm{O}$ とする。$0\leqq\xi\leqq t$ と $0\leqq\frac{2s^2t^2}{s+t}\leqq 2st^2$ より $(s,t)\to(0,0)$ で $(\xi,\eta)\to\mathrm{O}$ であるから,$\Phi$ は $D$ 上で連続である。

(a) $\Phi(D)\subset\mathcal{K}$

$s < t$ のとき,
$$ \xi-s=\frac{(t-s)(s+2t)}{3(s+t)} > 0,\qquad t-\xi=\frac{(t-s)(2s+t)}{3(s+t)} > 0, $$
$$ \eta+3\xi=\frac{2s^2t^2}{s+t}\geqq 0,\qquad \eta+2=\frac{2(1-s)(1-t)(s+t+st)}{s+t}\geqq 0 $$
であり, 補題3 (2) より $f(\xi)-\eta=f(\xi)-\ell_s(\xi)=(\xi-s)^2(\xi+2s)\geqq 0$ である。よって $0 < \xi < 1$,$\max(-3\xi,-2)\leqq\eta\leqq f(\xi)$ となり $\Phi(s,t)\in\mathcal{K}$。$s=t$ のときは $\mathrm{T}_t\in C\subset\mathcal{K}$ である。

(b) $\mathcal{K}\subset\Phi(D)$

$(x,y)\in\mathcal{K}$ とする。$y=f(x)$ ならば $(x,y)=\Phi(x,x)$。$y < f(x)$ ならば,$x=0,1$ では $\mathcal{K}$ の断面がそれぞれ1点 $\mathrm{O}$,$\mathrm{Q}$ であることから $0 < x < 1$ であり,$G(0)=u\geqq 0$,$G(x)=y-f(x) < 0$,$G(1)=v\geqq 0$ である。中間値の定理により $s\in[0,x)$,$t\in(x,1]$ で $G(s)=G(t)=0$ となるものがあり,$(x,y)=\Phi(s,t)$ である。

(c) $\Phi$ は単射

3.6 節 の検証で見たとおり,$G_{x,y}$ の相異なる非負の根は高々2個である。$(x,y)=\Phi(s,t)$($s < t$)ならば $s,t$ は $G_{x,y}$ の相異なる根であるから,$\lbrace s,t\rbrace$ は $[0,1]$ 内の根全体であり,$(x,y)$ から一意に定まる。$(x,y)=\Phi(t,t)=\mathrm{T}_t$ ならば $G_{x,y}(z)=2(z-t)^2\left(z+\frac t2\right)$ の $[0,1]$ 内の根は $t$ のみである。
(a)~(c) より $\Phi$ は $D$ から $\mathcal{K}$ への連続な全単射であり,$D$ はコンパクトであるから同相写像である。辺の対応は次のとおりである。

$D$ の辺像理由
$s=0$線分 $\mathrm{OP}$$\Phi(0,t)=\mathrm{B}_t$
$t=1$線分 $\mathrm{PQ}$$\Phi(s,1)=\mathrm{A}_s$
$s=t$弧 $C$$\Phi(t,t)=\mathrm{T}_t$
(d) 通過範囲

$\mathcal{W}\subset\mathcal{R}$ は端点値の連続補間による。$\mathcal{K}=\Phi(D)\subset\mathcal{R}$ である。逆に,直線 $L_t$ のうち線分 $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ の外側は $\mathcal{W}$ に含まれる( 補題4 )。線分上の点については,$t > 0$ を固定すると
$$ \frac{\partial\xi}{\partial s}(s,t)=\frac{2s(s+2t)}{3(s+t)^2}\geqq 0,\qquad \xi(0,t)=b_t,\qquad \xi(1,t)=a_t $$
であるから($\xi$ は $s,t$ について対称であり,$s > t$ でも同じ式で交点を与える),任意の $x\in[b_t,a_t]$ に対して $\xi(s,t)=x$ となる $s\in[0,1]$ があり,$(x,\ell_t(x))$ は $L_s\cap L_t$($s=t$ なら $\mathrm{T}_t$)として $\Phi(D)$ に属する。$t=0$ の線分は $\mathrm{OP}\subset\mathcal{K}$ である。よって $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$。

検証・検算

  • $\Phi(0,1)=\left(\frac23,-2\right)=\mathrm{P}$ であり,三角形 $D$ の頂点 $(0,0),(0,1),(1,1)$ は $\mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q}$ に移る。
  • 直接計算により $f(\xi)-\eta=\dfrac{2(t-s)^2(s+2t)^2(2s+t)^2}{27(s+t)^3}$ であり,これは対角線 $s=t$ でのみ $0$ になる。弧 $C$ が対角線の像であることと整合する。
  • (d) の単調性から $\xi(s,t)\in[b_s,a_s]\cap[b_t,a_t]$ が従う。すなわち,任意の2本の線分 $\mathrm{A}_s\mathrm{B}_s$ と $\mathrm{A}_t\mathrm{B}_t$ は互いに交わる。
  • $\mathcal{K}$ の内部の点を通る2本の接線は,弧 $C$ に近づくと合流して1本になる。対角線 $s=t$ が包絡線に対応するのはこのためである。

3.8 参考解3:傾き・切片の双対平面

着想・方針

直線 $y=px+k$ を点 $(p,k)$ と同一視すると,直線族は $(p,k)$ 平面の曲線(双対曲線)になる。点 $(x,y)$ を通るという条件は $k=-xp+y$ という $(p,k)$ 平面の直線になり,各 $x$ での高さは $H_x(p)=xp+k(p)$ の値域として求まる。

解答

$L_t$ の傾きと切片は $p=3t^2-3$,$k=-2t^3$ である。$t\mapsto p$ は $[0,1]$ から $[-3,0]$ への全単射で $t=\sqrt{1+\frac p3}$ であるから,
$$ k(p)=-2\left(1+\frac p3\right)^{3/2}\qquad(-3\leqq p\leqq 0). $$
$x$ を固定し $H_x(p)=xp+k(p)$ とおくと,求める $y$ の範囲は $H_x$ の $[-3,0]$ 上の値域である。
$$ H_x'(p)=x-\sqrt{1+\frac p3},\qquad H_x''(p)=-\frac{1}{6\sqrt{1+p/3}} < 0\quad(-3 < p < 0) $$
より $H_x$ は狭義凹である。凹関数の最小値は端点でとられ,$H_x(-3)=-3x$,$H_x(0)=-2$ より $m(x)=\min(-3x,-2)$。$H_x'$ は $x$($p=-3$)から $x-1$($p=0$)まで減少する。$x\leqq 0$ なら $H_x'\leqq 0$ で最大値は $H_x(-3)=-3x$,$x\geqq 1$ なら $H_x'\geqq 0$ で最大値は $H_x(0)=-2$,$0 < x < 1$ なら $H_x'(p)=0$ の唯一の解 $p=3x^2-3$ で最大となり,
$$ H_x(3x^2-3)=3x(x^2-1)-2x^3=x^3-3x . $$
$H_x$ は閉区間上で連続であるから,最小値と最大値の間をすべてとる。よって求める範囲は 2.2 節の結論に一致する。

