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望遠鏡の創作者に僕はなりたい

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あいさつ

んちゃ!
今回の記事では皆で望遠鏡を作って遊ぶよ!
思い付き次第、随時更新するのだ!

望遠鏡和

超幾何数列

数列$t(n)$が超幾何数列であるとは、その階比$\frac{t(n+1)}{t(n)}$がnに関する有理関数になるとき、$t(n)$を超幾何数列と呼ぶ。

望遠鏡和

$t(n),z(n)$が超幾何数列で$t(n)=z(n+1)-z(n)$が成り立つとき、下記の式が成り立つ。
\begin{equation} \sum_{k=0}^{n}t(n)=z(n+1)-z(0) \end{equation}

定理1の性質を満たす超幾何数列$t(n),z(n)$について$\frac{z(n)}{t(n)}$$n$に関する有理関数になる。

\begin{equation} \frac{z(n)}{t(n)}=\frac{1}{\frac{z(n+1)}{z(n)}-1} \end{equation}

定理により、ある$n$に関する有理関数$y(n)$が存在して$z(n)=y(n)t(n)$と書ける。また、超幾何数列の定義よりある有理関数$r(n)$を用いて$\frac{t(n+1)}{t(n)}=r(n)$とかけるので、次式が成り立つ。
\begin{equation} r(n)y(n+1)-y(n)=1 \end{equation}

これ何が嬉しいかって?
上記の有利関数$y(n)$を求めれば機械的に望遠鏡和を構成できるってことです。
ではさらに、進めてみよう。

次の性質を満たす$n$に関する多項式$a(n),b(n),c(n)$が存在する。
\begin{equation} \frac{t(n+1)}{t(n)}=\frac{a(n)}{b(n)}\frac{c(n+1)}{c(n )}\quad(\forall h\in\{0\}\cup\mathbb{N}:\gcd(a(n),b(n+h)=1)) \end{equation}

[1]まず$t(n)$は超幾何数列なのでその階比$r(n)=\frac{t(n+1)}{t(n)}$$n$に関する有理関数。ゆえに互いに素な$n$に関するある多項式$f(n),g(n)$を用いて
\begin{equation} r(n)=\frac{f(n)}{g(n)} \end{equation}
次に、$\exists h\in\{0\}\cup\mathbb{N}\ s.t.\ \gcd(f(n), g(n+h))=u(n)$を満たしたとすると、ある多項式$\overline{f}(n),\overline{g}(n)$が存在して次の様に書ける。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} f(n)=\overline{f}(n)u(n)\\ g(n)=\overline{g(}(n)u(n-h) \end{array} \right. \end{eqnarray}
これにより、以下の式を得る。
\begin{eqnarray} \frac{f(n)}{g(n)}&=&\frac{\overline{f}(n)}{\overline{g}(n)}\frac{u(n)}{u(n-h)}\\ &=&\frac{\overline{f}(n)}{\overline{g}(n)}\frac{u(n-h+1)u(n-h+2)\cdots u(n)}{u(n-h)u(n-h+1)\cdots u(n-1)} \end{eqnarray}
$U(n)=u(n-1)u(n-2)\cdots u(n-h)$と置くと次の式を得る。
\begin{equation} \frac{f(n)}{g(n)}=\frac{\overline{f}(n)}{\overline{g}(n)}\frac{U(n+1)}{U(n)} \end{equation}
上記操作を$Gos$と名付ける。
[2]]よって、多項式$\overline{f}(n),\overline{g}(n)$についても同様に$Gos$を行い、さらに繰り返せば、最終的に所要の多項式$a(n),b(n),c(n)$を得る。

Gosperの方程式

定理4の多項式$a(n),b(n),c(n)$が見つかっているとすると定理3の漸化式は別の有利関数x(n)を用いて$y(n)=\frac{b(n-1)}{c(n)}x(n)$と置くことで次の漸化式に書き直せる。
\begin{equation} a(n)x(n+1)-b(n-1)x(n)=c(n)\quad(\forall h\in\{0\}\cup\mathbb{N}:\gcd(a(n),b(n+h))=1) \end{equation}

任意の有限個の複素数$c_{1},c_{2},...,c_{n}\in\mathbb{C}$に対して$c_{1}+1,c_{2}+1,...,c_{n}+1\mathbb{C}$を考えると、ある$i\in\{1,2,...,n\}$が存在して、任意の$j\in\{1,2,...,n\}$に対して以下の式が成り立つ。
\begin{equation} c_{i}+1\neq c{j} \end{equation}

$c_{1},c_{2},...,c_{n}$の実部を考え、それが最大値をとる$i\in\{1,2,...,n\}$を考えると任意の$j\in\{1,2,...,n\}$に対して$Re(c_{i}+1)\gt Re(c_{j})$が成り立つので$c_{i}+1\neq c_{j}$

定理5の漸化式の有理関数$x(n)$は存在するとすると、これは$n$に関する多項式!

