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公理的幾何代数⑤(双ベクトル)

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双ベクトル

ベクトルと外積の反可換性

ベクトル$u$をベクトル$v$の平行成分と直交成分に分解したときに、

$$ \begin{align*} uv &= u \cdot v + u \wedge v \\ vu &= u \cdot v - u \wedge v \\ \end{align*} $$

この式から始めました。この式から$uvv^{-1} = u = v^{-1}vu$を求めることで平行成分と直交成分に分解できました。スカラー値$v^2$が可換であることから$uv^2 = v^2u$を求めることでも新しいことが分かります。

$$ \begin{align*} uv^2 &= (u \cdot v)v + (u \wedge v)v \\ v^2u &= v(u \cdot v) - v(u \wedge v) \\ \end{align*} $$

この式から$(u \wedge v)v = -v(u \wedge v)$が成り立つことが分かります。つまり、ベクトル$v$$u \wedge v$反可換です。このことは$u$$v$の線形和にまで広げられます。

ベクトル$w$がベクトル$u$, $v$の線形和で表されるとき、$w$$u \wedge v$と反可換になる。
$$ (u \wedge v)w = - w(u \wedge v) $$

かつ、この結果はベクトルになります。スカラー$a$, $b$$w$

$$w = a u + b v$$

と表しましょう。$(u \wedge v)w$

$$ \begin{align*} (u \wedge v)w &= (u \wedge v)au + (u \wedge v)bv \\ &= a(u \wedge v)u + b(u \wedge v)v \\ &= -a(vu - u \cdot v)u + b(uv - u \cdot v)v \\ &= -a(vu^2 - (u \cdot v)u) + b(uv^2 - (u \cdot v)v) \\ &=(a(u \cdot v) + bv^2)u - (au^2 + b(u \cdot v))v \end{align*} $$

と展開できます。たしかにこれはベクトルです。

$u \wedge v$はベクトル$w$と反可換になるため少なくともスカラーではありません。ではベクトルでしょうか。$u \wedge v$がベクトルだとしたら$w$と反可換になるため直交するベクトルということになります。ここではいったんこれ以上は立ち入らずベクトル$u$$v$の外積から得られる$u \wedge v$双ベクトルと呼びます。

双ベクトルの縮約

またこの式に戻ります。

$$ \begin{align*} uv &= u \cdot v + u \wedge v \\ vu &= u \cdot v - u \wedge v \\ \end{align*} $$

この二式を掛け合わせます。つまり、

$$ \begin{align*} uvvu &= (u \cdot v + u \wedge v)(u \cdot v - u \wedge v) \\ \end{align*} $$

を展開します。すると、

$$ \begin{align*} u^2v^2 &= (u \cdot v)^2 - (u \wedge v)^2 \\ \end{align*} $$

が得られます。これはラグランジュの恒等式です。

ラグランジュの恒等式

ベクトル$u$$v$について
$$ \begin{align*} u^2v^2 &= (u \cdot v)^2 - (u \wedge v)^2 \\ \end{align*} $$
が成り立つ。

ということは、$u \wedge v$平方はスカラーということです。

双ベクトルの反交換子

ベクトルの反交換子がスカラーになったことと同じことがここでも当てはまります。外積は幾何積の双線形性より

$$ u \wedge (v + w) = u \wedge v + u \wedge w $$

が成り立ちます。この平方を取ることで$u \wedge v$$u \wedge w$の反交換子はスカラーになることが分かります。

双ベクトルの反交換子はスカラー

$[u \wedge v, u \wedge w]$はスカラーである。

双ベクトルの幾何積が可換ならば幾何積はスカラーになる

一般に$AB = BA$が成り立つなら反交換子$AB + BA$$2AB$となりますので、$u \wedge v$$u \wedge w$が可換ならば幾何積もスカラーになります。