検証・検算

  • $H_x(3t^2-3)=\ell_t(x)$ であり,本解の再パラメータ化になっている。最大点 $p=3x^2-3$ は $t=x$ に対応する。
  • 停留条件 $\sqrt{1+p/3}=x$ は $x\geqq 0$ を要求する。$x < 0$ で形式的に $p=3x^2-3$ を代入してはならない。
  • 双対曲線 $k(p)$ が凹であることは,弧 $C$ が凸であることの双対である( 5.3 節 )。

3.9 参考解4:係数曲線の凸包

着想・方針

$\sigma=t^2$,$\tau=t^3$ とおくと $\ell_t(x)=-3x+3x\sigma-2\tau$ は係数 $(\sigma,\tau)$ について一次式である。係数の動く曲線 $\Gamma=\lbrace (\sigma,\sigma^{3/2})\mid 0\leqq\sigma\leqq 1\rbrace$ をその凸包に置き換えても,各 $x$ での値域は変わらない。凸包上では下界が弦の上の一次関数の最小値として直ちに決まる。

解答

$x$ を固定し $\Lambda_x(\sigma,\tau)=-3x+3x\sigma-2\tau$ とおく。$\Lambda_x$ はアフィン写像であるから $\Lambda_x(\operatorname{conv}\Gamma)=\operatorname{conv}\Lambda_x(\Gamma)$ である。$\Gamma$ は連結なコンパクト集合であるから $\Lambda_x(\Gamma)$ は閉区間であり,すでに凸である。よって
$$ \Lambda_x(\operatorname{conv}\Gamma)=\Lambda_x(\Gamma). $$
$\sigma\mapsto\sigma^{3/2}$ は $[0,1]$ で凸であり,両端 $(0,0),(1,1)$ を結ぶ弦は $\tau=\sigma$ であるから,
$$ \operatorname{conv}\Gamma=\lbrace (\sigma,\tau)\mid 0\leqq\sigma\leqq 1,\ \sigma^{3/2}\leqq\tau\leqq\sigma\rbrace . $$
実際,右辺は凸集合(凸関数の上側と半平面と帯の共通部分)で $\Gamma$ を含み,右辺の各点は $\Gamma$ の点 $(\sigma,\sigma^{3/2})$ と,$(0,0),(1,1)$ の凸結合 $(\sigma,\sigma)$ とを結ぶ鉛直線分上にあるから $\operatorname{conv}\Gamma$ に属する。
$\Lambda_x$ は $\tau$ について減少するから,$\operatorname{conv}\Gamma$ 上の最小値は弦 $\tau=\sigma$ 上でとられる。そこで
$$ \Lambda_x(\sigma,\sigma)=(1-\sigma)(-3x)+\sigma(-2) $$
は $\sigma$ の一次式であり,最小値は $\min(-3x,-2)$ である。最大値は曲線辺 $\tau=\sigma^{3/2}$ 上でとられ,$h(\sigma)=-3x+3x\sigma-2\sigma^{3/2}$ は $h'(\sigma)=3(x-\sqrt\sigma)$ をもつ。$x\leqq 0$ では $\sigma=0$ で $-3x$,$0 < x < 1$ では $\sigma=x^2$ で $x^3-3x$,$x\geqq 1$ では $\sigma=1$ で $-2$ が最大値である。値域 $\Lambda_x(\Gamma)$ はこの最小値と最大値を端点とする閉区間であり,2.2 節の結論に一致する。

検証・検算

  • 弦 $\tau=\sigma$ に対応する直線 $y=(1-\sigma)(-3x)+\sigma(-2)$ はすべて $\mathrm{P}$ を通り,その掃く範囲はちょうど $\mathcal{W}$ である。凸包の直線辺が $\mathcal{W}$ に,曲線辺が実際の直線族と弧 $C$ に対応する。
  • $\operatorname{conv}\Gamma\setminus\Gamma$ の点は元の直線族に属さない直線に対応する。一致するのは各 $x$ での値域だけである。
  • この結果は,係数が $\operatorname{conv}\Gamma$ に属する直線がすべて $\mathcal{R}$ に含まれることを意味する( 5.6 節 )。

3.10 参考解5:端点直線座標と弦・凹曲線の交差

着想・方針

端点直線に対する位置 $u,v$ を座標とし,$\sigma=t^2$ と置換すると,通過条件は「$(0,u)$ と $(1,v)$ を結ぶ弦が,固定された凹曲線と交わるか」という図形的条件になる。

解答

1.5 節より,点 $(x,y)$ が $L_t$ 上にある条件は $(1-t^2)u+t^2v=2t^2(1-t)$ である。$\sigma=t^2\in[0,1]$($t=\sqrt\sigma$)とおくと
$$ (1-\sigma)u+\sigma v=\varphi(\sigma),\qquad \varphi(\sigma)=2\sigma(1-\sqrt\sigma). $$
左辺は $(\sigma,w)$ 平面で $(0,u)$ と $(1,v)$ を結ぶ弦,右辺は $\varphi(0)=\varphi(1)=0$,$\varphi\geqq 0$,$\varphi''(\sigma)=-\dfrac{3}{2\sqrt\sigma} < 0$ を満たす凹曲線である。差を
$$ D(\sigma)=(1-\sigma)u+\sigma v-\varphi(\sigma)=u-3x\sigma+2\sigma^{3/2} $$
とおくと,$D(0)=u$,$D(1)=v$,$D'(\sigma)=3(\sqrt\sigma-x)$ である。
(i) $uv\leqq 0$ なら中間値の定理により解が存在する。これは $\mathcal{W}$ である。
(ii) $u < 0$,$v < 0$ なら弦は全体が負,$\varphi\geqq 0$ であるから解はない。
(iii) $u > 0$,$v > 0$ のとき。$x\leqq 0$ なら $D$ は増加して $D\geqq u > 0$,$x\geqq 1$ なら $D$ は減少して $D\geqq v > 0$ である。$0 < x < 1$ なら $D$ は $\sigma=x^2$ で最小値 $D(x^2)=u-x^3=y-f(x)$ をとるから,解が存在する条件は $y\leqq f(x)$ である。
以上より $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$。