[1]$x(n)$$n$に関する多項式でないとすると、ある互いに素な多項式$f(n),g(n)$が存在して$x(n)=\frac{f(n)}{g(n)}$が成り立つ。ただし、$g(n)$は定数でない。
[2]元の与えられた漸化式は次の様に書き直せる。
\begin{equation} a(n)f(n+1)g(n)-b(n-1)f(n)g(n+1)=c(n)g(n)g(n+1) \end{equation}
[3]$g(n)$の規約因数(*規約因数とは例えば$g(n)=(n+1)(n+2)$$n+1$$n+2$の事)を考える。このとき補題6より適当な規約因数を考えると次の様にできることに注意する。
\begin{equation} u(n)|g(n)\land u(n+1)\nmid g(n) \end{equation}
また、非負整数$h\in\{0\}\cup\mathbb{N}$で下記の式を満たすものの内最大のものを考える。
\begin{equation} u(n-h)|g(n)\land u(n-h)\nmid g(n+1) \end{equation}
すると[1],[2]より
\begin{equation} u(n+1)|a(n)\land u(n-h)\nmid b(n-1) \end{equation}
すなち次の式が成り立つことを意味する。
\begin{equation} u(n+1) |a(n),b(n+h) \end{equation}
しかし、これは$a(n),b(n+h)$が互いに素である事に反する。
ゆえに、$g(n)$は定数でなければならない。

イメージが湧かない人向け。
$g(n)=(n+2)(n+3)$の場合$g(n+1)=(n+3)(n+4)$であり$u(n)=n+3,u(n+1)=n+4$を選べばよく、また$h=1$として$u(n-1)$を用いれば
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} u(n)|g(n)\land u(n+1)\nmid g(n)\\ u(n-1)|g(n)\land u(n-1)\nmid g(n+1) \end{array} \right. \end{eqnarray}

Gosper方程式の解法

\begin{equation} a(n)x(n+1)-b(n-1)x(n)=c(n)\quad(\forall h\in\{0\}\cup\mathbb{N}:\gcd(a(n),b(n+h))=1) \end{equation}
の解法について手短に考えてみる。
[1]定理7より、$x(n)$$n$に関する多項式となる事が分かっているのであらかじめ次数$d$の多項式として
\begin{equation} x(n)=\sum_{k=0}^{d}C_{k}n^{k} \end{equation}
という形を想定する。
[2]$x(n)$の次数dに関する考察
1)左辺の最高次数の係数が打ち消しあわない場合:
この場合は簡単であり
\begin{equation} d+\max{\{\deg{a(n)},\deg{b(n)}\}}=\deg{c(n)} \end{equation}
より
\begin{equation} d=\deg{c(n)}-\max{\{\deg{a(n)},\deg{b(n)}\}} \end{equation}
2)最高次数の係数が打ち消しあう場合
下記の様に記号を定める。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a(n)=\lambda n^{N}+An^{N-1}+\cdots\\ b(n)=\lambda n^{N}+Bn-{N-1}+\cdots\\ x(n)=Cn^{d}+Dn^{d-1}+\cdots \end{array} \right. \end{eqnarray}
またGosper方程式は次の様に書き直せる。
\begin{equation} a(n)(x(n+1)-x(n))-(b(n-1)-a(n))x(n)=c(n) \end{equation}
ゆえに最高次数に着目して計算すると$n^{d+N-1}$の係数は次の様に書ける事が分かる。
\begin{equation} \lambda(dC-D)-C(B-A) \end{equation}
この係数が$0$出ない場合は次の様に書ける。
\begin{equation} d=\deg{C(n)}-N+1 \end{equation}
またそうでない場合は
\begin{equation} d=\frac{B-A}{\lambda}+D \end{equation}
を得る。
[3]$d\lt 0$の場合は解が存在しない事を意味している。この場合はGosper総和不可能という。

作って遊ぼう

このままだと子葉氏のパクりみたいな記事になるので、少し趣向を変えてみる。
先の場合、先に超幾何数列$t(n)$を与えてから、Gosper方程式を導く手順について考えたけど、そうではなく、逆に$a(n),b(n)$を先に与えて、多項式$x(n)$を動かす事で出来る望遠鏡和について考えてみよう。

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a(n)=1\\ b(n)=1 \end{array} \right. \end{eqnarray}
の場合はもちろん$\gcd{(a(n),b(n+h))}=1$であるのでGosper方程式の条件も問題ない。
$x(n)=An^{2}+Bn+C$であるとすると$c(n)=2An+A+B$ゆえに、
\begin{eqnarray} \frac{t(n+1)}{t(n)}&=&\frac{2An+3A+B}{2An+A+B}\\ &=&\frac{n+\frac{3A+B}{2A}}{n+\frac{A+B}{2A}} \end{eqnarray}
\begin{equation} t(n)=\frac{(\frac{3A+B}{2A})_{n}}{(\frac{A+B}{2A})_{n}} \end{equation}
\begin{equation} z(n)=\frac{An^{2}+Bn+C}{2An+A+B}\frac{(\frac{3A+B}{2A})_{n}}{(\frac{A+B}{2A})_{n}}\\ \end{equation}
より
\begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1}\frac{(\frac{3A+B}{2A})_{k}}{(\frac{A+B}{2A})_{k}}=\frac{An^{2}+Bn+C}{2An+A+B}\frac{(\frac{3A+B}{2A})_{n}}{(\frac{A+B}{2A})_{n}}-\frac{C}{A+B} \end{equation}
特に$A=B=C=1$とすると
\begin{equation} \sum_{k=0}^{n-1}(k+1)=\frac{n(n+1)}{2} \end{equation}

