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三角関数を使いこなすために①|単位円から始める基礎講義

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三角関数を使いこなすために①|単位円から始める基礎講義

皆様ごきげんよう。
三角関数は、角と数を結び付ける関数です。三角形の辺の比から始まった$\sin,\cos,\tan$を、どんな角に対しても使えるようにすると、回転や周期的な変化も表せます。
この連作は、①基礎を理解する、②問題の条件から解法を選ぶ、③実際の問題で使う、という三段階で進みます。
第1回では、数学Ⅱの三角関数を初めて学ぶ方に向けて、定義、グラフ、公式、その基本的な使い方を説明します。
数学Ⅰの二次方程式や三角比は使いますが、ベクトル・複素数平面・微分積分は使いません。
公式を覚えるときは、どの角の関係を表しているか、どの条件で使えるかも一緒に確認してください。
第2回で解法を選ぶための土台になります。

一度に全部を覚える必要はありません

初めて読む場合は、①一般角と単位円、②グラフ、③加法定理と倍角・半角、④積和・和積と合成、⑤方程式・不等式、と分けて学習してください。
それぞれの確認問題を、説明を閉じて解き直してから先へ進みます。
公式の導出で止まったときと、値の符号や区間で止まったときでは、読み直す場所が違います。
特殊角の表は、最初は単位円と直角三角形から作れれば十分です。
その後は計算のたびに全てを導き直さなくても使えるよう、短い確認問題で繰り返します。
公式を再構成できることと、速やかに使えることの両方を育てます。

範囲を表す記号の約束

この記事では、角や数の範囲を短く書くため、区間の記号を使います。$a\lt b$として、$[a,b]$は$a\leq x\leq b$を満たす実数$x$全体、$(a,b)$は$a\lt x\lt b$を満たす実数$x$全体です。$[a,b)$は$a\leq x\lt b$、$(a,b]$は$a\lt x\leq b$です。角括弧側の端を含み、丸括弧側の端を含みません。
点の座標にも$(a,b)$を使いますが、区間か点かは文脈で区別します。また、$\{a,b\}$は列挙した二つの数の集合、$[a,+\infty)$は$x\geq a$、$(-\infty,b]$は$x\leq b$を満たす実数全体です。$\infty$は実数の端点ではなく、上または下に限りがないことを示し、角括弧で含める対象ではありません。
$x\in I$は「$x$が範囲$I$に入る」、$I\cup J$は「$I$または$J$に入る数全体」を表します。関数の定義域は入れてよい数の範囲、値域は実際に出てくる値の範囲です。記号が読みづらいときは、不等式へ戻して読んでください。

1 一般角と弧度法

角には、向きと回った回数がある

平面上で、原点から右向きに延びる半直線を出発点にします。この半直線を原点の周りで回した角を考え、反時計回りを正、時計回りを負とします。
例えば$90^\circ$は反時計回りに四分の一周、$-90^\circ$は時計回りに四分の一周です。$450^\circ$は一周してからさらに$90^\circ$回った角です。このように、$0^\circ$から$180^\circ$だけに限らず、負の角や一周を超える角も扱うものを一般角といいます。
$90^\circ$と$450^\circ$は、回った量は違いますが、最後の半直線の位置は同じです。角そのものと、その角が指す方向を区別しておきましょう。

円の弧の長さで角を測る

半径$r$の円で、$0$以上、一周以下の中心角に対応する弧の長さを$l$とすると、比$l/r$は円の大きさによらず決まります。この比を角の大きさとするのが弧度法です。単位はラジアンですが、数式では通常省略します。
一周の弧長は$2\pi r$なので、一周は$2\pi$、半周は$\pi$です。

度数法と弧度法

$\displaystyle 180^\circ=\pi,\qquad 1^\circ=\frac{\pi}{180}$

$\displaystyle 30^\circ=\frac\pi6,\quad45^\circ=\frac\pi4,\quad60^\circ=\frac\pi3,\quad90^\circ=\frac\pi2$


例えば$150^\circ=5\pi/6$、$7\pi/6=210^\circ$です。「$\pi$は$180^\circ$」という対応を使えば変換できます。
中心角$\theta$の扇形では、$0\leq\theta\leq2\pi$の範囲で

$\displaystyle l=r\theta,\qquad S=\frac12r^2\theta$


です。面積は円全体の$\theta/(2\pi)$倍として導けます。この二式の$\theta$は弧度です。負角や何周も回る角を、そのまま通常の扇形の面積へ代入するわけではありません。
通常の弧の長さは非負ですが、一般角は回転の向きに応じて正負を持ちます。まず正の角を弧長の比で定め、時計回りには負の符号を付け、一周を超える回転には回った周数を加えます。一方向に角$\theta$だけ回った道のりは$r|\theta|$です。
例えば$450^\circ=5\pi/2$の回転で円周上を進む道のりは$5\pi r/2$。最後の二半直線の間の短い弧は$\pi r/2$であり、回転中に重ねて通った部分は数えません。符号を持つ回転量、実際に通る道のり、最後の方向の間の弧を区別します。