検証・検算

  • $D(\sigma)=G_{x,y}(\sqrt\sigma)$ であり,方程式としては参考解1と同値である。参考解1は根の個数を主対象とし,本解法は弦と凹曲線の位置関係を主対象とする。
  • 弦の傾きは $v-u=2-3x$ であり,$y$ によらない。$x$ を固定すると弦は互いに平行で,$y$ を変えると上下に平行移動する。弦が凹曲線に接する高さが上側境界 $y=f(x)$ を,弦の端点が曲線の端点 $(0,0)$,$(1,0)$ を通る高さが下側境界 $y=\min(-3x,-2)$ を与える。
  • 方程式 $(1-\sigma)u+\sigma v=\varphi(\sigma)$ は $y=-3x+3x\sigma-2\sigma^{3/2}$ と同値であり,参考解4の曲線辺 $\tau=\sigma^{3/2}$ 上の式そのものである。

3.11 参考解6:点 $\mathrm{P}$ からの放射方向の到達範囲

着想・方針

端点接線の交点 $\mathrm{P}$ を原点とし,$L_0$,$L_1$ を座標軸とするアフィン座標をとる。鉛直方向ではなく $\mathrm{P}$ からの方向を固定し,各方向で直線族がどこまで到達するかを調べる。

解答

$\alpha=\dfrac{v}{2}=\dfrac{y+2}{2}$,$\gamma=u=y+3x$ とおく。逆変換は $x=\dfrac{2-2\alpha+\gamma}{3}$,$y=2\alpha-2$ であり,$\mathrm{P}=(0,0)$,$L_0=\lbrace\gamma=0\rbrace$,$L_1=\lbrace\alpha=0\rbrace$ である。また
$$ \mathrm{B}_t=(1-t,\,0),\qquad \mathrm{A}_t=\left(0,\,\frac{2t^2}{1+t}\right) $$
であるから,$0 < t < 1$ のとき $L_t$ は切片形
$$ \frac{\alpha}{1-t}+\frac{(1+t)\gamma}{2t^2}=1 $$
で表される。

$\alpha\gamma\leqq 0$ の部分

これは $uv\leqq 0$,すなわち $\mathcal{W}$ であり,端点値の連続補間によりすべて通過される。

$\alpha < 0,\ \gamma < 0$ の部分

$0 < t < 1$ では切片形の左辺が負になり,$L_0,L_1$ もこの部分を通らないから,通過されない。

$\alpha > 0,\ \gamma > 0$ の部分

方向を固定して $(\alpha,\gamma)=r(1-\theta,\theta)$($0 < \theta < 1$,$r > 0$)とおく。この半直線は $L_0,L_1$ と交わらないから,その上の点が通過される条件は,ある $t\in(0,1)$ で $rF_\theta(t)=1$ となることである。ただし
$$ F_\theta(t)=\frac{1-\theta}{1-t}+\frac{\theta(1+t)}{2t^2}. $$
$F_\theta > 0$,$F_\theta''(t)=\dfrac{2(1-\theta)}{(1-t)^3}+\dfrac{\theta(t+3)}{t^4} > 0$,$t\to+0$ および $t\to 1-0$ で $F_\theta\to+\infty$ であるから,$F_\theta$ は唯一の最小点 $t_\theta$ をもつ。よって $t\mapsto 1/F_\theta(t)$ は $(0,1)$ 上で連続,両端で $0$ に近づき,最大値 $r_{\max}(\theta)=1/F_\theta(t_\theta)$ をとるから,その値域は $(0,r_{\max}(\theta)]$ である。すなわち各方向で,$\mathrm{P}$ から到達点までの全点が通過され,それより先は通過されない。
到達点では,切片形と,その $t$ についての停留条件
$$ \frac{\alpha}{(1-t)^2}-\frac{(t+2)\gamma}{2t^3}=0 $$
が同時に成り立つ。これを解くと $\gamma=t^3$,$\alpha=\dfrac{(1-t)^2(t+2)}{2}$ であり,元の座標で $x=t$,$y=t^3-3t$,すなわち到達点は $\mathrm{T}_t$($t=t_\theta$)である。点 $\mathrm{T}_t$ の方向は
$$ \theta(t)=\frac{\gamma}{\alpha+\gamma}=\frac{2t^3}{3t^3-3t+2},\qquad \theta'(t)=\frac{12t^2(1-t)}{(3t^3-3t+2)^2} > 0 $$
より $(0,1)$ から $(0,1)$ への狭義単調増加な全単射であるから,各方向の半直線は $C$ の内点とただ1点で交わる。したがって,この部分で通過される点の集合は,$\mathrm{P}$ と $C$ の内点を結ぶ線分($\mathrm{P}$ を除く)の和である。この集合は $\mathcal{K}\cap\lbrace u > 0,\ v > 0\rbrace$ に一致する。実際,$f\left(\frac23\right) > -2$ より $\mathrm{P}$ の近くでは $\mathcal{K}$ は閉象限 $\lbrace\alpha\geqq 0,\ \gamma\geqq 0\rbrace$ と一致し,開象限内での $\mathcal{K}$ の境界は $C$ の内点だけである。半直線は $C$ とただ1点 $\mathrm{T}$ で交わるから,$\mathrm{P}$ を出た半直線は $\mathrm{T}$ の手前まで $\mathcal{K}$ の内部にあり,$\mathrm{T}$ の先では $\mathcal{K}$ に戻らない。
座標軸 $\alpha=0$,$\gamma=0$ は $L_1,L_0$ であり,すべて通過される。以上より $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$。

検証・検算

  • $\mathrm{B}_t$ が $\alpha$ 軸上,$\mathrm{A}_t$ が $\gamma$ 軸上にあり,$\mathrm{P}$ が原点になることを確かめる。
  • 接点の内分比:$\mathrm{T}_t=\dfrac{(1-t)(t+2)}{2}\mathrm{B}_t+\dfrac{t(t+1)}{2}\mathrm{A}_t$ が成り立つ(両座標を比較すればよい)。よって $0 < t < 1$ で $\mathrm{B}_t\mathrm{T}_t:\mathrm{T}_t\mathrm{A}_t=t(t+1):(1-t)(t+2)$ であり, 補題4 (4) の精密化になる。
  • $r$ はアフィン座標での放射尺度であり,ユークリッド距離ではない。
  • 本解法から,$\mathcal{R}$ が $\mathrm{P}$ に関して星形であることが直ちに従う( 補題7 )。

3.12 参考解7:根の個数の分岐集合と連結成分

着想・方針

点 $(x,y)$ を通る直線の本数 $N(x,y)$($G_{x,y}$ の $[0,1]$ 内の相異なる根の個数)が変化しうる集合を先に求め,それ以外の各連結成分では $N$ が一定であることを用いて,代表点の検査だけで平面全体を判定する。

解答

$\Sigma=L_0\cup L_1\cup C^\circ$($C^\circ=\lbrace \mathrm{T}_t\mid 0 < t < 1\rbrace$)とおく。

