はじめに
簡単のため、数列はから始まるものとします。
を実数とします。実数からなる数列が
をみたしているとします。この数列を一意に定めるにはの値が必要ですが、ここでは定めず、その代わりこの漸化式の解に任意定数が2つあるものと考えます。
このとき、次のような結果が知られています:
- もし方程式が2つの異なる実数解を持てば、任意定数を用いてと書ける。
- もし方程式が重解を持てば、任意定数を用いてと書ける。
- もし方程式が2つの異なる虚数解を持てば、任意定数を用いてと書ける。
・・・これ、気持ち悪くありませんか?
なんでのときだけ式の形が違うんですか?
この記事ではその謎を解明します。
導入
方程式が解を持つと仮定し、の極限で何が起こるかを観察します。
計算
なので、
が成り立ち、それぞれ任意定数を用いて
と書けます。あえてを定めなかったので、とを具体的に求める必要がなく、本質的な議論に集中できます。
もちろん、の極限でになります。
上の式から下の式を引くと、
よって、
とおけば、
が得られます。
さて、ここから具体的にの値を評価していきましょう。
にを代入して
にを代入して
なので、であることから
と求めることができます。
さて、を代入することで
が成り立ちます。との分子はで徐々に近づいていきますが、分母がそれを丁度打ち消した形になっています。
これを一般項に代入すると
となります。これを二項定理で展開すると、
となります。
なので、はでない有限の値を取り、であればになります。
の中に注目すると、なのでとなり、全体の極限もになります。
なので、とおくことで
の形にできました。
まとめ
で、のとは「逆方向に」大きくなるものの、その差は一定に収束するのでこれがの項になり、「1つ下」の次数の項がの項に対応し、その下はすべて消えるようです。