確認問題 1

半径$4$、中心角$-30^\circ$の回転を考える。(1)角を弧度で表せ。(2)終辺の方向が同じで、$0\leq\theta\lt 2\pi$に入る角を求めよ。(3)中心角$5\pi/6$の扇形の弧長と面積を求めよ。


確認問題 1 の解答を開く

(1)$-\pi/6$。(2)$-\pi/6+2\pi=11\pi/6$。(3)弧長$10\pi/3$、面積$20\pi/3$。

回転の符号と、通常の扇形の正の中心角を区別します。方向を戻す操作では、元の回転量まで同じになるわけではありません。

2 単位円と三角関数

定義は、円上の点の座標

原点を中心とする半径$1$の円を単位円といいます。角$\theta$が指す半直線と単位円の交点を$P=(x,y)$とします。

三角関数の定義

$\displaystyle\cos\theta=x,\qquad\sin\theta=y$

$\displaystyle\tan\theta=\frac yx=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\quad(\cos\theta\ne0)$


xyO11Pθ

単位円上の点 $P$。横座標が $\cos\theta$、縦座標が $\sin\theta$(図は鋭角の一例)。


鋭角では、$P$から$x$軸に下ろした垂線が直角三角形を作り、斜辺は$1$です。したがって、この定義は数学Ⅰの三角比と一致します。一般角では、辺の長さの代わりに符号を持つ座標を使うため、負の値も現れます。
正接は直線$OP$の傾きです。ただし、$OP$が鉛直なら傾きは定義されません。よって

$\displaystyle \theta=\frac\pi2+n\pi\quad(n\text{は整数})$


では$\tan\theta$は未定義です。「無限大という値を取る」とは扱いません。

象限と符号、基本的な値

第一象限から順に、座標の符号を読めば十分です。

象限$\cos\theta$$\sin\theta$$\tan\theta$
第1正正正
第2負正負
第3負負正
第4正負負

座標軸上の角は、この表と別に定義から調べます。
$\theta$$0$$\pi/6$$\pi/4$$\pi/3$$\pi/2$
$\sin\theta$$0$$1/2$$\sqrt2/2$$\sqrt3/2$$1$
$\cos\theta$$1$$\sqrt3/2$$\sqrt2/2$$1/2$$0$
$\tan\theta$$0$$1/\sqrt3$$1$$\sqrt3$未定義

$\pi/6,\pi/3$の値は正三角形を半分にした直角三角形、$\pi/4$の値は二等辺直角三角形から得られます。

円の方程式から関係式を得る

$P$は単位円上なので$x^2+y^2=1$です。したがって

$\displaystyle \boxed{\sin^2\theta+\cos^2\theta=1}.$


ここで$\sin^2\theta$は$(\sin\theta)^2$の意味です。$\sin(\theta^2)$とは違います。
$\cos\theta\ne0$のとき、上式を$\cos^2\theta$で割ると

$\displaystyle \boxed{1+\tan^2\theta=\frac1{\cos^2\theta}}$


を得ます。どちらも三角関数の値を結び付ける式ですが、後者には除算の条件があります。
例えば$\sin\theta=3/5$なら$\cos^2\theta=16/25$です。第二象限という条件があれば$\cos\theta=-4/5$、$\tan\theta=-3/4$と決まります。角の範囲がなければ、余弦の符号は決まりません。

円の対称性を読む

単位円上で$x$軸に関して反転すると$(x,y)$が$(x,-y)$になり、角は$-\theta$になります。同じように、$y$軸で反転すると角は$\pi-\theta$です。

角正弦余弦
$-\theta$$-\sin\theta$$\cos\theta$
$\pi-\theta$$\sin\theta$$-\cos\theta$
$\pi+\theta$$-\sin\theta$$-\cos\theta$
$\pi/2-\theta$$\cos\theta$$\sin\theta$

最後の行は直線$y=x$に関する反転で、二つの座標が入れ替わることに対応します。正接の式は、分母が$0$でない場合に正弦と余弦の比から求められます。
例えば$\sin(7\pi/6)=-1/2$、$\cos(-\pi/3)=1/2$です。角を一つずつ丸暗記するより、基準の角と対称性から復元しましょう。

確認問題 2

$\pi\lt \theta\lt 3\pi/2$、$\cos\theta=-12/13$のとき、$\sin\theta,\tan\theta$を求めよ。角の範囲がなかった場合、何が決まらないかも述べよ。


確認問題 2 の解答を開く

$\sin^2\theta=1-144/169=25/169$。第三象限なので$\sin\theta=-5/13$、$\tan\theta=5/12$。範囲がなければ正弦の符号が二通りあり、正接も$\pm5/12$の二通り。

二乗の式が与えるのは絶対値までです。符号は単位円上の位置から補います。

3 周期とグラフ

同じ方向へ戻ると、値も戻る

一周回ると単位円上の同じ点に戻るため

$\displaystyle \sin(\theta+2\pi)=\sin\theta,\qquad\cos(\theta+2\pi)=\cos\theta.$


半周では正弦・余弦はともに符号が反転しますが、比は同じなので

$\displaystyle \tan(\theta+\pi)=\tan\theta$


です。最後の式は、正接が定義される角について述べています。
関数$f$について、定義域も保った上で$f(x+T)=f(x)$が常に成り立つ正数$T$を周期といいます。正弦・余弦の最小の正の周期は$2\pi$、正接は$\pi$です。
値だけを求めるなら、何周分かを引いて一周内へ戻せます。しかし、角の解を求めるときは周回数も必要です。この区別は後で使います。