$N$ は $\mathbb{R}^2\setminus\Sigma$ 上で局所的に一定

$(x_0,y_0)\notin\Sigma$ とする。$G(0)=u\neq 0$,$G(1)=v\neq 0$ であるから,$[0,1]$ 内の根はすべて $(0,1)$ にある。$(0,1)$ 内の重根 $t_0$ があれば $G'(t_0)=6t_0(t_0-x_0)=0$ より $t_0=x_0$,$G(x_0)=y_0-f(x_0)=0$ となり $(x_0,y_0)\in C^\circ$ に反するから,根はすべて単根である。陰関数定理により,各単根 $t_0$ は $(x,y)$ の近傍で連続に動く単根として延長され,$(0,1)$ に留まり,$t_0$ の近くの根はこれ1個に限られる。また,$(x_0,y_0)$ に収束する点列について,対応する $[0,1]$ 内の根の集積点は $G_{x_0,y_0}$ の根であるから,既存の根から離れた位置に新たな根は生じない。よって $N$ は $(x_0,y_0)$ の近傍で一定である。

連結成分

$L_0,L_1$ は平面を $(u,v)$ の符号で定まる4つの開領域に分ける。$C^\circ$ は $0 < x < 1$ で $f(x)+3x=x^3 > 0$,$f(x)+2=(x-1)^2(x+2) > 0$ を満たすから開領域 $\lbrace u > 0,\ v > 0\rbrace$ 内にあり,その境界上の2点 $\mathrm{O}$,$\mathrm{Q}$ を結ぶ。よってこの開領域は有界な $\mathcal{K}$ の内部と非有界な部分に分かれ,$\mathbb{R}^2\setminus\Sigma$ の連結成分は5個である。

代表点の検査
成分代表点$G_{x,y}(t)$$N$
$u < 0,\ v > 0$(左の角領域)$(0,-1)$$2t^3-1$$1$
$u > 0,\ v < 0$(右の角領域)$(2,-5)$$2t^3-6t^2+1$$1$
$\mathcal{K}$ の内部$\left(\frac12,-\frac75\right)$$2t^3-\frac32t^2+\frac1{10}$$2$
$u < 0,\ v < 0$$(0,-3)$$2t^3-3$$0$
$u > 0,\ v > 0$ の非有界部分$(0,1)$$2t^3+1$$0$

たとえば $\left(\frac12,-\frac75\right)$ では $G(0)=\frac1{10} > 0$,$G\left(\frac12\right)=-\frac1{40} < 0$,$G(1)=\frac35 > 0$ である。$(2,-5)$ では $G(0)=1$,$G(1)=-3$ で $G'=6t(t-2) < 0$($0 < t < 1$)より根はちょうど1個である。

分岐集合上の点

$L_0,L_1$ 上の点は $t=0,1$ で,$C^\circ$ 上の点は $t=x$ で実現される。
以上より $\mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}$。

検証・検算

  • 隣り合う成分の間で $N$ の変化は,$L_0$ または $L_1$ を横切るとき $1$,$C^\circ$ を横切るとき $2$ である。表はこれと整合する(たとえば $\mathcal{K}$ の内部の $2$ と非有界部分の $0$ は $C^\circ$ をはさむ)。$t=0$ の近くでは $G(t)=u-3xt^2+2t^3$ であり($G'(0)=0$),$u$ が $0$ を横切るとき $t=0$ の両側に生じる二根のうち一方だけが $[0,1]$ に入るから,変化は $1$ である。
  • 分岐集合の各曲線全体が境界になるわけではない。$\mathcal{K}$ の内部と左右の角領域を隔てる線分 $\mathrm{OP}$,$\mathrm{PQ}$ は,両側とも $N\geqq 1$ であるから $\mathcal{R}$ の内部にある。

3.13 同じ系列に属する変形

独立した解法として扱うには及ばないが,上の解法の別実装や補助的視点となるものを系列ごとに整理する。

本解の系列(鉛直断面)

  • せん断座標での本解:$Y=y+3x$ とすると $Y_t(x)=3xt^2-2t^3$ の値域を求めればよく,下界が $\min(0,3x-2)$ と簡潔になる( 3.1 節 )。
  • 文字定数の分離:$y$ を固定値とみて,$t$ の関数 $y=\ell_t(x)$ のグラフと水平線の共有点を調べる方法は,本解と同一である。
  • 水平断面:$y$ を固定し $x=-\dfrac{y+2t^3}{3(1-t^2)}$($0\leqq t < 1$)の値域を調べる。$t=1$ の水平線を別扱いする必要があり,場合分けが増える。
  • 傾き $p$ による再パラメータ化:参考解3は本解を $t\mapsto p=3t^2-3$ で書き直したものでもある。

別解1の系列(不等式)

  • 相加相乗平均( 3.2 節 )と,区間への射影による一括証明( 3.3 節 )。
  • $x,t\geqq 0$ に対する $x^3+t^3+t^3\geqq 3xt^2$ も同じ不等式である。

参考解1の系列(逆像)

  • 判別式:$108(3x+y)(x^3-3x-y)=0$ は $L_0$ と三次曲線全体を与え,$L_1$ を与えない。区間制約を扱えないため単独では不十分である。
  • Sturm 列・Cardano の公式:区間内実根の判定の別実装である。
  • Bernstein 基底:$G_{x,y}=\sum_{i=0}^{3}c_i\binom{3}{i}t^i(1-t)^{3-i}$ の係数は $(c_0,c_1,c_2,c_3)=(3x+y,\,3x+y,\,2x+y,\,y+2)$ である。符号変化の回数は区間内の根の個数の上界を与えるにとどまる( 5.4 節 )。
  • Vieta の関係:$t$ の一次の係数が $0$ であることから,正の根は重複度を込めて高々2個である( 3.6 節 )。

接線・包絡の系列

  • 包絡線の公式:$F=F_t=0$ から $t=x$,$y=f(x)$。$t=0$ での退化に注意する( 1.6 節 )。
  • 二接線の交点の極限:参考解2の $(\xi,\eta)$ で $s\to t$ とすると $\mathrm{T}_t$ に収束し,包絡線が得られる。
  • 運動学:傾き $3t^2-3$ は $t$ について単調増加し,直線は各瞬間に接点 $\mathrm{T}_t$ のまわりを回転する(瞬間回転中心)。傾きの単調性だけから領域の充填は結論できない。
  • Bézier 曲線・糸掛け:弧 $C$ は制御点 $\mathrm{O}$,$\left(\frac13,-1\right)$,$\mathrm{P}$,$\mathrm{Q}$ の三次 Bézier 曲線である( 5.7 節 )。

係数空間の系列

  • Clairaut 方程式:$y=xy'-2\left(1+\frac{y'}{3}\right)^{3/2}$ の一般解が直線族,特異解が $y=x^3-3x$ である( 5.3 節 )。
  • モーメント空間:$\operatorname{conv}\Gamma$ は $[0,1]$ 値確率変数 $T$ の $(E[T^2],E[T^3])$ 全体である( 5.6 節 )。

