この記事では, Tuenterによる2項係数の絶対値付きの和に関する定理を紹介する.
おそそ25年前, Paul S. BruckmanはFQに次の問題を出した.
整数
B-871の問題, The Fibonacci Quarterly 37.1(1999)
B-871の解答, The Fibonacci Quarterly 38.1(2000)
さらに, Bruckmanは以下の予想を残した.
予想 (by Bruckman).
整数
※ 後の話とうまくつなげるため, オリジナルの表現を少し変えている.
いま, 整数
また,
このとき, [1]でTuenterは以下の主張をした.
整数
(i)
(ii)
この定理の(i)においてBruckmanの予想を解決していることになる.
この記事の目的は可能な限り丁寧にこの定理を証明することである. オリジナルでは分かりにくい部分が多いため, 高校生でも理解できるように努めた. (そのため, 証明が長くなってしまった...).
まず, 以下の補題を証明しよう.
整数
・
・
・
したがって,
この補題を使って目的の定理を証明する.
帰納法で証明する.
(i)
よって,
(ii)
よって,
定理2の証明の中で
これを使えば具体的に
すなわち,
(参考文献)
[1] H.J.H.Tuenter, Walking into an absolute sum, The Fibonacci Quarterly 40.2(2002)