正弦・余弦のグラフ

$\sin x$は単位円上の点の高さです。$0$から反時計回りに進むと、高さは$0\to1\to0\to-1\to0$と変わります。

0π/2π3π/22π1−1sin xcos x

正弦は高さ、余弦は横座標の変化。どちらも一周 $2\pi$ で同じ形に戻ります。


$x$$0$$\pi/2$$\pi$$3\pi/2$$2\pi$
$\sin x$$0$$1$$0$$-1$$0$
$\cos x$$1$$0$$-1$$0$$1$

正弦は$[-\pi/2,\pi/2]$で増加し、$[\pi/2,3\pi/2]$で減少します。余弦は$[0,\pi]$で減少し、$[\pi,2\pi]$で増加します。この変化は円上の座標から読めるので、微分は必要ありません。
どちらの値域も$[-1,1]$です。ただし、例えば$x\in[0,\pi/6]$に限れば、正弦の値域は$[0,1/2]$です。関数全体の値域と、指定区間での値域は別です。

正接のグラフ

$-\pi/2\lt x\lt \pi/2$では、直線$OP$の傾きが負から正へ増加し、$\tan x$はすべての実数値を一度ずつ取ります。$x=0$では$0$、$x=\pm\pi/4$では$\pm1$です。

−π−π/20π/2π

破線上の $x=\pm\pi/2$ では正接は未定義。各枝は増加し、周期は $\pi$。


$x$が$\pi/2$の左へ近付くと値は際限なく大きくなり、右側からでは際限なく小さくなります。$x=\pi/2$では未定義なので、グラフをそこを横切る一本の曲線としてつなぎません。各区間

$\displaystyle -\frac\pi2+n\pi\lt x\lt \frac\pi2+n\pi$


で増加し、その形が周期$\pi$で繰り返されます。

一般の関数で、点の移動を確かめる

$y=f(x)$のグラフ上に$(u,f(u))$があるとします。新しい式の中身が$u$になる$x$を求めれば、その点の移動先が分かります。

新しい式元の点の移動先起こる変化
$y=f(x-a)$$(u+a,f(u))$右へ$a$($a\lt 0$なら左)
$y=f(x)+d$$(u,f(u)+d)$上へ$d$
$y=Af(x)$$(u,Af(u))$縦の長さが$|A|$倍。$A\lt 0$なら$x$軸で反転
$y=f(Bx)$、$B\ne0$$(u/B,f(u))$横の長さが$1/|B|$倍。$B\lt 0$なら$y$軸で反転

例えば$f(2x)$で、元の点$(2,f(2))$は$(1,f(2))$へ移ります。同じ値を出すために、中身$2x$を$2$にしたいので$x=1$とするわけです。横が二倍になるのではなく、半分になります。
$f(x-3)$で右へ動くのも同じ理由です。元の入力$u$を作るには$x-3=u$、すなわち$x=u+3$が必要です。「括弧の中がマイナスなら右」という暗記の根拠が、点の対応にあります。

複数の変形を一つの対応にする

ここでは$x$が動く変数で、$A,B,C,D$は一つのグラフを決める固定した定数です。これらの定数を変えて複数のグラフを比べるときは、パラメータとして扱います。
$y=Af(Bx+C)+D$で$B\ne0$なら、元の点は

$\displaystyle \boxed{(u,f(u))\longmapsto\left(\frac{u-C}{B},Af(u)+D\right)}.$


先に横を$1/B$倍してから右へ$-C/B$動かし、縦を$A$倍してから上へ$D$動かす、と説明できます。符号による反転もこの式に含まれます。変形の順序を入れ替えると移動量も変わるため、迷ったらこの対応式へ戻ります。
正弦・余弦へ適用すると、$A\ne0,B\ne0$の場合、振幅は$|A|$、波の中心は$y=D$、最小の正の周期は$2\pi/|B|$です。$Bx+C$を位相と呼ぶことがあります。角に加える定数$C$と、横の移動量$-C/B$は同じものではありません。
例えば$y=2\sin(2x-\pi/3)+1$では、先に横の長さを$1/2$倍してから右へ$\pi/6$動かし、縦を$2$倍してから上へ$1$動かします。基本グラフの点から、次の五点を作れます。
元の入力$u$$0$$\pi/2$$\pi$$3\pi/2$$2\pi$
新しい$x$$\pi/6$$5\pi/12$$2\pi/3$$11\pi/12$$7\pi/6$
新しい$y$$1$$3$$1$$-1$$1$