分岐の系列

  • 三次元への持ち上げ:$\mathcal{R}$ は曲面 $\lbrace (x,y,t)\mid G_{x,y}(t)=0,\ 0\leqq t\leqq 1\rbrace$ の $xy$ 平面への射影であり,その境界は曲面の縁 $t=0,1$ の像と臨界集合 $t=x$ の像に含まれる( 5.5 節 )。
  • ポテンシャル:$V(t)=\frac12t^4-xt^3+(3x+y)t$ とおくと $V'=G_{x,y}$ であり,平衡点の合流条件が $C$ を与える。

検算用の量

  • $\mathcal{K}$ の面積 $\frac1{12}$ と三角形 $\mathrm{OPQ}$ との比 $\frac14$( 5.2 節 )。
  • $M$ の凸性と $m$ の凹性( 5.9 節 )。

3.14 解法の比較

解法固定するもの主対象境界の発見充填の根拠計算論証
本解$x$$t\mapsto\ell_t(x)$増減 $6t(x-t)$中間値の定理少少
3.2 節$x$$t^2(3x-2t)$相加相乗平均の等号中間値の定理少少
3.3 節$x$差 $\ell_s-\ell_t$射影 $\tau(x)$中間値の定理少中
別解1$x$端点分解と因数分解等号成立条件中間値の定理中中
別解2線分接線と凸性接点と端点接線線分上の連続移動中多
参考解1点 $(x,y)$$G_{x,y}$ の根端点符号と極小値中間値の定理中中
参考解2根の対 $(s,t)$交点写像 $\Phi$対角線 $s=t$全単射 $D\to\mathcal{K}$多多
参考解3$x$双対曲線 $k(p)$凹関数の停留点中間値の定理中中
参考解4$x$$\operatorname{conv}\Gamma$弦と曲線辺像の区間性中多
参考解5点 $(x,y)$弦と凹曲線接する弦中間値の定理中中
参考解6方向 $\theta$放射尺度 $r$$r$ の最大点両端で $r\to 0$多多
参考解7連結成分根の個数 $N$分岐集合 $\Sigma$陰関数定理中多

すべての解法で,境界を生む機構は $t=0$,$t=1$,$t=x$ の三つに帰着する。解法の違いは,それを発見する方法と,境界の間の点がすべて実現されること(充填)を示す方法にある。
本解は,通過範囲の定義 $\bigcup_tL_t$ から $x$ を固定するという最も直接的な操作で出発し,$\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$ という単純な導関数の符号だけで最大・最小を確定し,中間値の定理の一文で十分性を保証する。見通し・計算量・必要十分性の明瞭さのいずれにおいても最も安定しており,本解として採用する。別解1は同じ断面を微分なしで処理し,等号成立条件まで込めた鋭い不等式の作り方を示す。別解2は問題文の有理式に幾何学的な意味を与え,線分の掃く部分 $\mathcal{K}$ と延長による部分 $\mathcal{W}$ を分離する。参考解はいずれも答案としては遠回りになりうるが,点を通る直線の本数(参考解1,7),領域のパラメータ表示(参考解2),双対性(参考解3,4),星形性(参考解6)など,本解では見えない構造を明らかにする。


4. 汎用的な探索手順

本問から抽出される手順を,パラメータを含む直線族・曲線族の通過範囲を求める問題一般に適用できる形で述べる。

4.1 意思決定の流れ

  1. 図形条件を方程式に還元する:動く2点から直線 $y=a(t)x+b(t)$ を作る。2点が一致しないこと,鉛直にならないこと(なる場合は別扱い)を確認する。座標が複雑な有理式であれば,約分による簡約を疑う。
  2. 量化子を明示する:$(x,y)\in\mathcal{R}\iff\exists\,t\in I:\ F(x,y,t)=0$ と書き,パラメータの範囲 $I$ を条件の中に保持する。
  3. 何を固定するかを選ぶ:
    固定するもの得られる問題適する状況
    座標 $x$(順像)一変数関数の値域$\partial_tF$ が簡単に因数分解できるとき
    点 $(x,y)$(逆像)区間内実根の存在点を通る直線の本数も必要なとき
    根の対 $(s,t)$二直線の交点の集合領域のパラメータ表示がほしいとき
    方向(放射)各方向の到達距離端点直線の交点が領域の要になるとき
    係数 $(a,b)$双対曲線・凸包係数が少数の関数で書けるとき
  4. 境界の候補を完全に列挙する:パラメータ区間の端点 $t\in\partial I$,内部の停留点($F=F_t=0$),微分不能点。端点を落とすと境界が欠け(本問の $y=-2$),判別式だけでは区間制約が失われる。
  5. 候補を比較して実際の境界を抽出する:最大・最小を与える候補が入れ替わる点(本問の $x=\frac23$)で境界が切り替わる。候補曲線の一部は領域の内部を通る。
  6. 充填を証明する:「境界の候補を求めた」ことと「領域を求めた」ことは異なる。閉区間上の連続性と中間値の定理,根の存在,交点写像の全射性などで,境界の間の点がすべて実現されることを示す。
  7. 構造を同定する:傾き $a(t)$ がある関数 $\psi$ の導関数 $\psi'(t)$ に見えれば,切片が $\psi(t)-t\psi'(t)$ に一致するかを確かめる。一致すれば接線族であり,$\partial_t(\text{高さ})=\psi''(t)(x-t)$ となる。せん断などのアフィン変換で標準形(本問では $Y=x^3$)に帰着させる。
  8. 構造に基づいて検算する:特殊な断面,端点直線,境界の $C^1$ 接続,$M$ の凸性と $m$ の凹性,根の個数のパリティ,面積比など。

4.2 症状と有効な手

症状有効な手
2点の座標が複雑な有理式直線の方程式に直して約分を確認する
$\partial_t(\text{高さ})$ が因子 $(x-t)$ をもつ接線族とみる。最大点は $x$ の区間への射影
端点直線が1点で交わる交点を原点とし端点直線を軸とする斜交座標
微分を避けたい端点分解と $(x-t)^2(\cdots)$ 型の因数分解,相加相乗平均
係数が $(t^2,t^3)$ のように少数の関数で書ける係数空間の凸包
判別式を使いたくなる区間の端点条件を別に検査する
線分と直線が混在する線分の掃く部分と延長部分を分けて扱う

4.3 類題設計への応用

  • 凸な弧の接線族であれば, 定理6 により通過範囲は同じ形(端点接線にはさまれた角領域と,弧と端点接線で囲まれた部分の和)になる。弧を変えれば類題が作れる。
  • 弧が変曲点を内部に含むと $f''$ の符号が変わり,$t\mapsto\ell_t(x)$ は単峰でなくなる。たとえば $y=x^3-3x$ で $t\in[-1,1]$ とすると,$t=0$ がすべての $x$ に対する停留点となり,変曲接線 $L_0$ 全体が境界の候補になる(双対曲線の尖点)。
  • 端点の動き方を変えると包絡線の種類が変わる。両端が等速なら放物線( 5.7 節 )である。