可換な双ベクトルの幾何積はスカラー

$u \wedge v$$u \wedge w$が可換ならば幾何積もスカラーになる。

双ベクトル同士の可換と双ベクトルとベクトルの反可換

$u \wedge v$$u \wedge w$の幾何積はそれぞれ
$$ \begin{align*} (u \wedge v)(u \wedge w) &= (u \wedge v)(uw - u \cdot w) \\ &= (u \wedge v)uw - (u \wedge v)(u \cdot w) \\ &= -u(u \wedge v)w - (u \cdot w)(u \wedge v) \\ (u \wedge w)(u \wedge v) &= (uw - u \cdot w)(u \wedge v) \\ &= uw(u \wedge v) - (u \cdot w)(u \wedge v) \\ \end{align*} $$
と展開できますので、
$$-u(u \wedge v)w = uw(u \wedge v)$$
が成り立つということです。$u$が可逆であれば
$$-(u \wedge v)w = w(u \wedge v)$$
つまり、$u \wedge v$$w$が反可換になります。これを求めるのに同値変形しかしていませんので、逆に$u \wedge v$$w$が反可換なら$u \wedge v$$u \wedge w$は可換であることが言えます。

双ベクトル同士の可換と双ベクトルとベクトルの反可換

ベクトル$u$, $v$, $w$について
$$ (u \wedge v)w = -w(u \wedge v) \iff (u \wedge v)(u \wedge w) = (u \wedge w)(u \wedge v) $$
が成り立つ

双ベクトルが双ベクトルのスカラー倍になるとき

$u \wedge v$$w$が反可換であると仮定します。このとき$u \wedge v$$u \wedge w$の幾何積は可換になりますので、$u \wedge v$$u \wedge w$の幾何積はスカラーになります。よって、次のように$u \wedge w$$u \wedge v$のスカラー倍で表せます。

$$ u \wedge w = \frac{(u \wedge v)(u \wedge w)}{(u \wedge v)^2}u\wedge v $$

逆にあるスカラー$a$$u \wedge w = a(u \wedge v)$と表されるとき、この幾何積はスカラーになり可換であることが分かります。よって$u \wedge v$$w$は可換となります。

$u \wedge v$$w$が反可換$\iff$ $u \wedge w$$u \wedge v$のスカラー倍である

双ベクトルとベクトルの反可換と線形和

当然、$v \wedge w$についても同じことが言えます。

$$ v \wedge w = \frac{(u \wedge v)(v \wedge w)}{(u \wedge v)^2}u\wedge v $$

そのため、$u \wedge w$$v \wedge w$の間にも次の関係が成り立ちます。

$$ u \wedge w = \frac{(u \wedge v)(u \wedge w)}{(u \wedge v)(v \wedge w)}v \wedge w $$

この式を整理すると面白いことが分かります。まず、両辺を$(u \wedge v)(v \wedge w)$で左からスカラー倍します。

$$ (u \wedge v)(v \wedge w)(u \wedge w) = (u \wedge v)(u \wedge w)(v \wedge w) $$

双ベクトルの幾何積$(u \wedge v)(v \wedge w)$$(u \wedge v)(u \wedge w)$はスカラーですので、

$$ \begin{align*} ((u \wedge v)(v \wedge w)u) \wedge w &= ((u \wedge v)(u \wedge w)v) \wedge w \\ ((u \wedge v)(v \wedge w)u - (u \wedge v)(u \wedge w)v) \wedge w &= 0 \end{align*} $$

と変形できます。ここで

$$ w' = (u \wedge v)(v \wedge w)u - (u \wedge v)(u \wedge w)v $$

と置くと、これは$u$$v$の線形和のベクトルであり$w$と平行になります。平行であるということは$w$$w'$はスカラー倍の違いしかありませんので$w$$u$$v$の線形和で表されるということです。つまり、以下が成り立ちます。

$u \wedge v$$w$が反可換 $\iff$ $w$$u$,$v$の線形和で表される

双ベクトルとベクトルの平行・直交

ベクトル同士で平行・直交を次のように定めました。

  • $u$$v$は平行である$\iff$ $u$$v$は可換
  • $u$$v$は直交である$\iff$ $u$$v$は反可換

双ベクトルとベクトルの間にも平行・直交を

  • $u \wedge v$とwは平行である$\iff$ $u \wedge v$$w$は反可換
  • $u \wedge v$とwは直交である$\iff$ $u \wedge v$$w$は可換

で定義してもよさそうです。というのは、反可換であれば$u$$v$の線形和で表されたからです。しかし直交はどうでしょうか。

投稿日:1日前
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