この五点が一周期分です。点をなめらかにつなぎ、周期$\pi$で繰り返すと全体が描けます。
−π0π2π-11sin xsin 2x

同じ高さを取る点が、横に半分の位置へ移ります。青は $y=\sin x$、緑は $y=\sin2x$。


0π/62π/37π/6-113sin x2 sin(2x−π/3)+1

青は $y=\sin x$、緑は $y=2\sin(2x-\pi/3)+1$。緑の中心線は $y=1$、周期は $\pi$。


$A\lt 0$なら上下が、$B\lt 0$なら左右が反転します。ただし、正弦の奇性により二つの反転が打ち消し合う表現もあります。例えば$-2\sin(-2x+\pi/3)+1=2\sin(2x-\pi/3)+1$です。係数の見た目が違っても、同じグラフを表すことがあります。
正弦・余弦では、$A=0$または$B=0$なら定数関数になり、最小の正の周期はありません。正接の場合は、非定数なら周期が$\pi/|B|$で、$Bx+C=\pi/2+n\pi$の点が未定義です。正接を含む式では、係数が零でも未定義点を勝手に埋めません。$B=0$で$C$が極なら、元の式自体が未定義です。

横と縦がともに負でも、点の対応から描く

$y=-2\sin(-2x+\pi/2)+1$を考えます。$u=-2x+\pi/2$なら、基本正弦の点$(u,v)$は$(\pi/4-u/2,1-2v)$へ移ります。$u$が増えると$x$は減り、元の山$v=1$は$y=-1$の谷へ移ります。

元の入力$u$$0$$\pi/2$$\pi$$3\pi/2$$2\pi$
新しい$x$$\pi/4$$0$$-\pi/4$$-\pi/2$$-3\pi/4$
新しい$y$$1$$-1$$1$$3$$1$

波の中心は$y=1$、振幅は$2$、周期は$\pi$です。元の入力区間$[0,2\pi]$は新しい入力の区間$[-3\pi/4,\pi/4]$へ移り、両端の順序が反転します。逆に、新しい点$(x,y)$から元の点へ戻すなら$(u,v)=(-2x+\pi/2,(1-y)/2)$です。式の形から波を見る、代表点を動かす、グラフから元の点を逆算する、という三つの方向を同じ対応で処理できます。
元の sin u
0π2π-101
1
2
3
4
5−2 sin(−2x+π/2)+1
−3π/4−π/4π/4-113
1
2
3
4
5

同じ番号が対応する点です。元の入力が増えると新しい入力は減り、山は谷へ移ります。

二つのグラフの対応を調べる

$g(x)=2f(x/3+1)-4$なら、$f$の点$(u,v)$は$g$の点$(3u-3,2v-4)$へ移ります。「横三倍」と「左へ移動」を並べるだけでなく、この点の対応を使えば移動の順序で迷いません。逆に$g$上の点$(x,y)$に対応する$f$の点は$(x/3+1,(y+4)/2)$です。
三角関数では、山・谷・零点・中心線を通る点を対応させると、グラフの式を確かめやすくなります。ただし同じ周期と上下の端を持つだけでは、任意の曲線が正弦波だとは決まりません。式を逆に作る問題では「正弦・余弦の移動と伸縮でできたグラフ」という前提を使います。

グラフから式を作る

正弦・余弦を移動・伸縮した波と分かっていて、「最大値$3$、最小値$-1$、最小周期$\pi$、$x=\pi/6$で最大」なら、上下の平均から$D=1$、半差から振幅$2$、周期から$|B|=2$と読めます。最大になる点を余弦の山へ合わせれば

$\displaystyle y=2\cos\left(2\left(x-\frac\pi6\right)\right)+1.$


正弦で書いても構いません。角へ$2\pi$の整数倍を加える表現、反転を含む表現などがあるため、係数の書き方が唯一であるとは限りません。
指定範囲があるときは、その範囲を位相の範囲へ移します。全グラフの振幅が$2$でも、短い区間内では山や谷に届かないことがあります。また、和や積の最小周期は式全体で確認します。$\sin^2x$は周期$\pi$、$\sin x+\sin(x+\pi)$は恒等的に$0$です。

確認問題 3

関数$f$のグラフ上に$(2,3)$がある。(1)$y=f(2x)$の対応する点、(2)$y=-2f(3x-6)+1$の対応する点を求めよ。


確認問題 3 の解答を開く

(1)$2x=2$より$(1,3)$。(2)$3x-6=2$より$x=8/3$、縦座標は$-2\cdot3+1=-5$。従って$(8/3,-5)$。

元の入力を固定し、括弧の中身をその入力へ合わせます。係数をそのまま横の倍率にしないでください。


確認問題 4

(1)$y=-2\cos(2x-\pi/2)+1$の振幅、最小周期、値域、$x=0,\pi/4,\pi/2$での値を求めよ。(2)最大値$2$、最小値$-4$、最小周期$4\pi$で、$x=\pi$に山がある正弦波を、一つの余弦で表せ。


確認問題 4 の解答を開く

(1)振幅$2$、周期$\pi$、値域$[-1,3]$。三つの値は順に$1,-1,1$。(2)波の中心$-1$、振幅$3$、横係数$1/2$より、例えば$y=3\cos((x-\pi)/2)-1$。

(2)は「平均・半差・一周期の幅・山の位置」の順に読むと、式を逆向きに作れます。

4 加法定理から公式を作る

加法定理とは何か

角を足したとき、三角関数の値は単純な足し算になりません。例えば$\sin(\pi/6+\pi/6)=\sqrt3/2$ですが、$\sin(\pi/6)+\sin(\pi/6)=1$です。
正しい関係が加法定理です。