5. 発展事項

各節で,高校数学の範囲で完結する内容と,それを超える一般論とを区別して記す。

5.1 凸な弧の接線族が掃く範囲

高校数学の範囲

 本解の増減表で十分である。
発展 本解の計算は次の一般定理の特殊例である。

凸な弧の接線族の通過範囲

$a < b$ とし,$f$ を区間 $[a,b]$ で $C^2$ 級かつ $f''\geqq 0$ とし,$T_t(x)=f(t)+f'(t)(x-t)$($a\leqq t\leqq b$)とおく。$\tau(x)=\min(b,\max(a,x))$ とすると,直線族 $y=T_t(x)$ の通過範囲は
$$ \lbrace (x,y)\mid \min(T_a(x),T_b(x))\leqq y\leqq T_{\tau(x)}(x)\rbrace $$
である。上側境界は $x\leqq a$ で $T_a$,$a\leqq x\leqq b$ で $f$,$x\geqq b$ で $T_b$ であり,$C^1$ 級につながる。

$\partial_tT_t(x)=f'(t)+f''(t)(x-t)-f'(t)=f''(t)(x-t)$ であり,$f''\geqq 0$ より $t\mapsto T_t(x)$ は $[a,\tau(x)]$ で単調非減少,$[\tau(x),b]$ で単調非増加である。よって最大値は $T_{\tau(x)}(x)$,最小値は両端の値の小さい方である。連続性から値域はその間の閉区間全体である。$a\leqq x\leqq b$ では $T_x(x)=f(x)$ である。上側境界の各部分の接続点 $x=a,b$ では,値と傾き($f'(a)$,$f'(b)$)がそれぞれ一致する。

下側境界は二本の端点接線の交点で折れ,上側境界は滑らかである。本問は $f(x)=x^3-3x$,$[a,b]=[0,1]$ の場合であり, 3.3 節 の射影 $\tau$ はこの定理の $\tau$ そのものである。

5.2 せん断・重み付き同次性・面積比

高校数学の範囲

 $Y=y+3x$ を式の整理として用いれば十分である( 3.1 節 )。
発展 $(x,Y)$ 座標で弧は $Y=x^3$,接線は $Y=3t^2x-2t^3$ となる。変換 $D_\lambda(x,Y)=(\lambda x,\lambda^3Y)$($\lambda > 0$)は曲線 $Y=x^3$ を保ち,パラメータ $t$ の接線をパラメータ $\lambda t$ の接線に移す。すなわち,$t > 0$ の接線はすべて $t=1$ の接線の $D_\lambda$($0 < \lambda\leqq 1$)による像であり,接線族は一本の接線から重み $(1,3)$ の同次な拡大で生成される。
この同次性から,弧 $Y=x^3$($0\leqq x\leqq a$)と二本の端点接線で囲まれた部分の面積と,二本の端点接線と弦で作られる三角形の面積の比は $a$ によらない($D_\lambda$ は両者をともに $\lambda^4$ 倍する)。より一般に $Y=x^n$($n\geqq 2$)の $[0,1]$ の弧では,端点接線 $Y=0$ と $Y=nx-(n-1)$ は $\left(\frac{n-1}{n},0\right)$ で交わり,
$$ \frac{\displaystyle\int_0^1x^n\,dx-\frac{1}{2n}}{\dfrac{n-1}{2n}}=\frac{1}{n+1} $$
である。$n=2$ の比 $\frac13$ は Archimedes の放物線の求積と同値な事実であり,$n=3$ が本問の比 $\frac14$ である。せん断は面積を保つから,元の座標でも $\frac{1/12}{1/3}=\frac14$ となる。

5.3 双対性・Legendre 変換・Clairaut 方程式

高校数学の範囲

 傾き $p$ を変数とする一変数関数の最大・最小として扱えば十分である(参考解3)。
発展 参考解3の $k(p)=-2\left(1+\frac p3\right)^{3/2}$($-3\leqq p\leqq 0$)を用いると,接線族は $y=px+k(p)$ と書ける。$0\leqq x\leqq 1$,$-3\leqq p\leqq 0$ について
$$ \max_{-3\leqq p\leqq 0}\lbrace px+k(p)\rbrace=x^3-3x,\qquad \max_{0\leqq x\leqq 1}\lbrace px-f(x)\rbrace=-k(p) $$
が成り立ち(最大点はそれぞれ $p=3x^2-3$,$x=\sqrt{1+p/3}$),$[0,1]$ に制限した $f$ と $-k$ は互いの Legendre 変換である。接線の切片が $-(\text{Legendre 変換})$ で与えられ,凸な $f$ に凹な $k$ が対応する。上側境界 $M(x)=\max_{p}\lbrace px+k(p)\rbrace$ は,$-k$ を $[-3,0]$ に制限した関数の Legendre–Fenchel 変換に一致し,$x < 0$ と $x > 1$ では傾きの範囲の端 $-3$,$0$ をもつ一次関数になる。
微分方程式としては,$p=y'$ とおいた Clairaut 方程式
$$ y=xy'-2\left(1+\frac{y'}{3}\right)^{3/2} $$
を $x$ で微分すると $\left(x-\sqrt{1+\frac{y'}{3}}\right)y''=0$ となり,$y''=0$ から一般解(直線族),$x=\sqrt{1+\frac{y'}{3}}$ から特異解 $y=x^3-3x$($x\geqq 0$)を得る。包絡線は特異解である。

5.4 判別式・Bernstein 基底・符号変化

高校数学の範囲

 区間内実根は,端点の符号と内部の極値で判定すれば十分である(参考解1)。
発展 $G_{x,y}$ の判別式は $108(3x+y)(x^3-3x-y)$ であり,全実数での重根の有無しか判定しない。区間 $[0,1]$ に適した表現は Bernstein 基底で,係数は $(3x+y,\,3x+y,\,2x+y,\,y+2)$ である($c_0=c_1$ は $G'(0)=0$ の反映)。Bernstein 係数の符号変化の回数 $V$ と $(0,1)$ 内の根の個数 $Z$(重複度込み)の間には,$Z\leqq V$ かつ $V-Z$ は偶数という関係(区間版の Descartes の符号法則)が成り立つが,$V=2$ であっても $Z=0$ はありうる。たとえば $\left(\frac12,-\frac{13}{10}\right)$ では係数が $\left(\frac15,\frac15,-\frac3{10},\frac7{10}\right)$ で $V=2$ だが,$-\frac{13}{10} > f\left(\frac12\right)=-\frac{11}{8}$ より $\mathcal{R}$ の外にあり $Z=0$ である。de Casteljau 分割で区間を十分細かく分割すると,単根だけをもつ場合には各小区間の符号変化数がその小区間内の根の個数に一致するようになる。これが Bernstein 基底による実根分離算法の原理である。