\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a(n)=1\\ b(n)=An+B \end{array} \right. \end{eqnarray}
と書ける場合ももちろん$\gcd{(a(n),b(n+h))}=1$を満たすのでGosper方程式の条件を満たしている。
\begin{equation} x(n)=Kn+L \end{equation}
とすると
\begin{equation} c(n)=-(Kn+L)(An-A+B-1)+L \end{equation}
\begin{equation} \frac{t(n+1)}{t(n)}=\frac{1}{An+B}\frac{(Kn+K+L)(An+B-1)+L}{(Kn+L)(An-A+B-1)+L} \end{equation}
\begin{equation} t(n)=\prod_{k=0}^{n}\frac{1}{Ak+B-A}\frac{(Kk+L)(Ak-A+B-1)+L}{(Kk+L-K)(Ak-2A+B-1)+L} \end{equation}
\begin{equation} z(n)=-\frac{(Kn+L)(An-A+B-1)+L}{An+B-A}(Kn+L)\prod_{k=0}^{n}\frac{1}{Ak+B-A}\frac{(Kk+L)(Ak-A+B-1)+L}{(Kk+L-K)(Ak-2A+B-1)+L} \end{equation}
以上より、
\begin{equation} \sum_{l=0}^{\infty}\prod_{k=0}^{l}\frac{1}{Ak+B-A}\frac{(Kk+L)(Ak-A+B-1)+L}{(Kk+L)(Ak-2A+B-1)+L}=\frac{L^{3}}{(L-K)(B-2A-1)+L} \end{equation}

でもさー
上のGosperの方程式だけだと限界があるよね!
そこで次にSister Celineの方法を考えていくよ!

Sister Celines's method

まずは簡単な例で遊んでみよう!

次の数列$f(n)$の漸化式を求めよ!
\begin{eqnarray} f(n)&=&\sum_{k=0}^{n}k\begin{pmatrix}n\\k\end{pmatrix}\\ &=&\sum_{k=-\infty}^{\infty}k\begin{pmatrix}n\\k\end{pmatrix} \end{eqnarray}

[1]$F(n,k)=k\begin{pmatrix}n\\k\end{pmatrix}$とおく。そして次の様なP-再帰的式が成り立つと仮定してみる。
\begin{equation} a(n)F(n,k)+b(n)F(n+1,k)+c(n)F(n,k+1)+d(n)F(n+1,k+1)=0 \end{equation}
注目すべきは、$a,b,c,d$$n$にのみに依存し、$k$に依存しない事。
[2]両辺を$F(n,k)$で割ってみよう。すると次の様に書ける。
\begin{equation} a(n)+b(n)\frac{F(n+1,k)}{F(n,k)}+c(n)\frac{F(n,k+1)}{F(n,k)}+d(n)\frac{F(n+1,k+1)}{F(n,k)}=0 \end{equation}
[3]次に$F(n,k)=k\begin{pmatrix}n\\k\end{pmatrix}$を代入しよう。すると次式を得る。
\begin{equation} a+b\frac{n+1}{n+1-k}+c\frac{n-k}{k}+d\frac{n+1}{k}=0 \end{equation}
より両辺に$k(n+1-k)$をかけて整理すると次式を得る。
\begin{equation} (c-a)k^{2}+((n+1)a+(n+1)b-(2n+1)c-nd)k+(n+1)(cn+(n+1)d)=0 \end{equation}
[4][3]で得た最後の式は$k$に依らず0でなければならないので、以下の連立方程式を得る。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} c-a=0\\ (n+1)a+(n+1)b-(2n+1)c-nd=0\\ cn+(n+1)d=0 \end{array} \right. \end{eqnarray}
よって、これを解くと
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} a=c=-\frac{n+1}{n}d\\ b=0\\ c=-\frac{n+1}{n}d\\ \end{array} \right. \end{eqnarray}
[5]
すなわち以下のP-再帰的な式を得る。
\begin{equation} -\frac{n+1}{n}F(n,k)-\frac{n+1}{n}F(n,k+1)+F(n+1,k+1)=0 \end{equation}
よって、両辺$k$について総和を取れば
\begin{equation} -\frac{n+1}{n}f(n)-\frac{n+1}{n}f(n)+f(n+1)=-\frac{2(n+1)}{n}f(n)+f(n+1)=0 \end{equation}
[6]
上記の漸化式を解くと
\begin{eqnarray} f(n)&=&\frac{2n}{n-1}f(n-1)\\ &=&2^{n-1}nf(1)\\ &=&2^{n-1}n \end{eqnarray}

上記の解法を一般化したものをSister Celineの方法と言います。

参考文献

投稿日:111
更新日:112
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