$\displaystyle \begin{aligned} \sin(\alpha\pm\beta)&=\sin\alpha\cos\beta\pm\cos\alpha\sin\beta,\\ \cos(\alpha\pm\beta)&=\cos\alpha\cos\beta\mp\sin\alpha\sin\beta. \end{aligned}$


複号は同じ順で選びます。余弦では、角の足し算に対して式の中は引き算になります。

単位円上の距離から導く

単位円上で$P=(\cos\alpha,\sin\alpha)$、$Q=(\cos\beta,\sin\beta)$とすると、座標から

$\displaystyle PQ^2=2-2(\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta).$


一方、余弦定理から$PQ^2=2-2\cos(\alpha-\beta)$です。この中心角との関係も確認します。$\alpha-\beta$から$2\pi$の整数倍を引いて$0\leq\delta\lt 2\pi$とすれば、二半直線の間の小さい角は$\delta$または$2\pi-\delta$です。周期性と円の対称性から、どちらの余弦も$\cos(\alpha-\beta)$と一致します。同一点や対径点の場合は式を直接確認できます。従って

$\displaystyle \cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta.$


$\beta$を$-\beta$へ替えると、余弦の和の公式が得られます。正弦も同じ関係から作れます。

$\displaystyle \begin{aligned}\sin(\alpha+\beta)&=\cos\left((\pi/2-\alpha)-\beta\right)\\&=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta.\end{aligned}$


ここで$\beta$を$-\beta$へ替えると、差の公式が得られます。ベクトルを使わず、数学Ⅰの余弦定理と円の対称性で説明できるわけです。
正接は正弦と余弦の比なので

$\displaystyle \tan(\alpha\pm\beta)=\frac{\tan\alpha\pm\tan\beta}{1\mp\tan\alpha\tan\beta}$


となります。ただし、$\tan\alpha,\tan\beta$が定義され、右辺の分母が$0$でないことが必要です。正弦・余弦の加法定理には、この除外条件はありません。
例えば$\sin(\pi/12)$は、$\pi/12=\pi/4-\pi/6$として

$\displaystyle \sin\frac\pi{12}=\frac{\sqrt6-\sqrt2}{4}$


と求められます。「既知の角の和・差で表す」というのが基本的な用途です。

確認問題 5

$\cos(\pi/12)$と$\tan(\pi/12)$を求めよ。


確認問題 5 の解答を開く

$\pi/12=\pi/4-\pi/6$より、$\cos(\pi/12)=(\sqrt6+\sqrt2)/4$。正接の公式の分母は$1+1/\sqrt3\gt 0$なので、$\tan(\pi/12)=(1-1/\sqrt3)/(1+1/\sqrt3)=2-\sqrt3$。

既知の角の差へ分け、余弦の符号と正接の分母を確認します。

倍角・半角・三倍角

加法定理で$\alpha=\beta=\theta$とすると

$\displaystyle \begin{aligned} \sin2\theta&=2\sin\theta\cos\theta,\\ \cos2\theta&=\cos^2\theta-\sin^2\theta\\ &=1-2\sin^2\theta=2\cos^2\theta-1,\\ \tan2\theta&=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^2\theta} \end{aligned}$


です。正接の式には、元の正接と分母の条件を付けます。

確認問題 6

$\pi/2\lt \theta\lt \pi$、$\sin\theta=4/5$のとき、$\sin2\theta,\cos2\theta$を求めよ。


確認問題 6 の解答を開く

$\cos\theta=-3/5$なので$\sin2\theta=-24/25$、$\cos2\theta=1-2(16/25)=-7/25$。

正弦の倍角には余弦の符号が必要です。余弦の倍角は正弦だけの式を選べます。


余弦の倍角を逆に使うと

$\displaystyle \sin^2\frac\theta2=\frac{1-\cos\theta}{2},\qquad \cos^2\frac\theta2=\frac{1+\cos\theta}{2}.$


これが半角公式です。平方根を取るときは、$\theta/2$の範囲から符号を決めます。例えば$\theta=5\pi/3$なら$\theta/2=5\pi/6$なので、半角の正弦は正、余弦は負です。
$\cos(\theta/2)\ne0$のとき、半角の正接は正弦と余弦の比から求められます。特に両辺が定義される場合に

$\displaystyle \tan\frac\theta2=\frac{\sin\theta}{1+\cos\theta}$


が成り立ちます。$1+\cos\theta=0$となる角は使えません。

確認問題 7

$\pi\lt \theta\lt 2\pi$、$\cos\theta=1/3$とする。$\sin(\theta/2),\cos(\theta/2)$を求めよ。


確認問題 7 の解答を開く

$\pi/2\lt \theta/2\lt \pi$より、正弦は正、余弦は負。従って$\sin(\theta/2)=1/\sqrt3$、$\cos(\theta/2)=-\sqrt{2/3}$。

平方根の正負は、元の角ではなく半分にした角の象限で決めます。


三倍角は、加法定理を$2\theta+\theta$へ使うと

$\displaystyle \boxed{\sin3\theta=3\sin\theta-4\sin^3\theta},\qquad \boxed{\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta}$