5.5 包絡線・線織面の射影・折り目

高校数学の範囲

 包絡線は「$x$ を固定したときの最大点の軌跡」として本解の中で自然に現れる。
発展 写像 $\Pi(x,t)=(x,\ell_t(x))$($0\leqq t\leqq 1$)の像が $\mathcal{R}$ であり,これは線織面 $\lbrace (x,y,t)\mid y=\ell_t(x)\rbrace$ の $xy$ 平面への射影と同じである。$\Pi$ のヤコビ行列式は $\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$ であるから,像の境界は,定義域の境界 $t=0,1$ の像と臨界集合 $t=x$ の像に含まれる。$0 < x < 1$ の臨界点では $\partial_t^2\ell_t(x)=6x-12t=-6x\neq 0$ であり,Whitney の意味の折り目(fold)である。折り目の像が弧 $C$ であり,折り目の近くで像は $C$ の片側(下側)だけを2重に覆う。これは $\mathcal{K}$ の内部を2本の直線が通ること( 3.6 節 )と,$C$ が境界になることの局所的な説明である。一方 $t=0$ では $\partial_t\ell_t(x)$ が $x$ によらず $0$ になり,定義域の境界と臨界集合が重なる退化が起こる( 1.6 節 )。実代数幾何の円筒代数分解は,参考解7の「分岐集合で分割し各成分を代表点で判定する」手続きを一般化したものである。

5.6 モーメント空間と凸包

高校数学の範囲

 参考解4の結論は,各 $x$ での値域が閉区間であることだけを用いている。
発展 $[0,1]$ に値をとる確率変数 $T$ に対し,$(E[T^2],E[T^3])$ の全体は $\operatorname{conv}\Gamma$ に一致する(モーメント空間)。直線族の平均 $y=E[\ell_T(x)]=-3x+3xE[T^2]-2E[T^3]$ の各 $x$ での値は $\ell_t(x)$ の値の平均であるから $[m(x),M(x)]$ に属する。したがって $\mathcal{R}$ は,係数が $\operatorname{conv}\Gamma$ に属する直線全体の和集合でもある。凸包の直線辺 $\tau=\sigma$ は $t\in\lbrace 0,1\rbrace$ に集中した分布に対応し,$\mathrm{P}$ を通る直線束($\mathcal{W}$)を与える。

5.7 Bézier 曲線と糸掛け:作問の原型

高校数学の範囲

 内分点の計算で確かめられる。
発展 弧 $C$ は,制御点 $\mathrm{O}$,$\mathrm{E}\left(\frac13,-1\right)$,$\mathrm{P}$,$\mathrm{Q}$ の三次 Bézier 曲線
$$ \mathrm{T}_t=(1-t)^3\mathrm{O}+3(1-t)^2t\,\mathrm{E}+3(1-t)t^2\,\mathrm{P}+t^3\mathrm{Q} $$
である。$\mathrm{E}$ は線分 $\mathrm{OP}$ の中点であり,制御多角形は三角形 $\mathrm{OPQ}$ に退化している(凸包性により $C\subset\triangle\mathrm{OPQ}$)。de Casteljau の構成で第2段の点を計算すると
$$ (1-t)\lbrace(1-t)\mathrm{O}+t\mathrm{E}\rbrace+t\lbrace(1-t)\mathrm{E}+t\mathrm{P}\rbrace=t\mathrm{P}=\mathrm{B}_t $$
となり,問題の点 $\mathrm{B}$ は de Casteljau の中間点そのものである。$t$ における接線はこの点を通る。
一方,二次 Bézier 曲線(制御点 $\mathrm{O},\mathrm{P},\mathrm{Q}$)の $t$ における接線は,$\mathrm{B}_t=(1-t)\mathrm{O}+t\mathrm{P}$ と $(1-t)\mathrm{P}+t\mathrm{Q}$ を結ぶ直線であり,両端が三角形の2辺上を等速で動く「糸掛け」が放物線を包絡する。本問の $\mathrm{B}$ はこれと同じ動きをし,$\mathrm{A}$ だけが $\mathrm{P}+\rho_t(\mathrm{Q}-\mathrm{P})$,$\rho_t=\frac{2t^2}{1+t}$ と非等速に動く。端点の速さの配分を変えることで,包絡線が放物線から三次曲線に変わる。これが本問の作問の原型と考えられる。

5.8 星形性

高校数学の範囲

 参考解6の放射方向の議論で,各方向の通過部分が $\mathrm{P}$ から始まる線分であることが分かる。
発展

星形中心

$\mathcal{R}$ は $\mathrm{P}$ に関して星形である。すなわち任意の $\mathrm{X}\in\mathcal{R}$ に対して線分 $\mathrm{PX}\subset\mathcal{R}$ である。さらに,この性質をもつ点は $\mathrm{P}$ に限る。

参考解6( 3.11 節 )の座標 $(\alpha,\gamma)$ で考える(アフィン変換は線分を線分に移す)。$\mathcal{R}$ は二つの閉象限 $\lbrace\alpha\leqq 0\leqq\gamma\rbrace$,$\lbrace\gamma\leqq 0\leqq\alpha\rbrace$ と $\mathcal{K}$ の和であり,開象限 $\lbrace\alpha < 0,\ \gamma < 0\rbrace$ と交わらない。また $\mathcal{K}$ 上では $\alpha=\frac{y+2}{2}\leqq\frac{f(x)+2}{2}\leqq 1$,$\gamma=y+3x\leqq x^3\leqq 1$ より $\mathcal{K}\subset[0,1]^2$ である。
星形性:二つの閉象限は原点を頂点とする凸錐であり,第1象限の部分は参考解6により各方向で $\mathrm{P}$ からの線分である。
一意性:$\mathrm{c}=(\alpha_0,\gamma_0)\in\mathcal{R}$,$\mathrm{c}\neq\mathrm{P}$ とし,$M > 0$ を十分大きくとる。