です。例えば正弦は$2sc\cdot c+(1-2s^2)s=3s-4s^3$と計算できます。ただし、ここだけ$s=\sin\theta,c=\cos\theta$と略記しました。

確認問題 8

加法定理を$2\theta+\theta$へ使い、$\cos3\theta=4\cos^3\theta-3\cos\theta$を自力で導け。


確認問題 8 の解答を開く

$c=\cos\theta,s=\sin\theta$とすると、$\cos3\theta=(2c^2-1)c-2s^2c$。$s^2=1-c^2$を代入して$4c^3-3c$を得る。

残す関数を余弦に決め、途中に現れた正弦の二乗を消す経験をしてください。

積和公式は、加法定理の二式から積を取り出す

まず一つを、手順まで確認します。

$\displaystyle \begin{aligned}\sin(\alpha+\beta)&=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta,\\\sin(\alpha-\beta)&=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta.\end{aligned}$


二式を足せば、符号が反対の$\cos\alpha\sin\beta$が消えます。引けば、同じ符号の$\sin\alpha\cos\beta$が消えます。

$\displaystyle \begin{aligned}2\sin\alpha\cos\beta&=\sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta),\\2\cos\alpha\sin\beta&=\sin(\alpha+\beta)-\sin(\alpha-\beta).\end{aligned}$


二つの未知量の和と差が与えられ、加減して一方を取り出す、という連立一次方程式と同じ操作です。積を二つの角の和へ移すので、積和公式と呼びます。
余弦の加法定理も同じように足したり引いたりすると、公式がそろいます。

$\displaystyle \begin{aligned}2\cos\alpha\cos\beta&=\cos(\alpha+\beta)+\cos(\alpha-\beta),\\2\sin\alpha\sin\beta&=\cos(\alpha-\beta)-\cos(\alpha+\beta).\end{aligned}$


確認問題 9

余弦の和と差の加法定理を書き、(1)$2\cos\alpha\cos\beta$、(2)$2\sin\alpha\sin\beta$の積和公式を導け。


確認問題 9 の解答を開く

(1)二式の和で正弦の積が消える。(2)$\cos(\alpha-\beta)$から$\cos(\alpha+\beta)$を引くと余弦の積が消え、$2\sin\alpha\sin\beta$が残る。上の二公式となる。

特に(2)の引く順番を確かめてください。

和積公式は、角の和と差を逆に解く

今度は$\sin\alpha+\sin\beta$を積にしたいとします。積和公式の右辺は「二角の和」と「二角の差」でした。そこで

$\displaystyle u+v=\alpha,\qquad u-v=\beta$


となる角を探します。連立一次方程式を解くと

$\displaystyle u=\frac{\alpha+\beta}{2},\qquad v=\frac{\alpha-\beta}{2}.$


先ほどの$2\sin u\cos v$の公式へ戻せば

$\displaystyle \boxed{\sin\alpha+\sin\beta=2\sin\frac{\alpha+\beta}{2}\cos\frac{\alpha-\beta}{2}}.$


平均と半分の差を置くのは、加法定理の右辺の角を作るためです。新しい特殊な公式を発明したのではなく、同じ関係を逆向きに解いています。

$\displaystyle \begin{aligned}\sin\alpha-\sin\beta&=2\cos\frac{\alpha+\beta}{2}\sin\frac{\alpha-\beta}{2},\\\cos\alpha+\cos\beta&=2\cos\frac{\alpha+\beta}{2}\cos\frac{\alpha-\beta}{2},\\\cos\alpha-\cos\beta&=-2\sin\frac{\alpha+\beta}{2}\sin\frac{\alpha-\beta}{2}.\end{aligned}$


確認問題 10

同じ$u,v$を使い、(1)$\sin\alpha-\sin\beta$、(2)$\cos\alpha-\cos\beta$の和積公式を導け。


確認問題 10 の解答を開く

(1)$\sin(u+v)-\sin(u-v)=2\cos u\sin v$。(2)$\cos(u+v)-\cos(u-v)=-2\sin u\sin v$。$u=(\alpha+\beta)/2,v=(\alpha-\beta)/2$を代入すれば上の二公式となる。

和と差を取り違えず、余弦の差のマイナスを残します。


確認問題 11

導出を見ずに、(1)$\sin5x\cos x$、(2)$\cos5x-\cos x$、(3)$\sin(5\pi/12)+\sin(\pi/12)$を変形・計算せよ。


確認問題 11 の解答を開く

(1)$(\sin6x+\sin4x)/2$。(2)$-2\sin3x\sin2x$。(3)$2\sin(\pi/4)\cos(\pi/6)=\sqrt6/2$。

導けることに加え、必要な向きを速やかに使えることも練習します。


積を和へ移すと各波に分けられ、和を積へ移すと零になる因子を調べられます。第2回では、問題の要求から変形の向きを選びます。

5 三角関数の合成

一つの波へまとめる

$a\sin x+b\cos x$を一つの正弦で表すことを、三角関数の合成といいます。$r=\sqrt{a^2+b^2}\gt 0$とし

$\displaystyle \cos\alpha=\frac ar,\qquad\sin\alpha=\frac br$


を満たす角$\alpha$を選びます。二つの比の二乗和が$1$なので、単位円上にそのような角があります。加法定理より

$\displaystyle \boxed{a\sin x+b\cos x=r\sin(x+\alpha)}.$


$a=b=0$なら式は恒等的に$0$で、位相$\alpha$を決める必要はありません。また、$\tan\alpha=b/a$だけで角を決めると象限を誤ることがあります。余弦と正弦の符号で決めます。
例えば