  • $\alpha_0 > 0$ のとき,$\mathrm{q}=(-1,M)\in\mathcal{R}$ をとる。線分 $\mathrm{cq}$ が $\alpha=0$ と交わる点の $\gamma$ 座標は $\gamma_0+\frac{\alpha_0}{\alpha_0+1}(M-\gamma_0)$ で,$M$ が大きければ $1$ を超える。その直前の点は $\alpha > 0$,$\gamma > 1$ を満たし,$\mathcal{R}$ に属さない。
  • $\alpha_0 < 0$ のとき($\gamma_0\geqq 0$),$\mathrm{q}=(1,-M)$ をとる。線分が $\gamma=0$ と交わる点の $\alpha$ 座標は $\alpha_0+\frac{\gamma_0}{\gamma_0+M}(1-\alpha_0)$ で,$M$ が大きければ負である。その直後の点は開象限 $\lbrace\alpha < 0,\ \gamma < 0\rbrace$ にあり,$\mathcal{R}$ に属さない。
  • $\alpha_0=0$,$\gamma_0 > 0$ のとき,$\mathrm{q}=(M,-1)$ をとると,線分が $\gamma=0$ と交わる点の $\alpha$ 座標 $\frac{\gamma_0}{\gamma_0+1}M$ は $1$ を超え,その直前の点は $\mathcal{R}$ に属さない。$\alpha_0=0$,$\gamma_0 < 0$ のとき,$\mathrm{q}=(-M,1)$ をとると,線分は $\mathrm{c}$ の直後で開象限 $\lbrace\alpha < 0,\ \gamma < 0\rbrace$ に入る。
    いずれの場合も線分 $\mathrm{cq}\not\subset\mathcal{R}$ であるから,$\mathrm{c}$ は星形中心でない。

星形性は接線という特殊な構造よりも,「三角形の隣り合う2辺上を単調に動く端点を結ぶ線分族」という配置に由来する。

5.9 最大値関数の凸性と支持関数

高校数学の範囲

 本解で求めた $M$,$m$ のグラフを描けば確認できる。
発展 一般に連続な直線族 $y=a(t)x+b(t)$($t\in I$,$I$ はコンパクト)について,$M(x)=\max_t\lbrace a(t)x+b(t)\rbrace$ は一次関数の最大値であるから凸,$m(x)$ は凹である。したがって通過範囲の補集合は,凸な開集合 $\lbrace y > M(x)\rbrace$ と $\lbrace y < m(x)\rbrace$ の互いに素な和である。また $M(x)$ は双対曲線 $\lbrace (a(t),b(t))\rbrace$ の,方向 $(x,1)$ に対する支持関数の値である。本問では $M$ は $C^1$ 級の凸関数,$m=\min(-3x,-2)$ は凹関数であり,検算に用いられる。

5.10 歴史的背景

  • 曲線族の包絡線の概念は17世紀末の Leibniz にさかのぼる。
  • Clairaut 方程式とその特異解は Clairaut(1734年)による。Legendre 変換は Legendre(1787年)による。
  • 区間内の実根の個数については,Descartes の符号法則(1637年),Sturm の定理(1829年)があり,Bernstein 多項式(1912年)は後に区間版の符号法則と結び付いた。
  • 制御点による曲線表現は,自動車設計の文脈で de Casteljau(1959年頃)と Bézier(1960年代)が独立に開発した。
  • 糸掛けによる放物線の作図は,19世紀末に Mary Everest Boole が教育に用いたことで知られる。
  • 平面への写像の安定な特異点が折り目と尖点であることは Whitney(1955年)が示した。円筒代数分解は Collins(1975年)による。

6. 最終整理

6.1 構造マップ

$$ \begin{array}{c} \mathrm{A}_t,\ \mathrm{B}_t\ \text{(有理式)}\\ \Downarrow\ \text{約分}\\ L_t:\ y=-3x+3xt^2-2t^3\quad(0\leqq t\leqq 1)\\ \Downarrow\ \ell_t(x)=f(t)+f'(t)(x-t),\ \ f(x)=x^3-3x\\ \text{凸な弧 }C\text{(変曲点 }\mathrm{O}\text{ から極小点 }\mathrm{Q}\text{)の接線族}\\ \Downarrow\ \partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)\\ \begin{array}{c|c|c} t=0 & t=x\ (0 < x < 1) & t=1\\ \hline y=-3x & y=x^3-3x & y=-2 \end{array}\\ \Downarrow\ \text{候補の比較(切替点 }x=0,\ \tfrac23,\ 1\text{)}\\ \begin{array}{c|c|c|c|c} x\text{ を固定} & \text{点を固定} & (s,t)\text{ を固定} & \text{方向を固定} & \text{係数空間}\\ \hline \text{本解・別解1} & \text{参考解1・5・7} & \text{参考解2} & \text{参考解6} & \text{参考解3・4} \end{array}\\ \Downarrow\ \text{充填の証明(連続性・根の存在・全単射)}\\ \mathcal{R}=\mathcal{W}\cup\mathcal{K}=\lbrace (x,y)\mid m(x)\leqq y\leqq M(x)\rbrace \end{array} $$

6.2 結論

$x$ の範囲$y$ の範囲由来
$x\leqq 0$$-2\leqq y\leqq -3x$下:$t=1$,上:$t=0$
$0\leqq x\leqq\frac23$$-2\leqq y\leqq x^3-3x$下:$t=1$,上:$t=x$
$\frac23\leqq x\leqq 1$$-3x\leqq y\leqq x^3-3x$下:$t=0$,上:$t=x$
$x\geqq 1$$-3x\leqq y\leqq -2$下:$t=0$,上:$t=1$

境界をすべて含む。これは,二本の端点接線 $y=-3x$,$y=-2$ にはさまれた非有界な角領域 $\mathcal{W}$ と,折れ線 $\mathrm{OPQ}$ と弧 $y=x^3-3x$($0\leqq x\leqq 1$)で囲まれた曲線三角形 $\mathcal{K}$(線分 $\mathrm{AB}$ の掃く範囲)の和集合である。

6.3 数学的教訓

  • 複雑な座標で与えられた2点は,まず直線の方程式に直す。大きな約分は隠された構造の兆候である。
  • 傾きが導関数に見えたら,切片まで照合して接線族であることを確かめる。接線族では高さの $t$ 微分が $f''(t)(x-t)$ となり,最大点は $x$ の区間への射影になる。
  • 通過範囲の境界は「パラメータ区間の端点」と「内部の停留点(包絡線)」から生じる。本問の下側境界は前者,上側の曲線部分は後者の典型である。
  • 境界の候補を求めることと領域を求めることは異なる。閉区間上の連続性による充填の一文が,必要条件を必要十分条件に変える。
  • 判別式は区間制約を見ない。端点条件の検査を省略してはならない。
  • 直線と線分を区別する。線分の掃く有界部分と,延長による非有界部分は別の機構で生じる。
  • 同じ問題が,値域・実根・交点写像・双対曲線・凸包・放射方向・分岐集合という異なる対象で読み直せる。何を固定し,何を動かし,どの性質を用いたかを把握することが,解法の転用を可能にする。
  • 試験場で最も合理的なのは,最も高度な解法ではなく,$\partial_t\ell_t(x)=6t(x-t)$ という単純な構造に直結する本解である。
投稿日:6日前
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医学部・難関大受験生の指導を行っています。

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