$\displaystyle \sin x+\sqrt3\cos x=2\sin(x+\pi/3).$


全実数$x$について考えるなら、値域は$[-2,2]$です。しかし$0\leq x\leq\pi/6$なら、移動後の角は$\pi/3\leq x+\pi/3\leq\pi/2$なので、値域は$[\sqrt3,2]$になります。

合成で分かること

振幅は、全体として取り得る大きさの限界です。指定区間でその限界を取れるかは、移動後の角の範囲で判断します。


確認問題 12

$\sqrt3\sin x-\cos x$を合成せよ。(1)全実数、(2)$0\leq x\leq\pi/3$での値域を求めよ。


確認問題 12 の解答を開く

$2\sin(x-\pi/6)$。(1)$[-2,2]$。(2)位相は$[-\pi/6,\pi/6]$なので値域は$[-1,1]$。

正弦の係数と余弦の係数を照合して位相を決め、指定範囲のある小問では位相の範囲も移します。

6 基本方程式と不等式

方程式は、同じ座標を持つ円上の点を探す

$\sin x=\sin\alpha$では、高さが等しい点を探します。円の対称性から

$\displaystyle x=\alpha+2n\pi\quad\text{または}\quad x=\pi-\alpha+2n\pi$


です。余弦は横座標が等しいので

$\displaystyle \cos x=\cos\alpha\iff x=\pm\alpha+2n\pi.$


正接は直線の傾きが等しいので、両辺の定義域内で

$\displaystyle \tan x=\tan\alpha\iff x=\alpha+n\pi.$


いずれも$n$は整数です。$\sin\alpha=\pm1$などでは、二つの系列が同じ解を表します。相異なる解だけを残すことが必要です。
例えば$0\leq x\lt 2\pi$で$\sin2x=1/2$を解くなら、$u=2x\in[0,4\pi)$です。この区間で

$\displaystyle u=\frac\pi6,\frac{5\pi}6,\frac{13\pi}6,\frac{17\pi}6$


となるため、$x=\pi/12,5\pi/12,13\pi/12,17\pi/12$です。一周だけ調べると二解を落とします。
$\sin x=a$、$\cos x=a$では$|a|\gt 1$なら解はありません。$|a|\leq1$なら、まずその値を取る基準の角を一つ選び、上の一般解を使います。特殊角でない場合も、求めたい解の個数や範囲は同じ方法で調べられます。

確認問題 13

$0\leq x\lt 2\pi$で、$\cos(2x-\pi/3)=1/2$を解け。


確認問題 13 の解答を開く

$2x-\pi/3=\pm\pi/3+2n\pi$より$x=n\pi$または$x=\pi/3+n\pi$。元の範囲では$0,\pi/3,\pi,4\pi/3$。

変換後は二周分あります。一般解に元の範囲を入れれば、周回を落とさずに絞れます。

不等式は、点ではなく円弧を探す

例えば$0\leq x\lt 2\pi$で$\sin x\geq1/2$は、高さが$1/2$以上の円弧に対応します。境界は$x=\pi/6,5\pi/6$なので

$\displaystyle \frac\pi6\leq x\leq\frac{5\pi}6.$


$\sin x\gt 1/2$なら両端を除きます。$\cos x$の不等式も、横座標で同じように考えられます。
正接は枝を分けます。例えば$0\leq x\lt 2\pi$で$\tan x\geq1$なら、各増加区間で調べて

$\displaystyle x\in\left[\frac\pi4,\frac\pi2\right)\cup\left[\frac{5\pi}4,\frac{3\pi}2\right).$


境界の$\pi/2,3\pi/2$は、等号の有無にかかわらず未定義なので含めません。

確認問題 14

$0\leq x\lt 2\pi$で、$\cos x\lt -1/2$と$\tan x\geq1$をそれぞれ解け。


確認問題 14 の解答を開く

余弦は$x\in(2\pi/3,4\pi/3)$。正接は$x\in[\pi/4,\pi/2)\cup[5\pi/4,3\pi/2)$。

不等号が厳密な境界と、そもそも未定義の境界は、除く理由が違います。

位相を変えたら、区間も変える

$\sin(2x-\pi/3)\geq1/2$を$0\leq x\lt \pi$で解く場合、$u=2x-\pi/3$とすると

$\displaystyle -\pi/3\leq u\lt 5\pi/3.$


この区間と$\sin u\geq1/2$の円弧を重ねれば$u\in[\pi/6,5\pi/6]$です。従って

$\displaystyle \boxed{x\in[\pi/4,7\pi/12]}.$


係数が負なら区間の順序も反転します。例えば$u=-2x+\pi$で$x\in[0,\pi/2)$なら、$u\in(0,\pi]$です。開いている端がどの端へ移るかも対応させてください。

確認問題 15

$0\leq x\lt \pi$で、$\sin(-2x+\pi/3)\geq1/2$を解け。


確認問題 15 の解答を開く

$u=-2x+\pi/3$の範囲は$(-5\pi/3,\pi/3]$。この範囲と正弦の条件との共通部分は$(-5\pi/3,-7\pi/6]\cup[\pi/6,\pi/3]$。従って$x\in[0,\pi/12]\cup[3\pi/4,\pi)$。

開端の$x=\pi$は位相の左端へ移ります。元へ戻した後も除きます。

基礎の自己点検|誤りを見つけて直す

正しい公式を使っていても、角の範囲や符号を落とすことがあります。どの情報を落としたかを説明してから、次の短い答案を直してください。

確認問題 16

次の答案を直せ。(1)$0\leq x\leq2\pi$で$\sin x=0$だから解は$0,\pi$。(2)$0\leq x\lt 2\pi$で$\tan x\geq0$だから解は$[0,\pi/2]\cup[\pi,3\pi/2]$。


確認問題 16 の解答を開く

(1)閉区間の右端$2\pi$も解なので、$0,\pi,2\pi$。(2)正接の極は未定義なので、解は$[0,\pi/2)\cup[\pi,3\pi/2)$。

(1)は角の区間の情報、(2)は関数の定義域の情報を落とした誤りです。どちらも公式自体は正しく使えています。答えを出した後に、含めた点へ値を入れられるか、除いた端が元の範囲に入らないかを確かめます。


確認問題 17

次の説明を直せ。(1)$-\sin x-\sqrt3\cos x=2\sin(x+\pi/3)$。(2)$y=\sin(2x-\pi/3)$は$y=\sin x$を右へ$\pi/3$動かしたグラフ。


確認問題 17 の解答を開く

(1)右辺の係数はどちらも正なので違う。例えば$2\sin(x+4\pi/3)$、または$-2\sin(x+\pi/3)$と表せる。(2)点$(u,\sin u)$は$(u/2+\pi/6,\sin u)$へ移る。横を$1/2$倍してから右へ$\pi/6$動かす。

正接の値だけで合成の角を選ぶと、第一象限と第三象限を取り違えることがあります。元の係数に合わせて正弦・余弦の符号も確認します。横の移動は、角に加えた定数そのものではなく、中身が元の入力になる$x$から求めます。


確認問題 18

(1)$\pi\lt \theta\lt 2\pi$で$\cos\theta=1/2$なら$\cos(\theta/2)=\sqrt3/2$、という結論を直せ。(2)$\tan(\alpha+\beta)$が定義されれば、正接の加法定理の右辺も常に使えるか。


確認問題 18 の解答を開く

(1)$\pi/2\lt \theta/2\lt \pi$なので半角の余弦は負で、$-\sqrt3/2$。(2)使えない。例えば$\alpha=\beta=\pi/2$では和の正接は$\tan\pi=0$だが、右辺の$\tan\alpha,\tan\beta$は未定義。

半角公式の二乗からは大きさしか分かりません。角を半分にした後の範囲で符号を補います。公式については、求めたい左辺が存在することと、選んだ表示の全ての量が存在することは別です。例(2)は正弦・余弦の加法定理を先に使えば処理できます。


確認問題 19

$g(x)=-2f(-3x+\pi)+1$とする。(1)$f$の点$(u,v)$に対応する$g$の点を表せ。(2)$f$を$0\leq u\leq2\pi$で考えるとき、対応する$g$の入力範囲を求めよ。(3)$f(u)=\sin u$なら、$g$の振幅・最小の正の周期と、$g$の点$(0,1)$へ戻る$f$の点を求めよ。

確認問題 19 の解答を開く

(1)$-3x+\pi=u$より、$((\pi-u)/3,1-2v)$。(2)$u$が増すと$x$は減るので、範囲は$[-\pi/3,\pi/3]$。(3)振幅$2$、周期$2\pi/3$。逆対応は$(u,v)=(-3x+\pi,(1-y)/2)$だから、$(0,1)$は$f$の点$(\pi,0)$へ戻る。

横と縦の係数がともに負でも、それぞれの点対応から考えられます。入力の端は順序が反転するので、小さい$x$から書き直します。正弦の奇性を使って同じ式を別の形にしても、元の点がどの点へ移るかという対応自体は、この式で確認できます。

この回を終えたら

単位円の座標が正弦・余弦、傾きが正接でした。その定義から符号・周期・グラフを読み、加法定理から主要な公式を作りました。方程式と不等式では、最後に元の角の範囲へ戻すことも確認しました。
第3回「実践問題編」の第Ⅰ段階は、この回だけで取り組めます。まず基本事項を使えるか確かめ、その後、第2回「典型と解法選択」へ進んでください。第2回では、同じ公式でも、何を求める問題かによって使う向きが変わることを整理します。
同じ問題を解き直すことは基礎の定着です。その後、式の見た目や角の範囲が変わっても、定義・公式の条件を読み直せるかを確かめます。第2回で判断の理由を学び、第3回の転移・総合の問題で、変形した後に何を調べるかまで練習してください。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。皆さんの日常に良き数学の彩のあらんことを。それでは、ごきげんよう。

投稿日:2日前
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